磯屋
磯屋は東海道の宿場町の一つ、蒲原にある古い小さな焼きそば屋だ。初めて訪問したのは2011年8月のことだった。渋い店舗に人の良さ気な女性店主。夏場なのでおでんは無かったが如何にも静岡らしい昔ながらの食事処だった。
再訪したのほあ同年の11月下旬。暖簾を潜ると相変わらずの女性店主が「いらっしゃい」と迎えてくれた。客席は鉄板前のカウンターが数席。それとテーブル代わりのTVゲーム機が右奥に2台置かれている。夏には無かったおでん台も置かれていた。先客は居ない。
カウンターに腰掛けて壁に立てかけられたメニューを確認。焼きそば並が250円、肉入り・イカ入りはそれぞれ350円という安さだ。今回も前回と同じく肉とイカの両方が入ってるミックス(500円)を注文。ちょっと割高な気もするが、細かいことは気にしない。
調理中のおばちゃんとお喋りをしながら焼きそばの出来上がりを待つ。創業30年でテレビにも何度か紹介されたそうだ。営業時間を尋ねたところ、あいまいに返された。だいたい11:30~17:00くらいのようだ。
さて焼きそば登場。あれ? 前回乗ってなかった目玉焼きが乗ってる。うーん、値段的には多分目玉焼きが乗ってるのが正しいのだろうけど、まぁその辺は突っ込まないで置こう。
麺は富士宮で使われているマルモ食品製。麺を炒める際に水を加えているため、普通の麺と同程度の柔らかさだ。酸味やや強めのソースを使って、あっさり薄味に仕上げてる。具はキャベツに肉、イカ。前回はカリカリの揚げ玉も入っていたが今回は見当たらない。仕上げにダシ粉が塗されて、紅生姜が添えられている。麺、具ともに焦げも多いが、この香ばしさも味のうちだ。基本は地理的にも近い富士宮焼きそばだが、この店独自の要素が色々ある。
「富士宮よりこっちの方が美味しいってお客さんも居ましたよ」と嬉しそうに言うおばちゃん。利用するのはほとんど固定客らしい。前年に50円くらい値上げしたそうだが、気軽に食べられる料金設定を意識しているとのこと。お会計を済ませ、「ごちそうさま、また来ます」と店を出た。
そして今年2月。帰省のついでにまた立ち寄ってみたのだが、店は閉まっていた。確認したところ前回触れた通り、2012年の12月頃に閉店してしまったとのこと。再訪の約束を果たせないのが惜しまれる。娘さんが東京に居られるとのことだったのでそちらへ行かれたのかな。長年お疲れ様でした。
焼きそばの食べ歩きで意識し始めたことだが、静岡に限らず各地の名店が次々と廃業している。「当サイトについて」や最初の記事で書いたことと被るけど、思い出の味が消えてしまうのは実に寂しいことだ。せめて記録に留めておこうと書き連ねているが時間の流れに追いつけない力量不足を痛感している。
だがまあその辺は仕方ないか。誰かに言われてやっている訳でもなし。割り切って今後ともマイペースで続けていこう。
というわけで静岡県中部の焼きそば特集、いかがでしたでしょうか。以前特集した県西部と併せ、「なるほど静岡県民の焼きそば好きは富士宮だけに限らないんだな」とご承知いただけましたら万々歳。その認識の上でようやく富士宮を紹介できるんじゃないかと考えております。
さて次回からはソース後掛け&塩焼きそば特集。これで3回目ですね。知名度の低い店も沢山見つけて参りました。乞うご期待。
店舗情報 | ※2012年12月頃、閉店しました TEL:054-385-5396 住所:静岡県静岡市清水区蒲原中237-1 営業時間:11:30~17:00くらい 定休日:不明 |
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主なメニュー | 焼きそば 並 250円 大盛 350円 肉 350円 イカ 350円 ミックス 500円 大 550円 お好み焼 並 300円 肉 400円 イカ 400円 ミックス 550円 |
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