富士さん
『居酒屋礼賛』というブログをご存知だろうか? 主催の浜田信郎氏が大衆酒場を飲み歩き、様々な店を詳細に紹介しているサイトでこれまで何冊か本にもなった。酒好きのブロガー間では定評があり、私も愛読している。
その『居酒屋礼賛』、都内近郊の店を主に紹介していたのだが、氏の出張や転勤などで呉市内の飲食店や酒文化もよく取り上げられる。ところ変われば品変わるで呉の酒文化も実に興味深いのだが、焼きそば好きとして特に気になったのが今回紹介する富士さんだ。どうやらホルモン焼きそばが名物らしい。
一度食べねばと呉を訪れたのは2011年4月中旬。市内のビジネスホテルに宿をとり、屋台が集まる赤ちょうちん通りへと徒歩で向かった。平日だったせいか、出ていた屋台は2、3軒ほど。その一つ、富士さんへ入ったのは20時頃のことだった。
ビニールの中は鉄板とおでん鍋を囲むよう、L字型にカウンターが設えられていた。先客は二組。とりあえず腰掛けて、二代目という若店主に瓶ビールとおでんを2・3品注文した。
メニューはおでんや豚足、ホルモンなど各種鉄板焼きに焼きそば、ラーメン。入るなりラーメンだけを注文して食べ終わると帰るお客さんも多い。豚骨醤油のラーメンが相当美味いのだろう。呑むうちに居合わせた愛媛出身のおっちゃんや隣に来た老夫婦と打ち解ける。
「兄さん、どこから?」
「東京から来ました」
「(ぴくり)ほぉ……ほんじゃ、やっぱりジャイアンツけ?」
「いや、好きな球団はないけど嫌いなのは巨人です」
「えらいっ!! 分かってるなぁ!!」
バイク好きのお客さんも現れて、陸王やメグロなど随分古いバイク談義で盛り上がり。白龍似のかっこいい兄さんも居た。呉弁が似合い過ぎる。
日本酒をおでんなどで随分と呑み、良い塩梅に出来上がって〆にホルモン焼きそば(900円)を注文。モヤシ、ニラ、玉ねぎスライスを鉄板で炒め、ホルモンを加えて塩コショウとたれで味付け。ラーメンと同じ麺を茹で上げて投入し、ソースをぶっかけ、混ぜて暫く置く。ソースの焦げた香ばしい薫りが漂ったところで盛り付けてできあがり。
麺は博多ラーメンよりは太いが、細麺の部類に入るだろう。茹で加減が絶妙で、麺にコシがある。具のメインとなるホルモンは噛み応えのあるシマチョウ。タレの甘辛さが油脂と相まってコテコテの味わいだ。本来、酒の肴であるホルモン炒めに麺を投入して作られたメニューなので、当然つまみとしても美味しい。
焼きそば目的という話しの流れで、老夫婦のご夫人が普通の焼きそばをおすそ分けしてくれた。こちらはホルモンではなく豚バラ肉を使用しており、タレは使っていないのでソースの味が前面に出ている。揚げ玉を加えてコクをだしてる辺りは心憎い。強か酔ってお会計。千鳥足で宿に戻ってバタンキュー。
余談になるが、その後『居酒屋礼賛』の浜田さんとは東京の酒場で何度かお会いして面識ができた。翌年2012年の5月、幸いにも浜田さんに呉をご案内していただく機会に恵まれ、富士さんへもご一緒していただいた。その様子がこちら。この再訪時は既に満腹でほとんど呑めなかったが、とても良い思い出になった。またいつか訪れてみたい。
というわけで大衆酒場の焼きそば特集は今回で終了です。次回からは以前もやりました、ソース後掛け焼きそばをテーマに更新したいと思います。ご期待くださいませ。
店舗情報 | 住所:広島県呉市中央3丁目 赤ちょうちん通り 営業時間:19:00~2:00 定休日:火曜日 |
---|---|
主なメニュー | ホルモン焼きそば 900円 中華そば 500円 焼そば 600円 おでん 全品100円 生ビール 450円 瓶ビール 550円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません