豊浦やきそば専門店
ソース後掛け&塩焼きそば特集。2週目は宮城県石巻から!
石巻の焼きそばというと二度蒸し麺が特長とされる。独特の歯応えとコシのある茶色い麺に揚げ玉を乗せ、鶏がらや煮干・昆布などの出汁で蒸焼きにし、後からソースを好みで掛けるのが標準的な調理法。2011年に藤や食堂と三浦屋の2軒を紹介したが、もともとは家庭を中心に食べられて来たものらしい。
今回紹介する豊浦さんは石巻で50年以上も営んできた焼きそば専門店だ。「石巻茶色い焼きそばアカデミー」には属していないが、恐らく石巻焼きそばの基本・ルーツを体現したような存在だろう。あの3.11の津波で被災して店舗を失ったが、隣接するご自宅をリフォームして2012年2月8日に営業を再開。出前中心の営業だが中で食べることも出来るという。(その辺の経緯はこちらを参照)
4月中旬、平日のお昼時に訪問。パッと見はごく普通の民家で暖簾が唯一の目印だ。玄関に入って「ごめんください」と声を掛けるも返事は無し。左手の部屋に人の気配がするので、靴を脱いで引き戸を開ける。8畳ほどのお座敷に座卓が2つ置かれご婦人が二人座ってらっしゃった。その奥がキッチンでお母さんが調理中。どうやらここが客席に当たるらしい。
先客のお二人に「こんにちは」と会釈して手近な座布団に着座。メニューは見当たらないが後で出てきた品と会計から考えるに、今は特製焼きそば(500円)一品だけに搾っているようだ。とりあえずキッチンに声を掛けておくか。
「すみません、焼きそばひとつお願いします」
「はい、いらっしゃい。ちょっとお待ちくださいね(ニコニコ)」
その後、お父さんが出前から戻り、娘さんらしき女性も現れた。皆さん、お忙しそうなのでお茶も自分で注ごう。
(2011年の夏にも来たけど、よくぞここまで綺麗に……)
そんな感傷に浸りつつ待つこと15分ほど。「お待たせしました」と焼きそばのお皿が運ばれて来た。
「食べるときにソースを掛けてください」
「はーい」
麺は茶色い太めの角麺。出汁をたっぷり含ませてあるのか、意外と柔らかい。そいつに玉葱を細く切ったのを少量加えて炒めてある。さらに茹でたキャベツと人参とピーマン、目玉焼き、肉、紅生姜、海苔など豪華な具がトッピングされている。
卓上のソースは甘め中濃ソース。出汁の旨味とソースとの相乗効果で優しい円やかな味わいに。具も麺もボリューム十分で食べ応えがある。サービスのお新香も嬉しい。
「わざわざ、東京から? ありがとうございます。震災前もいらしたことが?」
「いえ、震災のあった夏に一度来ましたが、食べるのは今回が初めてです」
焼きそばを平らげた後、もう一杯お茶をいただいてお会計。焼きそばだけでなくご家族のお人柄にも感銘を受けた。また来よう。
店舗情報 | TEL:0225-24-2162 住所:宮城県石巻市渡波栄田174-3 営業時間:お昼のみ 定休日:不定休 |
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主なメニュー | 特製焼きそば 500円 |
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