甘太郎

名古屋駅から見て1kmほど北東に那古野という地域がある。名古屋駅と名古屋城のほぼ中間に位置し、円頓寺(えんどうじ)本町商店街というアーケードが東西に延びている。地名の由来となった古刹・円頓寺は「えんどんじ」と読むが、商店街は「えんどうじ」と読むらしい。

那古野 円頓寺本町商店街

一泊二日で出かけた名古屋旅の2日目の朝食は、その商店街にある喫茶店でいただいた。コーヒー一杯の値段で、トーストと茹で卵、デザートまで付いてくる。中京地域のモーニング文化は驚異的だなあ。

さて、その喫茶店の斜め向かいにあるのがこの商店街の目当て、甘太郎というテイクアウト専門のお好み焼屋さんである。「甘太郎」は今川焼・大判焼の異名の一つで、当ブログでも千葉県の津田沼にあったあまたろう焼や旭市の甘太郎商店を紹介したことがある。

円頓寺本町商店街 お好み焼 甘太郎

モーニングを食べ終えて喫茶店を出たその足で、甘太郎を覗いてみた。5月下旬の日曜、朝10時過ぎのことだ。開店直後なので先客はまだいなかったが、自分のあとにすぐ他のお客さんもやってきた。

お好み焼 甘太郎メニュー

メニューはお好み焼や焼きそば、みたらし団子や五平餅など。なぜか甘太郎焼は見当たらない。お好み焼は130円から、焼きそばは200円からという驚きの安さだ。こんな値段で出されたら周辺の飲食店はきつかろうなあ……

「すんませーん、肉玉子の焼きそばと、イカ玉子のお好み焼、くださいー」
「はーい、ちょっと待っててねー」

甘太郎の鉄板の様子

カウンターの向こうは厨房になっていて、鉄板でお好み焼を焼いていた。鉄板一面に生地を広げた上で、コテで格子状に切り分け、一枚ずつひっくり返して焼き上げて行く。縁日のお好み焼屋台で見かける手法だ。露店をルーツにするお店なのかな。

焼きそばは保温ケースから

焼きそばは、すでに調理済みのものが保温ケースに積まれていた。肉玉子の焼きそばは230円、イカ玉子お好み焼きは150円。あわせて380円のお会計。こんなに安くて良いのだろうか。

名古屋城 5月なのに真夏日

ホカホカのコナモンが入った袋を渡され、それをぶら下げて観光がてら名古屋城へと向かった。5月なのに30度を超える真夏日で、なるべく日陰を選んで進む。10年以上ぶりに来てみたが、広場で忍者ショーとかやっているのね。現在、耐震工事中のため城の中へは入れず。残念。

木陰のベンチでいただきます

歩き回っているうちに、お昼時になった。冷たい飲み物を自販機で購入し、木陰のベンチに腰掛ける。さて、お好み焼と焼きそばをいただきましょう。

肉玉子入り焼きそば 230円

まずは肉玉子入り焼きそば(230円)。焼きそばの上に肉と玉子がトッピングされ、脇にみじん切りの紅生姜が添えられている。麺は蒸し麺らしく、ゴワゴワした角麺だ。ソースはほんのり甘め。

喉に詰まりやすい系の焼きそば

玉子は目玉焼きで、両面しっかり焼きだ。黄身も完熟。肉は瀬戸焼きそばのように煮込まれているのか、味がよく滲みている。汁気が全くなく喉に詰まりやすい系の焼きそばなので、飲み物が必須だな。

イカ玉子入りお好み焼 150円

イカ玉子入りお好み焼(150円)はアルミホイルに包まれていた。お好み焼きを二つ折りにし、アルミホイルで包むのが名古屋のトラディショナルなテイクアウトスタイルだ。その発祥が、この甘太郎とも言われているらしい。その包みを開いた瞬間、ソースの香りが周りに漂った。

アルミのまま手づかみでガブリ

お好み焼きのボリュームは、おやつ感覚で食べられるお手頃サイズだ。玉子はあえて溶かずに黄身の形を残して焼いている。その黄身の味の輪郭がしっかりしているためか、満足度が高い。またアルミホイルのまま手で掴んでガブリと齧りつけるのも利点である。店側も箸を付けずに済む。

モーニングからそんなに時間が経っていないので、連れと二人でのランチには、ちょうどよい量だった。ところ変われば品変わるというが、名古屋のお好み焼・焼きそば文化も奥深い。もっと時間があれば、あちこち回ってみたいんだけどなあ。

店舗情報住所: 愛知県名古屋市西区那古野2-19-24
営業時間: 10:00~19:00
※売り切れ次第終了
定休日: なし(1月1日~1月3日、夏休みあり)
ホームページ
主なメニュー焼きそば 200円~
お好み焼 130円~