来集軒
西浅草にある1950年(昭和25年)の創業の来集軒。ルーツをたどると東京最古の製麺所とも言われている1910年(明治43年)創業の来集軒製麺所なんだとか。ちなみに同年には東京ラーメンの元祖とも呼ばれる来々軒が同じ浅草で創業している。(実は来々軒より古い支那そば屋が浅草に存在していたが、それはいつか別の機会に触れよう)
来集軒を訪問したのは4月下旬の土曜日のお昼時。4月とは思えない暑さの日だ。国際通りから合羽橋方向に少し入った辺りに看板が出ていた。客席は4人掛けのテーブルが3卓と6人がけの楕円テーブルがひとつ。1人客は楕円テーブルの方へ案内される。開店直後のため先客は2人だけだったが、あとから続々と入って来た。詰めて着席、相席が当たり前のようだ。
さてメニュー。周りの壁には色紙がぎっしり貼られている。焼き餃子は無くてシューマイやワンタンがある。その辺りに戦前の支那そば屋らしい風情を感じる。こちらではシューマイが名物で、微塵切りの玉葱と片栗粉を混ぜた餡を使い、豚肉は使っていないそうだ。足利のシューマイに酷似している。卓上の大きな醤油刺しは中身がソースで、それを掛けて食べるらしい。
焼きそばはソース焼きそばやカタヤキがあるが、今回注文したのは台湾めん(850円)。台湾めんというと台南担仔麺や台湾牛肉麺、あるいは名古屋名物の台湾ラーメンを想像してしまう人が多かろう。しかしこの店の台湾めんは何故か焼きそばなのだ。
似たような命名では小伝馬町・皆楽園の「上海麺」がある。しかしあちらはちゃんと「炒麺」に分類されていた。来集軒の場合は焼きそばと一言も書かれていないので注意しよう。と言ってる間に、注文から5分ほどで焼きそばの皿とスープが運ばれてきた。
麺は手もみ風の平打麺。茹でたあとに水で締めているのか、ツルッとしたテクスチャでシコシコした弾力がある。具は豚肉、キャベツ、モヤシ、キクラゲ。てっぺんに刻んだチャーシューをトッピング。
ボリュームはほどほど。見た目の白さそのまんまで味付けは塩味だが、かなり強め。チャーシューも醤油の味わいが強く、おまけに脂もたっぷり。ギトギト、ガッツリした塩焼きそばだ。
豚肉とチャーシューの両方使いというのも、ちょっと珍しい。食べていると喉が乾いてくるが、今日みたいな暑い日はこの濃いめの味付けが一層美味しく感じる。ただ台湾的な要素が全然見当たらないのは気のせいだろうか。ま、それが面白い点なのだが。
付け合せのスープはネギを浮かせた醤油味。湯気が立ってないので温いのかと思ったら、油膜が張っているだけだった。レンゲがないので直接唇を付けて啜ったら、あやうく火傷しそうになった。あぶないあぶない。
食べ終わってお会計。帰る頃にはほぼ満席になっていた。あとから来た客のうち2組が「ソース焼きそば2つとシューマイ」を注文していた。うーん気になる。次回来ることがあれば、自分もソース焼きそばとシューマイにしてみようっと。
【2018.04.23追記】なお、来々軒が来集軒製麺所の麺を使っていたのでは、という説もあるが、それは誤り。『お好み焼きの戦前史』からの孫引きになるが、『にっぽんラーメン物語』で来々軒の三代目尾崎一郎が、来々軒の製麺方法は青竹を使って伸ばす方式だったと証言している。
店舗情報 | TEL: 03-3844-7409 住所: 東京都台東区西浅草2-26-3 営業時間: 12:00~19:00 定休日: 火曜 |
---|---|
主なメニュー | 台湾めん 850円 ソース焼きそば 750円 焼きそば(カタヤキ) 850円 シューマイ 550円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません