リボン
大分市の東端、九州と四国を結ぶ国道九四フェリーの港がある佐賀関に、「うす焼き」と呼ばれる独特なコナモンがある。現在提供しているのは「リボン」という店くらいのようだ。愛読しているブログ「全国イイ味ハマル味」でその存在を知り、焼きそばの麺が使われていることもあって、いつか食べてみたいと思っていた。
訪問の機会を得たのは今年7月末のこと。愛媛県三崎港からフェリーに乗って佐賀関に上陸したその足でリボンを訪れてみた。フェリー乗り場から1kmほど東の狭い住宅街をバイクで縫うように走って午前10時半過ぎに到着。
噂通り鄙びた雰囲気のこじんまりした店舗だ。店主はふくよかなおばちゃん。予約だろう、客はいないが鉄板で調理中だった。鉄板の前に丸椅子が幾つかあり、その一つに腰掛ける。
メニューは冷蔵庫に貼ってあった。ノーマルのうす焼が130円と激安。タマゴ入り、クロメ入りでも200円である。ただサイズはかなり小さく、一人2~3枚くらいはぺロリと食べられるらしい。他には焼きそばやお好み焼きなど。
「薄焼きを2枚食べたいんですけど」
「えっと、ニンニク醤油でいい?」
「え? あ、はい」
「じゃこれ」
予約注文用にちょうど作ってあったのを2枚くれた。味付けはニンニク醤油の他にソースもあるのだが、まあいっか。受け取ったあとに新しいのを焼き始めたので、味の感想の前に焼き方をざっと説明しとこう。
ベースはごく薄い小麦粉の生地。鉄板が透けて見えるほど薄く広げる。そこに削り粉、キャベツ、焼きそば用の麺、モヤシ、スジを乗せてゆく。
1枚ずつ切り離してひっくり返し。全体に火が通ったらもう一度ひっくり返し。生地が破れても頓着無し。ニンニク醤油またはソースを塗って、折りたたんでスチロール製のトレイに乗せ、最後にもう一塗りして出来上がり。
受け取ったのは出来立てではなかったがまだ熱々だった。一枚辺りのサイズは大人の手のひらより一回り大きい程度だ。生地はモチっとした食感でところどころパリっとした歯応えもあり。片栗粉も加えているのかな。やはり一銭洋食がルーツなのだろうが、福知山の「薄焼き」にも土佐清水の「ぺら焼き」にも似ていないのが興味深い。
焼きそば用の麺は細麺でごく少量で、別に炒めているわけでもないが、欠かせないアクセントになっている。モヤシやキャベツも入っているし、広島に代表される重ね系お好み焼きの超ミニサイズとでも呼ぶべきか。郷愁をそそるニンニク醤油の風味も実に良い。前評判通り、2枚ともペロリと平らげてしまった。
お会計は130円が2枚で260円也。食べながら訊いた話によると創業して約40年だとか。体調を崩しがちだそうだが、無理しないペースでこのまま末永く続けてくださいますよう。佐賀関を訪れたらちょっと足を延ばしてみてくださいまし。
店舗情報 | TEL:097-575-1134 住所:大分県大分市佐賀関2279 営業時間:10:00~17:30(11~3月は17時まで) 定休日:月曜日(祝日の時は営業する場合あり) |
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主なメニュー | 佐賀関名物 うす焼 130円 タマゴ入り うす焼 200円 クロメ入り うす焼 200円 焼きそば 350円 大盛 500円 ミックス焼 いか玉 400円 ミックス焼 肉玉 350円 |
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