己城
筑豊地方・田川市の田川後藤寺駅前にフッコー(復興食堂)という飲食店があった。名物は「もやしそば」で、一般的な汁そばではなく焼きそば系の独特な品だったそうな。およそ50年に渡り地元で愛されてきたが惜しくも閉店。私が訪れたときには店頭のメニューだけが辛うじて残っていた。
そのフッコーの「もやしそば」の味を受け継いだのが今回紹介する己城(みき)というお店。フッコー跡地の近くでオープンし、2014年11月に移転して現在は新店舗で営業を続けている。
8月上旬、土曜日の開店直後に訪問。食べログでは以前の店舗の住所が登録されていたため、店に辿り着くのに少し難儀した。店頭には看板メニューの「もやしそば」の写真とともに、「フッコー直伝」の文字が記されている。期待して店内へ。
真新しい店舗だけあって店内は清潔感に溢れて明るい。客席はカウンター5脚にテーブル4卓、小上がり2卓。先客なし。持ち帰りの予約あるようで店主ご夫妻らしき2人は調理に忙しそうだ。
とりあえずメニューを確認。「もやしそば」はダブル・トリプルなどのサイズアップも可能。並は330円と激安な上、さらに学割だと290円になるらしい。他は焼きそばや焼うどんが中心。面白いのはコーヒー。「スタバ級の美味さ」というコピーがとても良い。
「すみません、もやしそばの並(330円)ください」
「はーい」
食べ歩きなので並にしたが330円という安さにどうも恐縮してしまう。セルフサービスのお冷を飲んで待つこと5分弱。出来立ての「もやしそば」が運ばれて来た。
麺は中細の蒸し麺で適度なコシがある。ところどころについている焼き目で、これが焼きそばだと確認できた。具はモヤシとわずかな玉葱、豚肉。モヤシは豆付きで麺とおなしくらいの太さだ。火の通し加減が絶妙で、シャキシャキした歯応えとモヤシ自体の甘さを堪能できる。
味付けは塩コショウに醤油? それともソースだろうか。控えめな味付けでシンプルなはずなのに味わい深い、スパイシーで後を引く美味しさだ。油脂の風味もプラスされ食欲が刺激される。麺とモヤシ、味付けの加減で、滋賀県甲賀市の「スヤキ」を思い出した。なお、こういうタイプはソース後掛けが前提の場合が多いのだが、この店はどうも違うようなので最後までそのままいただいた。
一気に食べてお会計。並なのでボリュームはほどほどだがこの値段なら安いくらいだな。ネットを調べると、フッコーの味を懐かしんでやってくるお客さんも多いようだ。こうして無くなりかけた味が引き継がれていくのは、とても嬉しい。機会があればまた訪問したいなあ。
店舗情報 | TEL:0947-42-9697 住所:福岡県田川市春日町1-25 営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜・祝日 → ホームページ |
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主なメニュー | もやしそば 330円 ダブルもやし 530円 トリプルもやし 730円 やきそば 430円 ジャンボやきそば 630円 焼うどん(野菜なし) 380円 ジャンボ焼うどん(野菜なし) 580円 焼うどん(野菜入り) 480円 ジャンボ焼うどん(野菜入り) 680円 かしわおにぎり 1個 100円 白おにぎり 1個 80円 |
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