浪江焼麺太国
今回から太麺の焼きそばを特集してまいります。誰得なブログと今更ながら思いますけど懲りずにまだまだ続けますよ! まずはあの福島原発事故で大きく運命を変えたこの焼きそば。
3.11の震災と原発事故によって多数の住民が避難生活を余儀なくされている福島県双葉郡浪江(なみえ)町。名物のなみえ焼そばは復興の象徴としてクローズアップされ、地元商工会の若手有志による団体『浪江焼麺太国』や賛助会員の方々が全国を股に掛けPRに勤しんでいる。
二本松に移転して営業を再開した杉乃家を除けば、それらPR活動のイベントくらいでしか正式(?)ななみえ焼そばを味わえない。そんな状況での2012年4月8日、「せいせき桜まつり」に『浪江焼麺太国』が出店すると聞いて聖蹟桜ヶ丘まで足を延ばしてみた。
イベントメイン会場の九頭竜公園は満開の桜の下に数多くの屋台が並び、近隣の人々でごった返していた。私が訪れたのは午前11時ごろだったが、既になみえ焼そばもその隣の石巻焼きそばもかなりの行列だ。「こちらがなみえ焼きそばの最後尾でーす」と声を張り上げているお姉さんの指示に従って最後尾に着く。
行列の先のテントでは、浪江焼麺太国の麺バーが二枚の鉄板を駆使して焼きそばを豪快に調理していた。ラードを引いて豚バラ肉を焼き、大量のモヤシ、ぶっとい麺を載せ、太国秘伝のソース「ソーっスね」をぶっ掛けて、両手に持った大きな小手で気長に混ぜ炒める。大量に炒めてはいるのだが、どうにも待つ客の方が多くて作るのが追いつかないようだ。見るからにしんどそうな作業である。
ところで『浪江焼麺太国』には大王ならぬ「太王」と呼ばれるリーダーが存在する。頭上に太麺の焼きそばを頂いた頗る目立つ格好で、幟を片手にこの日もなみえ焼そばのPR活動に勤しんでいた。とても気さくな王様で並んでる最中に撮影をお願いしたら快く承諾してくださった。謁見の栄誉に浴して恐悦至極。
ついでにお話も色々と伺った。手持ちの機材を持参すれば一度に百人前を調理することも可能なのだが、今回のイベントでは会場サイドで用意していただいたものを使っているため、焼き上がりに時間が掛かってしまってるそうだ。ただでさえボランティアの集まりなのに、さすがに機材を運ぶ人員や予算は付けられないのだろう。
会津でも感じたがB級グルメでの町興しの実態を知るにつけ、善意の人々の負担は増すばかりで少し気の毒になってしまう。まあ、楽しくやってるうちは良いのだろうけど。その他にもラードは湯煎するとさらに美味しくなるとか、麺は採算度外視で良い品を使ってるとか、興味深い話を諸々伺うことが出来た。ありがとうございました、太王陛下。
列に並んで待つこと35分ほど、ようやく自分の番が回ってきた。 「おひとつですね、500円になります」 「なみえ焼そば」シールの貼られたパックを持って列を離れ、桜の下の花壇の脇に腰掛けてさっそくいただきます。
「ふとっちょ」と称する麺は極太で柔らかめ。うどんと間違えてしまいそうだが、かん水が使われているのでこれでも中華麺なのだ。ソースの甘味がよーく滲みている上に、付け合せの一味がピリッと利いて実に美味い。
具は前述の通り、豚バラ肉と大量のモヤシ。このシンプルさもなみえ焼きそばの特徴だ。しっかりした太めのモヤシが使われていて、あれだけ長時間加熱されていたのにシャキシャキした歯応えである。豚バラも旨味たっぷり。全体のボリュームもお祭りという場には丁度良い量だった。
これだけ美味しい焼きそばなのだから被災前にご当地で食べられなかったことが心底悔やまれる。やっぱり現地で食べたかったな。麺バーがエプロンに貼っていたステッカー、「浜通り元通り」の願いが一日も早く叶いますように……
店舗情報 | イベント出店のため不定期。ブログなどで要確認。 ※地図や場所の設定は仮のものです。 → ホームページ |
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主なメニュー | 焼きそば 500円 |
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