BLU JAM CAFE Azabu-juban

2022年4月16日

焼きそばの定義は人によってまちまちだ。特に難しいのは「麺」の定義だ。麺の形状は細長いだけではない。太麺や平たい麺、細切れの麺もある。原料も小麦だけでなく米・蕎麦・燕麦、じゃがいもや緑豆のでんぷん、とうもろこし粉でも麺状の食材は作られる。麺の下拵えも、茹で麺・蒸し麺だけでなく揚げ麺もある。

それらを焼きそば風に調理すれば全て仲間……というわけではないが、境界線を引くのは難しい。これまでも何度か、その境界線に位置しそうな品を紹介して来た。今回も「これ、焼きそばじゃないだろ」と自分で自分にツッコミつつ、取り上げてみる。

麻布十番 BLU JAM CAFE 外観

麻布十番にBLU JAM CAFEという店がある。ロサンゼルス発祥のチェーンで、現地ではブランチの人気店として6店舗を展開している。日本上陸1号店は代官山にあったようだが、現在日本で営業しているのは、ここ、麻布十番の店舗のみだ。

麻布十番 BLU JAM CAFE 入口

BLU JAM CAFEを訪れたのは4月頭の平日だ。職場から近いので同僚を誘って4人で訪問した。入り口は道路から一段低い半地下になっている。日本離れした雰囲気の店なので、初見だと気後れして入りにくいと思う。

BLU JAM CAFE 店内の様子

店内は奥に細長く、2人掛けテーブルが5卓ほど。2組先客がいて、うち1組は外国人だ。私はこれが2度目の訪問なのだが、前回は自分のテーブル以外は英語で会話をしていた。周辺に大使館が多いエリアで六本木も近いので、客は英語話者が多いんだろうな。

BLU JAM CAFE メニューの一部

メニューを初めて見た時はギョッとした。一応食材は日本語だが料理名は英語のみなので、解読にちょっと手間取る。同席した3人はバーガーを注文したが、自分が選んだのはジンジャエール(500円)とチラキレス(1650円)なる品だ。ジンジャエールはすぐに運ばれてきたが、料理はテイクアウトやデリバリーなどの注文も入っていたので、20分ほど掛かった。

ジンジャエール 500円

「チラキレス」(Chilaquiles)はメキシコ料理をルーツとするテクス・メクスの一つだ。トウモロコシ粉の薄焼きパン・トルティーヤを8等分し、三角形にして揚げるとトルティーヤ・チップスができる。それを皿に盛り、いろいろトッピングして供したものがチラキレスだ。

チラキレスとご対面

以前、当ブログで紹介したナチョス(Nachos)に近い料理で、ブレックファスト・ナチョス(Breakfast Nachos)とも呼ばれるらしい。もともとは夕食で余ったトルティーヤを、朝食向けに再調理した料理と位置づけられているそうだ。

メニューには日本語で使用している食材が記載されている。

BLU JAM CAFE メニューの一部

チキンのトマト煮込み、グルテンフリーコーントルティーヤ、卵、黒豆、トマト、オニオン、チェダーチーズ、サワークリーム、ピコデガヨ、パクチー。以上が使われている。

チラキレス(Chilaquiles) 1650円

チキン煮込みはプルド・ポーク(Pulled Pork)のようにほぐしたシュレデッド・チキン(Shredded Chicken)だ。スペイン語ではポヨ・メチャド(Pollo Mechado)と呼ぶ。卵はスクランブル・エッグ。黒豆はリフライドビーンズ、フリホレス(Frijoles)のこと。ピコデガヨ(Pico De Gallo)はトマト・オニオン・青唐辛子を使った、メキシコ料理で定番のサルサである。

旨味が滲みたトトポスが美味い

トルティーヤ・チップスはトトポス(Totopos)とも呼ばれる。もともとはパリパリだが、食材の旨味と水分がじんわりと滲み込んで、柔らかくなっている。しんなりした食感が、餡掛けの滲みたカタ焼きそばに似て、味わい深い。

シラチャーソースもあう

料理の配膳時に、チリソースやシラチャーソースも一緒に出してくれた。それらを掛けて適度に辛くするも良し。メキシコ料理は、ある程度の辛さが合う。ペロリと平らげて、お会計は2,050円。同店のバーガーやブリトーに比べると、ボリュームは少し物足りないが、渾然一体の味わいが実に自分好みだった。

渾然一体の味わいが実に自分好み

冒頭で述べた通り、これが焼きそばとどう繋がるかは、かなり迂遠な説明が必要になる。ま、世界にはこういう料理もあるってことは、知っておいて無駄ではなかろう。お手軽にアメリカ現地の気分が味わえる、港区ならではの店だった。機会があったらお試しあれ。

店舗情報住所: 東京都港区麻布十番1-11-10 B1F
ホームページ
主なメニューチラキレス/Chilaquiles 1650円