チャイタレー
タイのライスヌードル、クイッティオ(ก๋วยเตี๋ยว)は、太さに応じて3種類に分類されている。1つ目はパッタイで使われている2~3mm幅の平たい麺、センレック(เส้นเล็ก)。2つ目はパッシーユやパッキーマオで使われているきしめんほどの幅広麺、センヤイ(เส้นใหญ่)。そして3つ目がビーフン並みに細いセンミー(เส้นหมี่)だ。
センミーを使った焼きそば、パッセンミー(ผัดเส้นหมี่/Pad Sen-Mee)を置いているタイ料理店は東京でも限られている。そのひとつが今回紹介する葛飾区堀切にあるチャイタレーだ。屋号はタイ語で「海岸」という意味らしい。
2月下旬、土曜の夜20時過ぎに訪問。最寄駅は京成電鉄の堀切菖蒲園駅。店舗は駅から150mほど歩いた哈爾濱餃子の2階にある。店内はシックな造りで意外と広い。日本人の店主とタイ人の奥さんの2人で切り盛りしているようだ。この日は可愛らしい娘さんも手伝っていた。
寒い夜だがとりあえずビール。赤星も置いてあったが、タイのレオビール(LEO BEER)を呑んでみた。ほんのり甘めで、開けた直後はいいが、少し時間が経つと味が落ちる気がする。まあ、好みの問題か。
つまみは目的の品、パッセンミー(ผัดเส้นหมี่/Pad Sen-Mee)を早速注文。メニューでは「ヌードル」や「お食事」ではなく「炒め物」に分類されていた。厨房をちらっと覗くと、トングでセンミーをほぐしながら中華鍋で炒めているのが見えた。タイ・チャイニーズと呼びたくなる調理方法で面白い。
麺は前述の通り極細のクイッティオ、センミーを使用。具は玉子、モヤシ、青菜、フライドエシャロット、小さな干しエビ、少し大きめの干しエビ、パクチーの茎のみじん切り、細く刻まれたキクラゲ。さらに有頭海老が2尾とパクチーがトッピングされている。添えてあるのはスイートチリソースではなく、唐辛子入りの酢(プリックナムソム)だった。
センミーを食べてみて、まず腰の強さに驚いた。台湾や福建のビーフンはモッサモッサした食感だが、タイのセンミーはやや硬め。「ンニョーン」と伸びて簡単には千切れない。店主に訊いたところ、タイ産の米麺を使っているが、たぶん戻し方が違うせいとのこと。中華は蒸したり茹でたりするが、タイは水で戻すそうだ。また後で調べたところ、台湾のビーフンは実はコーンスターチが主原料の製品が多いらしく、米粉100%のタイ産とはその点も異なるのかもしれない。
味付けは、乾燥唐辛子(プリックヘーン)も一緒に炒められていて、かなり辛めだ。大豆の粒が入った金山寺味噌的なタイの調味料、タオチオを使われていてコクもある。プリックナムソムを掛けても美味しい。有頭海老は頭からがぶり。十分加熱されていて殻もカリカリ。期待以上にとても美味しい品だった。豆味噌とビーフンという組み合わせが面白いなあ。
パッセンミーを食べ終えたところで酎ハイ系のお酒をお代わり。さらに日替わりメニューからホイパッポンカリー(1180円)を注文。プラス200円で、タイの揚げパン(カノムパン)と蒸しパンも付けてもらった。
ホイパッポンカリーは、牡蠣(ホイ)と剥き浅利とふわふわ玉子のイエローカレーのこと。牡蠣・浅利・玉子・セロリをココナッツミルクがベースのカレー仕立てでフワッと仕上げてある。牡蠣と浅利がそれぞれ味わい深く、ココナッツミルクの風味に加え、スパイスで辛さもしっかり付いている。調理中にスパイスの香りでくしゃみをしてしまったほどだ。
揚げパンはカリッとサクサク、蒸しパンはモチっと対照的な食感。こちらもそれぞれ美味しい。パンで食べるタイカレーというのも初めてで新鮮な体験だ。インドシナ半島と呼ばれるだけあって、たった2皿で中国もインドも感じることができた。面白いなー。
お会計は3410円。店を出る間際にパッセンミーについて店主さんにいろいろ質問したら、快く答えてくださった。感謝感謝。珍しいメニューが他にもあったので、家から距離はあるけれどまた再訪したいなー。
店舗情報 | TEL: 03-3691-1800 住所: 東京都葛飾区堀切3-7-17 正永ビル 2F 営業時間: 11:30~15:00 17:30~23:00 定休日: 火曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | パッ・センミー 780円 ホイパッポンカリー 1180円 |
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