YAKISOBA & GROCERIES 一服

今年2月5日、中野の薬師あいロード商店街に「YAKISOBA & GROCERIES 一服」という店がオープンした。母体は、阿佐ヶ谷や中野で「青二才」という日本酒バルを営業している会社で、進化系焼きそばを売りにしている。ただし当面は新型コロナの感染症拡大防止対策で、メニューやサービスを限定したプレオープンという位置づけだ。

YAKISOBA & GROCERIES 一服

進化系焼きそばの販売は2月13日から開始された。自分が訪れたのは、その一週間後の日曜日のこと。学生の頃から数年前まで中野に住んでいた私にとって、中野駅と新井薬師の間にある薬師あいロード商店街はとても懐かしいルートだ。「YAKISOBA & GROCERIES 一服」は、人気のキャンディショップ「パパブブレ」の隣にあった。店頭ではスイーツのテイクアウト販売をしている。

YAKISOBA & GROCERIES ランチメニュー

プレオープンのためか、客席はL字カウンターの6席のみ。自分は一番奥に着席した。すでに3名のお客さんが居て、写り込んでしまうので撮影は控えたが、洗練された内装でスタイリッシュな作りだ。プレオープンということでランチメニューは、ソース神焼きそば(920円)のみ。それの大盛り(プラス100円)と、生ビールをお願いした。

生ビールはハートランド

こちらでは生ビールにハートランドを提供している。きめ細やかな泡で蓋をするように、タップから細身のビアグラスへと丁寧に注ぐ。出されたところでグビッと一口。ウマい。寒い冬でも、休日のランチビールは最高だなあ。写真のピントがズレてしまったのが悔やまれる。

ソース神焼きそばはスープ付き

調理は奥の厨房で行われる。麺は生麺を使う上、事前にテイクアウトの注文も入っていたので、注文から出来上がりまでに15分弱掛かった。「おまたせしました」と出されたお皿を、事前に出されたスープと並べて、さて、いただきます。

ソース神焼きそば(920円)

進化系焼きそばを名乗るだけあって、かなり特徴的な盛り付けだ。麺は具と混ぜ炒めたりせず、単体で調理されている。その麺をベースに、スクランブルエッグ、肉の塊、ほうれん草、紅生姜がトッピングされている。黄色・赤・緑の彩りが鮮やかで美しい。

モチモチ生麺に特注オジカソース

麺は大成食品の特製麺。北海道産の「はるゆたか」を使用した生麺で、軽くウェーブが掛かったちじれ麺だ。茹であげてから、フライパンでしっかり焼かれている。味付けは京都のオジカソースに特注しているそうだ。お酒に合わせるのを前提にしているため、なかなかスパイシー。モチモチ食感の麺とインパクト強めのソースの相性はバッチリで、あとを引く味わいだ。

豚バラのウスター煮込みがドドーン

肉の塊は、豚バラのウスター煮込みらしい。ウスターソースをこんな風に使う、自由な発想が素晴らしい。箸先でほぐすと、ホロホロと簡単に崩れてゆく。時間を掛けて煮込んだのだろう、酸味が程よく抜け、深みのある甘さが前面に出ている。

スクランブルエッグはからしマヨ入り

スクランブルエッグを頬張ると、そよ風程度のツンとした刺激が鼻を抜けた。確認したところ、からしマヨネーズを使っているそうだ。これも酒の友を見越しての工夫なのだろう。個々のパーツへのこだわりと、それぞれを絡めて食べたときの完成度に驚かされる。特注の麺とソースはもちろん、具材全てが”神は細部に宿る”を体現したかのような渾身の一皿だ。

実はこちらのお店、昨年の夏頃に、中野青二才で期間限定でプレオープンした時期がある。その際にも訪問して、限定メニューの「伊勢海老の神焼きそば」をいただいた

夏にいただいた伊勢海老焼きそば

伊勢海老がまるまる一尾使われて、お値段1800円。個人的に「焼きそばの単価はもっと上がるべき」と思っているので、こういう高級志向は大歓迎だ。

伊勢海老まるまる一尾という豪華さ

伊勢海老のような派手なアレンジだけでなく、1日限定で提供された「麺だけ神焼きそば」もいただいたことがある。その際、麺自体の美味しさに衝撃を受けたことを覚えている。この麺がベースになっているから、豪華な具に負けない焼きそばができるのだと思う。

麺だけの美味しさに衝撃

ちなみに麺の発注先の大成食品さんは中野の老舗製麺所だ。私も以前から名前を存じ上げているメーカーで、直営店の麺彩房では何度もつけ麺をいただいた。卸先には有名ラーメン店も多く、味には定評がある。中野ブロードウェイの麺市場なども運営していて、研究熱心な製麺所なのだ。

食べ進めるうちにいろいろ詳しくお聞きしたくなり、食べ終わるタイミングで、ホールを担当されていた男性にご挨拶させていただいた。お名前は株式会社青二才の取締役専務・神谷栄伸さん。なるほど、「神谷」さんの「焼きそば」なので「神焼きそば」なのね。

「夏以来、こちらでの営業開始をずっと楽しみにしてました」と伝えると、神谷さんはとても喜んでくださった。聞けば「コロナがなかったら焼きそば専門店を出そうとは思わなかった」という。

「神焼きそば」は、もともと阿佐ヶ谷の青二才で出していた焼きそばがベースとのこと。新型コロナ対策でレトルト商品の開発をやろうと思い、焼きそばに目をつけて、そこから凝り始めたそうだ。まだプレオープンなので焼きそばは一種類だけだが、本オープン後のアイデアが随分と溜まっているという。焼きそばへの情熱が凄い。

その他にもあれこれお話をうかがったあと、「夜営業の時間帯にまた必ず来ます!」と約束して店を出た。新型コロナの第六波もピークアウトしつつある。こちらの本オープンも、そう遠くはあるまい。再訪が実に楽しみだ。

店舗情報※プレオープン中のため営業時間は変更の恐れがあります
住所: 東京都中野区新井1-15-12
営業時間: 11:30〜14:00, 17:00〜21:00
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主なメニューソース神焼きそば 920円