ムンバイキッチン

2019年11月12日

今回紹介するのはインド四川風そばめし。うん、何を言ってるのかわからないと思う。のっけから情報量が多すぎるので順を追って説明しよう。

ご存じの方も多いだろうが、インドにはインドで独自に発展した中華料理、インディアン・チャイニーズというジャンルが存在する。通称、インド中華。炒め物がメインだが焼きそば系の料理も多く、これまでこのブログでも客家ヌードルシェズワンヌードルアメリカン・チャプスイなどを紹介してきた。

西葛西 インド料理店 ムンバイキッチン

ありがたいことに東京周辺にはインド中華を提供するインド料理店が点在している。この8月上旬、西葛西にあるムンバイキッチンというインド料理店で、暑気払いがてらそのインド中華を堪能する機会があったのだ。

まずは乾杯

お店で落ち合って、まずは参加者4人で乾杯。猛暑が何日も続いていた時期だ。”Maharaja”や”King Fisher”などのインドビールで喉を湿らせる。

ムンバイキッチン おつまみメニュー

主だったインド中華系のメニューはおつまみのページに掲載されていた。好奇心に任せて、あれやこれや注文してみる。

カリフラワー・マンチュリアン 800円

一品目はカリフラワー・マンチュリアン(Gobi Manchurian, 800円)。「マンチュリアン」は英語で「満州」のこと。インド中華では醤油を使ってとろみを付けた中華風の炒め物を指す。衣をたっぷり付けて揚げたカリフラワーは、鶏肉のような食味だ。ベジタリアン向けのメニューのせいか、精進料理に通じるものを感じる。

海老チリ 1050円

続いて海老チリ(Prawn Chilli, 1050円)。日本のエビチリは四川料理の「乾燒蝦仁」を、陳健民がケチャップを使うようにアレンジしたものとされる。面白いことに、インド中華もチリ(唐辛子)とケチャップ風味の”グレイビー(とろみのついたソース的な概念)”を使っているのだが、完全に異なる味になっている。

中華風インド料理 メニュー

もちろん焼きそばも注文した。別ページの「中華風インド料理」にチャーハンや焼きそばがまとめられている。その中から選んだのがチキントリパルシェズワンライス(Chicken Tripal Schezuwan Rice, 1190円)。冒頭で述べたインドの四川風そばめしだ。

チキントリパルシェズエワンライス 1190円

「トリパル(Tripal)」は「トリプル(Triple)」の誤記だろうか。「Chicken Triple Schezwan Rice」で検索すると、インド人の手によるレシピや調理動画が見つかる。

長粒米・バスマティライスと短く切った茹で麺を炒めた料理で、いうなればインド風の「そばめし」だ。揚げ麺を加える場合も多いようで、米と茹で麺と揚げ麺の3種を使うから「トリプル(Triple)」なのだろう。地域的にはムンバイやグジャラート州など西インドを中心に食べられているらしい。「シェズワン」は「四川」の英語読み。ニンニクや生姜、唐辛子ペーストで作ったインド中華独特のシェズワン・ソース(Schezwan Sauce)を使用する。

以前、シェズワンヌードルという焼きそばも紹介したこともあるが、今回はそのそばめしバージョンだ。短い麺と長い米がごちゃごちゃになり、見分けにくいのが面白い。「チキン」を指定した場合、鶏肉が入り、オムレツが乗る。また、みじん切りのニンニクや生姜が入ったマンチュリアン・グレイビーが添えられて、それを掛けたりしつつ食べるのがお作法らしい。

インドの四川風そばめし

味わいに四川を一切感じないが、美味しい。日式中華が本場と異なる点はしばしば話題になるが、インド中華の本場との隔たりはそれ以上に感じる。以前、ベジキッチンという店で食べたコンビライスヌードルも、同じように米と麺を炒めた「そばめし」だった。それと食べ比べてみても面白いだろう。

テーブルのメニューから

ついでにテーブルの天板に載っていたメニューから、もう一品焼きそばをリクエスト。日本語は「中華風焼きそば(700円)」だが、英語表記は”Chinese Bhel“。700円。Wikipediaによると北東インド起源のファストフードらしい。

Chinese Bhel 700円

説明文では中華風炒め焼きそばとなっているが、実際は揚げ麺を炒めいる。ケチャップベースのソースだがスパイシーな味付けで、アメリカン・チャプスイに通じる食味だ。ちなみに店名はムンバイを名乗っているが、店長はネパール出身とのこと。揚げ麺からネパールのインスタント麺「ワイワイ(Waiwai)」の話をしていたら、乗ってきてくれた。

チキンラリポップ 750円

ほかにもあれこれ食べたのでざっと紹介しておこう。チキンラリポップ(Chicken Lalipop, 750円)。スパイシーなチューリップ唐揚げ。

パニールティッカ 850円

パニールティッカ(Panner Tikka, 850円)。「自家製チーズを軽めのスパイスとヨーグルトにまぶして炭火焼にした料理」というメニューの説明そのまんま。チーズはライトな風味で、結構ボリュームがある。

ラスニメティカレー 850円

ラスニメティカレー(Lassoni Methi Curry, 850円)。「ガーリックとラスリメティ(ドライハーブ)を使ったカレー」。チャパティと一緒にいただいた。

チャパティ

ワインを何本か開け、ご機嫌で店を出た。焼きそば系料理は異なる食文化が融合して生まれたケースが多い。しかもほぼ必ずストリートフード・ファストフードだ。それが焼きそばの本質な気がする今日この頃。西葛西で味わうインドの四川風そばめし。実に楽しい食体験だった。