赤とんぼ
鹿児島市電の停留所はJRの駅と区別するために「電停」と呼ばれている。その終点、谷山電停の近くにある「赤とんぼ」という店の焼きそばが一風変わっているそうな。東京からはちと遠いが、そんな話を知ったら行くしかあるまい。今年の2月下旬、二泊三日で宮崎と鹿児島を旅した折に件の店まで足を延ばしてみた。
平日の昼下がり。谷山電停前の交差点からすぐの場所に目的の店を発見。ドアを開けるとカウンターに腰掛けている常連さんと話し込んでいた店主ご夫妻が「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。ウッディな内装は喫茶店風の外観にぴったりマッチ。客席はテーブル4卓にカウンター6席ほど。
窓際のテーブルに案内されてメニューを確認する。喫茶店ぽい造りなのに売り物はお好み焼と焼きそばのコナモンコンビ。しかし飲み物はコーヒーとコーラのみでビールすらない。うーん、とことん意表をついてくる店だ。ちなみに全席禁煙である。
「お決まりですか?」
「焼きそばのレモン味付(750円)をください」
この店は焼きそばもお好み焼きも店側が作ってくれるようだ。常連さんと会話しながら、旦那さんが鉄板でチャッチャと炒める。お冷とともにのんびりした時間を味わいつつ、待つことしばし。付け合せのスープとお箸に続いて、「お待たせしました」と白い皿が運ばれて来た。箸袋の赤とんぼが可愛らしい。
麺は中細。具は海老、イカ、豚肉とキャベツ。青海苔がトッピングされ、櫛切りのレモンが二切れ添えられている。お察しの通り、このレモンがメインの味付けとなる。卓上の調味料はコーヒー用の砂糖のみ。ソースや醤油どころか塩もコショウも無い。
焼きそば自体はほんのり塩味と油脂の風味のみで、ごくごくあっさりめ。これはこれで美味しいのだが、そこにレモンを絞ると一層爽やかで清々しい味わいになる。関西的なコテコテ感の対極に位置する、すっきり爽やか焼きそばだ。
塩焼きそばにレモンを掛けただけのシンプルな焼きそばなのだが素直に美味しい。付け合せの温かいコンソメスープは具なしだが、これも素朴な味わいで好ましい。
お客さんとの会話の妨げにならないよう、食べ終わったらささっとお会計。この店だけの独特な品、はるばる足を運んだ甲斐があった。満足満足。
ソース後掛けスタイル&塩味の焼きそば特集の第二弾、いかがでしたでしょうか。他にもまだまだ各地にあるようなので、いずれまたまとめてご紹介したいと思います。
さて、来週からはカレー焼きそば&ミートソース焼きそばをテーマにご紹介したいと思います。探せばあるもんですね。お楽しみに。
店舗情報 | TEL:099-269-3395 住所:鹿児島県鹿児島市小松原2-33-25 営業時間:11:00~19:00(日曜は15:30まで) 定休日:月曜日 |
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主なメニュー | 焼きそば 750円 大 830円 レモン味付 750円 大 830円 お好み焼き 赤とんぼスペシャル 830円 スペシャル 830円 そば入り 830円 いか、えび、豚肉、焼のり・もち、チーズ 各750円 |
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