厦門厨房
高格の記事でも登場した中華料理好きのみにたろうさんのブログで、蒲田にある厦門(アモイ)厨房という店に興味を持った。長崎チャンポンのルーツという説もある福建料理、福建燜麵(メンミェン)がその店で食べられるらしい。
「ぜひ一度食べてみたなー」ということで、5月のとある夕方、みにたろうさん、そして4月にロンドンでロブスター焼きそばをご相伴したYさんをお誘いして、同店を訪れることになった。
店舗は蒲田駅から数分の商店街の角にある。客席はテーブルが8卓ほど。入店時は2組くらいだったが、その後ほぼ満席になった。メニューにはアモイの郷土料理のコーナーがあり、それらの品々を中心に注文を決めた。
とりあえずは生ビールで乾杯。揚げ塩ピーナッツのお通しをポリポリ齧りながら料理がやってくるのを待つ。写真撮る前にほとんど飲んでしまったが気にしないでください。
まずは黄瓜猪耳(ミミガとキュウリの冷製/399円)。食べなれた豚耳と胡瓜の和え物。普通の豚耳を注文しようとしたら、こっちの方を薦められた。無難な味わいだが当面のつまみにはピッタリ。
海蛎煎蛋(アモイ風カキ玉/900円)。台湾でもお馴染みの牡蛎入り玉子焼き。一般的な品と違って浮き粉が入らず、玉子本来の味わいが楽しめる。牡蛎だけでなくアモイ特産の生海苔も入れてくれた。風味が良い。
福建蒸地瓜丸(アモイさつま芋団子/600円)。みにたろうさんは「黄色いスライム」と命名。もっちりした団子の中に肉と生海苔(アオサ)の餡が入っている。食感と風味が独特で期待以上の美味しさだった。
ビールを飲み終えて、私とみにたろうさんは紹興酒のボトルを注文。あまりお酒の飲めない弓人さんは見慣れないソフトドリンクにチャレンジ。「王老吉」と「仙草蜜」、後者はタピオカのようなゼリー入りだったが、どちらも薬草茶を甘くしたような味わいで、あまり区別が付かず。台北のコンビニで買ったお茶とか、こんな味だったような。
酥炸海(アモイ風カキの揚物/1200円)。カキをフリッター状に揚げたもの。さくさくで熱々。カキの風味をダイレクトに味わえる。酸味の効いた付けダレも面白い。
サービスで出してくださった海蛎餅(300円)。カキと海苔、キャベツやモヤシが入った揚げパン。これもサクッとした歯応えとジューシーな餡が楽しめる。ただ、カキの玉子焼きや揚げ物など、似た系統の味が続いてちょっと辛くなってきた。
そしてお目当ての福建燜麵(1200円)。日本語表記は「アモイ風汁焼きそば」。冒頭に記したとおり、長崎チャンポンのルーツという説もある福建の郷土料理で、麺を魚介ベースのスープで煮込んだものだ。
さて、その福建燜麵だが……
「なんか臭いね」
「アンモニアの臭い?」
料理が出てきたと同時にみんなの鼻が反応した。スープは魚介の旨味たっぷりでコクがあり、麺にもそれが十二分に滲みて美味しいのだが、どうにも臭いが気になる。これが本場の味なのかな、とも思ったが、さすがにそれも考えづらい。
私とみにたろうさんとで推測した結果、たぶん冷凍物のイカを使う際、解凍して染み出た水分(ドリップ)を適切に処理しなかったのでは、ということで落ち着いた。この臭いさえなければ間違いなく絶品なのだが、素直に美味しいとは評価しづらい。臭豆腐やくさやなど、本来が臭い料理は大好きなんだけどなあ。実に惜しい。
【追記】中国地方菜に詳しいメシコレ仲間のアイチー(愛吃)さんから、『あのニオイは発酵たけのこ調味料「福州笋丝」独特の香りで、福建焖面にも使われている、むしろあのニオイがなければ正宗福建菜とは言い難い』とのご教示をいただきました。なんと、あれが本来の臭いだったとは。無知とは怖いものですね。謹んで上記の評価を訂正させていただきます。
気持ちを取り直して、締めに福建花生餃(ピーナッツ入り甘揚げ餃子/400円)。シナモンの香るピーナッツ風味。ロンドンでアップル餃子を食べたが、甘い揚げ餃子は応用範囲が広そうだ。
お会計は合計で1万円ちょっと。お酒をほとんど飲まなかったYさんの分を調節して、3人で割り勘。肝心の福建燜麵にはちょっと戸惑ったが、それ以外は美味しくいただけた。事前に知識があれば、より楽しめたろう。機会があればリベンジしてその辺りを尋ねてみたいなあ。
店舗情報 | TEL: 03-5713-1517 住所: 東京都大田区西蒲田7-27-6 裕大ビル 1F 営業時間: 11:30~15:00 17:00~翌4:00 定休日: 無休 |
---|---|
主なメニュー | 福建燜麵/アモイ風汁焼きそば 1200円 黄瓜猪耳/ミミガとキュウリの冷製 399円 福建蒸地瓜丸/アモイさつま芋団子 600円 酥炸海/アモイ風カキの揚物 1200円 海蛎餅 300円 福建花生餃/ピーナッツ入り甘揚げ餃子 400円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません