餃子の丸福
「もし福島で食べ歩かれるなら、私の実家へも寄ってみます?」
行きつけの飲み屋で顔なじみの常連・Tさんに、そう言われたのはいつのことだろう。
「え? 何かお店やってるんですか?」
「ええ、餃子の店なんですが、焼きそばもありますよ」
「行きます行きます!」
屋号を訊いてみたら、丸福という。調べてみたら、かなり評価の高い人気店。フォーリンデブはっしーさんも訪問済みだった。これはぜひとも行かねば。
前回紹介した浪江焼麺太国アンテナショップを訪れた夜、福島駅の近くに宿を取り、訪問してみることに。店舗は駅から徒歩10分程度の距離にある。11月上旬の18時過ぎという時間帯で、あたりはすっかり暗くなっていた。
暖簾を潜ると「いらっしゃいませー」と、威勢の良いお父さんの声。Tさんが「念のために」と事前に予約を入れてくださったお蔭で、カウンターにすんなり着席できたが、2階を含め既に予約で一杯とのこと。いやー、ほんと人気店なんだな。
「はじめまして、お世話になってます」
「いえいえ、こちらこそ……」
なんて挨拶を済ませてから、とりあえず生ビールとチャーシューサラダ(800円)を注文。お通しとしてクラゲとメンマが小皿に盛られて出てきた。チャーシューサラダは、Tさんからぜひにと薦められていた品だ。餃子と並ぶこの店の定番らしく、周りの客も皆このチャーシューサラダを頼んでいた。
大きな丸皿に野菜を豪快に盛り付け、その周りに輪切りのチャーシューを並べて囲む。客に出す直前の仕上げに、お父さんがレモンをギュッとひと搾り。ほど良い塩梅で醤油が滲みたチャーシューは、さっぱりした味付けの生野菜と絶妙に合う。ボリュームたっぷりなのに、野菜メインなので割と軽く食べられた。
続いて看板メニューの焼き餃子(500円)。福島で餃子というと円盤餃子が有名だが、丸福ではまっすぐ並べて焼き上げてある。パリパリの羽根を箸で割り、一つそのまま食べてみた。さっくり焼き上げた皮の中には、よく絞った野菜と肉がギュッと詰まっていた。熱々で口の中を火傷しそうになったが、なるほど、これは美味い。
しかしこちらの餃子が本領を発揮するのは、特製のタレにつけてからだ。すり下ろした生ニンニクがたっぷり入った醤油ダレ。餃子を浸して頬張ると、ガツンとくるパンチの効いた味わいが口の中に広がる。まさに後を引く美味しさとはこのことだ。一人前をペロリと平らげてしまった。
餃子を半分ほど食べた段階でビールジョッキは空になる。お代わりで注文したウーロンハイが、かなりの濃さだ。がっつり飲むには嬉しいのだが、実はこの後に予定を入れていたので、2杯目は薄めでお願いした。
そしてお待ちかねの焼きそば(700円)だ。メニューには「野菜と麺の強火炒め、焼き豚しょうゆ味」と紹介されている。麺類の一番上にある何じゃろう麺(800円)という麺が名物でとても気になるのだが、焼きそばではないとのことで、今回は残念ながらパスしておこう。
焼きそばは中細の茹で麺を使用。「野菜と麺の強火炒め」という説明書きの通り、キャベツ、モヤシ、人参、玉ねぎなどの野菜と短冊切りの焼き豚を炒めてある。ボリュームはほどほど。
味付けは「焼き豚しょうゆ味」とのことで、醤油ベース。オーソドックスな中華風焼きそばだがコショウも効いていて複雑な旨味もある。安心できる美味しさだ。
ちなみにこちらのご主人は偶然にも昼間に訪れた浪江町の出身とのこと。地元を離れたのが60年以上も前なため、焼きそばはなみえ焼そばとは全く異なるスタイルだ。しかし、むしろ昔ながらの浪江の味を体感できた気がして、個人的には嬉しい。
焼きそばを食べ終えたあとに、もう一枚焼き餃子を追加。前掲の写真はこの後から注文した餃子で、タレの小皿が汚れているのもそのためだったりする。火力が強いためかタイミングによって焼き加減にはムラがありそうだ。最初の方がかなり良く焼きで、そちらも皮が香ばしくて美味しかった
「ごちそうさまでした」
お会計は4400円。東京に戻ってから、Tさんにもお礼を伝えた。ちなみにこの訪問の直後に店舗を改装したそうで、今はリニューアルしているはず。次に訪れたときには、今度こそ「何じゃろう麺」をいただこうっと。それにしても「何じゃろう麺」って、何じゃろう?
店舗情報 | TEL: 024-535-1490 住所: 福島県福島市陣場町6-20 営業時間: 18:00~24:00 定休日: 日曜・祭日 |
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主なメニュー | やきそば 700円 餃子 500円 チャーシューサラダ 800円 何じゃろう麺 800円 |
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