【イベントレポート】9/17,18 東北五大やきそばサミット
イベントレポートですけど、公開までに一ヶ月近く掛かってしまいましたね。旬を逃してしまったかも知れませんが、よかったらお読みください。
事前に当ブログでも告知したが、9/17・18に福島県双葉郡浪江町で、『東北5大やきそばサミット in なみえ hydogen power』というイベントが開催された。
私がこのブログを初めたきっかけは2011年の東日本大震災だ。それもあって、出身者とかではないけれど、浪江町と「なみえ焼きそば」には人一倍思い入れがある。震災から一年後、2012年4月には「浪江焼麺太国」の紹介記事をアップした。
さらに2017年には、当ブログが紹介する店の1000軒目を記念し、その年、5年ぶりに浪江町で実食できるようになった「浪江焼麺太国アンテナショップ」を取り上げた。
そしてついに今回のイベント開催である。個人的な思い入れとお祝いを兼ね、クラウドファンディングで支援したのは以前記載した通り。その返礼品として、焼きそばの引換券も兼ねたファストパスをいただいたので、初日の9/17に現地へ行ってみることにした。
当日は午前7時台に福島駅で焼きそば仲間のJMPさんと待ち合わせ。レンタカーに同乗させていただいて、浪江町へと向かった。会場の浪江町役場に到着したのは9時半前後。開催時間の30分前だ。
チラシを持参したので、うちわをもらった。とても暑い日なので助かった。ちなみにこの日は丸一日炎天下で、両腕ともひどく焼けてしまい、後日苦しんだ。
会場前なので行列はないが、各ブースとも準備に忙しそうだ。野外イベントは仕込み段階で8割方成否が決まる。そうこうしている間に10時の開会宣言。早速、例のファストパスを使って、各焼きそばをいただいた。
まずは、なみえ焼そば。提供するのはサッポロラーメンたきというお店。並んでいる人数が他より少ない。地元の方は普段から食べているので、後回しにしているのかな。
鉄板で大量の太麺ともやしをラードで炒め、それを個別にパック詰め。豚肉は見えやすい位置にトッピングし、一味唐辛子を付けてくれる。
これまであちこちで食べたが、太麺はまるで焼きうどん。ラードとソースの濃厚な味わいは、相変わらずインパクトが強い。
続いて石巻焼きそば。提供するのは石巻茶色い焼きそばアカデミーの皆さん。福島県の北に位置する、宮城県石巻市で昔から食べられてきたご当地焼きそばだ。
豚肉とキャベツを鉄板で炒め、茶色い蒸し麺を投入して出汁をドバっと掛ける。湯気が朦々と立ち上る中、ほぐして炒める。
揚げ焼き気味に仕上げた目玉焼きをトッピングし、後がけソースを添えて出来上がり。茶色い蒸し麺に出汁が滲みて、風味が良い。石巻やきそばの特徴がしっかり伝わってくる一杯だ。
次は男鹿しょっつる焼きそば。提供は男鹿のやきそばを広める会。秋田県男鹿半島で2009年に開発されたご当地焼きそばだ。今回の5つの焼きそばの中で、唯一近年作られたもの。私は今回が初めての実食である。
まず、渡されたパッケージのデザインに感心した。ご当地キャラと端的な解説文のシールが目を引く。さらにカニの爪とエビがトッピングされているのが印象的だ。シールで隠されないよう、配置に気を遣っている点が素晴らしい。さらにパッケージを広げると、シールの裏面にも説明が書かれていた。つまり食べながら読めるのだ。
わかめと昆布だしを練り込んだ麺。しょっつる(魚醤)を使用したタレ。カニやエビなどのトッピング。味ももちろん美味しいが、焼きそばと地域の魅力・特徴をどう伝えるか、とことんまで考え抜いた関係者の取り組む姿勢に唸らされた。
4つ目は横手やきそば。こちらも秋田県だ。提供するのはご当地団体、横手やきそばサンライ’S。「焼きそば」「焼そば」「やきそば」と、団体によって表記がそれぞれ異なるので書く方も気を遣う。
あらかじめ調理された豚ひき肉とキャベツ、麺を鉄板で炒め、ソースで味付けする。後ろの方でトッピングを盛り付けて出来上がり。こちらはパッケージにリーフレットが添えられていた。
柔らかな茹で麺と、さらっとした甘口ソース。脇には福神漬が添えられ、目玉焼きはかなり緩めの半熟具合。これまた横手やきそばの特徴を、こじんまりまとめた一杯という印象を受けた。なみえ・石巻・横手を食べ比べてみれば、同じソース焼きそばでも全く異なることが誰でも分かるに違いない。
締めは黒石つゆやきそば。提供するのは、黒石つゆやきそば伝紹会。こちらも鉄板でキャベツと豚肉、麺を豪快に炒めていた。
黒石のブースはつゆやきそばだけでなく、つゆなしの焼きそばも同じ価格で提供していた。本来はこっちのつゆなしのソース焼きそばの方が、黒石では広く食べられてきたのだが、つゆやきそばの方が有名になってしまったという経緯がある。できれば多くの人につゆなしも食べてほしい。
なんてことを思いつつ、自分はつゆやきそばを選んでしまった。平打の茹で麺が黒石の特徴の一つ。揚げ玉とネギのトッピングも、ちゃんとある。つゆはあまりソース感がないタイプだ。イベント向けに万人受けしそうな味を狙ったのかな。
東北を代表する5つのご当地焼きそばを食べ比べてみて、「どれも各地の特徴をしっかり出しているなあ」という印象を受けた。過去に食べ歩いた経験がある浪江・石巻・横手・黒石は、それぞれ確かにこういう焼きそばなのだ。そう思える品を提供するのは難易度の高いことだと思う。
どこかのご当地焼きそばをその土地で何軒か食べ歩くと、各店の共通点とともに、相違点にも気づくようになる。共通点を見つけても例外が必ずあり、ルールを明文化すると反発が起きる。また地元では受け入れられているが、一般受けしない味も多い。地元の大多数が納得でき、かつ余所の人が美味しいと感じる最大公約数を見出すのは、とても難しいはずなのだ。各団体とも、それをやってのけているのは凄いことだ。
ステージではバンド演奏や福島出身タレント・なすびさんのトークライブ、フードファイター・MAX鈴木さんの大食い対決などが開催され、観客も盛り上がっていた。
私も登壇されたお二人に記念撮影をお願いしたり、ご当地キャラのうけどんとツーショットを撮ったりして楽しんだ。
なお、長らくなみえ焼きそばを盛り上げてきた浪江焼麺太国の八島太王は、イベントに先立ってひっそりと退位され、なみえアベンジャーズへと世代交代されていた。避難生活とイベント対応で本当にいろいろご苦労も多かったと思いますけど、長年お疲れ様でした。
最後にもう一度各焼きそばを一通り、JMPさんと2人でシェアして会場をあとにした。ちなみにこちらの主催者発表によると、「2日間で東北の五種類の焼きそばは全て売り切れ」「居住人口1,900人の浪江町に」「来場者約10,000人、経済効果3,000万円」という大成功を収めたようだ。わずかながら支援した一人としてとても嬉しいし、現地へ行けて本当に良かった。
新型コロナの感染拡大以来、こうしたグルメイベントもすっかり鳴りを潜めてしまった。しかし、新型コロナ前までに築かれてきた団結やノウハウは、各地・各団体のかけがえのない財産だし、埋もれさせてしまうのはあまりに惜しい。徐々にで構わないので、焼きそばを始めとしたご当地グルメのイベントが復活し、地方に経済効果・実益をもたらしてくれたらなあと思う。
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