ふくい
大とらから西に数百メートル、五条壬生川のバス停前に「ふくい」というお好み焼き屋がある。焼きそば、お好み焼きともにボリュームがあって、ここも地元で人気の店だ。
訪れたのは大とらで食べた日の夜。夕方からしか営業していない店なので必然的に晩酌も兼ねることになる。暗い五条通りをバスで進むと、緑色の看板が見えてきた。
店の前の自転車や路上駐車も目に入る。どうやら本当に人気店のようだ。店内へ入ると丁度満席から客が一組抜けたところだ。
「少うしお待ちいただけますか」
おばちゃんにそう告げられ、8卓ほどある焼き台の一つが片付くのを、入り口の椅子に腰掛けて待つ。
「お決まりでしたら食べ物を先に伺いますが」
「えっと」
壁のメニューにはお好み焼き、焼きそば、鉄板焼き、ドリンク類が並んでいる。お好み、焼きそばは同じ価格設定で、最も安い豚~でも900円だ。ボリュームがあることは判っているが結構高い。当初は豚焼きそばにするつもりだったが、予定より遅い時間で普段以上に腹が減っていたので、奮発して焼きそばのスペシャル(1100円)を注文した。注文が通った後、鉄板の掃除も終わってようやく着席。
「お飲み物は?」
「えっと」
ビールにしようかチューハイにしようか迷ったのだが、チューハイの種類の筆頭にある「赤」なる文字がふと目に入った。なんだか分からないが頼んでみよう。
「チューハイの赤(400円)を」
「はい、赤ですね」
しばらくして運ばれて来たのがこれ。フルーティで妙な甘さがある。ブドウでもカシスでもバイス(梅酢)でもない。なんだろうかと思ってると、他の客と店の人との会話が耳に入ってきた。どうやら赤玉ワインを使ったチューハイらしい。炭酸風味はあまり感じないので、赤玉ワインの焼酎割りだろうか。案外美味い。
赤チューハイをちびちびやっていると、山盛りキャベツとそれに負けない量のそば玉、具材がステンレスの皿で運ばれてきた。焼きそばの調理は全て店員さんがやってくれる。油を引いた鉄板の上に、キャベツ以外の材料を広げ、しばらく放置してじっくり焼く。時折思い出したように店員さんがやってきて焦げ付きを剥がして全体を混ぜる。
程よく火が通ったところで脇に寄せ、中央にどさっとキャベツを置き、焼いた麺と具をその上に載せ、お塩をパッパ。鰹節も少々。ウスターソースを垂らして両手の小手で混ぜ炒め。お好みソースも加えてさらに混ぜて出来上がり。やはりボリュームがすごい。
麺は中細で柔らかめ。具はキャベツがメインで、円やかな甘味が全体をまとめている。豚肉、イカ、エビも美味しく、特にエビがなかなか立派な型だった。トッピングの青海苔と鰹節は卓上からお好みで。紅生姜は炒める初期段階から入っている。それにしても量が多い。途中で酒が切れたので生ビール(500円)を追加注文した。
昼に食べた大とらで「これ2人前あるだろ」と呆れたのだが、この店は3人前くらいあった。京都というと精進料理や会席料理の印象で小食・薄味の食文化という先入観がある。しかし実際には学生の町という側面の現れなのか、「餃子の王将」や「天下一品」などガッツリ・コッテリとした食べ物も好まれる傾向があるように思う。京都市内の焼きそばの人気店を探してみると、他の地域以上にボリュームがある店がヒットしたのも偶然ではないのかも知れない。
満腹になったお腹を抱えてお勘定は丁度2000円。店を出るとタクシーでわざわざ乗り付けてきた団体さんがやってきた。五条の夜は今日も賑やかそうだ。
店舗情報 | TEL:075-841-7374 住所:京都府京都市下京区五条壬生川東入ル北側五中堂櫛笥町7 営業時間:16:00~24::00 定休日:火曜・第2第3月曜(月曜祝日の場合は営業) |
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主なメニュー | お好み焼、焼きそば、焼きうどん スペシャル(いか肉えび入り) 1100円 牛肉 950円 いか 900円 豚肉 900円 えび 900円 トッピングねぎ 200円 ビール・生ビール 500円 チューハイ 400円 |
ディスカッション
コメント一覧
こんにちは、ジミヘンです。
「ふくい」は、ずっと気になっていた店です。
ただ夜型店であることと、ボリュームがあるので、
ハードルが高い。
中細の麺とたっぷりのキャベツは、京都市内中を
席巻しているようです。
ひょっとしたら、この店が普及させたのかもしれ
ませんね。
私も夜型の店、ボリュームの多い店は、食べ歩きの予定を組むのに難儀しています。
ふくいでは他のお客さんの食べているお好みも美味しそうだったのですが、焼きそばを平らげるだけで精一杯でした。大阪のチェーン店巡りでは焼きそばとお好み焼を両方食べましたけど、京都ではボリューム的に難易度高いですね。