ラーメン拾番 (新潟県新潟市)

この8月の新潟訪問は週末土日での1泊2日だった。その土曜の夜は、たまたまTwitterで相互フォローしている方が、新潟を訪れていたので一緒に飲むことになった。かつて新潟で6年間過ごしたことがある料理芸人・クック井上。さんから、個人的に教えていただいた古町9の寅まるという店で、新鮮な魚介や新潟の酒を堪能した。

古町9「寅まる」にて

相席いただいた方はBABYMETALファンのバイク乗りで、北海道ツーリングのため翌日のフェリーに乗るという。私も翌日のロケが控えていたため、飲むのはそこそこで切り上げて解散。その後、一人で締めに訪問したのが今回紹介するラーメン拾番だ。

古町10番町 ラーメン拾番

ラーメン拾番は、古町10番町の入り口にあたる交差点角にある。だから屋号も拾番(10番)なのだろう。口コミサイトでは「最高の〆ラーメンの店」「焼きそばも美味い」と評判の店だ。客席はカウンターのみで10席ほど。土曜の21時半という時間帯で、かろうじて2席だけが空いていた。セルフサービスのお冷を汲んで、手前の方に着席。

ラーメン拾番 メニュー

店は年配の男性店主が一人で切り盛りしている。「やきそば(800円)、一つ」と注文すると、「ありがとうございます」との丁寧な返事。腰が低い店主さんだなあ。カウンターに並ぶ客は皆ラーメンを食べていた。透き通ったスープからは魚介系の出汁の香りが漂ってきて、とても美味しそうだ。

やきそば 800円

寸胴に沸き立つ熱湯で麺を軽く茹でてから、中華鍋で炒める。もっとお腹に余裕があれば瓶ビールも頼みたかったな、などと考えているうちに出来上がり。細麺なので提供までが早い。

極細の縮れ麺に具だくさんの焼きそば

麺は極細の縮れ麺。前回紹介した大江戸もそうだったが、このくらいの太さの麺が新潟市民の好みなのかな。燕三条系のごっつい太麺とは対照的だ。具はキャベツ・玉ねぎ・人参。薄くスライスされたチャーシューが2枚トッピングされ、熱々のスープも付けてくれた。

塩ベースであっさり気味の味付け

味付けは塩ベースであっさり気味。出汁が効いていて、そのまま食べても美味しい。しかし焼きそばと同時に、調味料入れからソースをすっと出してくれる。そう、この店の焼きそばはソースを掛けて食べる、ソース後掛け方式なのだ。

ソース後掛けでめちゃウマに

せっかくだからとソースを掛けてみると、ぶわっと多層的で複雑なフレイバーに一変した。細麺ならではの食感に野菜の甘味と歯応え、チャーシューの旨味、そしてソースのスパイスと酸味。付け合わせの透明スープも実に美味しい。うーん、レベル高いなー。

付け合わせの透明スープも実に美味しい

お会計は800円。大江戸もそうだったが、ここのラーメンも絶対美味いに違いない。あー、もっと大きな胃袋があればなあ。新潟市で焼きそばというと、どうしてみかづきのイタリアンばかりが取り上げられるけど、ラーメン屋が提供しているソース後掛け細麺焼きそばも見逃せないねぇ。

ラーメン拾番

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大江戸 (新潟県新潟市)

新潟と言えば、燕市の杭州飯店三条市の龍華亭など、いわゆる燕三条系と呼ばれるラーメン店で提供されている焼きそばを当ブログで紹介したことがある

燕三条系ラーメンは煮干し出汁に背脂チャッチャ、極太麺のガッツリ系。それに対して新潟市内の伝統的なラーメンは、あっさり醤油に細麺というタイプが主流だ。中には焼きそばを提供している店もあり、今回2軒食べ歩いてみた。

新潟市 ラーメン店 大江戸

まず訪れたのは古町の先、大畑という地域にある大江戸というラーメン店。新潟県庁近くにも店舗があり、本店はなんと秋田だそうだ。商店街を離れて、住宅街に変わるあたりに店舗はあった。店頭に停まっている車の脇を抜けて暖簾を潜る。

大江戸 店内の様子

店内は奥に長い造り。客席はテーブル4卓、カウンター6席。土曜日の11時半過ぎで、テーブルは空いていたが、カウンターはほぼ埋まっていた。その一番奥に腰かける。

大江戸 メニュー

さて、メニュー。写真を撮ったらちょうど焼きそばの部分に光が反射して読めないな。注文したのは焼きそばの並(800円)。それとチャーシュー(250円)と双子玉子(60円)をお願いした。周りはやはりラーメンが多かったが、あとから来た客の何人かは焼きそばを注文していた。意外に人気と聞いていたが、確かに結構出ているんだな。

焼きそば(並・800円)+チャーシュー・双子玉子

カウンターの向こうから中華鍋でガシガシ炒める音が聞こえ、6~7分ほどで焼きそばが配膳された。スープが付いてくるのは、北海道と同じく寒い土地ならでは。さて、いただこう。

いろいろトッピングしちゃいました

麺は極細麺を使用。蒸し麺なのか、歯切れのよいコシがある。具は豚肉、キャベツ、モヤシ、玉ねぎ、人参、ピーマン。刻みのりと紅生姜トッピング。ここまでが初期状態の焼きそば・並だ。

双子玉子(60円)はなんとなくお得な気分

そこに追加トッピングとして大量のチャーシューと、茹で玉子が乗っている。「双子玉子」とメニューに掲載されている通り、黄身が2つあり切り口は達磨さんのよう。双子玉子をわざわざ使う店というと、広島の薬研堀 八昌を思い出した。

歯切れの良い細麺が美味い

味付けは薄めのソース味。野菜がたっぷり使われていて、その食材の甘みも味のうちだ。ソースや酢など卓上に置いてある調味料を掛けるのも良し。味変するだけでなく、麺が解れやすくなって食べやすい。細麺だとダマになりやすいからね。チャーシューも食べ応えがあってとても満足度が高い一杯だ。

醤油の香りが立つスープも美味し

そうそう、付け合わせのスープも美味しかった。チャーシューの切れ端も入っていたが、醤油ダレはチャーシューの煮汁かな。醤油の香りが立って、懐かしい味わい。今は無き野方大勝軒を思い出した。一杯で止めといたが、スープはおかわり自由らしい。ラーメンも美味いに違いない。

お会計は1110円。期待以上に美味しい焼きそばで、食べ応えも十分だった。燕三条系の焼きそばとは全くベクトルが異なるという点も、実に興味深い。ラーメンが変われば、焼きそばも変わるんだなあ。

大江戸

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みかづき イトーヨーカドー丸大店 (新潟県新潟市)

8月に北海道から新幹線で戻った、その翌週末。某TV番組の収録のため、一泊二日で新潟へ行ってきました。本当は日帰りで済むんですけど、ホテル代自腹で前乗りってやつですね。今週は、その二日間で食べ歩いた新潟市内の3軒をご紹介します!


8月中旬、とある番組のロケで新潟の人気チェーン、みかづきを取材した。

新潟市民のソウルフード、みかづきのイタリアン

ご存知の方も多いだろうが、みかづきは太麺の焼きそばにミートソースを掛けた「イタリアン」で知られるファストフード店で、下越地方を中心に店舗展開している。今回取材で訪れたのは当ブログでも以前紹介した、みかづき万代店。みかづきの営業部長、小林厚志さんから直接色々とお話を伺え、貴重な機会を得ることができた。

みかづき 小林営業部長と記念撮影

ところでこのイタリアンは、どのようにして生まれたのだろうか? これまで公式に発表されている発祥・由来はあるが、この機会にさらに踏み込んで自分なりに考察してみた。

以下、かなりの長文になるので、苦手な方は飛ばしてください

イタリアンの誕生秘話(みかづき公式サイトより)

イタリアン誕生のエピソードについては、みかづきが公式サイトで詳細を掲載している。そこには三代目社長(現会長)の三日月晴三氏が昭和34年(1959年)に東京で焼きそばと出会い、『普通の焼きそばでは面白くなかったので、『ミートソースと粉チーズをかけて、フォークで食べる』というスパゲティ風で、おしゃれなスタイルのまったくオリジナルの焼きそばを考えだし』、翌年の昭和35年(1960年)からメニューに加えたと書かれている。

しかしどうも私としては釈然としない。ミートソースを掛け、イタリアンと名付ける、そう思いつくに至ったもっと具体的な要因があるのではあるまいか。そう考えて調べてみたところ、いくつかの新たな発見があった。

ミートソースの歴史(Wikipediaより)

まず「日本にミートソースが初めて伝わったのはいつ頃か?」という、そもそもの疑問が湧いた。諸説あるようだが、その一つが新潟市にあるホテルで、その名もイタリア軒。明治14年(1881年)にオープンした日本初の西洋料理店としても知られ、日本で初めてミートソース・スパゲッティを提供したという。みかづきの前身、明治42年(1909年)創業の甘味処・三日月は、そのイタリア軒から目と鼻の先の距離(古町8)にあり、イタリア軒へ出前もしていたそうだ。なんとも興味深い話ではないか。

明治14年創業のホテル・イタリア軒

みかづきの小林営業部長によると、三代目社長(現会長)の三日月晴三氏がミートソース・スパゲティを食べたのは古町にあった洋食屋さんで、残念ながらイタリア軒そのものではないらしい。ただ昭和30年代当時、ミートソース・スパゲティを提供する洋食屋は、銀座や浅草ならともかく地方都市では割と珍しかったに違いない。近隣にそういう店が存在したのも、イタリア軒がある新潟市の古町という土地柄によるものではないだろうか。

イタリア軒のミートスパゲティ

ちなみにそのイタリア軒は現在もシティホテルとして営業しており、1階のリストランテ・マルコポーロでは今でもスパゲッティ・ミートソースを食べられる。喫茶・軽食メニューの「伝統のボロニアミートスパゲティ(800円)」がそれで、今回実食してみた。本場のボロネーゼは肉がゴロゴロ入っていてトマトは僅か。パスタもスパゲティではなく幅広のタリアテッレを使う。日本のイタリア料理店も昨今では本場の味に倣う店が徐々に増えてきた。しかしイタリア軒で出されたのは日本でおなじみのミートソース・スパゲティ。トマトがたっぷり使われていて色も赤く、みかづきのイタリアンにも通じる懐かしい味わいだった。

ミートソースが日本に伝わった時期は分かったが、では次に「日本でミートソースが普及したのはいつ頃か?」という疑問が出てきた。今でこそミートソースは日本全国でおなじみの味になっているが、イタリアンが生まれた昭和34~35年はどういう状況だったのだろうか?

昭和34年(1959年) 日本初のミートソース缶詰発売

調べてみると、まさにその昭和34年(1959年)が、キューピーが日本で初めてミートソースの缶詰を発売した年だった。つまりまだまだミートソースは家庭ではそれなりの手間暇を掛けねばならない料理で、ほぼ外食のみでしか味わえない味だったのだ。もしかしたら三日月晴三氏は発売されたばかりのミートソースの缶詰を小売店で見かけたのかも知れない。あるいは営業が訪れたか、新聞などで知ったか。すべては想像にすぎないが、その缶詰発売が「焼きそばにミートソース」というアイデアのヒントになったとしても不思議ではない。

昭和35年(1960年) ローマオリンピック開催

そして、最後に「なぜイタリアンと名付けたか?」。これも調べてみたら興味深い符合が見つかった。みかづきがイタリアンを提供し始めた昭和35年(1960年)は、奇しくもイタリアのローマで夏季オリンピックが開催された年なのだ。1960年ローマの次が1964年のあの東京オリンピックだったので、きっと日本でのイタリアに対する注目度も高まったに違いない。それもあってイタリア風のミートソースを使った新商品を考案し、さらに「イタリアン」と命名したのではないだろうか。

「日本で初めてミートソースが食べられた土地」、「ミートソースが普及する時期」、「五輪でのイタリアへの注目度アップ」。これらの複合的な要因が重なって「新潟市の古町で」「昭和34~5年に」「イタリアンが」生まれた。あくまでも仮説に過ぎないが、それが現在の私の結論だ。みかづきのイタリアンは単なる思い付きではなかった。そう確信している。

以上、長々とした自説披露はこれにて終わり! そろそろ普段の焼きそば名店探訪録に戻ろう。

みかづきの前身、甘味処三日月が現在の「みかづき」と名前を改めたのは昭和47年(1972年)のこと。古町の元々の店が無くなったあとは、寄居店が最も古い店舗として親しまれてきた。しかしその寄居店が昨年の5月29日に惜しまれつつ閉店してしまった。個人的に未訪問のままなのが心残りである。

イトーヨーカドー丸大新潟店

その代わりと言っては何だが、寄居店閉店の半月あまり後、同年6月17日にイトーヨーカドー丸大店がオープンした。場所は寄居店から数百メートルの距離にあるイトーヨーカドー丸大新潟店の一階フードコート。小林営業部長によると機材もスタッフもほぼそのままで、事実上の移転らしい。寄居店の閉店で万代店が1番古い店になったが、古町界隈のみかづきファンにとっては朗報だろう。

みかづき イトーヨーカドー丸大店

万代店のロケ後、その新店舗、みかづきイトーヨーカドー丸大店を訪問してみた。一階の南東角にこじんまりしたフードコートがあり、その一角にみかづきの見慣れた看板があった。カウンターで注文して出来上がりを待ち、空いている席に自分で運ぶ。時間が掛かる場合はアラームを渡される。フードコートではお馴染みのセルフサービス方式だ。

みかづき メニュー

この日は撮影でノーマルのイタリアン(330円)と和風きのこイタリアン(430円)を食べたばかり。その直後ということもあって、選ぶメニューはそれ以外となる。カリーナ会津カレー焼きそばのルーツでもあるカレーイタリアン(430円)にしようかとも思ったが、注文したのはホワイトイタリアン(430円)。小林営業部長によると、最近カレーを抜いて、このホワイトが2番人気になったらしい。

ホワイトイタリアン 430円

焼きそばはノーマルのイタリアンと同じく、控えめなソース味のモチモチ太麺焼きそば。そこにベシャメルソースもどきのホワイトソースが掛かっている。コーンとマッシュルームが入っていて、マイルドな味わいだ。430円という価格でよく出せるなあと思うが、そういえばノーマルのイタリアンはさらに100円安い330円だった。地元の人はクーポン券を持ち歩いていて、そこからさらに50円引きなのが標準価格。うーん、味や満足度を考えると驚異的だな。

モチモチ太麺にホワイトソースが良く絡む

暑い日だったので、デザートにアズキアイス(150円)もいただいた。これも50年変わらぬ味という。シャリシャリのあずきが美味しい。ノーマルのイタリアンと組み合わせれば480円。ワンコインでお釣りが来てしまう。そりゃあ学生も寄り道して買い食いしちゃうわなあ。

アズキアイス 150円

今は無き寄居店にも一度訪れてみたかったが、こうして広い新店舗ができたことは素直に喜ばしい。新潟駅からのアクセスは万代店が一番良いが、古町界隈の散策ついでに寄るならこちら、イトーヨーカドー丸大店がオススメだ。新潟市民のソウルフード、まだ食べたことが無い方は一度味わって欲しいなあ。

この日にロケしたTV番組については近日告知予定なので、そちらもお楽しみに。たぶん本記事で披露した自説については、全く触れられないと思います(笑)

みかづき イトーヨーカドー丸大店

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鉄板やきそば酒場 しぶやき (東京都渋谷区)

ウインズ渋谷前の屋号のない焼きそば屋をご存知だろうか? 今でこそ真打みかさ渋谷店ができたが、かつては渋谷で唯一の焼きそば専門店だった。その焼きそば屋が9月1日にリニューアルオープンしたとの情報をTwitterで教えていただいた。屋号は「鉄板やきそば酒場 しぶやき」。早速確かめに行ってみた。

鉄板やきそば酒場 しぶやき

訪れたのは9月上旬、平日の夜20時ごろ。明治通りから一本入ったウインズ渋谷は、開催日の喧騒など想像できないほどに静まり返っている。目的の店は渋めの飲み屋さんという雰囲気に改装されていた。

鉄板やきそば酒場 しぶやき 店内

客席はカウンター6脚、奥に立ち飲みカウンター。さらに奥にはテーブルもある。先客はそのテーブルに2人だけで、カウンターは空いていた。着席して生ビール(350円)と葱の一本焼き(180円)を注文。価格設定がめちゃ安い。鉄板で焼かれた長ネギを、干し桜エビの香りを移したオイルにつけて食べる。なかなか乙な味だ。

生ビール(350円)と葱の一本焼き(180円)

店を切り盛りする若い店主は、元の店主の息子さんで元エンジニア。9月オープンだけどその前を含めれば創業53年という老舗で、その2代目ということになる。詳しくは後述するが、昔からの常連さんのために、土日は旧来の店のスタイルで営業するそうだ。

しぶやき 食べものメニュー

葱を肴に落ち着いたところで、本命の焼きそばを注文しよう。焼きそばは黒(ソース)・白(塩だれ)・赤(ラー油)の3つの味がある。さらにソース味にカレー・麻婆豆腐・ミートソースを掛けたバリエーションもあり、それぞれに色の名前がついている。マーブル以外は競馬の枠色にちなんだ命名なのが面白い。

ちょっと迷ったが、初回なので王道の黒、自家製ソース味(650円)を注文した。鉄板に蒸し麺を乗せ、蓋を被せてさらに蒸す。炒めた具と合わせて混ぜ炒め、味付けして出来上がり。

焼きそば 黒(自家製ソース) 650円

麺は中太。従来の焼きそばに使われていた麺に比べると、モチモチでリッチな食感だ。具は豚肉、キャベツ、モヤシ。そしてこの店では欠かせない干し桜エビ。玉子トッピングは本来50円だが、今はオープン記念でサービスしてくれるらしい。紅生姜と青海苔は卓上にあり、適量を盛り付けてみた。

麺は中太のモチモチ太麺

ボリュームはつまみとして適当な量。ソースはバランス良くブレンドされた自家製で、マイルドな味わい。味付けがほどよく抑制されているため、干し桜エビの風味を邪魔しない。この味ならカレーや麻婆豆腐、ミートソースを掛けてもケンカしないだろう。塩もラー油も食べるとなると、何度も来なきゃならないなあ。

オープン記念でサービスの玉子

酒も競馬にちなんで、ラベルに蹄鉄が印刷されたサッポロのバリキングという酒が用意されている。単勝や馬連、上り馬などの味方の名前も個性的だ。定番という単勝バリキング(350円)を一杯飲んてみた。生姜が効いてて健康になれそうな味わいだった。

単勝バリキング 350円

土日は椅子をとっぱらった立ち飲み形式で、焼きそばも旧来の焼きそばに戻すそうだ。また、生ビールもあるが、あえて缶ビールも置くという。50年以上の歴史を持つ店だけに、常連さんにも気を遣っているのが素晴らしい。

この日はお酒2杯でお会計。昔ながらの老舗がこういう形でリニューアルってのは、個人的にとても嬉しい。他の味も食べにまた来なきゃだなあ……っと、約一週間後のつい先日、知り合いをお誘いして再訪。

白(自家製だし塩) 650円

ハムカツやら塩辛キャベツ、定番の「黒」のあとに、焼きそばの「白(自家製だし塩/650円)」と「マーブル(麻婆豆腐/750円)」をいただいた。「白」はソース味以上に桜エビの風味が香る旨味主体の味付けだ。

マーブル(麻婆豆腐) 750円

「マーブル」は、花椒を効かせた麻辣な麻婆豆腐がソース焼きそばに掛かっている。豆腐が細かく麺にも絡みやすい。「ソースに麻婆がこんなに合うとは」なんて同行者と頷きあった。お試しあれ。

鉄板やきそば酒場 しぶやき

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鉄板焼・焼そば 526 (東京都台東区)

アメリカやら北海道やらへ行っている間に、東京にも新しい焼きそば専門店が誕生していた。その一つが7月15日にオープンした浅草の「鉄板焼・焼そば 526(こじろう)」。渋谷にある二郎インスパイア系のラーメン526(こじろう)という店が母体らしい。

浅草食通街

訪れたのは9月上旬、平日の20時前。雷門通りの一本北側を並行する浅草食通街を、仲見世側から国際通り方面に歩く。既に看板の灯りを落した店も多く、外国人観光客の姿もほとんど見えない。もうすぐすしや通り、という右手に目的の店、「鉄板焼・焼そば 526(こじろう)」があった。

浅草 鉄板焼・焼そば 526(こじろう)

入店すると「いらっしゃいませー!」の声。女将さん、バイトの女の子が出迎えてくれる。客席は厨房を囲むL字型カウンターが6席ほど。左壁の階段を登れば2階席もある。他に客はおらず。手近なカウンターの椅子に着席。

生ビール 400円

とりあえず生ビール(400円)を注文。アサヒビール本社のお膝元だけあって、出てきたのはやはりスーパードライだ。比較的小さめのジョッキだが、中サイズで400円というのは嬉しい。

鉄板焼・焼そば 526 店頭メニュー

メニューは焼きそばとステーキ、鉄板焼きがメイン。焼きそばは基本的に1種類のみで600円。玉子はサービスでついてくるとのことなので、トッピングの追加などは無しでお願いした。

熱した鉄板で肉と野菜を焼き、麺の加えてソースで味付け。トングを使用していたけど、最近トングでの調理をよく目にするようになってきたなあ。焼きそばの場合は確かに箸やコテより扱いやすそうだ。注文から8分ほどで出来上がり。

焼きそば 600円

麺は極太の平打麺。二郎系が母体というイメージ通りのごっつい麺だ。女将さんにうかがったところ、ほんとは注文を受けてから茹でたいが、提供時間が長くなってしまうので茹で置いたものを使っているとのこと。リクエストがあれば茹で立ても可能らしい。

麺は極太の平打麺

具は豚肉、モヤシ、キャベツ、天かす、油かす。麺がかなりのボリュームなので、具は少なく感じるかも知れない。そして目玉焼きのトッピング。青のりは卓上から。

目玉焼きを潰すのが好き

味付けは甘口ソースが主体で、炒める最中に魚粉も掛けていた。単に「かす」とも呼ばれる油かすがコクと風味を加えている。ラーメン店が作る焼きそばは油そば・混ぜそば風になることが多いのだが、こちらは二郎系の麺を大阪風の正統派焼きそばに仕立てた、かなりの個性派だ。

サービスで砂肝のニンニク醤油漬けも

女将さんはラーメン526の奥様だそうで、チャキチャキした接客が印象的だった。サービスで砂肝のニンニク醤油漬けも出してくださった。美味しい。酒に合う。麺のボリュームがなかなか。もともと二郎系なので基準が多いと。

細い蒸し麺が主流の浅草でこういう店というのも面白い。ちなみに意外と地元の方に人気なのが、あわび(4000円)らしい。うーん、いつか食べてみたい。

鉄板焼き・526

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我流焼きそば はないち (北海道北斗市)

北海道特集も残り1軒。今週はそれに加えて東京の新しい焼きそば専門店2軒をご紹介します!


新函館北斗駅に隣接している「ホテル・ラ・ジェント・プラザ函館北斗」。今年3月17日に開業した施設で、飲食店やお土産物屋、観光交流センターなどが入っている。同日オープンした焼きそば専門店「我流焼きそば・はないち」もそのテナントのひとつ。ラッキーピエロ総本店を訪れた後、帰りの新幹線までの待ち時間に、どんなお店か確かめに行ってみた。

北斗市 我流焼きそば はないち

夕方の中途半端な時間に訪問。建物自体がまだ新しく、どのお店もまだなじんでいない様子。目的の「我流焼きそば・はないち」は奥まった場所にあった。とりあえず店頭のメニューを撮影し、どう攻めようかと眺め始めたら、呼び込みの若い女性スタッフに促される形で入店してしまった。

我流焼きそば はないち メニュー

注文は食券制で特製焼きそば・塩焼きそば・ソース焼きそばの3種類が主力らしい。全く予備知識のないまま、とりあえず特製焼きそばをポチっとな。ついさっきラッキーピエロで食べたばかりなので、サイズは1人前・200g。しかし、それだけだと280円だ。麺と少しのキャベツ・モヤシしか入っていないという。何かトッピングをと思うが、どれがおススメか良く分からない。

「ジンギスカンとかおすすめですよー」と店員さんに言われるが、ジンギスカンだとベースの味が分からなくなるからなあ。悩んだ挙句、目玉焼き(100円)とウインナー3本(150円)、あとスープ(50円)を選んだ。食券をその場で渡すと「お好きな席にどうぞ」と言われ、カウンターに着席。

我流焼きそば はないち 店内の様子

客席は厨房に面したカウンターが5席、壁に面したのが7席ほど。奥にテーブルもあり、家族連れがいた。スタッフは厨房2人、ホール1人の3人だったかな。中途半端な時間なので空いている。

カウンターの卓上には調味料が沢山

カウンターの卓上には調味料が沢山置かれている。「あー、なるほど」と、ここでようやく合点が入った。要は札幌大通り地下のやきそば屋方式だ。自分流に味付けする、ということだから「我流」だったのか。そうと知っていればもっとお腹を空かせて、玉数を増やすのが正解だった。

調味料一覧、説明文

それにしても店頭で呼び込みをされた上に食券制なので、メニューを検討する時間がほんの僅かしかなかったのが残念だ。注文した品々は580円だったが、あと20円出せば麺300gに野菜盛りもついたAセットも買えた。それに気づいたのはメニュー写真をゆっくり見返してから。食券購入時も脇で待ち構えられると急かされている感があるので、そこは改善して欲しいなあ。券売機の写真を撮る余裕がなかったのも悔やまれる。

特製焼きそばとスープ

やがて焼きそばが運ばれてきた。麺は中細の蒸し麺。わずかなキャベツ・モヤシと炒めてある。そして目玉焼きとウインナーのトッピング。紅生姜は自分で乗せた。後からスープの入ったマグカップも運ばれてきた。

特製焼きそば 280円+目玉焼き・ウインナー

麺をそのまま頬張る。ふむ、やはりやきそば屋と同じく味付けはなし。まずはベーシックな特製ソースを試す。まあ悪くない。ただ、心の準備も無いままに食べると味気なく感じてしまうのはやむを得ない。というか、つい3日前に元祖のやきそば屋でたっぷり食べたばかりなんだよなあ……オレ。

半熟玉子とソース、合います

調味料のおススメの組み合わせもいろいろ試してみたが、麺1玉では限界がある。強いていえばふりかけがあるのは嬉しいかな。いっそ、トッピングに松前漬とかあれば良いのにと思ったり。連食でほぼ満腹だったため、どうも評価が渋くなって申し訳ない。付け合わせのスープはあっさり・さっぱりした味わいだった。

ところで函館には同じスタイルの「やきそば三郎」という店がかつて存在した。2013年8月オープンだが残念ながら長続きせず。カウンターの調味料を見た瞬間に思い出し、そちらと関係あるのかを食後に尋ねてみたが、全く関係ないとのことだった。

いろいろと訊くタイミングも無かったので、この店ができた経緯なんかも不明なまま。なんかこう捉えどころがなくて困ってしまう。「あの札幌の味を函館でも!」と書くのは簡単だけど、あの店は歴史もあってこその評価な訳で、オススメポイントを挙げづらい。せめて店頭メニューに、各焼きそばの特徴くらいは載せて欲しいかな。あれこれ改善の余地は沢山あると思うので、頑張って欲しいなあ。

食べ終えて、17時21分発の新幹線はやぶさに乗車。道南から東京まで約4時間。帯広から札幌、札幌から函館よりも、函館・東京の方がずっと近くなった。飛行機もいいけど、新幹線も気軽に使えていいねー。

我流焼きそば はないち

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【TV出演】9/10 日テレ「誰だって波瀾爆笑」

テレビ出演のお知らせです! 日本テレビ系列で9/10(日)の午前中に放送される『誰だって波瀾爆笑』に出演します!

誰だって波瀾爆笑

【出演番組】誰だって波瀾爆笑@日テレ系
【放映日時】 2017/9/10(日) 9:55~11:25
【出演コーナー】巷のハランさん(11:00すぎからの予定)
【公式サイト】http://www.ntv.co.jp/haranbakusho/

出演するのは巷のハランさんというコーナー。メシコレや食べあるキングでお世話になっている『旨い! ナポリピッツァ』のJaffaさん『東京餃子通信』の塚田さん、食べあるキングのカレー担当・『カレーですよ』のはぴぃさんなどなど、知人も多く出演しているこちらの番組。ご縁があったんでしょうかね。

ゲストの佐藤二郎さんは個人的にとても好きな俳優さんでして、お会いできてうれしかったです。スタジオは軽くご挨拶するくらいで、お話しする時間はありませんでしたけど(笑)。みなさま、良かったらご覧くださいませ~。

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ラッキーピエロ 峠下総本店 (北海道亀田郡七飯町)

函館でおなじみのハンバーガーチェーン、ラッキーピエロ。通称、ラッピ。レベルの高いバーガーを提供する店として、ご存知の方も多いだろう。チャイニーズチキンバーガーが名物で、私も11年前にベイエリア本店でいただいたことがある。

そのラッキーピエロの一部の店舗で、実は焼きそばを提供している。この機会に食べておこう、せっかくなら総本店へ行ってみようと思い立った。訪れたのは8月の北海道滞在、最終日。正午前に函館・松風町の鳳蘭を再訪し、塩ラーメンを食べたあとに向かった。

ラッキーピエロ 峠下総本店

ラッキーピエロの峠下総本店は函館市街から遠く離れた亀田郡七飯町にある。国道5号線沿いの辺鄙な場所で、自動車が無いと不便な立地だ。今回、東京までの帰路として利用する北海道新幹線の新函館北斗駅から、散歩も兼ねて歩いてみたら50分ほど掛かった。一般の人にはあまりオススメできない。

入り口には長ーい行列が

国道には派手な看板が掲げられ、その奥に洋館のような店舗が建っている。外に30人くらいの列ができていて、もちろん店内でも順番待ちが多数。そのほとんどが家族連れだ。お盆休みの初日でちょっと嫌な予感がしていたが、ここまで並んでいるとはなあ。

店内はちょっとしたアミューズメントパークっぽい

店内は天井が高く、かなり広い空間になっている。巨大な椅子や動物のオブジェなどが所狭しと置かれていて、ちょっとしたアミューズメントパークっぽい。これは子供も大喜びだな。入り口の左手には土産物売り場も用意されていて、グッズやお菓子などが購入できる。完全に観光地として成立している。そんな様子を眺めつつ列に並んで約40分ほど待ち、ようやく自分の番が来た。

ラッキーピエロ 焼きそばメニュー

メニューはもちろんバーガー類がメインだが、カレーやハンバーグ、ピザ・スパゲティ、そして焼きそばなどもある。注文したのはチャイニーズチキン焼きそば(500円)、目玉焼きトッピング(50円)、それとラッキーガラナ(120円)。支払いを済ませると番号札とその番号が書かれたピンクの紙を渡される。

ラッキーピエロ 注文カウンター

空いている席を探し、選んだ席の番号をピンクの紙に書く。注文カウンターへ戻って茶色いカゴへ入れて待つ。こうして注文番号と席番号が突合されるのだな。

チャイニーズチキンやきそば&ラッキーガラナ

焼きそばはハンバーグに使われる鉄板で供された。30分待ちとされていたが、注文から5分ほどでの配膳。焼きそばだから早かったのかな。ともかくいただこう。

チャイニーズチキンやきそば 500円+目玉焼き 50円

麺はモチモチ感のある蒸し麺。具は豚肉とキャベツ。豚肉はたっぷり使われていた。味付けはやや甘めのソースで、オリジナルだと思われる。バーガー同様、焼きそばも手を抜いていないという印象を受けた。そしてトッピングされているチャイニーズチキン、3つ。

チャイニーズチキン、食べごたえあります

チャイニーズチキン、通称・チャイチキは鶏肉の唐揚げに甘酸っぱい味付けをしたもの。衣がクリスピーで中はジューシー。柑橘類を使っているわけではないが、アメリカ中華のオレンジチキンにちょっと似ている。久しぶりに食べたけど、美味いなー。目玉焼きも黄身が半熟のほどよい焼き加減。鶏肉と玉子で親子焼きそばだな。

目玉焼き付きで親子焼きそばに

ガラナは北海道でお馴染みの炭酸飲料だ。コアップガラナやキリンガラナが一般的だが、ラッキーガラナはこの店のオリジナル商品。味は普通のガラナだが、価格も120円と安く、土産物としても人気が高いようだ。

ラッキーガラナ 120円

全体的に思いの外ボリューミーで、お腹いっぱい。バーガーも食べたかったが、注文しなくて正解だった。それにしても期待以上の美味しい焼きそばだったなあ。ラッキーピエロ、あなどれないやつ。

食べ終えたら早々に切り上げて、帰りはバスを使用。徒歩に比べて時間は大幅に短縮されるが、運航本数が少ないのでこちらもあまりオススメできない。遠方から行く方は素直にレンタカーかタクシーが良い。というか、函館市内のマリーナ末広店などでも食べられるんだけどね、焼きそば。

ラッキーピエロ 峠下総本店

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そば処 松くら (北海道函館市)

前回のあじたかを出た足で、ざっと五稜郭を散歩。今日はあいにくの天気なので、五稜郭タワーはスルー。五稜郭公園前から路面電車に乗ってさらに東へ向かい、終点の湯の川停車場で降りた。

函館市 湯の川 そば処 松くら

市電を降りて向かったのはそば処・松くら。こちらでも函館独特のつゆだく焼きそばを提供しているという。焼きそばもやっているんだから町中の食堂的な店をイメージしていたが、外観は完全に本格派の蕎麦屋だ。そっか、そうきたか、とかつぶやきながら入店。

そば処 松くら 店内の様子

店内も木造の落ち着いた雰囲気。客席はテーブル6卓、小上がり5卓、カウンター5席。平日の昼下がりで4割ほどの入りだ。入店時に店の前の駐車場が満杯だったが、一人一台の車社会ってことなのね。空いているテーブルへ着席。

そば処 松くら メニューの一部

メニューはもちろん蕎麦が中心だ。ラーメンはやはり塩が筆頭。やきそば(700円)はつゆだくとかそういう能書きは一切書かれていない。店員さんにも確かめずに「やきそば、ひとつ」と注文。大丈夫かな……とやや不安な心境で待つこと5分余り。運ばれてきたのは間違いなくつゆだくな皿だった。

やきそば 700円

麺はツルツル食感の細麺。色や食味からすると玉子麺かな。具は豚肉、キャベツ、モヤシ、人参、キクラゲ、青ネギが使われていた。さらに紅生姜がトッピングしてある。

麺はツルツル食感の細麺

味付けは塩ベースの出汁で、少し醤油も足してあるのかな。豚と昆布の風味を感じた気がするが、舌バカなので自信がない。とにかく美味いことは確かだ。ズルズルっと麺を手繰るのが楽しい。

このつゆがとにかくうまい

野菜炒めに麺を足したようなスタイルで、東京などの町中華でも似た焼きそばは見かける。ただそれらよりも、味が洗練されている印象を受けた。

勢い余って全部飲み干してしまった

函館のつゆだく焼きそばでも、鳳蘭あじたかとは全く異なる。森町の太田屋は同じ蕎麦屋だったが、ソース風味なので、それとも違う。こんなにバラバラなのがとても興味深い。後を引く美味しさで勢い余って、つゆを全部飲み干してしまった。いやー、美味しかった。

函館の市電、便利です

会計は700円。帰りも路面電車だ。市内で3軒だけしか現存を確認できていない貴重な函館つゆだく焼きそば。探せばもっとあるのかな。それぞれタイプが違っていて面白いので、ぜひ食べ比べて欲しいなあ。

松くら そば店

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【雑誌掲載】クックパッドmagazine! Vol.14(9/6発売)

明日(もうすぐ今日)、9月6日(水)に発売される『クックパッドmagazine! Vol.14』の「進化系焼きそばが熱い!」という特集で、焼きそば店を何軒か推薦しました。

クックパッド magazine vol.14

見本誌を手に取りましたけど、フルカラー8ページの特集で、なかなか読み応えがあります。軒数は限られていますが、東京に限らず最新の焼きそば事情が伝わるようバランス重視でピックアップしてみました。クックパッドらしくレシピも充実しております。ぜひご一読くださいー。

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【Retty】こんなに!? 世界焼きそばMAP

Rettyさんに寄稿しました!  当ブログをお読みくださっている方々はご承知と思いますが、私が考える「焼きそば」というのはかなり多岐に渡っております。日本やアジアを超えて世界にまたがっておりまして、それを地図化してみました。異論がある方もおられるでしょうけど、あくまでも一個人の私見ということでご笑覧くださーい。

焼きそばは世界でこんなに愛されていた!150種類以上ある”焼きそばカルチャー”を本気で調べてみた

世界焼きそばMAP

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キッチン中華あじたか (北海道函館市)

北海道レポ、4週目は函館ですっ!


以前も紹介したが、函館には独特なつゆだく焼きそばの文化がある。ただし現在、食べられる店はあまり多くない。当ブログで紹介したのは、松風町の鳳蘭と、ちょっと離れているが茅部郡森町にある太田屋の2軒のみ。今回の渡道では、他の店を巡るのも大きな楽しみだった。

函館 五稜郭町 キッチン中華あじたか

まず訪れたのは五稜郭のすぐ南、道立函館美術館の裏手にある中華キッチンあじたかという店だ。「あじたか」は漢字だと「味鷹」。お店に置いてあった雑誌記事のコピーによると、先代は昭和20年代から屋台を引いていて、昭和39年に本町で店を出し、平成2年に今の場所に移転したという。

キッチン中華あじたか 店内の様子

雨のそぼ降る8月の平日。午前11時の開店直後に訪問。客席はカウンター5席にテーブル3卓。2代目の店主が一人で切り盛りしている。自分が口開けだったが、すぐに年配のご夫妻が入店してきた。

キッチン中華あじたか 焼きそばメニュー

カウンターに着席してメニューを確認。推しているのは函館の王道、塩ラーメン。さらにゴッホ丼やミラノ風チャーハンなど変わったメニューも目立つ。しかし私の目的はもちろん焼きそばだ。ただ、ソースやあんかけなど焼きそばだけで5種類もある。

「ご注文はお決まりですか?」
「えっと、汁っ気の多い焼きそばというのは……」
「ああ、あじたか風焼きそばですね」
「ではそれを」

あじたか風焼きそば(780円)が件のつゆだくだった。料理名の下に「35年変わらぬ味、やわらかなあっさり五目焼きそば」と書かれている。

「つゆだくの焼きそばって函館独特なんですってね」
「そんなもんかねー、うちじゃ昔から出してるけど」
「お客さんでそういうこと言う人はいらっしゃらないんですか?」
「そういや以前、若者が3〜4人で来て絶滅危惧種と言われたよ(笑)」

あじたか風焼きそば 780円

店主とそんな会話をしつつ、注文から10分ほどで配膳された。スープ付きなのが嬉しい。

微妙なつゆだく加減の焼きそば

麺はシコシコ食感のストレート麺。具は豚肉、片栗粉をつけて揚げたエビ、削ぎ切りの白菜、玉ねぎ、タケノコ、玉子。玉子はかきたま風に溶いてあり半熟気味の仕上がりだ。そして天辺に紅生姜をあしらってある。

シコシコ食感のストレート麺もピッタリマッチ

つゆだくではあるが、ヒタヒタというほどでもない。ドロッとしたつゆで、天下一品を思い出させる濃厚な豚骨風味だ。これが目を見張るほど美味い。豚骨のコクと歯切れのよい麺、野菜の旨みや玉子の円やかさなどが渾然一体となって押し寄せる。

このつゆがめちゃウマなのです

「途中、お好みでソースを掛けてください」と店主が仰っておられたので、素直に後がけ。これがまたさらに美味い。コクのある豚骨に複雑な風味が加わって、より深みのある味わいになる。「濃厚な豚骨ラーメンを食べるときは、これからソースを掛けるようにしようかな……」なんて本気で考えてしまった。

豚骨スープにウスターソースがこんなに合うだなんて

はしたないけど皿に口をつけてスープも全て飲み干した。食べ歩きの際は、汁もののつゆはできれば残す主義なのだが、これだけ美味しくてはどうしようもない。

「ごちそうさま、美味しかったです」
「ありがとうございます。でも絶滅危惧種ですから(笑)」
「いや、この美味しさなら生き残りますよ(笑)」

そんな会話をしてお会計。消費税がついて800円也。溶き卵にソース後掛けとは全くの予想外、文句ない美味しさの焼きそばたった。同じ函館のつゆだく焼きそばでも、いろんなタイプがあって実に面白い。五稜郭を観光することがあったら、ついでにぜひ寄ってみて欲しいなー。

あじたか

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てんこう 裏参道店 (北海道札幌市)

札幌市街中心部の西の端に位置する円山公園には、蝦夷地一ノ宮とも称せられる北海道神宮が隣接している。名前の通り北海道を代表する神社で、初詣では大変な人出になるそうだ。また境内では六花亭の売店があり、ここでしか売られていない「判官さま」という焼餅が食べられる。

北海道神宮

その北海道神宮には表参道=北1条通りとは別に、南1条通り、通称・裏参道と呼ばれる参道がある。この裏参道はカフェやレストランなど札幌でもお洒落な店が集まるエリアとして注目されているらしい。その裏参道に、2015年12月5日にオープンしたのが、今回紹介するあんかけ焼きそば専門店「てんこう」だ。

あんかけ焼きそば専門店 てんこう 裏参道店

訪れたのは北海道3日目、STV「どさんこワイド」のロケが行われた日のこと。19:15くらいに着いてみたら看板の灯りが消えていた。中にお客さんがいるので、ドアを開けて「まだ大丈夫ですか?」と訊いてみると、長身の若い店主が「はい、どうぞ」と答えてくれた。なお、外観写真は帰りがけにお願いして灯りをつけてもらったもの。ありがとうございます。

あんかけ焼きそば専門店 てんこう 店内の様子

客席は厨房に面したL字型のカウンターで7席。前述の通り、先客が一人。卓上には酢と醤油が置かれている。シックな印象の落ち着いた雰囲気の店だ。店主も中華料理のシェフ=厨師の服を着て、きちんとしている。

あんかけ焼きそば専門店 てんこう メニュー

メニューはごくシンプル。焼きそばは五目焼きそば(900円)、豚肉焼きそば(900円)、エビ焼きそば(1200円)の三種があり、エビだけ塩味で少し高い。初めてなので、無難に五目焼きそば(900円)を注文してみた。

店主が2つの中華鍋を使い、片方で麺を焼く。もう一方では食材を油通ししてから、餡を作る。ひとつひとつの手順が予想以上に洗練されている。盛り付けて出来上がり。

五目焼きそば 900円

麺は中細で、表面がカリッと焼かれている。トングで解しながら調理・盛り付けしてあるので、一口ずつが取り分けやすく、食べやすい。

カリッと焼かれた麺が美味い

餡は醤油ベースで、生姜とゴマ油の風味が香る。具は豚肉、ハム、イカ、エビ、アスパラ、白菜、キクラゲ。油通しの加減が絶妙だ。肉もイカも柔らかく、エビはとろける甘さだった。こりゃあ、エビ焼きそばは絶品に違いない。

エビの火加減が絶妙

焼きそばと一緒に紅生姜とカラシも出してくれたので、皿の端に添えてみた。味変も楽しい。それにしても期待以上のレベルの高さで、正直びっくりした。実はこの日の昼のロケでは、三八飯店白石店であんかけ焼きそばを食べたばかり。あちらはあちらでとても美味しかったのだが、それとは全く異なる方向性なのが面白い。

紅生姜とカラシも添えてみたり

不躾ながら、「どこかでちゃんと中華料理を修行したのですか?」と店主に尋ねてみたら、お父さんが料理人で、かつては横浜中華街の高級店で働いておられたそうだ。ピシッとした服装含め、厨師としての基礎はそのお父さん譲りなのだろう。読者からの情報によると、現在お父様は札幌市平岸で中華ハウス天紅というお店を営まれているとか。屋号の「てんこう」もそちらがルーツで、そのため「裏参道店」とついているらしい。

※その後、読者から情報提供があり、お父様は現在、札幌市平岸で中華ハウス天紅というお店を営まれているとか。屋号の「てんこう」もそちらがルーツで、そのため「裏参道店」とされているらしい。

もっとメニューを増やしたいが、何しろ一人なのでとのこと。一流中華料理店からあんかけ焼きそばだけを取り出した、そんな印象を受けた。まだオープンして2年目だが、札幌近辺の焼きそば好きはぜひ一度味わってみて欲しいなあ。

てんこう 裏参道店

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スパイスとお肉の料理店 ミナトン (北海道札幌市)

札幌の「スパイスとお肉の料理店 ミナトン」は、いろいろと謎の多い店である。もともとは「インド焼きそばミナトン」という屋号で、インド人のシェフによる焼きそば専門店だった。最近になって屋号が変わり、焼きそば以外も提供するようになったが、今も焼きそばは提供しているらしい。その焼きそばがインド中華(Indian Chinese Cuisine)の焼きそば類とも違うようで、かなり独特らしいのだ。どんな品か確かめに行ってみた。

スパイスとお肉の料理店 ミナトン

ミナトンは北海道大学病院のすぐ近く、環状線の分岐点の脇にある。札幌ではやきそば屋ランランなど、焼きそば専門店は数少ないので、ミナトンの存在はずっと気になっていた。渡道二日目の日曜夜に訪れてみたが、「しばらく日曜の夜は休みます」という貼り紙があり、シャッターは閉まっていた。改めて平日のお昼時に再訪問。

ミナトン 券売機

客席はL字型のカウンターが13席で、店頭に券売機がある。メニューは「スパイシー焼きそば」と「スパイシー豚丼」の2つが主軸。焼きそばだけでは伸び悩んだのか、屋号を変えて豚丼を増やしたわけだが、インド人が豚肉を扱うというともちょっと珍しい。ムスリムと違って禁忌ではないのだろうが、インド料理店ではあまり見かけない。

選んだのはスパイシー焼きそばの並盛(540円)とCセット(ザンギと目玉焼とスープ/+200円)。辛さは激辛まであるが、最初なのでノーマルにしておこう。先客が数名いたが、スパイシー豚丼が多かった。

シェフは北インドの出身らしいです

カウンターに置いてあったパンフを読むと、シェフは北インド出身らしい。調理は鉄板で行う。油を引いてニンニクの微塵切りを熱する。そこに豚肉スライスと玉ねぎスライスを投入し、クミンシード、チリパウダーを掛ける。その隣で野菜を炒める。一旦混ぜ炒めた後に、肉と野菜に分けて置いておく。これが基本の具材で、焼きそばの場合はこれと麺を炒め、ご飯の場合は丼に盛る。

右手だけで調理をするのは宗教的な理由から?

焼きそば自体の調理も油とニンニクから始まった。麺を投入しキーマカレーっぽいミンチとカレーソースを乗せて混ぜ炒め。この炒める作業は右手にコテを持って、その一本だけで行う。宗教的理由で左手は使わないのかも知れない。スパイシーな香りが漂ってきたところで、器に盛り付けて出来上がり。

スパイシー焼きそば+Cセット

麺は太麺でモチモチ食感。具は豚肉、玉ねぎ、キャベツ、モヤシ、パプリカ、ピーマン。Cセットということで目玉焼きが2玉分と大きなザンギがトッピングされ、スープもついてきた。カイワレ大根も添えられていて、卓上にあった紅生姜も盛ってみた。なんだか豪勢だなー。

スパイシー焼きそば 並盛 540円

辛さ覚悟で一口食べたら、なんと甘い。「ありゃ、甘口ソースでも使ってるのかいな」なんて食べ進めるうちに、じわじわと辛さが効いてくる。なるほど、店頭の看板で「薬膳効果の高い香辛料云々」を謳っていたが、いかにも医食同源を思わせるスパイスの使い方だ。さすがアーユルヴェーダの国、単なるカレー焼きそばではなかった。

モチモチの太麺にスパイスがよーく絡んでおります

ちょっとウェットな仕上がりはべジキッチンで食べたカレーチャウミンに似ているが、やはり北インド出身なのでネパールっぽさも感じる。旨味とスパイスを生かしたオリジナル焼きそば、といったところだろうか。付け合わせのスープはあっさりした味わいだが、やはりスパイスがピリリと効いている。謎が深まるが、辛党には嬉しい焼きそばだ。

大きなザンギにもかぶりついてみました

そしてとても量が多いのも、このスパイシー焼きそばの特徴だ。ぱっと見は「ふふーん、軽く食べられそうだな」なんて思っていたが、麺量は250gくらいありそう。おまけに豚肉スライスやザンギ、目玉焼きも予想以上のボリュームなのだ。総じてかなり満足度が高い一皿だった。

シェフに色々聞きたかったが、注文が次々と入り、タイミングが悪くて要領よく質問できず。なんか不審者みたいに思われてしまったかも知れない。とてもオリジナリティに富んだスパイシー焼きそば。また機会があれば、夜にでも来てゆっくり味わいたいなあ。

インド焼きそば ミナトン

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お好み焼・焼そば 風月 本店 (北海道札幌市)

北海道レポ、3週目は札幌ですっ! 札幌が誇る2つの焼きそば専門店、大通地下のやきそば屋と中央区役所近くの焼そばランランを再訪した上で、さらに新旧、個性的なお店を巡ってみました!


8月8日に私が出演したSTV「どさんこワイド」の焼きそば特集では地元のお好み焼チェーン店、風月の二神社長(現会長)が直々に焼きそばを調理してくださり、大変お世話になった。こちらの写真で私と同じような髪型(頭型?)の福々しい方が二神会長。1943年(昭和18年)生まれで御年73才。会長の似顔絵が同チェーンのシンボルでもあり、公式サイトにもドーンと登場する。

どさんこワイド、スタジオにて

風月の創業は1967年(昭和42年)で、今年がちょうど50年の節目。札幌を中心に苫小牧や旭川などにも出店している、文字通り北海道を代表するお好み焼きチェーンだ。その風月の本店をSTV出演の翌日、雨の夜に訪れてみた。

お好み焼・焼そば 風月 本店

札幌市電の静修学園前停車場から徒歩数分。ドアを開けた店内には4人掛けの鉄板テーブルが6卓置かれ、ソースの香りが立ち込めている。入店時は6割ほどの入りだったが、そのうち満席になった。地元での人気ぶりがうかがえる。

風月 本店 メニュー

ホール担当の女性に促され、空いていたテーブルに着席。メニューはもちろんコナモン中心だ。メインはお好み焼きの店なのだが、焼きそばも負けず劣らず人気という。ざっと眺めて、いか・ぶた・えび野菜焼きそば(940円)と生ビール(440円)を注文した。

生ビール 440円

ビールはサッポロの黒ラベル。この店を訪問するつい2時間ほど前にサッポロビール博物館へ行ったばかりで、普段以上に美味しく感じる。黒ラベル・クラシック・赤星……やはり北海道はサッポロビールだよなあ。

いか・ぶた・えび野菜焼きそば 940円

焼きそばはお店の方で焼いて、チリトリ(と呼ばれる道具)で持ってきてくれた。予想通り、ボリューミー。お好み焼きも食べたかったが注文しなくて正解だった。麺は中太の茹で麺。玉子麺だろうか、モチモチした食感で風味も良い。北海道のラーメンの麺は中細の縮れ麺が一般的だが、こちらは中太ストレート。蒸し麺の食味とも全く違う。

モチモチ食感の中太ストレート麺が美味しい

具は豚肉、イカ、エビ、ざく切りキャベツ。揚げ玉も使われていた。花ガツオと青海苔、微塵切りの紅生姜は卓上からセルフでトッピング。味付けは関西風に甘めのソース味。ただ、甘口は甘口なのだが、そこまでくどくなく、以外にあっさりしている。ボリュームがあるけど食べ飽きない。北海道だけあって豚肉も海鮮もたっぷり入っていて、確かに美味しい焼きそばだ。人気なのも納得である。

豚肉も海鮮もたっぷり

ところで番組に関する事前のやり取りで、「北海道はあんかけが主流で、昔ながらのソース焼きそばというのは函館のまるきんなどごくわずか」という話をしたら、「なぜ、北海道にはソース味の焼きそばやお好み焼きが根付いていないのか?」という質問をされた。ふーむ、興味深いテーマだ。

試しにソースの消費量を確認したら、北海道だけでなく東北や沖縄も低順位だった。沖縄はアメリカ統治時代の影響だろうが、なぜ北海道と東北が? その理由を自分なりに考えてみて、「ソースやコナモンの需要がなかったから」という結論に落ち着いた。

全国にソースおよびコナモンが食文化として大きく広まったのは、戦後の食糧難の時期だ。味噌や醤油は政府に統制されていて手に入らず、その代わりとしてソースが広まった。しかし東北や北海道では、味噌も醤油も自前で作る家庭が多く、ソースを使う必然性が無かった。かつては東北・北海道にもチキンソースやワニソースという地ソースがあったようだが、姿を消してしまった。

また、コナモン文化もGHQがアメリカから持ってきた小麦粉を使って、子供たちの空腹を満たすというのが主な広まり方だった。しかし、北海道ではトウモロコシやジャガイモなど、わざわざお好み焼きや焼きそばを作らなくても、子供たちに食べさせる食糧には事欠かなかった。そんなわけで北海道にはソースやコナモンが広まらなかったのではないだろうか。風月の創業当時も、ソースやお好み焼き自体に馴染みがない土地だけに、さぞご苦労も多かったことだろう。

からしマヨも合います

閑話休題。お店も混んできたので、急ぎ目にハフハフと食べ進める。からしマヨによる味変も美味しい。基本的に私はマヨネーズをあまり掛けないのだが、関西風の味付けには合うんだよね。ビールも飲み終えてお会計は1380円。会計の際、お店の方とちょっと会話。

「昨日、どさんこワイドに会長さんでてらっしゃいましたね」
「そうなんですよ、私もびっくりしちゃって」
「実は私、一緒に出ていたものです」
「え……あらー! まー、ほんとだ!」
「会長さんに美味しかったですと、よろしくお伝えください(笑)」
「あらあら、わざわざありがとうございます」

「みんなでわいわい鉄板を囲む、そんな店を……」という二神会長の想いがまさに実現された、和気あいあいとした雰囲気の店だった。こういう地域密着型のチェーン店、見逃されがちだけど地域にとっては大きな存在なので、今後もできるだけ取り上げていきたい。あー、お好み焼きも美味しそうだったなあ。

風月 本店

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