鉄板つけ焼そば専門店 そうげん (長野県長野市)

今年の9/10、長野市の豊野町に「鉄板つけ焼そば専門店 そうげん」という店がオープンした。鉄板つけ焼そば。聞き慣れない料理名だ。つけ麺のようにスープに浸して食べるわけではなく、特製のタレをつけて食べるらしい。どんな焼きそばなのか、実際に食べにいってみた。

信州のリンゴ畑

11月上旬の土曜日にバイクで長野へ。豊野はもともと長野市と中野市の間にあった町だが、平成の大合併で長野市に編入された。千曲川の対岸は栗で有名な小布施町だ。晩秋の風は冷たいが天気は上々。道端には収穫を待つリンゴが枝もたわわに実っていた。

長野市 鉄板つけ焼そば専門店 そうげん

こじんまりした外観だが、店内は割とゆったりした作りだ。客席は2人掛けのテーブルが4卓、小上り2卓、カウンターが5席。午前11時半という時間帯で半分ほどの入り。外には順番待ちのベンチも用意されていた。厨房は男性1人、ホールは女性1人でそれぞれ担当していた。カウンターに着席してメニューを確認する。

つけ焼そばの説明書き

まずはつけ焼そばの説明から。かつて中野市に「大龍」という中華屋があり、「大龍やきそば」が人気だった。大龍は古くに閉店したが、8年前に地元の「そうげんラーメン」が「中野つけ焼きそば」という名前でその焼きそばを再現。人気が定着し、さらに進化させて今回専門店をオープンさせた。そんな内容だ。「大龍やきそば」についてはあとで詳述しよう。

鉄板つけ焼そば専門店 そうげん メニュー

注文したのはつけ焼そば(800円)と目玉焼きトッピング(150円)。それと本日のスープ(100円)。つけ焼そばには括弧書きで「2玉」と書いてある。それが標準サイズで、大盛りは3玉、特盛りは4玉も使われている。すごい量だな。

鉄板つけ焼そば 調理中の様子

カウンター席の特権を利用して、調理の様子を撮らせていただいた。麺は袋から出したまま、ほぐさずに鉄板に乗せ、じっくりと焼く。焼き色が付いたらトングでほぐしながら、ニラと混ぜつつさらに焼く。厨房の壁際には熱湯を沸かした寸動があるが、麺を茹でるのではなく、トッピングする野菜を茹でていた。

つけ焼そば 800円+目玉焼き 150円

麺が焼き上がったら皿に盛り付け、野菜や目玉焼きをトッピング。皿の3分の1くらいのスペースにタレを添えてできあがりだ。こんもりとうずたかく積まれた焼きそばは、往路で視界に入った浅間山の輪郭に似ていた。

カリッと焼かれた麺をタレにつけて食べます

麺は中細麺で、表面がカリッと焼かれてる。一緒に炒められている具は干しエビとニラ。茹でたモヤシとキャベツがその上に盛られ、さらに目玉焼きがトッピングされている。目玉焼きが2玉なのは嬉しい誤算だ。麺は2玉、目玉も2玉。茹でたモヤシとキャベツはラーメン二郎を思い出させる。

目玉焼きを崩して円やかに

麺自体は味付けされてない。そのまま食べると油脂と干しエビの風味が香ばしい。その焼きそばを少しずつタレにつけて食べる。それで「つけ焼そば」というわけだ。タレは黒っぽい味噌ダレという感じで、味はしょっぱく、ほんのりスパイシー。旨味も強くパンチが効いていて癖になる。目玉焼きの黄身を崩して絡めると、だいぶ円やかな味わいになる。これも美味い。

大龍 茅ヶ崎店の大龍焼そば

以前当ブログでもこのスタイルの焼きそばを紹介したことがある。神奈川県茅ヶ崎市の「大龍 茅ヶ崎店」が提供している「大龍やきそば」。そう。かつて長野県中野市にあったという大龍は、実はフランチャイズに属する一店舗だったのだ。ただ、茅ヶ崎もそうだったが、フランチャイズらしさが皆無で、恐らく地元客には個人店と思われていたことだろう。こうして味が継承されるという1点をとっても、どれだけ地元に密着していたかがうかがい知れる。

タレは追加も可能

それにしても麺の量が2玉分ってのはかなり食べごたえがある。途中でタレも心もとなくなってきた。最後の方はタレなしで食べることになるのかな、と思った矢先、隣のお客さんが「タレの追加お願いします」と頼んでいるではないか。なるほど、追加が可能なのか。これは助かる。

この日の日替わりスープはワカメ

この日の日替わりスープはワカメだった。大量の麺と濃い味のタレで、若干胸焼け気味になりつつ、スープで時折舌をリセットしながら完食。すっかり満腹になって、お会計は1050円。正午を過ぎると客が次々とやってきた。接客も気持ちよく、満足度も高い。まだオープンして2ヶ月だが、きっと末永く愛されることだろう。

長野市 鉄板つけ焼そば専門店 そうげん

ちなみにフランチャイズの大龍の現状だが、こちらの記事によると既に本部はなくなったようだ。ただし茅ヶ崎のほかに金沢文庫や山形の米沢糠野目など、今でも営業を続けている店がいくつかある。どの店でも大龍やきそばは定番の人気商品のようだ。また長野県中野市の「鉄板屋 侍」でも大龍やきそばを復活させて提供中という。もしどこかお近くにあれば、一度味わってみてくんなまし。

タグ , , コメントを見る

もつ焼でん 水道橋店 (東京都千代田区)

私が住む西武新宿線はもつ焼・焼とんの店に恵まれている路線だ。最寄りの野方駅には秋元屋すっぴん酒場。隣の沼袋駅にはホルモンたつや。新井薬師前駅に本店を構える四文屋もあちこちの駅に出店している。

必然的に都心で飲む場合はもつ焼・焼とんの店を避けがちだ。旨い店が近所にたんとあるんだから、よほどで無い限りわざわざ選ばない。今回紹介する水道橋のもつ焼でんも、あくまでも焼きそば目的。もつ焼の方はあまり期待していなかったのだが……

もつ焼 でん 水道橋店

もつ焼でんを訪れたのは平日の20時近く。店舗は五目あんかけ焼きそばの名店・太湖飯店の裏手あたりに位置する。奥に伸びるU字カウンターは8割方が埋まっていた。店員さんに促され、左手、トイレがある側の真ん中くらいの椅子に着席。

レモンサワー 380円

とりあえずレモンサワー(380円)を注文。凍らせた焼酎が入ったジョッキと、コダマサワーの瓶に入った炭酸が出てきた。タンブラーの縁にはソルティドッグよろしく塩の粒が立っている。この炭酸がちと甘い。秋元屋などでドリンクニッポンを飲み慣れている自分の口には正直合わず、2杯めはホッピーにした。

もつ焼でん メニュー

メニューにはもつ焼を始め、魅力的なツマミがズラッと並んでいる。しかし肝心のもつ焼は残念ながらほとんどヤマ(売り切れ)。かろうじて残っていたしろ、はらみ、てっぽうを注文した。

「ぶれんず(脳)もまだ残ってますよ、いかがです?」
「んじゃ、それも」

ちなみにこちらのもつ焼でんは、新宿思い出横丁にあるウッチャンという店がルーツで、メニューの多くはウッチャンと共通している。その一つが酢豆腐(280円)。焼き物は時間が掛かるだろうから、その酢豆腐も注文した。

酢豆腐 280円

落語が好きな方は「酢豆腐? おいおい、腐った豆腐じゃないだろうな」と思われるかも知れないが心配無用。食味からすると紅生姜の漬け汁あるいは梅酢に豆腐を浸した品らしい。色使いは紅白でめでたいが、味はどっちかっていうと地味。しかし前菜にはもってこいだ。

それにしても焼き物が出てこない。30分経っても出てこないので、注文が通っているか不安になってしまう。店員に確認しようかと思った矢先にようやく出てきたのが「ぶれんず」、豚の脳だ。勧められたのでつい頼んでしまったが、420円もするこの店では高級品だ。

ぶれんず(脳) 420円

以前、羊の脳のカレーを食べたことがあるが、あまり好みの味ではなかった。今回はどうかなーと一口。うわっ、美味っ。よくタラの白子に例えられるが、まさにそれ。バターと胡椒でエグみを見事に消している。脳がこんなに美味いとは、ハンニバル・レクターの気持ちが少し分かってしまった。

はらみ 140円

続いてはらみ、てっぽう、しろの順で残りの串もやってきた。どれも1本140円。皿の端に赤い色の味噌が添えてある。舐めてみると酸味の効いた生姜の味。紅生姜をペースト状にして味噌と和えているようだ。ちょっとかんずりっぽくもある。

てっぽう 140円

その味噌をちょいと絡めつつ食べるわけだが、どの串も焼き加減が絶妙だ。はらみはジューシー。てっぽうは厚みのふわっと感を残し、しろは心持ちクリスピーに。期待以上のレベルの高さだ。

しろ 140円

待ってる間に味じゃが(100円)も頼んでみた。煮込みの煮汁でじゃがいもを皮がついたまま煮込んだ品だ。箸で割ってみると、芯まで色がついている。しっかりと煮込みの味が滲みてて、じんわり旨い。これで100円ってのはすごいな。

味じゃが 100円

さて、そろそろ目当ての焼きそばで〆としよう。メニューにはネギ豚塩焼きそば(480円)と黒胡椒レモンそば(500円)の2品が載っている。壁には「あぶらソース焼きそば(500円)」の貼り紙もある。その中から選んだのは黒胡椒レモンそば。まだツマミが少々残っていたので、ついでに赤星(650円)も注文した。

黒胡椒レモンそば 500円

注文を受けてスタッフの一人が厨房のどん詰まりのガス台で中華鍋をガチャコン振るい始めた。やがて運ばれてきた焼きそばの皿。麺は中細の蒸し中華麺。一度湯通ししてあるのか、油のコーティングなどはされてなさそう。具はカリッと焼かれた豚バラスライスと葱。そして味付けの黒胡椒とレモン。絞ったレモンごと、中華鍋で豪快に炒めてある。

ピリッとした黒胡椒とレモンの酸味のハーモニー

食べてみるとドンピシャで自分好みの味だ。ピリッとした黒胡椒の辛さにギュッと味わいを引き締めるレモンの酸味。これは旨い。もつ焼もそうだが、正直見くびっていた。いやはや、脱帽。おみそれしました。

カリッと焼かれた豚肉も旨い

〆てお会計は2750円。良い意味で期待を裏切るクォリティの高さだった。この店のすぐ先には、いか料理メインの系列店「いかのでん」があり、そちらのイカ焼きそばの評判も私の耳に入っている。そのうちそっちも食べにイカなきゃね。

タグ , , コメントを見る

エジプシャンレストラン&カフェ スフィンクス (東京都清瀬市)

中近東のイスラム諸国にも麺を使った料理がいつくかある。以前、八潮のパキスタン料理店のチキンチョウミンを紹介したが、インド亜大陸から離れた地域でも麺は利用されている。焼きそばと呼ぶにはちょっと無理があるかも知れないが、今回はその一つを紹介しよう。

秋津駅 エジプト料理店 スフィンクス

今回訪れたのは西武池袋線秋津駅。1駅で東京都の東村山市と清瀬市、埼玉県所沢市の2都県3市にまたがるという県境の駅だ。そこから5分ほどの距離にあるのがエジプシャンレストラン&カフェ・スフィンクス。ご夫妻2人で営まれているエジプト料理店で、エジプト人のご主人が調理、日本人の奥さんが接客を担当されている。もちろんハラールに対応。

エジプシャンレストラン&カフェ スフィンクス 店内の様子

外観も内装もピラミッドにスフィンクス、ツタンカーメンのマスクやヒエログリフで彩られた装飾品がびっしり。エジプト関連グッズで一杯だ。土曜のお昼時で、親子連れやカップルで3分の1ほどのテーブルが埋まっていた。ただ、そのうちの何割かはテイクアウトのお客さんだった。

エジプシャンレストラン&カフェ スフィンクス ランチメニューの一部

窓際の席に腰掛けてメニューをチェック。ランチではタジン鍋やコシャリ、シャクシューカ、ビリヤニなどがお得な価格で食べられる。魅力的な料理が並ぶ中から、モロヘイヤチキンのランチセット(1200円)をチョイス。以下、あれこれ調べたアラビア語を備忘録として書き出してみたが、私は全く読めない。綴りや発音・解説が間違っていたらご容赦のほどを。

人参ドレッシング、旨いよね

まずはサラダだ。キャベツの千切りを中心とした生野菜に、インド料理店では定番の人参ドレッシングが掛かっている。オレンジ色のこのドレッシング、ほどよくスパイシーで妙に美味いんだよなあ。

ショルバト・リサン・アスフール

続いてスープ。「ショルバト・リサン・アスフール」(Shorba lesan asfour/ شوربة لسان عصفور )というスープで、アラビア語で「雀の舌(リサン・アスフール)」と呼ばれるショートパスタが使われている。2cmほどの長さで両端が尖っていてメロンの種のような形だ。調べたらリゾーニというパスタとほぼ同じ品だった。出汁は鶏で、さっぱりした味わい。以前、ペルー料理店でもショートパスタ入りのチキンスープが出されたのを思い出す。

モロヘイヤチキン ランチセット1200円

そしてメインディッシュのモロヘイヤチキンとライスが運ばれてきた。モロヘイヤはエジプト原産。アラビア語で「王様の野菜」を意味する「ムルキーヤ」(Mulukhiyah/ ملوخية )が、日本へ伝わる際に「モロヘイヤ」と訳された。現地は細かく刻んでスープにするのが定番で、そのスープ自体も「ムルキーヤ」と呼ばれている。

ムルキーヤ・ビ・ダッジャージ

今回のモロヘイヤチキンは、アラビア語だと「ムルキーヤ・ビ・ダッジャージ」(Mulukhiyah bial dijaj/ ملوخية بالدجاج )で合ってるのかな。粉末状のモロヘイヤがたゆたうチキンスープに、ソテーした鶏肉の塊が3切れ沈んでいる。サラっとしているが、実際に食べてみるとちゃんとモロヘイヤのぬめり気がある。ガーリックの香りが立って、滋味に富んだ味わいのスープだ。

ロズ・ビ・シャーレイヤ

ライスは「ロズ・ビ・シャーレイヤ」(Ruz bil She’reya/ رز بالشعرية )と呼ばれるパスタ入りライスだ。「ロズ(リズ)」( رز )は「米」、「シャーレイヤ(シャアリーヤ)」( الشعرية)は「麺・パスタ」を意味する。中近東では広く普及していて、「エジプト風ライス」「レバノン風ライス」「シリア風ライス」など地名で呼ばれることも多い。イラン周辺まで行くと、ペルシア語の「レシュテ・ポロ」(Reshte Polo/ رشته پلو )に呼び名が変わる。参考になりそうなレシピ動画を貼っておこう。

使われているパスタは「ヴェルミチェッリ」(Vermicelli/バーミセリ)や「カペッリーニ」(Capellini/エンジェル・ヘア・パスタ)に相当する極細のパスタ。アラビア語では「マカローナ・シャーレイヤ」(Macarona She’reya/ معكرونة الشعرية )と呼ぶらしい。乾麺のまま折って2~3cmくらいに短くし、熱した油でキツネ色になるまで炒める。米も加えてさらに炒めて、塩と熱湯あるいはチキンスープを加えて水分が無くなるまで煮込んで炊き上げる。麺を炒める工程があるので「焼きそば」系の料理とみなし、当ブログで取り上げてみた。

パッと見はそばめしっぽい

スフィンクスの「ロズ・ビ・シャーレイヤ」は割としっかり味付けされている。奥さんによるとエジプトで米を食べる場合、日本の白米と違ってほぼ例外なく下味をつけているらしい。ちなみに米は日本の米を使用。もともと現地でもこのタイプのジャポニカ米が食べられているそうだ。できあがりの見た目は色の白い「そばめし」である。パスタだけ食べてみると小麦粉の麺独特の食感と味わいで、米とは明らかに異なる。しかし米と一緒に頬張ると存在感がほとんど無くなる。ただ美味しいことは間違いない。たぶん食べ慣れて経験を積むと、パスタ入り独特の味わい深さが分かるんだろうな。

スープをご飯に掛けて食べます

そのパスタ入りご飯にモロヘイヤチキンをスープごと掛けて食べる。モロヘイヤのトロみと鶏肉の旨味がご飯と相まって、さっぱりした味わいだ。ライスへの出汁の滲み加減は、シンガポール・チキンライス(海南鶏飯)に似ているかも。食べごたえもあり、万人受けしそう。ただ最後まで同じ味が続いたので、他にもう一品、少しスパイシーな副菜を頼めばよかったな。

食後はエジプトの紅茶、「シャーイ(Shaay/ شاي)」で一服。余談になるが、世界各国でのお茶の呼び方は「チャ(cha)」と「ティー(tea)」に分かれるそうだ。福建省から海路で伝わった地域では「ティー(tea)」、広東省から陸路で伝播した地域では「チャ(cha)」と呼ぶ。エジプトは後者のようだ。キリンのサイトの解説がわかりやすい。そしてお茶に負けず劣らず、麺食文化の伝播もかなり複雑だ。

エジプトの紅茶、シャーイで締め

今回の記事で「パスタ入りライス」を知った方の中には、「イタリアからイスラム文化圏にパスタが伝わったんだな」と考える人がいるかも知れない。しかし実はそうとも言い切れない。麺文化研究の第一人者である石毛直道氏は著書『麺の文化史』で、”中国で生まれた麺文化は、アラビア半島に起こったイスラム文化圏を経由し、イタリアを含む地中海に伝えられたのでは”と推測している。つまりイタリアでパスタが食べられるようになる以前から、イスラム文化圏で「パスタ入りライス」が存在した可能性も十分にありうるのだ。

『麺の文化史』より抜粋

米と麺を混ぜて調理するのは、乾麺のパスタが保存食として重宝するという側面も大きいのだろう。ただ日本の「そばめし」やインドの「コンビネーション・ライス・ヌードル」、果ては南米ペルーの「アエロプエルト」、コロンビアの「アロス・コン・フィデオス」など、米と麺の混合料理は想像以上に多い。東欧系ユダヤ料理の「カーシャ・バーニッシュカス」も、穀物(蕎麦の実)とショートパスタを混ぜ炒めて煮込んだ料理と考えれば同系統だ。もしかしたら何かしら普遍的な美味しさが、この食べ方にはあるのかも知れない。

神戸市長田区 青森のそばめし

また、長い麺をわざわざ短く切って利用するという点は、ウイグル料理の「コルマ・チョップ」と共通している。そっちは手食文化によるものかな。麺食文化の伝播について考察し始めると止まらなくなる。そういうのが好きな物好きさんは、以前こちらの記事で公開した「世界焼きそばMAP」もチェックしてね。

初台 シルクロード・タリムのコルマ・チョップ

秋津のエジプト料理店、スフィンクスには他にも興味深いメニューが多々あった。「マカロナ(マカロニ)」を使ったパスタ料理も試してみたいし、エジプトのビリヤニがどんな味かも気になる。「チキンカジュ」のカシューナッツ・ココナッツミルク・トマトソースという組み合わせとかインドカレーっぽいけど、たぶんいろいろ異なってそう。ちなみにこちらのインタビュー記事によると、店主のムハンマドさんは日本の焼きそばが好きらしい。これはまた近々再訪せねば、だな。

タグ , , , , コメントを見る

ともくん家 赤坂見附店 (東京都港区)

私が所属する食べあるキングの10月の定例会が、「大阪お好み焼き ともくん家 赤坂見附店」で開催された。本店は新橋にあり、この 赤坂見附店は9月25日にオープンしたばかり。

大阪お好み焼き ともくん家 赤坂見附店

新橋のともくん家本店は食べあるキング仲間の人気ブロガー、フォーリンデブはっしーさん「神接客!」と絶賛するお好み焼き店。その新店と聞いて、いやが上にも期待が高まる。

大阪お好み焼き ともくん家 赤坂見附店

店舗は繁華街のビルの3階だ。エレベーターを降りたらスタッフの方が早速出迎え、上着や手荷物などを預かり席へと案内してくれた。フロアは広くゆったりめ。この日は貸し切りだったけど、普段でものんびり楽しめそうだ。

ともくん家 赤坂見附店 店内の様子

諸々打ち合わせの後、全員揃って乾杯してコーススタート。料理点数が多いのでざっと紹介していこう。なお各料理とも1テーブル6人に一皿が出され、店の方に取り分けていただいた。それでも満足できる分量だった。

淡路島産玉ねぎサラダ 950円

1品目は「淡路島産玉ねぎサラダ(950円)」。甘い肉厚のシャキシャキ玉ねぎがたっぷり。

焼き枝豆 550円

2品目は「焼き枝豆(550円)」。鉄板焼き店で定番になりつつあるが、こちらでも「リピート率No.1」らしい。味が染みてて美味しいので鞘まで食べちゃいそうになる。

自家製もやしのナムル 500円+カリカリじゃこ

3品目は「自家製もやしのナムル(500円)」のカリカリじゃこトッピング。乙な味でちょうど良い箸休めだ。ここからドドドッと怒涛の肉フェーズに入る。

美桜鶏のもも塩焼き 1300円

肉の先鋒は「美桜鶏のもも塩焼き(1,300円)」。山梨県・長野県・静岡県で育成されたブランド地鶏を、皮はパリッと、肉はジューシーに焼き上げてある。良い塩梅の塩コショウとおろしワサビ・レモンで素材の味わいを楽しもう。

砂肝と野菜焼きのチーズがけ

続いては正確な料理名を忘れてしまった。たしか砂肝と野菜焼きのチーズがけだったかな。コリコリした砂肝の歯ごたえが楽しい。

鉄板ビーフハンバーグ 1200円

肉料理の締めは「鉄板ビーフハンバーグ(1,200円)」。自家製ガーリックバターを載せた逸品で1日10食限定とのこと。肉に一家言あるメンバーが揃う食べあるキングの面々も大満足のハンバーグ。この店のポテンシャルを感じた。

デラねぎ焼き 1300円

そして仕上げのコナモン3連発。まずは「デラねぎ焼き(1300円)」。ねぎ焼きというとシンプルさが特徴だが、今回は牛スジと卵に加え、イカも入れてもらった。香ばしく焼かれた青ネギの風味を小麦粉の生地がふんわりまとめている。レモンでさっぱりいただいたあと、好みで辛口のどろソースも試したり。

デラねぎ焼き 1300円

本命のお好み焼きは敢えての「明太子白玉ミルフィーユ玉(1,350円)」というチョイス。なんとお好み焼きの中に明太マヨソースと白玉だんごが隠れている、味わいも食感も斬新な一枚。それだけでなく生地の出汁やキャベツの甘味など、ベースのお好み焼きもしっかり美味い。

焼きそばメニュー

焼きそば担当の私に運営が配慮してくれて、ラストは焼きそばだ。メニューに9種類載っている中から選ばれたのは、塩バター焼きそば(1,150円)。極太の茹で麺とたっぷりの海鮮を鉄板で炒め、塩バターで味つけした、フォーリンデブはっしーさん一押しの焼きそばである。

塩バター焼きそば、調理の様子

私は席を離れ、鉄板前で調理の様子をガン見して、シェフに質問しまくり。

「麺は生麺の状態で仕入れているんですか?」
「イカを最初から焼いたら固くなりすぎません?」
「いま麺に和えたの、なんですか?」
「そのバターは下味とかつけているんですか?」

そんな不躾な質問にも関わらず、一つ一つ丁寧にお答えくださった。各工程、各食材の工夫に感心してしまう。

塩バター焼きそば 1150円

出来上がった焼きそばはモチモチ太麺に魚介の旨味が滲みていて、一口頬張るとニンマリしてしまう旨さだ。塩バターと魚介の相性はもちろんだが、玉ねぎとプチトマトの甘味・酸味が下支えしている。何よりそもそも大阪から取り寄せているという麺自体が美味しい。もっと食べたくなる、あとを引く美味しさだった。

綺麗どころが集まって記念撮影

この日はちょうど食べあるキング・激辛担当、金成姫さんの誕生日。バースデーケーキならぬハート型のお好み焼きでお祝いしていただいた。もう一枚の皿には食べあるキングのロゴを丁寧に再現してあった。

一つ一つの料理はもちろんだが、こうした細やかなおもてなしの配慮が、はっしーさんをして「神接客」と言わしめているのだろう。まさに「神は細部に宿る」。近い内に再訪して、豚玉やソース焼きそばなど、ベーシックなコナモンも食べてみたいなあ。

タグ , , , コメントを見る

旬菜 和家 (東京都中野区)

7年近く前、当ブログで「もじよ」という店をこのブログで紹介したことがある。長崎の郷土料理を提供していた近所の店だが、その後、もじよは閉店し、「旬菜 和家」という店に引き継がれた。今回はその旬菜 和家を紹介したい。

中野区丸山 旬菜 和家

場所は野方駅から北原商店街を北上し、新青梅街道を渡ってすぐ。外観も内装も、もじよの頃とほとんど変わっていない。客席はカウンター5席、テーブル3卓、小上り1卓。店主は新潟県村上市の出身で、もじよ時代にスタッフとしても働いていたそうだ。私のことも覚えていてくれた。忙しいと常連さんが注文取りや品出しをしてくれるなど、店は和やかな雰囲気に包まれている。

アサヒスーパードライとお通しの温奴

メニューは店主の出身地である新潟の郷土料理のほか、日替わりで鮮魚や揚げ物などバラエティに富む品が並ぶ。この日のお通しは冷奴ならぬ温奴だった。飲み物は瓶ビールを注文。アサヒとキリンからアサヒを選択した。

栃尾の油揚げ焼 580円

とりあえずのツマミは栃尾の油揚げ焼(580円)と冷やしトマト(350円)。新潟県栃尾市名物のジャンボ油揚げは、油揚げのサクサクした口当たりと厚揚げの食べ応えが両立していて、大豆の味わいもはっきりわかる。私が初めて食べたのは2006年のことだったが、今では居酒屋なんかでちょくちょく見かけるようになった。冷やしトマトは期待通りのさっぱり味。岩塩なのか塩に赤い粒が混じっていた。

珍味・莫久来(ばくらい) 680円

続いて一杯だけ日本酒に切り替えて、珍味・莫久来(ばくらい/680円)を注文。ホヤとコノワタ(なまこの腸)を和えた塩辛を、箸でちょいとつまんで頬張ると、海の香りが鼻腔から抜けていく。日本酒は越後麹屋純米酒。1合750円。これと日本酒だけで長時間じっくり飲めそうだ。

鶏の竜田揚げ 650円

こちらは鶏の竜田揚げ(650円)。一切れ一切れが大きく、満足度高し。スダチにマヨネーズ、ハジカミと、添えられた品々で味変を楽しめるのも嬉しい。

なんとメニューにあのイタリアンがあるんです

そして締めは新潟が誇るB級グルメ、イタリアンだ。このブログをお読みの方はもちろんご存知だと思うが、新潟にはみかづきやフレンドというチェーン店があり、焼きそばにトマトソースやミートソースを掛けた「イタリアン」という食べ物が普及している。詳しくは約一年前に書いた「みかづき イトーヨーカドー丸大店」の記事を読んでほしい。この旬菜 和家では、なんとそのイタリアンを提供しているのだ。

イタリアン 680円

旬菜和家のイタリアン(680円)も、みかづきに倣って太麺を使用している。麺と一緒に炒めてある具はウインナー、キャベツ、モヤシ。たっぷり掛けられたトマトソースには、スライスされたマッシュルームがちらほら。さらに針生姜とカイワレ大根が添えてあり、ご丁寧にフォークがついてくる。焼きそば自体はソース味だが、トマトソースの風味を活かすためにやや抑制気味。野菜から出る水分で薄まらないよう、絶妙な塩梅で味付けされている。

フォーク&太麺&トマトソース

みかづきでは紅生姜ならぬ白生姜を添えるが、こちらの針生姜やカイワレ大根もなかなか合っている。オリジナルの完全コピーを敢えて目指してない無いのが却って面白い。量はかなり多く、一人ならこれともう一品くらいで満腹になるんじゃなかろうか。それにしてもこんな近所でイタリアンが食べられるとは灯台下暗しだった。

へぎそば(一人前) 750円

せっかくなので他の日にいただいたへぎそば(一人前 750円)も載せておこう。中越地方の名物でふのりを練り込んだへぎそばは、滑らかなのどごしと独特な風味、エッジの立った腰が魅力だ。初めて食べたのは小千谷の角屋という店で、2005年のことだった。懐かしいなあ。

店長さんとは村上にある焼きそば専門店・天茂(てんしげ)の話題でも盛り上がった。人口の多い東京でも、あの店へ行ったことあるが人は少ないだろう。しかも自分の場合は2度訪問したんだった。遠いけどまた行きたいなあ……。

この日のお会計は2人で6000円弱。近場にこういう店があると、とても助かる。タレカツ丼が未食なので、それも近々食べに行かねば。

タグ , , , コメントを見る

上海小吃 (東京都新宿区)

いきなりだが中華料理に特化したWEBマガジン、80c(ハオチー)をご存知だろうか。充実した内容の記事が多くて愛読しているのだが、中でも「中国全省食巡り」という連載がとても楽しい。執筆者は飽くなき探究心で中国本土を食べ歩いている酒徒さん。料理への思い入れがほとばしる文章で食欲が刺激されること間違いなし。ぜひご一読いただきたい。

歌舞伎町 上海家庭料理 上海小吃

その連載第一回「上海で食べるべき料理3選」では「菜饭」「糖醋小排」「葱油拌面」という料理が紹介された。どれも耳にしたことのない料理だが、記事を読むと無性に食べたくなる。可能ならもちろん現地へ行きたいが、とりあえず予習のつもりで食べておきたい。そんな欲求もあり、知り合い2人と新宿で飲む機会に歌舞伎町の上海小吃を提案してみた。

上海小吃 店内の様子

上海小吃は「思い出の抜け道」と呼ばれる一角にある上海家庭料理の店だ。「思い出の抜け道」は思い出横丁やゴールデン街にも増して往年の雰囲気を色濃く残すエリアで、足を踏み入れるだけでも楽しめる。店自体も中国本土を想起させる造りで、品揃えも幅広い。特に虫や珍しい肉・部位を提供する珍味の店として知られている。

まずは青島ビールで乾杯

まずは青島ビールで乾杯。2人に断って、例の記事で取り上げられていた料理3品を注文。この店が2軒めで胃袋もだいぶ膨れていたので、あれこれ試す余裕がない。お通しとして出された蓮根とパプリカの炒めものをつまんでいると、「菜饭」「糖醋小排」「葱油拌面」の順で運ばれてきた。

上海ならではの料理が並ぶ

1品目は上海菜饭(シャンハイ ツァイファン/1500円)。この店のメニューでは「上海野菜チャーハン」という日本語訳が当てられているが、正確には炒めた具を使った炊き込みご飯だ。

上海菜饭(シャンハイ ツァイファン) 1500円

件の記事によると本場では平たい巨大な鉄鍋を使うそうだが、この店では和風の土鍋を使っている。ラードを混ぜ込んだツヤツヤご飯と細かく刻んだ青梗菜に、干し肉らしき極小の赤い肉片が混ざっている。素朴ながらもコクたっぷり。滋味あふれる味わいだ。

糖醋小排(タンツゥシァォパイ) 1200円

続いて糖醋小排(タンツゥシァォパイ/1200円)。メニューの日本語訳は「スペアリブの甘酢煮」。「骨付き肉を中国から取り寄せた黒酢(香酢)で煮込んだもの」との説明書きが付されている。3〜4cmに寸断されたスペアリブを手に取り、前歯で骨からこそげ取るように齧りつく。濃厚な甘さとほどよい酸味の煮汁が、柔らかな肉と衣によーく滲みてて、実に美味い。極上の酒の肴だ。

葱油面(ネギ油ソバ) 850円

3品目が葱油拌面(ツォンヨウ バンミィェン)。この店では「葱油面/ネギ油ソバ(850円)」という名前で提供されている。ネギをじっくり炒めた油をベースにしたタレと麺を絡めた麺料理だ。タレは中国のたまり醤油・老抽や砂糖などを使っていて甘じょっぱい。食材は麺と葱だけというとてもシンプルな料理なのに、後を引く不思議な食味だ。

麺の食感も独特

味付けも特徴的だが、麺の食感も独特だ。太さは中細で断面は丸いストレート麺。原料は小麦粉だと思うが、もしかしたら乾麺かも知れない。押し出し麺ぽいムニュムニュした腰の無さで、雲南米線を思い出させる。

「油そばなら、焼きそばじゃなくね?」
「焼きそばブログで紹介していいの?」

そんな声が聞こえて来そうだが、実際のメニューを見てほしい。

メニューの葱油面(ネギ油ソバ)は……

実物はあらかじめ麺とタレが絡めてあってメニュー写真とは全く違う見た目だが、注目してほしいのはそこではない。

油で炒めたネギに麺を絡めた焼きソバです

油で炒めたネギに麺を絡めた焼きソバです

そう、この店のメニューではこの葱油面(ネギ油ソバ)を「焼きソバ」と紹介しているのだ。私個人の焼きそばの定義のひとつ、「焼きそばという料理名で提供されている」という条件にドンピシャで適っている。本来は「炒面(炒麺)」ではなく「拌面(拌麺)」なのだが、少なくともこの店の葱油面は焼きそば扱いでも間違いではないのだ。えっへん。

上海老酒・石庫門

青島ビールの後は上海老酒・石庫門をボトルで注文。「碧緑毛豆(ちんげん菜と枝豆/800円)」を追加するなどして、お会計は1人2700円くらい。以前、一人で食べた「麺筋絲瓜(麩とヘチマの煮込み/1500円)」も美味しかったし、珍味目当てでなくてもおすすめしたい店だ。

碧緑毛豆(ちんげん菜と枝豆) 800円

目的だった3品を全て食べることができ、新鮮な食体験を経て中華料理の奥深さをこれまで以上に実感した。ただ、あくまでもここは東京。いつかは現地、上海の専門店や人気店で食べてみたい。その思いを新たにした。

タグ , , , コメントを見る

東京焼き麺スタンド (東京都世田谷区)

都内周辺の焼きそば専門店はまだまだ数が限られている。それでも当ブログ開設当時に比べれて5倍以上に増え、特に2016年の新店オープンラッシュで急増した。一時期の勢いは落ち着き、既に閉じた店もあるが、今でも新しい専門店はポツポツ誕生している。

下北沢西口 東京焼き麺スタンド

今回紹介する東京焼き麺スタンドは、下北沢で7月1日にオープンした焼きそば専門店だ。意外かも知れないが、下北沢には焼きそばを主力にしている飲食店はこれまで無かった。この地での専門店誕生は実に嬉しい。

東京焼き麺スタンド 店内の様子

場所は下北沢駅西口側。本多劇場周辺の喧騒とは無縁の静かな通り沿いだ。居酒屋の2階への階段を上がって、右側の扉が入り口。客席は壁沿いのカウンターが5席に、2人掛けテーブルが1卓と、4人掛けが1卓。スタッフは男性3人。雨の平日夜で先客はいなかった。

東京焼き麺スタンド 券売機

正面の券売機のメニューは、スペシャル焼きそば(750円)と夜飲み5食限定のそばめし(850円)。あとはトッピングやドリンクのみというシンプルな品揃えだ。

セットドリンク 250円

千円札を滑り込ませてスペシャル焼きそば(750円)とセットドリンク(250円)の食券を購入し、スタッフに渡す。セットドリンクは生ビールかハイボールを選べ、ビールを選択。よく冷えたタンブラーに注がれたアサヒスーパードライがすぐに出てきた。

中華鍋で炒められたスペシャル焼きそば

調理は鉄板ではなく中華鍋を使っている。客席からでも火力が強いのが見て取れる。注文から9分ほどで出来上がり。トレイに載せられた焼きそばが運ばれてきた。

スペシャル焼きそば 750円

麺は太い生麺を使用。味付けはソース。具は豚肉とキャベツ。トッピングに目玉焼き、青海苔、紅生姜。構成要素はオーソドックスなソース焼きそば、そのものだ。しかし一つ一つの食材にこだわりが見て取れる。

三河屋製麺謹製のモチモチ太麺

太麺は北海道産小麦を100%使用。三河屋製麺の箱が積まれていたので、そちらに発注しているのだろう。その場で茹でた生麺ならではのモチモチした食感が特徴的だ。

中華鍋でしっかり焼き目をつけてある

しなやかな腰に加え、中華鍋でしっかり焼き目をつけてある麺には、ソースがよーく滲みている。ソースはオリジナルブレンドだそうで、甘酸辛のバランスが良い。トマトケチャップのような風味も香る。

豚肉とキャベツは一切れ一切れが大振り

具の豚肉とキャベツは麺とは別々に炒めて、盛り付けで合わせているようだ。それぞれ一切れ一切れが大振りで、豚肉の食べごたえ、キャベツの甘味が印象的だ。

過熱水蒸気で調理されたフワトロ目玉焼き

目玉焼きは壁に貼られた説明書きによると「加熱水蒸気(過熱水蒸気?)」で調理されているそうだ。絶妙な黄身の半熟具合で、麺に絡む。個人的には白身の端がカリッと焼かれた目玉焼きが好みだが、こういうフワッとした目玉焼きも美味い。

半分ほど食べたところで味変

半分ほど食べたところで、卓上の特製からしマヨネーズと七味も加えてみた。マヨの濃厚なコクと七味の辛さが食欲をさらに刺激する。全体のボリュームが結構あるので、こうした味変も楽しい。

総評としては、材料を吟味して丁寧に作った正統派のソース焼きそば、といったところか。やきそばる亀戸やきそばのようなパッと見のインパクトには欠けるが、誠実さを感じさせる美味しい一皿だった。

食後、お願いして少しお話を伺ってみた。店長の黒田康介さんはオープン直前の6月まで、大手町で証券マンをされてたという。仕事で飲食関連企業とも接点があり、前から興味があったとか。

元証券マンの店長、黒田康介さん

鉄板ではなく中華鍋で調理するのは、麺をまんべんなく焼くためと、パスタのようなバリエーションの広がりを想定してのことらしい。今はソース焼きそばと焼き飯だけだが、そのうち他の焼き麺も増えそうだ。

「焼きそばは国民食だけど、いまだ軽く見られている。その地位をもっと向上させたい」

その想いは多くの焼きそば専門店と共通しているところだ。お酒やおつまみをあまり置いていないのも、焼きそばで勝負したいから、とのこと。近々フードワゴンも始めるらしいので、そのうちそちらも訪れてみたい。下北沢へ来られた際は、ぜひ西口まで足を伸ばしてモチモチ焼きそばをご賞味ください。

タグ , , コメントを見る

炭火家おだづもっこ (東京都杉並区)

高円寺に牛タンや気仙沼ホルモンなど、宮城県の郷土料理を提供している店がある。屋号は炭火家おだづもっこ。そこに何やら変わった焼きそばがあるらしい。「友達がそこでバイトしてる」という知人と一緒に行ってみた。

高円寺 炭火家 おだづもっこ

訪問したのは9月中旬。平日の19時半くらい。JR高円寺駅から線路沿いを中野方面に歩き、環七を渡ると目の前に看板が現れた。店内はコの字カウンターとテーブルが2卓。客は7割ほどの入りだ。ちなみに「おだづもっこ」とは宮城弁で「お調子者」のことらしい。

炭火家おだづもっこ 飲み物メニュー

とりあえずカウンターに腰掛けて2人とも生ビール(480円)。ビールはサントリーモルツ。と、隣で飲んでるでかいジョッキが目に入り、2杯めはレモンサワー(420円)の超ドデカグラス(+300円)ってやつを注文してみた。

超ドデカグラスがでかすぎる

なるほど、でかい。生ビール用のジョッキがずいぶんと小さく見える。おかわりの手間が省けて、たぶん価格的にもお得なのだろうが、いかんせん手首が疲れるのが難点だな。

おごご 350円

この日のお通しは、鶏と豆腐の煮物だった。おつまみもいろいろ注文。まずは「おごご(350円)」。柚が香る白菜漬けだ。たぶん「おこうこ」を宮城弁で発音すると「おごご」になるのだろう。

カツオのなめろう 550円

続いてはカツオのなめろう(550円)。なめろうというとアジが定番だが、カツオもあるのか。カツオの旨味に薬味と味噌で酒が進む。超ドデカグラスが軽くなってゆく。

気仙沼ホルモン 650円

そして気仙沼ホルモン(650円)。半世紀ほど前から気仙沼で普及しているご当地グルメで、味噌ニンニクだれに漬け込んで焼いた豚のモツをキャベツの千切りと一緒に提供する。本来はウスターソースを掛けるらしいが、酸味の効いたタレもキャベツに合う。いつか現地でも食べてみたいな。

串もり5本 550円

他に焼き鳥の盛り合わせも注文した。串もり5本で550円。屋号に「炭火家」と冠しているだけあって、炭火焼きももちろん美味い。写真の3本とは別にあとから来た「丸ハツ」のプリッとした歯ごたえが特に印象的だった。

炭火家おだづもっこ メニューの一部

締めに目的のおだづもっこ焼きそば(680円)。この焼きそばはなんとイカの塩辛を具に使っているのだ。中細の蒸し麺とイカ塩辛をフライパンで炒めたところに、生クリームを適量注いで混ぜ合わせる。青ネギと海苔をトッピングして出来上がり。

おだづもっこ焼きそば 680円

口にするまではイカの塩辛さが尖り過ぎてるのではと予想していたのだが、生クリームがその角をまろやかにまとめあげている。和風パスタ屋の明太子スパゲティや、ニューヨークのYakitori Taishoで食べたサーモンクリーム焼きそばと似た塩梅だ。塩加減の強い食材でも、こうすれば焼きそばに使えるんだなあ。

塩辛の角を生クリームがまろやかに

途中から日本酒に移行して、お会計は7500円くらいだったかな。同行者の友達はバイトが休みの日だったが、たまたま客としてやって来ていて、二人で盛り上がっていた。駅から割と近い上に朝5時までやっているので、いつかまた利用させてもらおう。その時は牛タンを食べたいなあ。

タグ , コメントを見る

縄文の豚 (東京都新宿区)

新宿西口、思い出横丁のラーメン若月今年1月に閉店した。Twitterには嘆きの声が溢れ、閉ざされたシャッターに貼られたお知らせの紙には慰労のメッセージが寄せられた。

もちろん私も悲嘆にくれた。東京を代表する焼きそばの老舗。そして私が焼きそばブログを始めるに当たって初回記事に選んだ店でもある。思い入れはひとしおだ。

時は流れて今年の6月14日。若月の跡地にもつ焼きの店がオープンした。屋号は「縄文の豚」という。

新宿西口 思い出横丁 もつ焼き 縄文の豚

若月の頃は直線のカウンターだけだったが、縄文の豚では奥にも席を設けてL字カウンターになっている。内装もずいぶんと綺麗になったが、若月の頃の雰囲気は色濃く残っている。

おまかせ5本盛り 680円

お通しのキャベツ味噌が300円、もつ焼きのおまかせ5本盛りが680円。観光地化の一途を辿る思い出横丁の新店としては、リーズナブルで良心的な価格設定だ。焼台に立つのは寿司職人を30年やっていたという男性。その方のお話によると、同横丁に複数店舗を出店している埼玉屋さんの紹介で開業したそうな。

平日ランチで若月の焼きそばが復活!?

実はここからが本題。その縄文の豚では平日の昼間にランチをやっている。塩見なゆさんのツイートで知ったのだが、その縄文の豚の平日ランチで、なんとあの若月の焼きそばが復活したのだ! しかも焼いているのは元若月店主の竹内次作さん、ご本人というから驚きだ。

元若月店主、竹内次作氏が自ら焼きます

矢も盾もたまらず、平日に仕事を抜けて訪問してみた。ご本人にうかがったところ、健康上の理由で若月を閉店したが、ランチ程度の短時間なら大丈夫ということで、9月7日くらいから復活したそうな。若月を一緒に営まれていた奥様も、店には出ていないがお元気とのこと。いやー、良かった良かった。実に喜ばしい。

縄文の豚ランチメニュー

ランチの焼きそばは並盛り(500円)と大盛り(600円)がある。復活祝いも兼ねて大盛りと瓶ビールを注文。焼きそばの価格は100円ほど値上がりしていて、瓶ビールもサッポロ・キリンの両ラガーからプレミアム・モルツに変わってしまった。さらに焼きそば用の鉄板は新調され、中央にあった窪みも見当たらない。

鉄板で炒める手付きは当時のまま

しかし若月ファンとしては再び味わえるというだけで感謝したくなる。菜箸とヘラでチャッチャと焼き上げる竹内さんの手付きも当時のままだ。1948年(昭和23年)に創業した若月で、ご主人が焼きそばを焼き始めたのが今から約50年前。以来、半世紀。鉄板の前に立てば身体が自然と動くのだろう。

焼きそば 大盛り 600円

出来上がった焼きそばを皿に盛り付け、「はい、どうぞ」。若月独特の太い蒸し麺にキャベツ、モヤシ。青海苔と紅生姜をトッピングして、「味が薄かったらどうぞ」とソースのボトルを添えてくれる。ああ、まさかこの山盛りのビジュアルを再び拝めるなんて!

短く千切れて少し焦げた太麺

色が心持ち濃くなってキャベツもやや増えたかな。でも味わいはかつての若月と全く変わっていない。短く千切れて少し焦げた太麺の独特なあの歯応え。後がけソースをぐるっと掛ければ、より一層ビールに合う。あー、これだ。この味だ!

後がけソースをぐるっと掛けて

若月というと自家製麺のラーメンでも有名だった。そのため焼きそば用の麺も自家製と勘違いされがちだが、実は蒸し麺は業者へ特注している。以前は終日営業なのでまとまった量を仕入れていた。しかし平日ランチの分だけだと注文量が限られてしまう。蒸し麺は手間が掛かるため、量が少ないと普通は断られる。しかし今回は特別に請け負ってもらえて復活が実現したそうだ。製麺業者さんにも感謝感謝である。

後がけソースをぐるっと掛けて

そういえば日本テレビの『誰だって波瀾爆笑』という番組で、私が若月を紹介したのは昨年9月10日の放送回だった。それからちょうど一年。この一年の間に若月が閉店し、しかも復活するなんて想像だにしなかった。

2017年9月10日 NTV「波瀾爆笑」より

五反田で再開した後楽そばや、先日紹介した前橋のあくざわ亭など、今年は老舗の焼きそば復活の報が相次いでいる。私の焼きそばブログの主目的は、各地で愛されてきた焼きそばを記録として残すことだが、焼きそばそのものが次代に受け継がれるなら、これに越したことはない。

「若月」の看板に再び明かりが灯された

一度消えた思い出横丁「若月」の看板に、約8ヶ月ぶりに明かりが灯された。外が明るいため気づきにくいかも知れないが、焦げたソースに引き寄せられて、また多くの人が訪うことだろう。

「前回の東京オリンピックのときは、ここからブルーインパルスが空に五輪を描くのが見えたんだよ」

そう語ってくれる竹内さん。2年後に控えた東京オリンピックも、この鉄板の前で迎えることになりそうだ。

タグ , , コメントを見る

油焼きそば専門店 良(りょう) (東京都目黒区)

自由が丘に「良(りょう)」というお好み焼き店がある。ご存知の方もいらっしゃるだろうが、浜松町にある焼きそば専門店りょうの母体の店だ。その自由が丘のお好み焼き・良が、金土日祝の昼営業だけ「油焼きそば専門店」という別業態をこの5月から始めた。昼顔・別顔、油焼きそば専門店 良(りょう)。聞き慣れない「油焼きそば」という名前に興味津々、9月頭の土曜日に訪れてみた。

自由が丘 油焼きそば専門店 良(りょう)

訪問したのは午後1時過ぎ。駅から200m程度の距離にある雑居ビルの2階に良はある。ちなみに同ビル3階には四川料理の吉華が入っている。以前、当ブログで紹介したこともある上野毛の吉華本店は一昨年閉店してしまったが、こちらではまだ少子麺(四川風田舎やきそば)が食べられる。あの味をもう一度食べてみたいな。そんなことを考えつつ2階へ。

油焼きそば専門店 良(りょう) 店内の様子

席はカウンターが6席に窓際のテーブルが2卓。奥には掘りごたつの座敷席もあって、意外と広い。先客は一人だけだったが、あとからグループが2組入ってきた。夜は予約で一杯のことも多いらしい。

油焼きそばとは?

さて、気になる油焼きそば。どうやら韓国料理の石焼ビビンバなどに使う石焼き器・石焼き鍋を使った焼きそばのようだ。ステーキプレートなどで提供する焼きそばは割と見かけるが、石焼き鍋とは珍しい。

油焼きそば メニュー

メニューにはベジ焼きそば・豚焼きそば・えび焼きそば・スペ焼きそばの4種類が載っている。浜松町の良を豊富うつとさせる品揃えだ。選んだのはスペ焼きそば(950円)。無料サービスの大盛り、麺量1.5倍もお願いした。

なんか色んなものが並べられた

厨房で調理が始まってしばらくすると、ホール担当の女の子がカウンター上にあれこれ並べ始めた。油焼きそば専用のトッピング類だ。いか天(揚げ玉)、青のり、ソース、マヨネーズ、紅生姜。至れりつくせり、このラインナップも浜松町そのままだ。

目玉焼きと青ネギも先に運ばれてきます

続いてトッピングの青ネギ、目玉焼きも運ばれてきた。左の金属カップに入っているのは油焼きそば特有という「出汁油」。なんだか準備だけで物々しくなってきたぞ。そしてついに真打ち登場、油焼きそば! 濛々と湯気を立てている。

石焼き器で提供される油焼きそば

「熱いので火傷にお気をつけください」

そう言われなくても触りたくない器だ。手元の説明書に書かれた「油焼きそばの食べ方!」を頼りに、仕上げに掛かる。

まずはソースを掛ける

まずは先ほど並べられた調味料類からソースを手に取る。焼きそばの天辺にそのソースを掛ける。大盛りなのでシロップレードルで1.5杯。

ソースを掛けると湯気だらけ

当然、熱々の石焼き鍋でソースが熱せられ、ジューーーーという音とともに湯気で視界が覆われる。それに怯まず、割り箸で混ぜまぜ。さらに出汁油。先ほどの金属カップに入ったあれだ。それを掛けてよーく混ぜる。

よーく混ぜるのだ

ソースと出汁油で器の中は汁っぽくなってしまうがそれは大丈夫。食べている間に水分が飛んで、通常の焼きそば程度になるから気にしなくてもOK。

スペ焼きそば 950円

最後に青ネギと目玉焼き、イカ天・紅生姜・青のりをあしらっってようやく完成だ。麺は浜松町と同じく、全粒粉を使った極太の生麺をその場で茹であげたもの。もっちもちで食べ応え満点。具は軽く炒めた豚肉、キャベツ、モヤシ。それらがアツアツの石器に盛り付けられて提供され、ソース・出汁油を掛けて混ぜることで完成する。

食べてる間にも麺や具に程よい焦げが

味も良い。食べてる間にも麺や具に程よい焦げがつき、ソースと出汁油が滲みてゆく。極太麺ならではのモチモチ感だけでなく、パリッと焼かれた香ばしさも味わえる。豚やエビ、目玉焼きやイカ天など、トッピングと一緒に頬張るのも楽しい。何よりアトラクション的な趣向が面白い。自分で焼くスタイルのお好み焼きを、焼きそばでより簡易化したような印象を受けた。普通の油そばではなく、焼くことでしか味わえない風味も体験できた。

ちなみに夜のお好み焼き店では、焼きそばにもっと細めの蒸し麺を使っているとのこと。この極太全粒麺の油焼きそばは金土日祝の昼だけしか味わえない、貴重な品なのだ。麺好きの方は機会があれば、ぜひお試しあれ。

「エビとトマト両面焼きそば」を提供している中華料理・帆も自由が丘に出店したそうだし、鉄板家シュウもあるし、自由が丘の焼きそば熱、高まっているなー。

タグ , , , コメントを見る