炭火家おだづもっこ (東京都杉並区)

高円寺に牛タンや気仙沼ホルモンなど、宮城県の郷土料理を提供している店がある。屋号は炭火家おだづもっこ。そこに何やら変わった焼きそばがあるらしい。「友達がそこでバイトしてる」という知人と一緒に行ってみた。

高円寺 炭火家 おだづもっこ

訪問したのは9月中旬。平日の19時半くらい。JR高円寺駅から線路沿いを中野方面に歩き、環七を渡ると目の前に看板が現れた。店内はコの字カウンターとテーブルが2卓。客は7割ほどの入りだ。ちなみに「おだづもっこ」とは宮城弁で「お調子者」のことらしい。

炭火家おだづもっこ 飲み物メニュー

とりあえずカウンターに腰掛けて2人とも生ビール(480円)。ビールはサントリーモルツ。と、隣で飲んでるでかいジョッキが目に入り、2杯めはレモンサワー(420円)の超ドデカグラス(+300円)ってやつを注文してみた。

超ドデカグラスがでかすぎる

なるほど、でかい。生ビール用のジョッキがずいぶんと小さく見える。おかわりの手間が省けて、たぶん価格的にもお得なのだろうが、いかんせん手首が疲れるのが難点だな。

おごご 350円

この日のお通しは、鶏と豆腐の煮物だった。おつまみもいろいろ注文。まずは「おごご(350円)」。柚が香る白菜漬けだ。たぶん「おこうこ」を宮城弁で発音すると「おごご」になるのだろう。

カツオのなめろう 550円

続いてはカツオのなめろう(550円)。なめろうというとアジが定番だが、カツオもあるのか。カツオの旨味に薬味と味噌で酒が進む。超ドデカグラスが軽くなってゆく。

気仙沼ホルモン 650円

そして気仙沼ホルモン(650円)。半世紀ほど前から気仙沼で普及しているご当地グルメで、味噌ニンニクだれに漬け込んで焼いた豚のモツをキャベツの千切りと一緒に提供する。本来はウスターソースを掛けるらしいが、酸味の効いたタレもキャベツに合う。いつか現地でも食べてみたいな。

串もり5本 550円

他に焼き鳥の盛り合わせも注文した。串もり5本で550円。屋号に「炭火家」と冠しているだけあって、炭火焼きももちろん美味い。写真の3本とは別にあとから来た「丸ハツ」のプリッとした歯ごたえが特に印象的だった。

炭火家おだづもっこ メニューの一部

締めに目的のおだづもっこ焼きそば(680円)。この焼きそばはなんとイカの塩辛を具に使っているのだ。中細の蒸し麺とイカ塩辛をフライパンで炒めたところに、生クリームを適量注いで混ぜ合わせる。青ネギと海苔をトッピングして出来上がり。

おだづもっこ焼きそば 680円

口にするまではイカの塩辛さが尖り過ぎてるのではと予想していたのだが、生クリームがその角をまろやかにまとめあげている。和風パスタ屋の明太子スパゲティや、ニューヨークのYakitori Taishoで食べたサーモンクリーム焼きそばと似た塩梅だ。塩加減の強い食材でも、こうすれば焼きそばに使えるんだなあ。

塩辛の角を生クリームがまろやかに

途中から日本酒に移行して、お会計は7500円くらいだったかな。同行者の友達はバイトが休みの日だったが、たまたま客としてやって来ていて、二人で盛り上がっていた。駅から割と近い上に朝5時までやっているので、いつかまた利用させてもらおう。その時は牛タンを食べたいなあ。

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縄文の豚 (東京都新宿区)

新宿西口、思い出横丁のラーメン若月今年1月に閉店した。Twitterには嘆きの声が溢れ、閉ざされたシャッターに貼られたお知らせの紙には慰労のメッセージが寄せられた。

もちろん私も悲嘆にくれた。東京を代表する焼きそばの老舗。そして私が焼きそばブログを始めるに当たって初回記事に選んだ店でもある。思い入れはひとしおだ。

時は流れて今年の6月14日。若月の跡地にもつ焼きの店がオープンした。屋号は「縄文の豚」という。

新宿西口 思い出横丁 もつ焼き 縄文の豚

若月の頃は直線のカウンターだけだったが、縄文の豚では奥にも席を設けてL字カウンターになっている。内装もずいぶんと綺麗になったが、若月の頃の雰囲気は色濃く残っている。

おまかせ5本盛り 680円

お通しのキャベツ味噌が300円、もつ焼きのおまかせ5本盛りが680円。観光地化の一途を辿る思い出横丁の新店としては、リーズナブルで良心的な価格設定だ。焼台に立つのは寿司職人を30年やっていたという男性。その方のお話によると、同横丁に複数店舗を出店している埼玉屋さんの紹介で開業したそうな。

平日ランチで若月の焼きそばが復活!?

実はここからが本題。その縄文の豚では平日の昼間にランチをやっている。塩見なゆさんのツイートで知ったのだが、その縄文の豚の平日ランチで、なんとあの若月の焼きそばが復活したのだ! しかも焼いているのは元若月店主の竹内次作さん、ご本人というから驚きだ。

元若月店主、竹内次作氏が自ら焼きます

矢も盾もたまらず、平日に仕事を抜けて訪問してみた。ご本人にうかがったところ、健康上の理由で若月を閉店したが、ランチ程度の短時間なら大丈夫ということで、9月7日くらいから復活したそうな。若月を一緒に営まれていた奥様も、店には出ていないがお元気とのこと。いやー、良かった良かった。実に喜ばしい。

縄文の豚ランチメニュー

ランチの焼きそばは並盛り(500円)と大盛り(600円)がある。復活祝いも兼ねて大盛りと瓶ビールを注文。焼きそばの価格は100円ほど値上がりしていて、瓶ビールもサッポロ・キリンの両ラガーからプレミアム・モルツに変わってしまった。さらに焼きそば用の鉄板は新調され、中央にあった窪みも見当たらない。

鉄板で炒める手付きは当時のまま

しかし若月ファンとしては再び味わえるというだけで感謝したくなる。菜箸とヘラでチャッチャと焼き上げる竹内さんの手付きも当時のままだ。1948年(昭和23年)に創業した若月で、ご主人が焼きそばを焼き始めたのが今から約50年前。以来、半世紀。鉄板の前に立てば身体が自然と動くのだろう。

焼きそば 大盛り 600円

出来上がった焼きそばを皿に盛り付け、「はい、どうぞ」。若月独特の太い蒸し麺にキャベツ、モヤシ。青海苔と紅生姜をトッピングして、「味が薄かったらどうぞ」とソースのボトルを添えてくれる。ああ、まさかこの山盛りのビジュアルを再び拝めるなんて!

短く千切れて少し焦げた太麺

色が心持ち濃くなってキャベツもやや増えたかな。でも味わいはかつての若月と全く変わっていない。短く千切れて少し焦げた太麺の独特なあの歯応え。後がけソースをぐるっと掛ければ、より一層ビールに合う。あー、これだ。この味だ!

後がけソースをぐるっと掛けて

若月というと自家製麺のラーメンでも有名だった。そのため焼きそば用の麺も自家製と勘違いされがちだが、実は蒸し麺は業者へ特注している。以前は終日営業なのでまとまった量を仕入れていた。しかし平日ランチの分だけだと注文量が限られてしまう。蒸し麺は手間が掛かるため、量が少ないと普通は断られる。しかし今回は特別に請け負ってもらえて復活が実現したそうだ。製麺業者さんにも感謝感謝である。

後がけソースをぐるっと掛けて

そういえば日本テレビの『誰だって波瀾爆笑』という番組で、私が若月を紹介したのは昨年9月10日の放送回だった。それからちょうど一年。この一年の間に若月が閉店し、しかも復活するなんて想像だにしなかった。

2017年9月10日 NTV「波瀾爆笑」より

五反田で再開した後楽そばや、先日紹介した前橋のあくざわ亭など、今年は老舗の焼きそば復活の報が相次いでいる。私の焼きそばブログの主目的は、各地で愛されてきた焼きそばを記録として残すことだが、焼きそばそのものが次代に受け継がれるなら、これに越したことはない。

「若月」の看板に再び明かりが灯された

一度消えた思い出横丁「若月」の看板に、約8ヶ月ぶりに明かりが灯された。外が明るいため気づきにくいかも知れないが、焦げたソースに引き寄せられて、また多くの人が訪うことだろう。

「前回の東京オリンピックのときは、ここからブルーインパルスが空に五輪を描くのが見えたんだよ」

そう語ってくれる竹内さん。2年後に控えた東京オリンピックも、この鉄板の前で迎えることになりそうだ。

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油焼きそば専門店 良(りょう) (東京都目黒区)

自由が丘に「良(りょう)」というお好み焼き店がある。ご存知の方もいらっしゃるだろうが、浜松町にある焼きそば専門店りょうの母体の店だ。その自由が丘のお好み焼き・良が、金土日祝の昼営業だけ「油焼きそば専門店」という別業態をこの5月から始めた。昼顔・別顔、油焼きそば専門店 良(りょう)。聞き慣れない「油焼きそば」という名前に興味津々、9月頭の土曜日に訪れてみた。

自由が丘 油焼きそば専門店 良(りょう)

訪問したのは午後1時過ぎ。駅から200m程度の距離にある雑居ビルの2階に良はある。ちなみに同ビル3階には四川料理の吉華が入っている。以前、当ブログで紹介したこともある上野毛の吉華本店は一昨年閉店してしまったが、こちらではまだ少子麺(四川風田舎やきそば)が食べられる。あの味をもう一度食べてみたいな。そんなことを考えつつ2階へ。

油焼きそば専門店 良(りょう) 店内の様子

席はカウンターが6席に窓際のテーブルが2卓。奥には掘りごたつの座敷席もあって、意外と広い。先客は一人だけだったが、あとからグループが2組入ってきた。夜は予約で一杯のことも多いらしい。

油焼きそばとは?

さて、気になる油焼きそば。どうやら韓国料理の石焼ビビンバなどに使う石焼き器・石焼き鍋を使った焼きそばのようだ。ステーキプレートなどで提供する焼きそばは割と見かけるが、石焼き鍋とは珍しい。

油焼きそば メニュー

メニューにはベジ焼きそば・豚焼きそば・えび焼きそば・スペ焼きそばの4種類が載っている。浜松町の良を豊富うつとさせる品揃えだ。選んだのはスペ焼きそば(950円)。無料サービスの大盛り、麺量1.5倍もお願いした。

なんか色んなものが並べられた

厨房で調理が始まってしばらくすると、ホール担当の女の子がカウンター上にあれこれ並べ始めた。油焼きそば専用のトッピング類だ。いか天(揚げ玉)、青のり、ソース、マヨネーズ、紅生姜。至れりつくせり、このラインナップも浜松町そのままだ。

目玉焼きと青ネギも先に運ばれてきます

続いてトッピングの青ネギ、目玉焼きも運ばれてきた。左の金属カップに入っているのは油焼きそば特有という「出汁油」。なんだか準備だけで物々しくなってきたぞ。そしてついに真打ち登場、油焼きそば! 濛々と湯気を立てている。

石焼き器で提供される油焼きそば

「熱いので火傷にお気をつけください」

そう言われなくても触りたくない器だ。手元の説明書に書かれた「油焼きそばの食べ方!」を頼りに、仕上げに掛かる。

まずはソースを掛ける

まずは先ほど並べられた調味料類からソースを手に取る。焼きそばの天辺にそのソースを掛ける。大盛りなのでシロップレードルで1.5杯。

ソースを掛けると湯気だらけ

当然、熱々の石焼き鍋でソースが熱せられ、ジューーーーという音とともに湯気で視界が覆われる。それに怯まず、割り箸で混ぜまぜ。さらに出汁油。先ほどの金属カップに入ったあれだ。それを掛けてよーく混ぜる。

よーく混ぜるのだ

ソースと出汁油で器の中は汁っぽくなってしまうがそれは大丈夫。食べている間に水分が飛んで、通常の焼きそば程度になるから気にしなくてもOK。

スペ焼きそば 950円

最後に青ネギと目玉焼き、イカ天・紅生姜・青のりをあしらっってようやく完成だ。麺は浜松町と同じく、全粒粉を使った極太の生麺をその場で茹であげたもの。もっちもちで食べ応え満点。具は軽く炒めた豚肉、キャベツ、モヤシ。それらがアツアツの石器に盛り付けられて提供され、ソース・出汁油を掛けて混ぜることで完成する。

食べてる間にも麺や具に程よい焦げが

味も良い。食べてる間にも麺や具に程よい焦げがつき、ソースと出汁油が滲みてゆく。極太麺ならではのモチモチ感だけでなく、パリッと焼かれた香ばしさも味わえる。豚やエビ、目玉焼きやイカ天など、トッピングと一緒に頬張るのも楽しい。何よりアトラクション的な趣向が面白い。自分で焼くスタイルのお好み焼きを、焼きそばでより簡易化したような印象を受けた。普通の油そばではなく、焼くことでしか味わえない風味も体験できた。

ちなみに夜のお好み焼き店では、焼きそばにもっと細めの蒸し麺を使っているとのこと。この極太全粒麺の油焼きそばは金土日祝の昼だけしか味わえない、貴重な品なのだ。麺好きの方は機会があれば、ぜひお試しあれ。

「エビとトマト両面焼きそば」を提供している中華料理・帆も自由が丘に出店したそうだし、鉄板家シュウもあるし、自由が丘の焼きそば熱、高まっているなー。

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梅松食堂(うめまつ) (群馬県吾妻郡中之条町)

群馬県吾妻郡中之条町(なかのじょうまち)。隣接する草津町の草津温泉や渋川市の伊香保温泉ほどの知名度は無いが、四万(しま)温泉・沢渡(さわたり)温泉を擁する町だ。この中之条に梅松食堂、あるいは「うめまつ」と呼ばれる食事処がある。

中之条 焼きそば 梅松食堂(うめまつ)

WEBの情報だと創業は恐らく昭和39年(1964年)ごろのはずだから、店を構えて既に半世紀以上経つ。売り物は焼きそばやおでん、カキ氷など。群馬で焼きそばというと太田市が有名だが、前回の「あくざわ」のように県内各地に焼きそば屋が点在し、こうして地域に根付いているのだ。

中之条 梅松食堂(うめまつ) 店内の様子

梅松食堂を訪問したのは8月下旬の日曜日、午前11時過ぎ。店はJR中之条駅から250mほどの位置にある。国道145号=日本ロマンチック街道を挟んだ駐車場にバイクを停めて暖簾を潜る。客席はテーブル4卓に小上り2卓。昼食にはまだ早い時間帯なので先客はなし。お冷を汲んで、手近なテーブルに腰かける。

中之条 梅松食堂(うめまつ) メニュー

焼きそばは小・中・大・特盛と4サイズある。以前、Rettyグルメニュースの記事でも書いたが、焼きそばのみで足りない場合に関西ではご飯を付けた定食にするが、関東ではこちらのように麺の玉数を増やす店が多い。東西の食文化の違いの例として覚えておくと……たぶん何の役にも立たない。

「焼きそばの中盛(420円)とおでん(200円)ください」
「はーい」

焼きそば(中)&おでん

厨房に告げて2分くらいで湯気を立てた焼きそばとおでんが出てきた。提供がスピーディだ。早速いただこう。

焼きそば(中) 420円

焼きそばの麺は太麺で具はキャベツのみ。とてもシンプルな北関東らしいソース焼きそばだ。トッピングの青海苔と脇に沿えた紅生姜の緑と赤が映えている。麺は蒸し麺だがソフトな食感で、モチモチとした粘り腰。前回食べた「あくざわ亭」のゴワゴワした硬さとは対照的だ。

モチモチ太麺に濃厚なソース

ソースは酸味勝ちでやや濃いめの味付け。ケチャップ的な甘さも感じる。予想よりも濃厚だ。あんなこと書いちゃったけど、この焼きそばならご飯にも合うかも知れない。ただ中盛でもなかなかボリュームがある。卓上の七味や後掛けソースも加えたりして美味しくいただいた。ご飯無くても十分足りるな。

ソースや七味で味変もよし

そうそう、おでんも忘れちゃいけない。これも梅松食堂の名物だ。コンニャク3切れに厚揚げ・竹輪が半分ずつという、ややアンバランスな組み合わせ。しかし、それが良い。エッジの立ったコンニャクに甘めの出汁がよーく滲みてる。これで200円は安いなあ。おでんの具はこの組み合わせで固定されているそうだが、このお出汁で煮いた大根も食べてみたい。

おでん 200円

食べ終えて、お会計は620円。入れ違いに地元の家族連れと持ち帰りの客が一変に入ってきた。お昼時に掛けてこれからにぎわうのだろう。

もし温泉巡りや冬場のスキーの行き帰りで中之条を訪れたなら、焼きそばの看板を探してちょっと立ち寄ってみて欲しい。シンプルながらもこの店ならでは、そんな焼きそばが味わえますよ。

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あくざわ亭 (群馬県前橋市)

今からひと月あまり前の7月24日。群馬県の県庁所在地・前橋市に、あくざわ亭という焼きそば専門店がオープンした。上毛新聞の記事によると、20年前まで前橋にあった「あくざわ(阿久沢)」という店の焼きそばを、一人のお客さんが再現したという。同様の記事は朝日新聞デジタルでも報じられた。

前橋市 焼きそば専門店 あくざわ亭

元常連が今はなき店の味を継承して開業するケースは、多くはないが全国各地に例がある。焼きそばだと愛媛県松山市の「じゅん」、大阪今里の「長谷川」、栃木県鹿沼市の「かりん」。私は未訪問だが、今年5月にオープンした函館の「超特急やきそば」もそうだ。

前橋市 あくざわ亭 オープンしたばかり

「消えゆく味を残したい」というのは私の焼きそばブログのテーマでもある。後継者不足や様々な理由で長年親しまれた味が次々と消えて行く昨今だが、こういう事例が徐々に増えつつあるのは、個人的にとても嬉しい。実際にどのような焼きそばなのか、店主はどんな方なのか。気になるので、そのあくざわ亭を訪問してみた。

営業時間は昼のみ、日月休み

訪れたのは8月下旬の土曜日の正午前。群馬県庁や前橋市役所が集まる官庁街に隣接する通りで、あくざわ亭の看板を発見。ちなみに定休日は日曜と月曜で、なおかつ当面は昼営業のみ。平日に来れない人は土曜の昼しかチャンスはない。また、駐車場は無いので車で訪れる人は注意が必要だ。

あくざわ亭 店内の様子

店内の客席はテーブルが大小5卓。卓上にはソース、青海苔、コショウ、唐辛子などが置かれている。昼前の11時40分ごろで客席は半分くらい埋まっていた。持ち帰り注文もたくさん入っているようだ。

あくざわ亭 メニュー

メニューは焼きそばと飲み物のみ。焼きそばは並・大・特盛の3サイズあり、特盛は並の2倍とのこと。他のお客さんの食べる分が減ってしまうのも申し訳ないので、特盛ではなく大盛(600円)を注文。焼きそばはすぐに運ばれてきた。青海苔を適量振り掛けて、さて、いただきます。

焼きそば 大盛 600円

麺は太い蒸し麺。ゴワゴワとした硬さで、噛みごたえのある麺だ。箸で持ち上げると、もっさりとした重みを感じる。ところどころ焦げた切れっ端が混ざっている点も含めて、新宿・思い出横丁にあった若月の焼きそばを彷彿とさせる。今年1月に閉店したあの若月の焼きそばを、まさか前橋で思い出すとは。オリジナルの「あくざわ」の味を知らない余所者の私だが、なぜか懐かしさを感じてしまう味わいだ。

具の玉子が面白い

具はキャベツと玉子と肉。この玉子の使い方が面白い。あらかじめ薄焼きにしておいた玉子を切り分けておき、それを麺やほかの具と炒めているようだ。歯応えと風味にアクセントが加って、この焼きそばを特徴づけている。味付けはさっぱりしたウスターソース。地元メーカーのミツボシソースというブランドらしい。焼きそば自体にしっかり味付けはなされているが、さらに濃い味が好きならソースを少量、後掛けしても良いだろう。

ソースを後掛けしても良し

食べ終えて、お会計は600円。あくざわの創業は昭和20年ごろらしいが、それがこうして復活したのは真に喜ばしい。さらに詳しくお話をうかがいたく、ご主人にお願いして閉店した後に再訪させていただいた。

こちらがあくざわ亭のご主人、高橋英男さん。長年、前橋市役所に勤務し、当時の役職を兼ねて「焼きそば部長」と呼ばれていたそうな。仕事上がりでお疲れのところ、ありがとうございました。

あくざわ亭・店主、焼きそば部長、高橋英男さん

お話の中で何度も出てきた言葉が、「自分が喰いたい一心だった」という焼きそば作りの動機。そのために麺やソース、油や焼き方などを調べ、研究してきたという。

「最初は美味い不味いのレベルじゃなかった。どれだけ捨てたか分からない」

探求を続けて何年か経った頃、「グンッ」と目指す味に突然近づいたという。そこから練習を兼ね、友達の店で知り合いに何度か試食させてみた。もっとこうだったとか、自分も忘れていた細かな点を指摘され、改善を加えて「あくざわ」の味に近づけていった。開業前にはあくざわの遺族の方にも試食してもらい、いただいた助言を反映した。ただ、本人的にはまだ100%ではないという。

近づくときは徐々にではなく急に、だそう

「もともと自分が喰いたい一心で再現しただけで、正直、商売にする気はなかったんです」

実は前橋市の現市長、山本龍氏もこの「焼きそば部長」を応援している。山本市長がTwitterで初めて紹介したのが今から5年前の2013年。その投稿でもわかるように、当初は自分が広めるつもりはなく「味を受け継ぐ人」を募集していた。(なお、Twitterには、他にもあくざわの焼きそばを探求している方がいる。その辺りからも、あくざわの焼きそばがどれだけ前橋で親しまれていたかが伺い知れる)

あくざわ亭を手伝う奥さんは、「お金より身体が心配。ハマり症で熱心にやりすぎるから……」とのこと。上毛新聞の記事によると、ご主人は大病を経験されている。前述の通り、日月の週休二日かつ当面は昼営業のみというのも、負担を考えてのことだろう。ご主人も、「あまり宣伝してたくさん人が来すぎても、作れる分は決まっているから」と仰っていた。この記事の掲載は許可を得ているが、遠方から訪問する方はその辺りの事情も踏まえていただければと思う。

麺の処理の仕方も独特

ただ前橋の味がこうして次世代にも伝えられることを、「本人が一番楽しんでいる」とも強調していた。

「全国からどっと来られるよりも、地元の人たちが喜んでくれれば、ね」

高橋さんの熱意が結実した、あくざわ亭でしか味わえない渾身の一皿。いつしか「あくざわ」の焼きそばではなく、「あくざわ亭」の焼きそばとして親しまれてゆくに違いない。

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ロッジ赤石 (東京都台東区)

浅草の観音裏にロッジ赤石という喫茶店がある。創業は昭和48年。焼きそばでご縁のあるライターの小石原はるかさんから、「洋食で有名だけど焼きそばも美味しい」と勧められ、ふらーっと訪れてみた。

ロッジ赤石 店頭のガラスケース

場所は言問通りを渡ってすぐの裏通り。訪れたのは日曜の昼下がりで、店内はほぼ満席だった。かろうじて空いていたテーブルへと案内されたが、後から来た客は何組か断られていた。ちなみにここでも店内のテレビで競馬中継を流していた。いかにも浅草らしい。

浅草 観音裏 ロッジ赤石

さてメニュー。小石原さんに勧められたのは焼きそばだが、気になるのは店頭のサンプルケースにも飾られていたパリジェンヌ風ヌイユ(950円)だ。ヌイユ(nouille)はフランス語で「麺(Noodle)」のこと。フランス料理では添え物的に使われることが多いらしいが、こちらではそれをパスタ風に具と炒めている。いわば焼きそばの一種と言えなくもない。

ロッジ赤石 メニューの一部

そんなわけでパリジェンヌ風ヌイユを注文。喫茶店なので飲み物も頼もう。選んだのはアイスアーモンドオレ(650円)。それにしてもドリンクは1ページしかないのに、フードは4ページもある。やはり喫茶店というより洋食がメインの店なんだな。

アイスアーモンドオレ 650円

注文してすぐにアイスアーモンドオレが運ばれてきた。こういうところへ来ると何か変わった飲み物を探してしまうのだが、アーモンドオレは初体験だ。風味がまさにアーモンドで香ばしい。とんと見かけたことがないが、かつてこれが流行った時代もあったのかな。もう少し涼しい季節ならホットでも良いな。

パリジェンヌ風ヌイユ 950円

そしてパリジェンヌ風ヌイユ。麺は玉子と小麦粉を練った玉子麺という。幅広く、麺の表面には筋が入っている。もちっとした食感だが、ほかの麺とも異なる食味の不思議な麺だ。ボリュームは軽め。たぶんあらかじめある程度の分量を茹でおいているんじゃなかろうか。

玉子と小麦粉を練った玉子麺

具はエビ・貝柱・玉ねぎ・ピーマン・マッシュルーム。カニカマをほぐしたのも入っていた。味付けは塩コショウだけでシンプルだが、魚介・玉ねぎ・マッシュルームの味わいが麺に滲みている。食べ飽きない美味しさだ。試しに注文して正解だった。

焼きそば 700円

食べ終えてもまだ胃袋に余裕がある。ならばと追加で焼きそば(700円)を注文。麺は中細の蒸し麺でゴワっとした噛み応え。具は豚肉、ざく切りキャベツ、モヤシ。海苔をトッピングして、紅生姜を添えてある。

蒸し麺とウスターソースの正統派焼きそば

味付けは酸味のきいたウスターソース。オーソドックスなソース焼きそばなのだが、具に豚肉を使い、キャベツを大きめにカットしてある辺りに昭和40年代っぽさを感じる。戦前や終戦直後の焼きそばだと仮に肉を使っていても牛肉のそぼろだったり豚挽き肉だったりする。キャベツもざく切りではなく千切りや短冊切りのところが多い。そんなことを考えつつ完食。いやー、どれも美味しかった。

最後は寄席へ

お会計を済ませ、待乳山聖天や今戸神社を散歩した後、久しぶりに浅草演芸ホールで落語を楽しんだ。夜の部は林家一門がずらっと高座に上がり、トリは九代目林家正蔵。演目は私の好きな「西行鼓ヶ滝」。和歌をテーマにした噺だけあって、下げにも詩心を感じる。やはり寄席は楽しい。ここ最近ずっと忙しかったが久しぶりにのんびりできた日曜だった。

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ほんま門 (東京都中野区)

野方駅北原商店街の北端近くに「ほんま門」というたこ焼き屋がある。開業は確か2006年くらいだったと思う。たこ焼き以外にも大阪風のコナモン全般を提供していて、店内でそれをつまみに飲むこともできる。地元民なら誰もが知っているリーズナブルな店だ。

野方 たこやき ほんま門

私も開店当初からときどき通っている。こないだの冬からずっと長期休業でどうなることかと心配だったが、この6月に無事に営業再開して、ホッとしたところだ。ちなみに最近改めて調べたら、母体はなんと包装資材の会社らしい。今さら知って驚いた。

野方 ほんま門 メニュー

8月に入ってから土曜の夜に軽く一人飲みで訪れてみた。リーズナブルと書いたが、本当に価格が安い。たこ焼きは一人前(1舟・6個)で200円(税込210円)。お好み焼きの豚玉が390円(税込424円)。焼きそばが450円(税込486円)。食べ物だけじゃなく飲み物も安い。キンキンに冷えたジョッキで提供されるアサヒ・スーパードライの生は390円。サワー・酎ハイは290円から。

アサヒ・スーパードライ 390円

私としては安さばかりを強調したくないのだが、「味だけやなく値段も大阪のほんまモンでっせ」という意気込みを感じる店なのだ。席数が限られているためいつも混んでる。まあ、この価格なら仕方あるまい。

たこ焼きを店頭で常に焼いている

で、肝心のたこ焼きだ。店頭で常に焼いていて、持ち帰りの客がひっきりなしに訪れる。ひと玉が手ごろなサイズで、外はフワッと、中はトロトロの完全なる大阪スタイル。もちろんひと玉ごとにタコもちゃんと入っている。焼きたてを一口で頬張って火傷したことも何度かある。今回はソース味を注文したが、醤油やポン酢、ネギマヨなど味のバリエーションが豊富なのも嬉しい。

たこ焼き 200円

開業時はこのたこ焼きが一人前なんと150円だった。その後段階的に値上がりして今は200円だが、それでも安すぎる。知り合いの飲食店主が野方に出店する際に、地域の価格帯調査でこの店を知ってショックを受けたと言っていた。そりゃそうだ、普通なら倍は取ってもおかしくないもんなー。

焼きそばやお好み焼きを手際よく焼いていきます

2杯目にウーロンハイ(290円)。それとオムそば(550円)を注文。麺を鉄板に乗せ、蓋を被せてじっくり焼く。しばらくして麺をほぐす。その傍らで野菜も水を少量加えて蓋をかぶせる。スライスした豚バラ肉を焼き、一口大に切り分け。混ぜ炒めて焼きそば用のソースで味付ける。

オムそば 550円

完成した焼きそばを鉄板に盛り付けてから、薄く玉子を焼き上げて焼きそばを覆う。マヨネーズとソースを格子状にトッピングして出来上がり。卓上に置かれた魚粉と青海苔を、お好みで振り掛けてみた。

モチモチ太麺と濃厚ソース

麺は太麺。一時期、細麺に代わってしまったが、大阪の焼きそばならやはりもっちり太麺と濃厚ソースが王道だろう。シャキシャキの野菜とフンワリした玉子焼きで美味しさ倍増。普通のソース焼きそばが450円なのも安いが、100円増しでオムそばにできるのも実にお得だ。

お好み焼きも大阪の王道スタイル

この日はサクッとこれで切り上げた。お会計は税込み価格を足し上げて1538円。ちなみにお好み焼きもみじん切りのキャベツをたっぷり使い、時間を掛けてじっくり分厚く焼き上げた、いかにも大阪という品だ。ほんまもんの大阪風コナモンで飲みたいなーって時にぜひ利用してほしい。

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新大久保 アジア屋台村 (東京都新宿区)

8月に入ったばかりの平日のこと。メシコレ・キュレーターでもあるカレー細胞・Matsuさんから「今夜、空いてませんか?」というお誘いがきた。何やら新大久保にマニアックな屋台村があるらしい。

新大久保 アジア屋台村

ほいほいっと承諾してその夜に訪れたのが、新大久保アジア屋台村。広いフロアのフードコート的な造りの店だ。4店舗が出店していて、それぞれがインド・ネパール、タイ・ベトナム、シンガポール・マレーシア、韓国・中国と各2ヶ国を担当。合計8ヶ国の料理が楽しめるという。店の前は何度も通ったことがあり気になっていたが、こういう業態だったのね。

新大久保 アジア屋台村 店内の様子

フットワークの軽い方々が5~6人集って、まずは乾杯。生ビールはプレミアム・モルツ。他にアジア各国のビールももちろん用意されている。

まずは乾杯

周りのテーブルからは日本語はほとんど聞こえない。つまり、各国の出身者も納得できる、現地の味ってわけだ。屋台村なのに凄い。

新大久保 アジア屋台村 メニュー

メニューは国ごとにページが分かれている。もちろん焼きそばも各国の品が揃っている。タイのパッタイ、ネパールのチョウミン、シンガポールのホッケンミーやチャークェイティアオ。中国の五目海鮮かた焼きそばもある。

フォー・サオ・ボー 790円

こちらはベトナム料理のページからチョイスした牛肉やきそば(ベトナム/790円)。ベトナム語だとフォー・サオ・ボー(Pho xao bo)だ。平たい米麺=フォーを野菜と炒めたもので、モチモチの食感が癖になる。

マトン・チョエラ 600円

Matsuさんのオススメはネパール料理のマトン・チョエラ(Mutton choila)。メニューには「マトンのスパイス和え(600円)」という名で載っている。前回来た時にアタリだったというだけあって、間違いない美味しさ。スパイシーでビールが進む。

ラープ・サラダ 850円

他にもいろいろ食べたので、駆け足でざっと紹介していこう。タイ料理の定番、豚ひき肉を使ったラープ・サラダ(Larb salad/850円)。ミントとレモングラスが効かせてあって、しっかり辛い。こんなフードコートっぽい店なのに本格的で侮れない。

カエルの炒めもの 850円

これはベトナム料理で、カエルの炒めもの(Ech xao lan/850円)。これまでカエルは何度か食べたことがある。骨が多く身は少ないが、癖のない肉質で食べやすい。今回はしっかり揚げられた皮の部分が特に美味しかった。

ホッケンミー 900円

せっかくなので焼きそばをもう一品ってことで、ホッケンミー(Hokkien mee/900円)。ここのはシンガポール式でビーフンと卵麺の2種を混ぜ炒めてある。ちなみにマレーシアのクアラルンプール式のホッケンミーはうどんのような太麺をダークソイソースで甘辛く味付けした黒い焼きそば。ペナン式のホッケンミーはエビガラ出汁のスープ麺。同じホッケンミーでも地域差が大きいのが面白い。

ヤンニョム・チキン 680円

東アジアも食べておきたい。こちらは韓国ピリ辛唐揚げ(Yangnyeom chicken/680円)、ヤンニョム・チキンだ。辛さは思ったほどでもなく、甘めの濃厚な味付けだ。ここまでで牛・羊、豚・鶏・蛙と色んな肉を食べてきたが、その種類の多さに驚かされる。ヒンドゥ教徒もいるだろうに、同じ厨房で牛肉使って良いのかと少し心配になる。

ジャガイモとビーフンの炒め物 550円

これはネパール料理のページに載っていた、ジャガイモとビーフンの炒め物(Aalu fin/550円)。スリランカや南インドでビーフン(イディアッパム)を食べるのは知っていたが、ネパールでも食べられているとは思わなかった。”Aalu”が「ジャガイモ」で、”fin”が「米粉(ビーフン)」か。語感からすると中国語の「粉(fěn)」が由来だろう。マサラ風味で乙な味だ。

スクティ・チリ 750円

もひとつ羊でネパールのスクティ・チリ。メニューには「干しマトンのスパイシー炒め(Sukuti chili/750円)」の名前で載っている。経営がネパール人らしいので、どうしてもネパール料理に寄ってしまいがちだ。

写真を撮り忘れたが、チベットモモ(Tibetan momo/650円)もいただいた。同じモモでもネパールとチベット、さらにスープモモの3種があり、別々に紹介されている。さらには中国の小籠包に焼き餃子、韓国のマンドゥ、シンガポールのカレーパフもある。ここ一箇所で、各国の餃子系料理を食べ比べできてしまうのだ。うーん、凄い。

お会計は一人だいたい4000円

途中で抜けたり、後から参加したり、人が入れ替わりつつ楽しく食べて飲んで、お会計は一人だいたい4000円。アジアを周遊旅行した気分になって、5000円でお釣りがきてしまう。例えばビリヤニと麻婆豆腐とか、シンガポールチキンライスとトムヤムクンとか、ハチャメチャな組み合わせもできると考えると、楽しみ方が無限に広がりそうだ。ヤバい店を知ってしまった。マニアックかつ度量の広い知り合いを誘って再訪せねば。

2軒目はミャンマー・カラオケ

ちなみに2軒目は隣の駅の高田馬場に移動し、なぜかミャンマー料理店でカラオケするという、なんともカオスな一夜だった。ミャンマー・カラオケは別にまた腰を据えて紹介したいと思う。

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green glass (東京都新宿区)

「屋号の由来は競馬のあのグリーングラスですか?」
「それもあるんですが、蕎麦の実を剥くと緑色(green)なんですよ」
「ほお」
「それと日本酒を入れるグラス(glass)に引っかけて……」
「あー、それでRの”grass(草)”じゃなくて、Lの方の”glass”なんですね」

西武新宿線中井駅から徒歩7~8分の住宅街に、「green glass」という屋号の蕎麦屋さんがある。手打ち蕎麦と静岡の日本酒、静岡おでんが売りの店。2016年に開業して2年余りだが、ミシュラン2018のビブグルマンに選ばれている実力店だ。友達の勧めもあって訪問してみた。

手打ち蕎麦と静岡酒 green glass

「この道で合っているのかな」と不安になりながら店に到着。玄関先で靴を脱いで奥へと上がる。土曜の20時過ぎだが、台風による荒天で先客はおらず。カウンターに着席してメニューを眺める。

green glass おつまみメニュー

酒の肴には静岡おでんの他にも気の利いた品々が並んでいる。とりあえずサッポロラガー(580円)と静岡おでんのおまかせ盛り合わせ(1250円)をお願いした。

サッポロラガーと静岡おでん

盛られているのは静岡名物の黒はんぺんに玉子・大根・竹輪・昆布。串に刺さっているのは豚巻きトマトだ。練り辛子代わりの粒マスタードと甘味噌が皿の端に添えてある。静岡県出身の自分としては懐かしい味だ。味が良く滲みてる大根が特に美味い。

静岡おでん おまかせ盛り合わせ 1250円

店を独りで切り盛りしているご主人は静岡市出身。あれこれ話してみたら共通の知り合いがいることが分かり、会話が弾んだ。なぜ静岡おでんのだしが黒いのかとか、そんなやり取りも。ちなみに私の出身地の掛川周辺では、モツの代わりに鶏皮を入れ、出汁粉は削り粉のみで青海苔は入っていないことが多い。

green glass 日本酒メニュー

ビールが空いたので、お代りに日本酒をいただく。日本酒は黒板にリストアップされ、銘柄ごとに酒質と製法を整理してある。選んだのは掛川が誇る地酒「開運(780円)」だ。

開運 誉富士特別純米 無濾過原酒 780円

この日の開運は誉富士特別純米、無濾過原酒だった。無濾過原酒なのに火入れしてある、とても貴重な一本らしい。原酒なのでアルコール度数は17度と高いが、すっきりとした口当たりで飲みやすい。

焼き蕎麦 700円

おつまみは焼き蕎麦(700円)。そう、こちらにはなんと蕎麦を使った焼き蕎麦があるのだ。油を引いたフライパンに、茹で上げた蕎麦を丸く広げ、両面をじっくりとカリカリになるまで焼き上げる。仕上げに塩を振りかけ、一口大に切り分け、皿に盛る。小口切りのネギと花ガツオを散らして出来上がり。

両面をカリッと焼き上げたシンプルな品

箸で一切れつまみあげて頬張り、ポリポリと噛み締める。蕎麦の風味が香ばしい。蕎麦屋のつまみで揚げ蕎麦はよく見かけるし、これまで和蕎麦を使った焼きそばをあれこれ食べてきたが、こういう提供の仕方は初めてだ。

細部にまで配慮が行き届いている一皿

油脂の風味で味わいが増している。蕎麦粉本来の香りを損なわない油を選び、薬味のネギも水に晒すことで辛味を抑えてある。細部にまで行き届いた配慮に唸らされる一皿だった。

もり蕎麦 二産地食べ比べ 1020円

そして、〆はもちろん看板メニューの蕎麦だ。「もり」は2つか3つの産地食べ比べが用意されているが、今日は「二産地食べ比べ(1020円)」のみとのこと。品種はどちらも「常陸秋そば」で右が栃木産、左が茨城産。蕎麦は「挽き立て、打ち立て、茹で立て」のスピード命。写真を撮るのももどかしく、「一口目は何も付けずにどうぞ」と勧められるままに啜ってみる。

産地ごとに食べ比べるという趣向

ふーむ、さすがに蕎麦が香り高い。こうして食べ比べると風味の違いが分かりやすい。栃木の方が群馬より細目に切りそろえられているせいかも知れないが、群馬の方が粘り気がある。栃木は噛み応えがあり喉越しが良い。香りの違いは言葉に表現しづらいが、塩や麺つゆを付けるのが勿体なく感じる。ネギやワサビなどの薬味をつけてないのも、蕎麦の風味を尊重してのことだろう。

蕎麦湯で〆

ペロリと平らげて蕎麦湯をいただいて、お会計。とてもストイックな、蕎麦への求道心を体現したようなお店、ご主人だった。黒板に書かれていた「カレー味の焼き蕎麦」も気になるし、他に食べてみたい肴も多いし、もっと他の産地の蕎麦も食べ比べてみたい。今度は予約して訪問させていただこうっと。

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【お知らせ】価格.comマガジン「カップ焼きそば徹底比較」

WEBメディア『価格.comマガジン』の「カップ焼きそば徹底比較」という記事が公開されました! 大手メーカーのメジャーなカップ焼きそば6品を食べ比べ、味の違いを検証してみました。地域によって好みが大きく分かれると思いますが、ぜひお読みください〜。

ペヤングとU.F.O.はどう違う? カップ焼きそば6大定番を達人が徹底比較!

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