梅松食堂(うめまつ) (群馬県吾妻郡中之条町)

群馬県吾妻郡中之条町(なかのじょうまち)。隣接する草津町の草津温泉や渋川市の伊香保温泉ほどの知名度は無いが、四万(しま)温泉・沢渡(さわたり)温泉を擁する町だ。この中之条に梅松食堂、あるいは「うめまつ」と呼ばれる食事処がある。

中之条 焼きそば 梅松食堂(うめまつ)

WEBの情報だと創業は恐らく昭和39年(1964年)ごろのはずだから、店を構えて既に半世紀以上経つ。売り物は焼きそばやおでん、カキ氷など。群馬で焼きそばというと太田市が有名だが、前回の「あくざわ」のように県内各地に焼きそば屋が点在し、こうして地域に根付いているのだ。

中之条 梅松食堂(うめまつ) 店内の様子

梅松食堂を訪問したのは8月下旬の日曜日、午前11時過ぎ。店はJR中之条駅から250mほどの位置にある。国道145号=日本ロマンチック街道を挟んだ駐車場にバイクを停めて暖簾を潜る。客席はテーブル4卓に小上り2卓。昼食にはまだ早い時間帯なので先客はなし。お冷を汲んで、手近なテーブルに腰かける。

中之条 梅松食堂(うめまつ) メニュー

焼きそばは小・中・大・特盛と4サイズある。以前、Rettyグルメニュースの記事でも書いたが、焼きそばのみで足りない場合に関西ではご飯を付けた定食にするが、関東ではこちらのように麺の玉数を増やす店が多い。東西の食文化の違いの例として覚えておくと……たぶん何の役にも立たない。

「焼きそばの中盛(420円)とおでん(200円)ください」
「はーい」

焼きそば(中)&おでん

厨房に告げて2分くらいで湯気を立てた焼きそばとおでんが出てきた。提供がスピーディだ。早速いただこう。

焼きそば(中) 420円

焼きそばの麺は太麺で具はキャベツのみ。とてもシンプルな北関東らしいソース焼きそばだ。トッピングの青海苔と脇に沿えた紅生姜の緑と赤が映えている。麺は蒸し麺だがソフトな食感で、モチモチとした粘り腰。前回食べた「あくざわ亭」のゴワゴワした硬さとは対照的だ。

モチモチ太麺に濃厚なソース

ソースは酸味勝ちでやや濃いめの味付け。ケチャップ的な甘さも感じる。予想よりも濃厚だ。あんなこと書いちゃったけど、この焼きそばならご飯にも合うかも知れない。ただ中盛でもなかなかボリュームがある。卓上の七味や後掛けソースも加えたりして美味しくいただいた。ご飯無くても十分足りるな。

ソースや七味で味変もよし

そうそう、おでんも忘れちゃいけない。これも梅松食堂の名物だ。コンニャク3切れに厚揚げ・竹輪が半分ずつという、ややアンバランスな組み合わせ。しかし、それが良い。エッジの立ったコンニャクに甘めの出汁がよーく滲みてる。これで200円は安いなあ。おでんの具はこの組み合わせで固定されているそうだが、このお出汁で煮いた大根も食べてみたい。

おでん 200円

食べ終えて、お会計は620円。入れ違いに地元の家族連れと持ち帰りの客が一変に入ってきた。お昼時に掛けてこれからにぎわうのだろう。

もし温泉巡りや冬場のスキーの行き帰りで中之条を訪れたなら、焼きそばの看板を探してちょっと立ち寄ってみて欲しい。シンプルながらもこの店ならでは、そんな焼きそばが味わえますよ。

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あくざわ亭 (群馬県前橋市)

今からひと月あまり前の7月24日。群馬県の県庁所在地・前橋市に、あくざわ亭という焼きそば専門店がオープンした。上毛新聞の記事によると、20年前まで前橋にあった「あくざわ(阿久沢)」という店の焼きそばを、一人のお客さんが再現したという。同様の記事は朝日新聞デジタルでも報じられた。

前橋市 焼きそば専門店 あくざわ亭

元常連が今はなき店の味を継承して開業するケースは、多くはないが全国各地に例がある。焼きそばだと愛媛県松山市の「じゅん」、大阪今里の「長谷川」、栃木県鹿沼市の「かりん」。私は未訪問だが、今年5月にオープンした函館の「超特急やきそば」もそうだ。

前橋市 あくざわ亭 オープンしたばかり

「消えゆく味を残したい」というのは私の焼きそばブログのテーマでもある。後継者不足や様々な理由で長年親しまれた味が次々と消えて行く昨今だが、こういう事例が徐々に増えつつあるのは、個人的にとても嬉しい。実際にどのような焼きそばなのか、店主はどんな方なのか。気になるので、そのあくざわ亭を訪問してみた。

営業時間は昼のみ、日月休み

訪れたのは8月下旬の土曜日の正午前。群馬県庁や前橋市役所が集まる官庁街に隣接する通りで、あくざわ亭の看板を発見。ちなみに定休日は日曜と月曜で、なおかつ当面は昼営業のみ。平日に来れない人は土曜の昼しかチャンスはない。また、駐車場は無いので車で訪れる人は注意が必要だ。

あくざわ亭 店内の様子

店内の客席はテーブルが大小5卓。卓上にはソース、青海苔、コショウ、唐辛子などが置かれている。昼前の11時40分ごろで客席は半分くらい埋まっていた。持ち帰り注文もたくさん入っているようだ。

あくざわ亭 メニュー

メニューは焼きそばと飲み物のみ。焼きそばは並・大・特盛の3サイズあり、特盛は並の2倍とのこと。他のお客さんの食べる分が減ってしまうのも申し訳ないので、特盛ではなく大盛(600円)を注文。焼きそばはすぐに運ばれてきた。青海苔を適量振り掛けて、さて、いただきます。

焼きそば 大盛 600円

麺は太い蒸し麺。ゴワゴワとした硬さで、噛みごたえのある麺だ。箸で持ち上げると、もっさりとした重みを感じる。ところどころ焦げた切れっ端が混ざっている点も含めて、新宿・思い出横丁にあった若月の焼きそばを彷彿とさせる。今年1月に閉店したあの若月の焼きそばを、まさか前橋で思い出すとは。オリジナルの「あくざわ」の味を知らない余所者の私だが、なぜか懐かしさを感じてしまう味わいだ。

具の玉子が面白い

具はキャベツと玉子と肉。この玉子の使い方が面白い。あらかじめ薄焼きにしておいた玉子を切り分けておき、それを麺やほかの具と炒めているようだ。歯応えと風味にアクセントが加って、この焼きそばを特徴づけている。味付けはさっぱりしたウスターソース。地元メーカーのミツボシソースというブランドらしい。焼きそば自体にしっかり味付けはなされているが、さらに濃い味が好きならソースを少量、後掛けしても良いだろう。

ソースを後掛けしても良し

食べ終えて、お会計は600円。あくざわの創業は昭和20年ごろらしいが、それがこうして復活したのは真に喜ばしい。さらに詳しくお話をうかがいたく、ご主人にお願いして閉店した後に再訪させていただいた。

こちらがあくざわ亭のご主人、高橋英男さん。長年、前橋市役所に勤務し、当時の役職を兼ねて「焼きそば部長」と呼ばれていたそうな。仕事上がりでお疲れのところ、ありがとうございました。

あくざわ亭・店主、焼きそば部長、高橋英男さん

お話の中で何度も出てきた言葉が、「自分が喰いたい一心だった」という焼きそば作りの動機。そのために麺やソース、油や焼き方などを調べ、研究してきたという。

「最初は美味い不味いのレベルじゃなかった。どれだけ捨てたか分からない」

探求を続けて何年か経った頃、「グンッ」と目指す味に突然近づいたという。そこから練習を兼ね、友達の店で知り合いに何度か試食させてみた。もっとこうだったとか、自分も忘れていた細かな点を指摘され、改善を加えて「あくざわ」の味に近づけていった。開業前にはあくざわの遺族の方にも試食してもらい、いただいた助言を反映した。ただ、本人的にはまだ100%ではないという。

近づくときは徐々にではなく急に、だそう

「もともと自分が喰いたい一心で再現しただけで、正直、商売にする気はなかったんです」

実は前橋市の現市長、山本龍氏もこの「焼きそば部長」を応援している。山本市長がTwitterで初めて紹介したのが今から5年前の2013年。その投稿でもわかるように、当初は自分が広めるつもりはなく「味を受け継ぐ人」を募集していた。(なお、Twitterには、他にもあくざわの焼きそばを探求している方がいる。その辺りからも、あくざわの焼きそばがどれだけ前橋で親しまれていたかが伺い知れる)

あくざわ亭を手伝う奥さんは、「お金より身体が心配。ハマり症で熱心にやりすぎるから……」とのこと。上毛新聞の記事によると、ご主人は大病を経験されている。前述の通り、日月の週休二日かつ当面は昼営業のみというのも、負担を考えてのことだろう。ご主人も、「あまり宣伝してたくさん人が来すぎても、作れる分は決まっているから」と仰っていた。この記事の掲載は許可を得ているが、遠方から訪問する方はその辺りの事情も踏まえていただければと思う。

麺の処理の仕方も独特

ただ前橋の味がこうして次世代にも伝えられることを、「本人が一番楽しんでいる」とも強調していた。

「全国からどっと来られるよりも、地元の人たちが喜んでくれれば、ね」

高橋さんの熱意が結実した、あくざわ亭でしか味わえない渾身の一皿。いつしか「あくざわ」の焼きそばではなく、「あくざわ亭」の焼きそばとして親しまれてゆくに違いない。

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ロッジ赤石 (東京都台東区)

浅草の観音裏にロッジ赤石という喫茶店がある。創業は昭和48年。焼きそばでご縁のあるライターの小石原はるかさんから、「洋食で有名だけど焼きそばも美味しい」と勧められ、ふらーっと訪れてみた。

ロッジ赤石 店頭のガラスケース

場所は言問通りを渡ってすぐの裏通り。訪れたのは日曜の昼下がりで、店内はほぼ満席だった。かろうじて空いていたテーブルへと案内されたが、後から来た客は何組か断られていた。ちなみにここでも店内のテレビで競馬中継を流していた。いかにも浅草らしい。

浅草 観音裏 ロッジ赤石

さてメニュー。小石原さんに勧められたのは焼きそばだが、気になるのは店頭のサンプルケースにも飾られていたパリジェンヌ風ヌイユ(950円)だ。ヌイユ(nouille)はフランス語で「麺(Noodle)」のこと。フランス料理では添え物的に使われることが多いらしいが、こちらではそれをパスタ風に具と炒めている。いわば焼きそばの一種と言えなくもない。

ロッジ赤石 メニューの一部

そんなわけでパリジェンヌ風ヌイユを注文。喫茶店なので飲み物も頼もう。選んだのはアイスアーモンドオレ(650円)。それにしてもドリンクは1ページしかないのに、フードは4ページもある。やはり喫茶店というより洋食がメインの店なんだな。

アイスアーモンドオレ 650円

注文してすぐにアイスアーモンドオレが運ばれてきた。こういうところへ来ると何か変わった飲み物を探してしまうのだが、アーモンドオレは初体験だ。風味がまさにアーモンドで香ばしい。とんと見かけたことがないが、かつてこれが流行った時代もあったのかな。もう少し涼しい季節ならホットでも良いな。

パリジェンヌ風ヌイユ 950円

そしてパリジェンヌ風ヌイユ。麺は玉子と小麦粉を練った玉子麺という。幅広く、麺の表面には筋が入っている。もちっとした食感だが、ほかの麺とも異なる食味の不思議な麺だ。ボリュームは軽め。たぶんあらかじめある程度の分量を茹でおいているんじゃなかろうか。

玉子と小麦粉を練った玉子麺

具はエビ・貝柱・玉ねぎ・ピーマン・マッシュルーム。カニカマをほぐしたのも入っていた。味付けは塩コショウだけでシンプルだが、魚介・玉ねぎ・マッシュルームの味わいが麺に滲みている。食べ飽きない美味しさだ。試しに注文して正解だった。

焼きそば 700円

食べ終えてもまだ胃袋に余裕がある。ならばと追加で焼きそば(700円)を注文。麺は中細の蒸し麺でゴワっとした噛み応え。具は豚肉、ざく切りキャベツ、モヤシ。海苔をトッピングして、紅生姜を添えてある。

蒸し麺とウスターソースの正統派焼きそば

味付けは酸味のきいたウスターソース。オーソドックスなソース焼きそばなのだが、具に豚肉を使い、キャベツを大きめにカットしてある辺りに昭和40年代っぽさを感じる。戦前や終戦直後の焼きそばだと仮に肉を使っていても牛肉のそぼろだったり豚挽き肉だったりする。キャベツもざく切りではなく千切りや短冊切りのところが多い。そんなことを考えつつ完食。いやー、どれも美味しかった。

最後は寄席へ

お会計を済ませ、待乳山聖天や今戸神社を散歩した後、久しぶりに浅草演芸ホールで落語を楽しんだ。夜の部は林家一門がずらっと高座に上がり、トリは九代目林家正蔵。演目は私の好きな「西行鼓ヶ滝」。和歌をテーマにした噺だけあって、下げにも詩心を感じる。やはり寄席は楽しい。ここ最近ずっと忙しかったが久しぶりにのんびりできた日曜だった。

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ほんま門 (東京都中野区)

野方駅北原商店街の北端近くに「ほんま門」というたこ焼き屋がある。開業は確か2006年くらいだったと思う。たこ焼き以外にも大阪風のコナモン全般を提供していて、店内でそれをつまみに飲むこともできる。地元民なら誰もが知っているリーズナブルな店だ。

野方 たこやき ほんま門

私も開店当初からときどき通っている。こないだの冬からずっと長期休業でどうなることかと心配だったが、この6月に無事に営業再開して、ホッとしたところだ。ちなみに最近改めて調べたら、母体はなんと包装資材の会社らしい。今さら知って驚いた。

野方 ほんま門 メニュー

8月に入ってから土曜の夜に軽く一人飲みで訪れてみた。リーズナブルと書いたが、本当に価格が安い。たこ焼きは一人前(1舟・6個)で200円(税込210円)。お好み焼きの豚玉が390円(税込424円)。焼きそばが450円(税込486円)。食べ物だけじゃなく飲み物も安い。キンキンに冷えたジョッキで提供されるアサヒ・スーパードライの生は390円。サワー・酎ハイは290円から。

アサヒ・スーパードライ 390円

私としては安さばかりを強調したくないのだが、「味だけやなく値段も大阪のほんまモンでっせ」という意気込みを感じる店なのだ。席数が限られているためいつも混んでる。まあ、この価格なら仕方あるまい。

たこ焼きを店頭で常に焼いている

で、肝心のたこ焼きだ。店頭で常に焼いていて、持ち帰りの客がひっきりなしに訪れる。ひと玉が手ごろなサイズで、外はフワッと、中はトロトロの完全なる大阪スタイル。もちろんひと玉ごとにタコもちゃんと入っている。焼きたてを一口で頬張って火傷したことも何度かある。今回はソース味を注文したが、醤油やポン酢、ネギマヨなど味のバリエーションが豊富なのも嬉しい。

たこ焼き 200円

開業時はこのたこ焼きが一人前なんと150円だった。その後段階的に値上がりして今は200円だが、それでも安すぎる。知り合いの飲食店主が野方に出店する際に、地域の価格帯調査でこの店を知ってショックを受けたと言っていた。そりゃそうだ、普通なら倍は取ってもおかしくないもんなー。

焼きそばやお好み焼きを手際よく焼いていきます

2杯目にウーロンハイ(290円)。それとオムそば(550円)を注文。麺を鉄板に乗せ、蓋を被せてじっくり焼く。しばらくして麺をほぐす。その傍らで野菜も水を少量加えて蓋をかぶせる。スライスした豚バラ肉を焼き、一口大に切り分け。混ぜ炒めて焼きそば用のソースで味付ける。

オムそば 550円

完成した焼きそばを鉄板に盛り付けてから、薄く玉子を焼き上げて焼きそばを覆う。マヨネーズとソースを格子状にトッピングして出来上がり。卓上に置かれた魚粉と青海苔を、お好みで振り掛けてみた。

モチモチ太麺と濃厚ソース

麺は太麺。一時期、細麺に代わってしまったが、大阪の焼きそばならやはりもっちり太麺と濃厚ソースが王道だろう。シャキシャキの野菜とフンワリした玉子焼きで美味しさ倍増。普通のソース焼きそばが450円なのも安いが、100円増しでオムそばにできるのも実にお得だ。

お好み焼きも大阪の王道スタイル

この日はサクッとこれで切り上げた。お会計は税込み価格を足し上げて1538円。ちなみにお好み焼きもみじん切りのキャベツをたっぷり使い、時間を掛けてじっくり分厚く焼き上げた、いかにも大阪という品だ。ほんまもんの大阪風コナモンで飲みたいなーって時にぜひ利用してほしい。

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新大久保 アジア屋台村 (東京都新宿区)

8月に入ったばかりの平日のこと。メシコレ・キュレーターでもあるカレー細胞・Matsuさんから「今夜、空いてませんか?」というお誘いがきた。何やら新大久保にマニアックな屋台村があるらしい。

新大久保 アジア屋台村

ほいほいっと承諾してその夜に訪れたのが、新大久保アジア屋台村。広いフロアのフードコート的な造りの店だ。4店舗が出店していて、それぞれがインド・ネパール、タイ・ベトナム、シンガポール・マレーシア、韓国・中国と各2ヶ国を担当。合計8ヶ国の料理が楽しめるという。店の前は何度も通ったことがあり気になっていたが、こういう業態だったのね。

新大久保 アジア屋台村 店内の様子

フットワークの軽い方々が5~6人集って、まずは乾杯。生ビールはプレミアム・モルツ。他にアジア各国のビールももちろん用意されている。

まずは乾杯

周りのテーブルからは日本語はほとんど聞こえない。つまり、各国の出身者も納得できる、現地の味ってわけだ。屋台村なのに凄い。

新大久保 アジア屋台村 メニュー

メニューは国ごとにページが分かれている。もちろん焼きそばも各国の品が揃っている。タイのパッタイ、ネパールのチョウミン、シンガポールのホッケンミーやチャークェイティアオ。中国の五目海鮮かた焼きそばもある。

フォー・サオ・ボー 790円

こちらはベトナム料理のページからチョイスした牛肉やきそば(ベトナム/790円)。ベトナム語だとフォー・サオ・ボー(Pho xao bo)だ。平たい米麺=フォーを野菜と炒めたもので、モチモチの食感が癖になる。

マトン・チョエラ 600円

Matsuさんのオススメはネパール料理のマトン・チョエラ(Mutton choila)。メニューには「マトンのスパイス和え(600円)」という名で載っている。前回来た時にアタリだったというだけあって、間違いない美味しさ。スパイシーでビールが進む。

ラープ・サラダ 850円

他にもいろいろ食べたので、駆け足でざっと紹介していこう。タイ料理の定番、豚ひき肉を使ったラープ・サラダ(Larb salad/850円)。ミントとレモングラスが効かせてあって、しっかり辛い。こんなフードコートっぽい店なのに本格的で侮れない。

カエルの炒めもの 850円

これはベトナム料理で、カエルの炒めもの(Ech xao lan/850円)。これまでカエルは何度か食べたことがある。骨が多く身は少ないが、癖のない肉質で食べやすい。今回はしっかり揚げられた皮の部分が特に美味しかった。

ホッケンミー 900円

せっかくなので焼きそばをもう一品ってことで、ホッケンミー(Hokkien mee/900円)。ここのはシンガポール式でビーフンと卵麺の2種を混ぜ炒めてある。ちなみにマレーシアのクアラルンプール式のホッケンミーはうどんのような太麺をダークソイソースで甘辛く味付けした黒い焼きそば。ペナン式のホッケンミーはエビガラ出汁のスープ麺。同じホッケンミーでも地域差が大きいのが面白い。

ヤンニョム・チキン 680円

東アジアも食べておきたい。こちらは韓国ピリ辛唐揚げ(Yangnyeom chicken/680円)、ヤンニョム・チキンだ。辛さは思ったほどでもなく、甘めの濃厚な味付けだ。ここまでで牛・羊、豚・鶏・蛙と色んな肉を食べてきたが、その種類の多さに驚かされる。ヒンドゥ教徒もいるだろうに、同じ厨房で牛肉使って良いのかと少し心配になる。

ジャガイモとビーフンの炒め物 550円

これはネパール料理のページに載っていた、ジャガイモとビーフンの炒め物(Aalu fin/550円)。スリランカや南インドでビーフン(イディアッパム)を食べるのは知っていたが、ネパールでも食べられているとは思わなかった。”Aalu”が「ジャガイモ」で、”fin”が「米粉(ビーフン)」か。語感からすると中国語の「粉(fěn)」が由来だろう。マサラ風味で乙な味だ。

スクティ・チリ 750円

もひとつ羊でネパールのスクティ・チリ。メニューには「干しマトンのスパイシー炒め(Sukuti chili/750円)」の名前で載っている。経営がネパール人らしいので、どうしてもネパール料理に寄ってしまいがちだ。

写真を撮り忘れたが、チベットモモ(Tibetan momo/650円)もいただいた。同じモモでもネパールとチベット、さらにスープモモの3種があり、別々に紹介されている。さらには中国の小籠包に焼き餃子、韓国のマンドゥ、シンガポールのカレーパフもある。ここ一箇所で、各国の餃子系料理を食べ比べできてしまうのだ。うーん、凄い。

お会計は一人だいたい4000円

途中で抜けたり、後から参加したり、人が入れ替わりつつ楽しく食べて飲んで、お会計は一人だいたい4000円。アジアを周遊旅行した気分になって、5000円でお釣りがきてしまう。例えばビリヤニと麻婆豆腐とか、シンガポールチキンライスとトムヤムクンとか、ハチャメチャな組み合わせもできると考えると、楽しみ方が無限に広がりそうだ。ヤバい店を知ってしまった。マニアックかつ度量の広い知り合いを誘って再訪せねば。

2軒目はミャンマー・カラオケ

ちなみに2軒目は隣の駅の高田馬場に移動し、なぜかミャンマー料理店でカラオケするという、なんともカオスな一夜だった。ミャンマー・カラオケは別にまた腰を据えて紹介したいと思う。

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green glass (東京都新宿区)

「屋号の由来は競馬のあのグリーングラスですか?」
「それもあるんですが、蕎麦の実を剥くと緑色(green)なんですよ」
「ほお」
「それと日本酒を入れるグラス(glass)に引っかけて……」
「あー、それでRの”grass(草)”じゃなくて、Lの方の”glass”なんですね」

西武新宿線中井駅から徒歩7~8分の住宅街に、「green glass」という屋号の蕎麦屋さんがある。手打ち蕎麦と静岡の日本酒、静岡おでんが売りの店。2016年に開業して2年余りだが、ミシュラン2018のビブグルマンに選ばれている実力店だ。友達の勧めもあって訪問してみた。

手打ち蕎麦と静岡酒 green glass

「この道で合っているのかな」と不安になりながら店に到着。玄関先で靴を脱いで奥へと上がる。土曜の20時過ぎだが、台風による荒天で先客はおらず。カウンターに着席してメニューを眺める。

green glass おつまみメニュー

酒の肴には静岡おでんの他にも気の利いた品々が並んでいる。とりあえずサッポロラガー(580円)と静岡おでんのおまかせ盛り合わせ(1250円)をお願いした。

サッポロラガーと静岡おでん

盛られているのは静岡名物の黒はんぺんに玉子・大根・竹輪・昆布。串に刺さっているのは豚巻きトマトだ。練り辛子代わりの粒マスタードと甘味噌が皿の端に添えてある。静岡県出身の自分としては懐かしい味だ。味が良く滲みてる大根が特に美味い。

静岡おでん おまかせ盛り合わせ 1250円

店を独りで切り盛りしているご主人は静岡市出身。あれこれ話してみたら共通の知り合いがいることが分かり、会話が弾んだ。なぜ静岡おでんのだしが黒いのかとか、そんなやり取りも。ちなみに私の出身地の掛川周辺では、モツの代わりに鶏皮を入れ、出汁粉は削り粉のみで青海苔は入っていないことが多い。

green glass 日本酒メニュー

ビールが空いたので、お代りに日本酒をいただく。日本酒は黒板にリストアップされ、銘柄ごとに酒質と製法を整理してある。選んだのは掛川が誇る地酒「開運(780円)」だ。

開運 誉富士特別純米 無濾過原酒 780円

この日の開運は誉富士特別純米、無濾過原酒だった。無濾過原酒なのに火入れしてある、とても貴重な一本らしい。原酒なのでアルコール度数は17度と高いが、すっきりとした口当たりで飲みやすい。

焼き蕎麦 700円

おつまみは焼き蕎麦(700円)。そう、こちらにはなんと蕎麦を使った焼き蕎麦があるのだ。油を引いたフライパンに、茹で上げた蕎麦を丸く広げ、両面をじっくりとカリカリになるまで焼き上げる。仕上げに塩を振りかけ、一口大に切り分け、皿に盛る。小口切りのネギと花ガツオを散らして出来上がり。

両面をカリッと焼き上げたシンプルな品

箸で一切れつまみあげて頬張り、ポリポリと噛み締める。蕎麦の風味が香ばしい。蕎麦屋のつまみで揚げ蕎麦はよく見かけるし、これまで和蕎麦を使った焼きそばをあれこれ食べてきたが、こういう提供の仕方は初めてだ。

細部にまで配慮が行き届いている一皿

油脂の風味で味わいが増している。蕎麦粉本来の香りを損なわない油を選び、薬味のネギも水に晒すことで辛味を抑えてある。細部にまで行き届いた配慮に唸らされる一皿だった。

もり蕎麦 二産地食べ比べ 1020円

そして、〆はもちろん看板メニューの蕎麦だ。「もり」は2つか3つの産地食べ比べが用意されているが、今日は「二産地食べ比べ(1020円)」のみとのこと。品種はどちらも「常陸秋そば」で右が栃木産、左が茨城産。蕎麦は「挽き立て、打ち立て、茹で立て」のスピード命。写真を撮るのももどかしく、「一口目は何も付けずにどうぞ」と勧められるままに啜ってみる。

産地ごとに食べ比べるという趣向

ふーむ、さすがに蕎麦が香り高い。こうして食べ比べると風味の違いが分かりやすい。栃木の方が群馬より細目に切りそろえられているせいかも知れないが、群馬の方が粘り気がある。栃木は噛み応えがあり喉越しが良い。香りの違いは言葉に表現しづらいが、塩や麺つゆを付けるのが勿体なく感じる。ネギやワサビなどの薬味をつけてないのも、蕎麦の風味を尊重してのことだろう。

蕎麦湯で〆

ペロリと平らげて蕎麦湯をいただいて、お会計。とてもストイックな、蕎麦への求道心を体現したようなお店、ご主人だった。黒板に書かれていた「カレー味の焼き蕎麦」も気になるし、他に食べてみたい肴も多いし、もっと他の産地の蕎麦も食べ比べてみたい。今度は予約して訪問させていただこうっと。

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【お知らせ】価格.comマガジン「カップ焼きそば徹底比較」

WEBメディア『価格.comマガジン』の「カップ焼きそば徹底比較」という記事が公開されました! 大手メーカーのメジャーなカップ焼きそば6品を食べ比べ、味の違いを検証してみました。地域によって好みが大きく分かれると思いますが、ぜひお読みください〜。

ペヤングとU.F.O.はどう違う? カップ焼きそば6大定番を達人が徹底比較!

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青柳 (東京都新宿区)

一年ほど前、牛込神楽坂あたりの大久保通りを通りがかったときに、青柳という店を見つけた。早朝からやってる甘味処で、食事処も兼ねているらしい。創業年は不明だが、かなりの年季が入ってそう。

牛込神楽坂 甘味 食事 青柳

場所は大久保通り沿いで、牛込中央通りの交差点から少し早稲田寄り。店頭には食品サンプルの入ったガラスケースが置かれ、緑のフードには「甘味・食事 青柳」の文字。趣のあるファサードだ。

牛込神楽坂 青柳 店内の様子

店内にはテーブルが5卓。訪れたのは日曜のお昼時で先客はいなかったが、あとからぞろぞろと3組くらい入ってきて、テーブルはほぼ埋まってしまった。「ビール小といつもの」なんて注文もしてる。さすが、しっかり地元に根付いているらしい。

牛込神楽坂 青柳 麺類メニュー

メニューの片面にはラーメン・うどん・そばなどの麺類が並んでいる。裏面には御飯と味噌汁とおかず、そして甘味類。定食もあるし、甘味処というよりは食堂寄りっぽい。

牛込神楽坂 青柳 食事・甘味メニュー

ちなみにつけ焼きってのは、いわゆる磯辺焼きらしい。朝6時から営業しているということは、駅前の立ち食いそば的な利用のされかたが多いのかな。

ソース焼きそばとミニカレー

注文したのはソース焼きそば(550円)とミニカレー(360円)のセット。厨房から炒める音が聞こえてくる。やがてお盆とウスターソースの入った醤油刺しが運ばれてきた。

ソース焼きそば 550円

焼きそばは太めの蒸し麺を使っている。具は豚肉、モヤシ。天辺に青海苔と刻んだナルト。脇に紅生姜。ややオイリーで、あっさりしたソース味の味つけだ。

もちっとした太麺が特徴的

オーソドックスな焼きそばだが、もちっとした太麺が特徴的だ。刻んだナルトのトッピングは中野の四川東家静岡市の松竹と同様、それだけでノスタルジーを感じさせる。

ウスターソースを後掛け

そしてウスターソースを後掛けすると、味がさらにピシッと締まる。これもなかなか美味い。

終戦直後は砂糖が統制品だったため、ソースには人工甘味料が使われており、加熱すると苦味がでてしまう。それを避けるため、その時代の焼きそばはソース後掛けが一般的だった。時代は下ってもその名残を留める焼きそばが結構残っているものなのだ。

ミニカレー 360円

セットのミニカレーライスはマイルドな家庭的タイプだ。過不足のない、カレーらしいカレーで食べ飽きない。カレーソースを焼きそばに掛けてもなかなかいけた。

焼きそばとカレーを平らげたあと、クリームみつまめ(580円)を追加注文してみた。「あんみつ」じゃなくて「みつまめ」の方だ。

クリームみつまめ 580円

アカエンドウ、寒天、パイナップル、ミカン、アイスクリームにシロップ。見た目も涼やかだ。猛暑にはぴったりの締めとなった。

お会計は合計で1490円。ラーメンやそばも美味しそうだった。今度は早起きして出勤前の朝食にでも寄り道してみたいなあ。

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【雑誌掲載】シティリビング7.20号「女子のYAKISOBA」

オフィスで働く女性のための情報誌『シティリビング』の7.20号で「女子のYAKISOBA」という特集が組まれています。

シティリビング 7.20号

そこで紹介されているお店選びと最近の焼きそば事情について、協力させていただきました。

シティリビング 7.20号 2・3ページ目

先週の水・木曜に配布され、エリアも限られているようなので入手は難しいかも知れませんが、内容はWEBでも公開されています。良かったらお読みくださいませ~。

読者においしいプレゼントも! 今夏に食べたい・作りたい女子のYAKISOBA(焼きそば)

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和食居酒屋みつぼし (東京都中野区)

昨年末、野方に和食居酒屋みつぼしという飲み屋がオープンした。場所はヤッホーロード商店街で、2016年10月に閉店したみはる食堂の斜向かいの位置だ。みはる食堂がなくなって嘆いていた地元の呑兵衛にとっては、おあつらえ向きの店である。

野方 和食居酒屋みつぼし

みつぼしは開店早々に塩見なゆさんがSyupoでも紹介していた。1階は立ち飲みで2階にはテーブル席が並ぶ。私はほとんど1階での一人飲み。この日も常連さんに混じってワイワイ飲んだ。

生ビール 480円

まずは生ビール(480円)をグビッと一杯。瓶ビールはキリンとアサヒが用意されている。その他、日本酒に焼酎、ウイスキー、サワー。なんでもござれ。甘めのサワーが好きなら、みつぼしレモンサワーなんかがオススメ。

食べ物メニューの一部

メニューは海鮮系を中心にバラエティに富んだ品揃えだ。刺身、焼き物、揚げ物、炒め物。おでんも一年中やっているのが嬉しい。私はあまりやらないが、おでんの出汁で日本酒を割ることもできる。

お刺身3点盛り 750円

定番はお刺身3点盛り(750円)。この日は4種の魚介からブリ、アジ、タコを選択した。開店以来何度も来ているが、ここのブリがホントに旨くて唸ってしまう。刺身の下に敷いてあるのは大根ではなくワカメで、この一皿をつまみにかなり飲める。ビールからチューハイ(300円)へ移行。

ハムエッグ(5個) 450円

続いてハムエッグ(450円)。なんと玉子の量を1個から5個まで選べて同料金。普段は2個なのだが、この日は調子に乗って5個頼んでしまった。爆盛りで有名な居酒屋 花門のベーコンエッグ(MAX9個で400円)には及ばないが、圧巻の盛り付けだ。3個食べてもまだ2個残ってるとは。こいつで焼酎の水割りを2杯くらいもらったはず。

食事系メニュー

ハムエッグで腹が膨れてしまったが、締めに焼きそばもいただいた。手元のメニューにはソース焼きそば(450円)が載っているが、2階の黒板に書かれているピリ辛塩焼きそば(500円)を注文。席によって気付けないメニューもあるので通わねばならない。

ピリ辛塩焼きそば 500円

キャベツとモヤシ、蒸し麺を手早く炒め、塩と豆板醤で味つけした野菜たっぷりの焼きそばだ。「良心的な居酒屋の焼きそばは野菜がたっぷり」という持論に符合する品で、メニュー名の通りピリ辛で癖になる美味しさだ。ボリュームが予想より多かったので、同席した地元の飲み仲間にもシェアして食べ終えた。

豆板醤の辛さが癖になる

この日は思ったより長居をしてしまって、会計は4000円を超えた。普段は2000円以内で収まっている。紹介した以外にも気になるメニューばかりで、いつも目移りしてしまう。やきとん屋が多い野方には、貴重な店だ。今度は何を食べようかな。

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