三和楼

2015年3月28日

横浜中華街の老舗上海料理店、3軒目に紹介するのは三和楼。1962年(昭和37年)の創業で関帝廟通り沿い、山下町公園・會芳亭の少し西の向かい側に店を構えている。

横浜中華街 上海料理 三和楼

訪れたのは2月上旬、平日のお昼時。春節を控えた平日の中華街は観光客も少なめでやや落ち着いている。関帝廟通りはこれまで何度も通ったことがあるが、三和楼に入るのはこれが初めてだ。

店頭には食品サンプルが並ぶ

店内は大衆的でも高級でもない手頃な雰囲気。横浜中華街の飲食店では標準的な価格帯の店なのだろう。年配男女のグループや修学旅行の中学生らしき一団、それと一人客が数人いた。

三和楼 店内の様子

二人掛けのテーブルに着席すると、すぐに箸とお茶とお絞りを出してくれた。気持ちの良い接客だ。

お茶・おしぼり・箸の三種の神器

メニューは伝統的な上海料理がメイン。排骨飯や排骨麺が人気で、平日には各種昼定食(735円)もある。上海炒麺の日本語表記は「上海式焼きそば」で945円。予定通り、それを注文した。

三和楼 麺類メニュー

修学旅行生たちの賑やかな声を聞き流しながら待つこと5分ほどで配膳。

上海炒麺(上海式焼きそば) 945円

麺は細麺。焦げ目はあるがめっちゃ柔らかく、中心部が無茶苦茶熱い! 具は細切りの豚肉、小松菜、キャベツ、筍、木耳。思っていたよりもシンプルな具だ。

味付けは薄めで油脂の風味が強め

油ギトギトだけど味付けはごく薄めでちょっと物足りない。油脂の風味は嫌いじゃないが、塩で良いからもう少し欲しいかな。一応、卓上の醤油を少量垂らしてみたけどあまり合わず。

好みが分かれそうな焼きそばだったけど、上海風焼きそばを中華街の上海料理店がどのように受容したかを知る意味ではなかなか興味深い品だった。でも次に食べるなら排骨飯だな。

さて。

戦前から営業していた萬来亭は例外として、今週取り上げた3軒を見る限り横浜中華街の上海料理店でも、「細麺で混ぜ炒め」「醤油やオイスターソース系の味付け」という焼きそばが「上海(風・式)焼きそば」として出されている。中華街で出しているとなれば、このスタイルが日本中で「上海風焼きそば」として定着する流れは想像しやすい。

この特集の冒頭で述べた「上海風焼きそばは明治から昭和初期に掛けての神保町で生まれた」という私の仮説。戦後には都内へ、昭和30年代には中華街へと普及し、それがやがて日本全国に定着した……。あちこち食べ歩いて、ぼんやりとそんな考えに落ち着いた。ま、証明することはできないのだが、「こんな説もあるんだね」程度に心の隅にでも留めておいてくれると嬉しい。

上海焼きそば特集もあと一週を残すのみ。来週はその仮説から外れそうな例外的な上海風焼きそばをご紹介します。お楽しみに!

三和楼

店舗情報TEL:045-681-2321
住所:神奈川県横浜市中区山下町190
営業時間:11:30~21:30
定休日:水曜日
主なメニュー上海炒麺・上海式焼きそば 945円

什景炒麺・五目焼きそば 840円
牛肉炒麺・牛肉焼きそば 1050円
蝦仁炒麺・エビ焼きそば 840円
海鮮炒麺・カイセン焼きそば 1260円
冬菇炒麺・椎茸焼きそば 840円

排骨飯1050円 排骨麺 840円
焼売525円