焼きそば専門店 濱崎
JR六甲道駅からほど近い焼きそば専門店・濱崎も、今年5月にオープンしたばかりの新店だ。実は当ブログの問い合わせフォームから、直接開店のお知らせをいただいていた。ただ、関西方面に行く機会がなかなか訪れず。ようやく訪問できたのは8月末のことだった。
場所はJR六甲道駅の北口から徒歩数分。この辺りは六甲山の南に位置し、神戸大学の学生も多いようだ。今回は事前にご連絡させていたので、入店すると店主ご夫妻が待ち構えていてくださった。どーもどーもと恐縮しながらご挨拶。
こちらの注文は食券制。定番のソースのほか、トマトソースやカレー味など焼きそばがズラっと並んでいる。中でも一番のおすすめはホルモン焼きそば(950円)とのこと。ご主人は「この辺の感覚だとちょっと高い価格設定かも」と仰っていたが、生麺は調理の手間も掛かるため仕方ない部分もあるだろう。
余談になってしまうが、私個人は日本の外食は価格設定が全体的に安すぎると思っている。消費者としてはもちろん安い方がありがたい。しかし店の側はいろいろ苦労をして低価格を維持することになる。特に古くからの食堂や大衆酒場は、持ち家で家族経営の店(=固定費の低い店)だけが残る。そして店主が高齢で引退となると、たとえ跡継ぎがいても、「子供に同じ苦労をさせたくない」という理由で、敢えて代替わりせずに閉店してしまうことが多い。人件費も上げられらないため、飲食業界の担い手も減る一方だ。
消費者が「安さ」をもてはやすことは、結果として選択肢を狭め自分の首を絞めることに繋がる。そういった昔ながらの店を残すには、ビジネスとして成り立つ適切な価格を客が支払う以外無い。なので外食の価格設定は全体的に上がってしかるべきと思っている。さらにはそれが食材の生産者や流通のコストにも還元されていくだろう。いかがだろうか。
閑話休題。焼きそば専門店というと、どうしてもカウンターのみの店舗をイメージしてしまうのだが、こちらはカウンターなしでテーブルのみ。しかもフロアはかなり広めで、テーブルの間隔もゆったりしている。突き当りの右側が厨房で、カウンターの向こうに鉄板が設えてある。
ホール担当の奥様に食券を渡して、ご主人が調理開始。生麺を熱湯で茹で、茹で上げた麺を熱した鉄板にそのまま広げる。そして麺の片面をカリッと焼き上げるのがこの店のスタイルだ。下味をつけたホルモン、野菜、麺をそれぞれ焼き、混ぜ炒めて味付け。熱々のスキレットに盛り付けて出来上がり。濛々と湯気が立ち上る焼きそばが目の前に置かれた。
麺は中太の茹でたて生麺。具は牛ホルモンとモヤシ、キャベツ。温泉玉子と刻んだネギがトッピングされている。デフォルトで温泉玉子が付いてくるのは嬉しい誤算。スキレットに盛り付けるスタイルは、瀬戸内海の向こう側、徳島の突貫亭を思い出させる。
味付けはソースとホルモンのタレがベース。ナッツの風味を感じたが、ホルモンのタレに配合している食材ではないかとのこと。麺の焼かれている部分はカリッとクリスピーで、それ以外の部分はモチモチ感の2層構造が楽しい。関西だと、麺をここまでカリカリに焼いた焼きそばは珍しいよなあ。
牛ホルモンは肉厚でメチャウマ。プルプルの脂からは甘味を感じる。ホルモン焼うどんで有名な佐用町を始め、兵庫県の山間部では昔から畜産・精肉が盛んだった。そのため周辺エリアでは牛ホルモンが入手しやすかった。しかし最近は全国的に品薄で高騰しているため、これだけの良質な牛ホルモンは仕入れ自体が難しいはず。がんばってらっしゃるなあー。
ちなみにテーブルには「兵庫播州の地ソース」、メイジョーソースが置かれていた。焼きそばの味付けもこのソースがベースになっているのだろう。兵庫県は小規模な地ソースメーカーが沢山ある土地なので、店ごとに使うソースが異なっていて面白い。
麺も具材も味付けもレベルが高く、美味しいホルモン焼きそばだった。最近では10玉3kgのチャレンジメニューも始めたようだ。カリッと焼いた麺が地元の方々に受け入れられるまで時間が掛かるかも知れないが、こういう個性的な専門店は個人的にとても応援したい。関西の焼きそば好きはぜひ一度どうぞ。
店舗情報 | TEL: 050-1033-4127 住所: 兵庫県神戸市灘区永手町3-4-21 営業時間: 11:30~14:30 17:30〜21:30 定休日: 不定休 → ホームページ |
---|---|
主なメニュー | ホルモン焼きそば 950円 豚焼きそば(ソース・塩) 750円 いか焼きそば(ソース・塩) 750円 ミックス焼きそば(ソース・塩) 850円 トマトソース焼きそば 950円 カレー焼きそば 1000円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません