食堂花笠 1号店

2017年5月21日

国際通り近辺で「花笠」を屋号に持つ食堂は3軒ある。一番有名なのは第一牧志公設市場の近くにある「花笠食堂」。それから今回紹介するニューパラダイス通り沿いの「食堂花笠」1号店。その近くにある「食堂花笠」2号店。つまり「花笠食堂」「食堂花笠」の2系列に別れる。「花笠食堂」には「花笠食堂は本店のみです」との張り紙もあるようで、私も実際混乱したのだが、何となくお互いに複雑な感情もありそうなので念のため間違えなきよう。

前置きが長くなった。その食堂花笠1号店は、前述の通り国際通りから一本外れたニューパラダイス通りで店を構えている。2号店は小奇麗な店舗で適度な席数もありスタッフも多いようだ。それに対して1号店はオバア一人で経営していて、建物も古くメニューも限られているという。1号店へ行っても「2号店の方がいいよ」と促されることもあるとか。しかしケチャップ味の焼きそばは1号店にしか無いらしいのでダメ元で行ってみた。

那覇市 食堂花笠 1号店

訪れたのは1月下旬、平日の早朝。WEBの情報だと朝6時半開店となっているが7時過ぎても営業している気配は無し。これが噂のうちなータイムか。7時半、再度訪れると電気が点いていたので入店してみた。「おはようございます」と声を掛けると、奥からオバアが出てきた。

「やってます?」
「やっているけどまだご飯炊けていないんで……」
「焼きそば(600円)は出来ます?」
「あ、焼きそばなら大丈夫ですよ」

食堂花笠 メニュー

客席はカウンター5席にテーブル2卓、小上がり2卓。ただし私物で埋まってて半分ほどしか座れない。とりあえず手前のテーブルに腰掛ける。お冷や配膳はセルフサービスだ。台湾や香港、韓国などからも大勢来るとのことで中国語のメニューもあった。

「じゃ焼きそばをお願いします、ケチャップ味で」
「ソースは入れない?」
「ん? ソース??」
「うちは普段ケチャップとソースの両方使ってるの」
「へー、じゃぜひソースも入れてください」
「とんがらしは?」
「それもお願いします」

オバアが野菜を切り、フライパンでガチャガチャせっせと作り始める。どうしてこの店へとか、ご飯が炊けていればとか、2号店の方が良いとか、何のかんの会話しつつ待つ。付け合せのおつゆも作ってくれ、出来上がるまでに20分ほど掛かった。

焼きそば 600円

麺はストレートの太麺。標準的な沖縄そばの麺だ。具はほうれん草とレタス。この野菜の組み合わせは、焼きそばとしては珍しい。ソースも入ったこってりケチャップ味でまんまナポリタンだ。ボリュームたっぷりで、内地基準だと麺二玉分くらい使われている。朝から食べるには重たいが実に美味しい。

ケチャップとソースで味付け

汁はワカメと苦菜とかきたまご。すっきりかつお出汁。「おつゆ、足りなかったら足しますよ?」との申し出はありがたいがお腹一杯で辞退しといた。食後にはサービスのコーヒーを頂いてさらに色々とお話をうかがった。

「2号店にも焼きそばはあるんですか?」
「ありますよ、でも作り手が何人もいますから」
「作り手によって味が違うんですか?」
「はい、そりゃもう。うち(1号店)のは本当に昔ながらの味ですけど」

食後のコーヒーはサービスで

普通の飲食店では「いかに味を一定に保つか」で腐心してるのに、「作り手で味が変わるのが当たり前」とはなんとも沖縄らしい大らかさだ。きっと焼きそばの具も季節によって変わるのだろう。

「またいらしてください」
「はい、ぜひ」

お勘定を済ませ、再訪を誓って店を出た。寒い日だったがコーヒーとオバアの話で温まった。また那覇に来た際は必ず寄らせていただこう。

食堂花笠

店舗情報TEL:098-867-3880
住所:沖縄県那覇市牧志1-2-11
営業時間:06:30~20:00
定休日:不定休
主なメニュー焼きそば 600円

えんさい炒め 600円 ポークたまご 600円
かつ丼 700円 そうめんちゃんぷるー 600円