元六
西日本から始めました焼きうどん特集もいよいよ関東です。東京のお店を紹介するのも随分久しぶりな気がしますね。
西武鉄道萩山駅に多加楽(たから)亭・元六という店がある。昭和40年の創業以来、「大阪うどん」「東京そば」と銘打って、当時としては珍しい関西風のうどんを武蔵野うどんの中心地で提供してきた。さらに関西風の焼うどん、もとい「うどん焼」もあると言う。
訪れたのは今年1月下旬、平日のお昼時。萩山駅南口を出て線路沿いを数百メートル南下。左手国立精神神経センターの向かい側に店舗があった。中は民芸風の造りで予想以上に広い。テーブル席が十数卓に小上がりが4席、2Fもあるようだ。ランチタイムで席は5割がた埋まっている。
「いらっしゃいませー」
「一人ですが」
「こちらへどうぞ」
花番さんにテーブルの一つへ案内され、お茶とお絞りを受け取った。メニューは全品写真付きでどれも美味しそうだ。
蕎麦も評判が良いらしいが今回はパス。目的の「うどん焼」は大阪うどんの見開きに載っていた。ちなみに創業者は神戸出身らしい。これまでも何度か言及したが、兵庫県南部や香川辺りの一帯では「焼きそば」「焼きうどん」ではなく「そば焼」「うどん焼」と呼ぶ店が多く、この店もそれに倣っているようだ。
「このうどん焼を一つ」
「単品(850円)と定食(1000円)がございますが」
「定食で」
「お時間が少々掛かりますがよろしいですか?」
「はい、結構です」
周りを見ても、まだ料理が来てないテーブルがチラホラある。「まぁあわてることもない」と文庫本を取り出して読みながら待つこと約20分。「お待たせしましたー」と御飯と味噌汁、御新香、そして濛々と湯気を立てたプレートが運ばれてきた。
うどん焼の麺はやや幅広気味で柔らかめの太麺。具はキャベツに小口切りのネギ、豚肉、天カス、イカ、それとエビも一尾入っていた。そしてトッピングに目玉焼きと青海苔がどっさり。味付けはやや甘口のソースで意外に薄味だった。熱々プレートの上で混ぜると目玉焼きの黄身は良い具合に固まった。麺の焦げた香りが食欲をそそる。やはり焼きうどんは焦げた麺が肝だな。確かに美味い。御飯にもあう。
しかし、食べ進めるに連れ戸惑いが生じてきた。この種のコナモン定食に慣れてないせいだろう、「主食→おかず→汁物」のいわゆる「三角食べ」をしたくても、うどん焼を食べると脳が勝手に主食と判断してしまうのだ。主食の次に、じゃあおかずはどれかというとやはりうどん焼なわけで。「うどん焼→うどん焼→うどん焼」と結果的に単品食いになってしまった。
かくして、うどん焼のプレートは真っ先に空に。その後、御飯と味噌汁と御新香を平らげてご馳走様。美味しかったのだが何とも不本意な展開だ。関西的なコナモン定食に慣れるには、まだまだ修行が必要なようだ。
店舗情報 | TEL:042-343-0169 住所:東京都小平市小川東町4-5-12 営業時間:11:00~20:30 定休日:月曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | うどんやき 単品850円 定食1000円 天ざるそば 1450円 しっぽくそば・うどん 850円 |
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