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七面鳥

これまで何度かブログで書いてきたと思うが、餃子やシュウマイなどマニアな仲間と町中華をはしごする会を不定期で開催している。先日はいつものメンバーに著名なラーメンミュージシャンの井手隊長さんも加わり、5人で高円寺周辺の大衆中華料理店を3軒ほど飲み歩いた。

町中華好きなマニアの面々

こちらは最後のお店で撮った記念写真だ。右から東京餃子通信の塚田亮一さん。シュウマイ生活の種藤潤さん。前述したラーメンミュージシャンの井手隊長さん。料理芸人のクック 井上。さん。そして私。自分もメガネ掛けようかな。

高円寺 七面鳥

さて。その日の一軒目で訪れたのが七面鳥という人気店。実は何度か来たことがあるのだが、定休日だったり臨時休業だったり満席だったりで振られてきた。

いりそば 530円

仕事が終わってから駆けつけたところ、ビールと餃子、ソース焼きそばが注文されていた。柔らか細麺でしっとりウェットな仕上がり。キャベツ・モヤシ・人参が使われ、脇に紅生姜が添えられている。スープを加えているのか、旨み十分。ビールにも合うソース焼きそばだ。

七面鳥 メニュー

ところでこの店でソース焼きそばは「いりそば」(530円)という名前でメニューに載っている。他に「焼きそば」(630円)もあるのだが、そちらは麺を揚げて餡を掛けたカタ焼きそばだ。また、「上海めん」(580円)という品もある。醤油味の混ぜ炒めそば、いわゆる「上海風焼きそば」とのこと。

動物の七面鳥は各国で呼び方が変わるそうだが、焼きそばも地域や時代で呼び名や表すものが変化する。

拙著『焼きそばの歴史』の下巻に書いた通り、戦前の支那料理店で「焼きそば」といえば、カタ焼きそばが標準だった。戦後もしばらくはその傾向が残っており、この店もその流れで「焼きそば」という名前でカタ焼きそばを提供しているのだろう。その後ある程度の時を経て、ソース焼きそばをメニューに加えたと思われる。その際、既存の「焼きそば」と区別をつけるため、「いりそば」と名付けたのではないか。

そして「上海めん」。ソース焼きそばを「いりそば」と呼ぶ例はこの店が初めてだが、「上海めん」「上海麺」については小伝馬町の皆楽園など、他店でも時折見かける表記だ。「上海風焼きそば」の歴史も前述した『焼きそばの歴史』下巻で詳しく書いたが、「上海麺」と呼ばれ始めた経緯はまだ不明だ。たぶん戦前か、遅くとも戦後すぐだろうとは思う。

七面鳥 別メニュー

ちなみに七面鳥の店内に貼られた別メニューでは「上海めん」は「上海ヤキソバ」、「焼きそば」は「揚ヤキソバ(カタヤキ)」と書かれていた。この表記の方がお客さんを混乱させないのだろうが、焼きそば=カタ焼きそばだった時代の名残が失われるのは寂しい気もする。その七面鳥の「焼きそば」は実際にどんな品なのか。後日、一人で再訪して確かめてみた。

高円寺 七面鳥

七面鳥を再訪したのは、5人で集まった直後の週末。日曜日の昼過ぎで、店頭には順番待ちの列ができていた。若い女性グループもいる。アイドル番組で紹介でもされたのかな。

ビールはセルフ、お通しは2品

炎天下のなか、20分ほど待って着席。注文を済ませたあと、冷蔵庫から瓶ビールとグラスを自分で取ってくる。この店ではアルコール類はセルフサービスなのだ。そして無料のお通し2品が出される。それもこの店の独自ルールである。

餃子 380円

店内は当然満席。厨房はとても忙しそうだ。15分ほどで餃子(380円)が運ばれてきた。やや厚めの皮に、野菜主体の餡が包まれている。粒が不揃いで手作り感満載。ピリッとニンニクが効いていてビールが進む。

焼きそばにスープとお新香付き

さらに10分ほど待って焼きそば(680円)が運ばれてきた。事前にスープとお新香も出され、それがセットになっている。ゴマ油の香りが食欲をそそる。

焼きそば 680円

麺は中細で、パリパリどころかバキバキな硬さ。その揚げ麺を、野菜を炒めてトロミをつけた餡が覆っている。使われている具材は、豚肉・キャベツ・もやし・青梗菜・さやえんどう・筍・キクラゲ・人参・玉ねぎと野菜たっぷり。

バキバキ麺を最後まで

餡の味付けは醤油ベースで、水分は少なく粘度は高めだ。食べ進めても麺はほとんどふやけず。野菜のシャキシャキと麺のバキバキな歯応えを最後まで楽しめた。いりそばの柔らかさとのコントラストが面白い。

この日のお会計は1610円。ちなみに客の半分以上がオムライスを注文していた。七面鳥の名物なので次回訪問時はそれを食べてみたいなあ。

店舗情報住所: 東京都杉並区高円寺南4-4-15
営業時間: 11:30~14:00, 17:30~19:00
定休日: 土曜日
主なメニューいりそば 530円
上海めん 580円
焼きそば 680円