ダオタイ 阿佐ヶ谷本店
麺の原料は米や小麦だけではない。でんぷんを使った春雨もある。タイの春雨は「ウンセン(วุ้นเส้น)」と呼ばれる。サラダに使えばヤムウンセン、炒めればパッウンセン(ผัดวุ้นเส้น/Pad Woon Sen)。春雨炒めを焼きそばに分類して良いかどうかは微妙なところだが、参考までに紹介しておきたい。
ヤムウンセンは割と普及しているメニューだが、パッウンセンをレギュラーメニューで提供しているタイ料理店はあまり多くない。都内に数店舗を展開しているダオタイはその一つ。「ダオ」は「星」、「タイ」はタイ王国で、屋号は「タイの星」を意味するそうだ。3月下旬、平日の21時過ぎ、阿佐ヶ谷にあるダオタイの本店を訪れてみた。
JR阿佐ヶ谷駅の南口を出て徒歩数分。ネオンで装飾されたファサードを発見。内装は現地の屋台風の造りで、壁にはガネーシャの仏画や仏像が祀られ、天井からは提灯や旗、ミラーボールなどが吊るされている。フロアは思ったより広く、丸テーブルやボックス席、カウンターを合わせるとキャパは40人くらいだろうか。遅めの時間だったので先客は数組ほど。好きな席へとのことで、中程の丸テーブルに腰掛けた。
まず注文したのはLEOビールとガイヤーン(若鶏のグリル/740円)。お通しは東南アジアで定番のえびせんだ。インドネシア語だと「クルプック」。タイ語だと「カーオクリァンクン(ข้าวเกรียบกุ้ง)」。それをつまみに喉を潤す。冷えた金属のタンブラーが嬉しい。
ガイヤーンはスパイシーなタレに漬け込んだ鶏肉をじっくり焼いたもの。メニューではジューシーさを謳っていたが、むしろパサパサ系。カリッと焼かれた皮が美味しい。添えられた漬けダレは甘酸っぱく、ネギとニンニクの芽、コショウがたっぷり入っていた。香りからするとナンプラーも使われているようだが、万人受けする美味しさだ。これ嫌いな人はいないんじゃないかな。
LEOビールを飲み干し、アサヒスーパードライを追加したついでに「パッウンセン(ผัดวุ้นเส้น/Pad Woon Sen)」も注文した。メニューには「春雨炒め」と日本語表記が附されている。この店もそうだが、パッウンセンは主食ではなく、炒め物的な位置づけでメニューに載っていることが多い。ちょうど韓国のチャプチェに似た役どころだ。
使われているのは水で戻したタイの春雨=「ウンセン(วุ้นเส้น)」、エビ、イカ、玉子、白菜、ネギ、人参、ピーマン、パプリカ、小松菜、キクラゲ、シメジ。ニンニクの風味を付けたゴマ油で炒め、タイの醤油「シーユーダム」や黒醤油「シーユーカオ」で味付けされている。
ほんのりスパイスが効いているが、中華料理として出されても違和感のない味付けだ。無難な味わいでビールにも合う。ただし米や小麦粉の麺と違って、腹はあまり満たされない。あくまでも酒のつまみか、ご飯のおかずという位置づけ。やはりチャプチェと通じるところがある。
ちょっと物足りないので、締めにナムサイ(タイ屋台ラーメン/690円)も追加した。「ナムサイ」は「澄んだスープ」のことで、そこに米麺=クイティアオやインスタント麺=ママーを加えて提供される。この店ではインスタント麺(ママー)、細麺(センミー)、中太麺(センレック)、太麺(センヤイ)から指定することができる。
今回、ナムサイの注文で指定した麺は、チキンラーメンに似たインスタント麺。前々回、モンティの記事で紹介したママーと呼ばれる麺だ。具は豚肉、モヤシ、ニンニクの芽、セロリ、ピーナッツ。スープは出汁が主体でほんのり甘め。例の卓上調味料セット「クルワンプルーン」が渡されるので、ナンプラーや唐辛子、酢を使ってスープの味を整えよう。チープな麺がいかにも屋台ぽくて、期待以上に味わい深かった。
たらふく食べて、この日のお会計は3650円。やや食べすぎた感があるが、コスパは良い方だと思う。気軽に使えるタイ風の屋台居酒屋。他の支店もいざって時に利用してみようっと。
店舗情報 | TEL: 03-6768-1199(お問い合わせ専用番号) 住所: 東京都杉並区阿佐谷南3-37-6 ミヤコビル1F 営業時間: 17:00~24:00(土日は12:00~15:00も営業) 定休日: 不定休 → ホームページ |
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主なメニュー | パッウンセン(春雨炒め) 880円 ガイヤーン(若鶏のグリル) 740円 ナムサイ(タイ屋台ラーメン) 690円 |
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