いざかや ほしぐみ
前回、東京タンメン・トナリの「麺を炒めずにソースと和えた」焼きそばを紹介したが、そのスタイルの代表格と言えば、やはりカップ焼きそばだろう。私の出身地・静岡県は、まるか食品のペヤングやきそばが流通していた旧来のエリアの西端に位置する。それもあって個人的にはカップ焼きそば=ペヤングやきそばだった。いろいろ思い入れもある。
ペヤングというブランドはカップやきそば以外にもいろいろ出している。しかし、多くの人にとってペヤング=ペヤングやきそばだろうから、以降の文章では「ペヤング」で統一させていただこう。
ペヤングを食べられる飲食店というと、以前に紹介した五反田の加藤酒店のような角打スタイルが多い。しかしそれ以外にも、いくらか手を加えて出している店がある。そのひとつが三軒茶屋の三茶3番街にある「いざかや ほしぐみ」だ。
ぺヤング以外にも色々と食べてみたかったので、友達をお誘いして3人で訪問。予約した時間に伺ったところ、「いざかや ほしぐみ」の斜向かいに位置する2号店、「ほしぐみフライドキッチン」へと案内された。
闇市が解体された頃に建てられたのだろうか、かなり年季の入った木造住宅だ。1階は立ち飲みカウンターのみ。狭い階段を登って2階へ登ると、昭和感あふれる座敷が現れた。畳には卓袱台が並べられ、床の間まで客席になっている。
窓から外の通りが見下ろせ、注文は内線電話。しかも料理は出前用の岡持ちで運ばれてくる。個性的な居酒屋バルという予備知識はあったが、まさかこうも個性全開とは驚いた。
いや、驚いてばかりはいられない。まずはサッポロ生ビールのLサイズ(550円)で乾杯。お通しは落花生に枝豆。シンプルでよい。
メニューは和洋折衷の肴が揃っている。ボトルワインの安さが売りだけあって、ワインに合いそうな品が多い。
最初に注文したのはこの店の名物、塩煮込み(500円)と柚子胡椒トースト(一切れ50円x3)。名物というだけあって、やっぱり美味しい。ただ柚子胡椒はマヨネーズに混ぜてあるのか、風味が物足りず。普通のトーストでも合うように思った。
キャロットタワーサラダ(480円)。中身は幅広くピールした人参を使ったキャロットラペだ。三軒茶屋のランドマーク、キャロットタワーを模して、グラスに入れた状態で供された。見た目の楽しさはもちろん、味付けがほどよい加減で歯応えもあり美味しかった。
ビールのあとはワインへと移行。まずチリ産のシャルドネ。それを開けてから同じくチリ産のカベルネ・ソーヴィニヨン。ワインはどれもボトルが2000円均一。ただし1階に降りて自分で選び、グラスも持ってこなければならない。酔っ払いにはなかなかの大仕事だ。
肴もワインにそろえて、ドライトマトのパテと地鶏レバーパテの合い盛り(700円)などを注文。パテはどうしたってワインに合う。旨い。
はんぺんの生海苔チーズ焼き(680円)。焦げたチーズとはんぺんの相性は良い。ただ海苔の風味があまり感じられず、そこはちょっと残念かな。
そして私の目的、野菜たっぷりペヤング(480円)。雀荘などで人に作ってもらったカップ焼きそばは美味いものだが、ここのは格別だ。メニュー名の通り、ノーマルのぺヤングにウインナー・モヤシ・人参・小松菜や紅生姜が追加されている。味は基本そのままでボリューム充分。ぺヤングファンにはたまらない。
そういえばぺヤングが2014年12月の異物混入事件で販売中止になり、翌年6月に復活したことは皆さんの記憶にも新しいだろう。私は見逃したが、そのときにこの店がニュース番組で紹介されたとか。もしぺヤング界というものがあるのなら、一目置かれている店なのだ。たぶん。
最後は海老といろんなキノコのアヒージョ(780円)。テーブルがバケットだらけになってしまった。こちらも美味しいけど、食べるペースも落ちてきて、食べ切る前に予約時間のタイムリミットと相成った。残念。
お会計は一人当たり5000円くらい。美味しい酒肴と目当てのぺヤング、さらには個性的なロケーションまで堪能できて、なかなか楽しい店だった。1階の立ち飲みや1号店も、いつか試してみたいなあ。
店舗情報 | TEL: 03-3487-9840 住所: 東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10 営業時間: 17:30~25:00 定休日: 無休 → ホームページ |
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主なメニュー | 野菜たっぷりぺヤング 480円 名物「塩煮こみ」 500円 キャロットタワーサラダ 480円 ドライトマトのパテと地鶏レバーパテの『合い盛り』 700円 はんぺんの生海苔チーズ焼き 680円 海老といろんなキノコのアヒージョ 780円 |
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