天天有
※長崎皿うどんに興味のある方は、長文コラム『長崎皿うどんの歴史的考察』もぜひご一読ください。
長崎を代表する繁華街、思案橋。目と鼻の先の色街・丸山へ行こうかそれとも戻ろうか思案した橋というのが地名の由来だとか。この辺りの銅座川は暗渠になってしまい、思案橋も欄干を残すのみだ。
その思案橋から銅座町方面に伸びる思案橋横丁に、天天有という中華屋がある。創業は昭和21年で、地元の人にも人気の店だ。11月下旬、平日の昼時に訪れてみた。夜の喧騒と一変して通りを歩く人はまばらだ。
入店すると愛想の良い店員さんが手近なテーブルへと促してくれた。客席はカウンター8席にテーブル3卓、小上り2卓。二階もあるようだ。老舗だが新地中華街と違って、いかにも町中華という家庭的な雰囲気を感じる。
チャンポンも皿うどんも新地の店より100円くらい安い。皿うどん(750円)は細麺しか記載されていない。漢字や英文表記なし。注文したのは皿うどんと餃子のセット(1000円)。こういうセットが用意されているのも町中華っぽい。
メニューに書かれた店の来歴によると、昭和初期に初代・官ケンコウ氏が来日。四海楼で修行を積み、「清海楼」という店を暖簾分け。原爆で店舗が壊滅し、昭和21年に現在の場所へ天天有を開業したそうだ。
隣のテーブルでは男性4人くらいのグループが飲んでいる。聞けば茨城から来たそうだ。うらやましいなあ。と言ってる間に皿うどんが運ばれてきた。こんもりとうずたかい盛り付けが特徴的だ。
餡の具は豚肉・タコ・紅白はんぺん・キャベツ・モヤシ。餡の粘度は高めでモチャっとしている。味付けはほんのり甘い。色合いや濃厚さからすると鶏ガラと豚骨をブレンドした白湯(パイタン)スープかな。
麺の色は白く、サクサクに揚げられていた。高さのある盛り付けを含め、長野市権堂「いむらや」のやきそばを彷彿とさせる。餡と絡めて食べると実に美味い。卓上のウスターソースを掛けてみたら傾斜と油で弾かれて、ツーっと流れ落ちてしまったのが妙に面白かった。
あとから運ばれてきた餃子は、小粒の一口サイズが4個。薄皮で餡はにんにくがピリッと効いている。皿うどんのボリュームがあるのでちょっと心配だったが、このサイズなら軽く食べられるな。
思案橋の辺りは餃子屋も多い。博多ひとくち餃子のルーツのひとつ、中洲の宝雲亭から暖簾分けされた宝雲亭本店をはじめ、餃子・豚まんの店がそこかしこにある。戦後に新地中華街とは別の中華系食文化がこの辺りで花開いたようで、とても興味深い。
皿うどんと餃子ですっかり満腹。お会計はきっかり1000円。京都に同名のラーメン店があるが、そちらとは関係なさそう。割と遅い時間までやっているので、今度は飲んだ締めにチャンポンでも……という使い方をしてみたい。
店舗情報 | TEL: 095-821-1911 住所: 長崎県長崎市本石灰町2-14 営業時間: 11:00~15:00, 17:00~23:30 定休日: 第2・第3・第4水曜 → ホームページ |
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主なメニュー | チャンポン 750円 特製チャンポン 1100円 皿うどん 750円 特製皿うどん 1100円 お得セット(餃子4個付き) 1000円 |
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