深川伊勢屋 本店
深川伊勢屋は東京都下に展開する甘味屋のチェーンだ。創業は明治40年。基本的には持ち帰りが主体で団子や大福などを商っているのだが、唯一、門前仲町にある本店には立派な食事処が併設されている。和菓子屋なので和食だけかと思いきや、何と焼きそばもあるそうな。
以前特集した東京の甘味処の流れで、こちらのお店は昨年の6月中旬に訪れた。場所は深川不動尊の参道入り口のすぐ左。平日の昼下がりで土日に比べれば参拝客は少ないが、それでも参道の人通りが絶えることはない。
深川不動尊は成田山新勝寺の東京別院で、江戸時代にこの地で出開帳されて以来、いまだ人気の霊場だ。ただし、江戸っ子の全てに人気というわけではない。成田山新勝寺は平将門を調伏するための祈祷が縁で開山した古刹である。朝廷からは敵とされる平将門だが、江戸っ子にとっては神田明神・築土明神として祀っている氏神だ。そのため両神社の氏子は決して深川不動にはお参りしなかったとか。
閑話休題。深川伊勢屋本店の食事部門へ。店頭にはどーんと食品サンプルが並べられている。和食より、むしろ中華がメインのようだ。店内はなかなか広く、テーブルが8卓ほど並べられている上に2階席もある。席は半分ほど埋まっていた。空いてる席に腰掛けると、花番さんがお冷を持ってきた。
「決まりましたらお呼びください」
早速メニューを確認。焼きそばは「五目あんかけ焼そば」「野菜あんかけ焼そば」「たこしそ焼そば」の三種のみでソースは無し。あ、期間限定の焼きそばもあったか。悩ましいがここはメニューの冒頭に書かれている五目あんかけにしよう。
「すみませーん」
「はーい」
「五目あんかけ焼そば(800円)をください」
「硬さは普通、かた焼き、どちらにしましょう?」
「うーん、普通で」
お冷を飲みつつ、しばらく待機。隣のおばちゃん3人組がぺちゃくちゃおしゃべりしているが、卓上にはお茶しか無いのが気になる。やがて「お待たせしましたー」とお皿が運ばれてきた。
麺は縮れ気味の細麺で柔らかめ。ところどころ焼き目が付いているが、パリパリ感は無い。餡の具は豚肉、ハム、白菜、人参、筍、木耳、長ネギ、玉ねぎ、エビ、ウズラの卵、そしてサヤエンドウのトッピング。餡自体は粘度がやや固めで味付けは甘め。
一口頬張ると胡麻油の香ばしさが口の中に広がった。麺と餡の絡み具合は文句なし。具のシャキシャキ感も良い。中華料理専門店では無いはずなのに思っていた以上にレベルが高い。餡の甘さが途中で気になったが、脇に添えられたカラシや卓上の酢を使って味わいを変えれば問題なし。
ボリュームも充分で満足満足。こちらがお会計を済ませても、隣のおばちゃんたちのおしゃべりの止む気配はなし。やはり甘味処は女性たちの憩いの場なのだなあ。邪魔しないようにそそくさと退席しとこ。
店舗情報 | TEL:03-3641-0695 住所:東京都江東区富岡1-8-12 営業時間:11:00~20:30 定休日:不定休 → ホームページ |
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主なメニュー | 五目あんかけ焼そば(普通・かた焼) 800円 野菜あんかけ焼そば(普通・かた焼) 780円 たこしそ焼そば 780円 |
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