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明洞屋台

2017年10月5日

1月10日から13日まで、BABYMETAL目当てで韓国へ行ってきた。今週・来週は、その韓国で食べた品々をご紹介しよう。なお、韓国の焼きそば系メニューのいくつかは、事前に東京で予習して先々週にまとめて紹介した。未読の方はそちらをご覧いただいておくと、より楽しめるかも知れない。

明洞 屋台(露店/ノジョム)街

さて。まず紹介するのはソウルを代表する繁華街・明洞(명동/ミョンドン)に毎夜現れる屋台街だ。ロッテ百貨店本店と明洞聖堂、明洞駅をT字状に繋げた一帯では、夕方から屋台(露店/노점/ノジョム)がポツポツと出始め、様々なストリートフードを商っている。その中に焼きそばもあると知り、初日の夕方に訪れて何軒か食べてみた。

センサムギョプサル焼蕎麦の屋台

1軒目は丁字路の中心近くに出店していた焼きそばの屋台。商っているのは野菜焼蕎麦(야키소바/₩3000≒約300円)とセンサムギョプサル焼蕎麦(삼겹살 야키소바/₩4000≒約400円)だ。焼き上げる様子は日本の焼きそばの屋台とあまり変わらないのだが、よーく観察するとやはりいろいろと気になる点が出てくる。

焼き上げる様子は日本の屋台とあまり変わらない

まず麺。看板には焼蕎麦と書いてあるが、蕎麦でも中華麺でもなく、うどん玉を使っている。ハングル表記は日本語を音写した「야키소바/ヤキソバ」。漢字表記は「炒拉面」。店員も「好吃ー、炒拉麺ー!」と中国人に狙いを定めて呼び込んでいる。英語は「Pork belly Yaki Noodles」。「Yaki」だけ日本語という、その基準がよくわからない。またセンサムギョプサルのカタカナ表記には「生で新鮮」を意味する「생/セン」が付いているが、ハングルだと付いてない。ただの「サムギョプサル/삼겹살」だ。

センサムギョプサル焼蕎麦(삼겹살 야키소바) ₩4000

サムギョプサル焼蕎麦の方を指差して「イゴ ジュセヨ(これ、ください)」と注文すると、樹脂製の器にビニールを被せて盛り付けてくれた。「辛い(の入れる)?」と訊かれ、うなずくと真っ赤なチリソース(コチュジャンソース)も、ちょろっと掛けてくれる。こんな風に、容器にビニール袋をかぶせるのが韓国の屋台の一般的なスタイルらしいが、理由がよくわからない。容器を使いまわしている様子はなかったから。テイクアウトしやすくするためだろうか。

ちょっと寂しい肉の量だが味は美味い

麺は前述の通りうどん玉。チャジャンミョンで使われる手打ち麺のようなコシを期待したが、ごく普通の茹で置きうどん玉だ。具は薄い豚バラ肉、モヤシ、人参、ニラ。味付けは甘辛で、コチュジャンソースを混ぜると、あとからジワっと辛さが来た。味付け自体は好みの味だ。サムギョプサルと呼ぶには、肉の量がちょっと寂しく、全体のボリュームは軽めだが、まあ屋台だからこんなものだろう。なかなか美味しい焼蕎麦ならぬ焼きうどんだった。

明洞元祖 焼蕎麥

2軒目はロッテ百貨店本店からほど近い場所に出店していた焼きそばの屋台。看板には「明洞元祖(명동원조/ミョンドンウォンジョ)」を掲げているが、韓国の飲食店はやたら「元祖」を名乗りたがるらしいので、たぶん深い意味はない。ただ周辺の屋台の中では、ここだけ特に人混みができていて、リピーターらしき韓国人もいたので普段から人気なのだろう。

手書きメニューでは「やきうどん」

売り物は焼蕎麥(야키소바/₩3000≒約300円)で、「麦」の字が、日本ではほぼ見ない異体字の「麥」になっている。しかし麺はやはりうどん玉で、さらに手書きのメニューでは「やきうどん」となっているのが面白い。「ヤキソバ、ジュセヨ」と注文すると、「辛い(の入れる)?」とここでも訊かれた。うなずいて返すと、やはりコチュジャンソースを掛けてくれた。

焼蕎麥(야키소바) ₩3000

具はキャベツ、人参、モヤシ、ニラで肉は入っていない。そしてなんと、かつお節と青のりが掛かっている! うーむ、そこだけは期待以上にちゃんとした焼きそば、もとい焼きうどんではないか。ベースの味は甘じょっぱい。そのままでも美味いが、スパイシーなコチュジャンソースもなかなか合う。ボリュームはやはり軽め。食べ歩きでなければ、もう一杯食べたいところだ。

なかなか美味しいやきうどん

最後はT字路の交差点から少し明洞聖堂寄りに出店していたチャプチェ(잡채/雜菜)専門の屋台。新宿にある韓国料理店・ハヌリを紹介した記事で詳しく書いたが、チャプチェに使われる春雨は、韓国語で「タンミョン(당면)」=「唐麺」と呼ばれるので、焼きそばの一種と言えなくもない。しかも通常はご飯のおかずとして消費されるが、この店では主役なのだ。

チャプチェ(잡채/雜菜)専門の屋台

売り物は野菜チャプチェ(야채잡채/ヤチェ・チャプチェ/蔬菜杂烩/₩3000≒約300円)と、肉チャプチェ(고기잡채/コギ・チャプチェ/荤杂烩/₩4000≒約400円)。英語表記は「Chop suey vegetables」と「Meat dishes commonly prepared are japchae」。うーむ。JapchaeとChop sueyは違うし、「Stir-fried Glass Noodles」とか「Japchae with Meat」でいいような……。だがまあ、日本でも変な英訳はよくあるので気にしないでおこう。

ここではチャプチェが主役

注文したのは肉チャプチェ。店頭にはコチュジャンソースと、辛そうな味噌っぽいのが置いてあったが、今回は敢えて使わないでおいた。麺は弾力のある細い春雨。具は玉ねぎ、人参、キクラゲ。香菜か三つ葉か春菊か、香りの強いセリ科らしき葉物も入っていた。味付けはかなり甘め。すき焼きでよーく割り下が滲みた白滝のような味わいだ。そこにニンニクと生姜が利いた煮汁で煮込まれ牛肉がトッピングされている。もろに日本人好みの食味で、とても旨い。小さな屋台ながらもさすが一国一城の主、主役を張るチャプチェだけのことはある。

肉チャプチェ(고기잡채) ₩4000

普段ならコンビニでビールでも買って、これらをツマミに飲みたいところだ。しかし気温が0℃を下回る冬のソウル、しかも野外はさすがにツラい。座って飲める居酒屋スタイルの「ポジャンマチャ」もあるが、ぼったくりの危険があるので素直にホテルに戻って、近所の店で飲み直した

ほかの屋台は海鮮や肉の串焼き、スイーツなどが多かった。それにしても「焼蕎麦」と書いておきながら実体は焼きうどんだったり、やはり実際に来て見ないと分からないことが多いなあ。

店舗情報住所: 大韓民国ソウル特別市中区明洞2街
営業時間: 夕方16~17時くらいから出店
ホームページ
主なメニューセンサムギョプサル焼蕎麦(삼겹살 야키소바) ₩4000
焼蕎麥(야키소바) ₩3000
肉チャプチェ(고기잡채) ₩4000