高松うどん店
紀伊半島の新宮市街に「高松」という屋号のうどん屋がある。名前の通り讃岐由来のうどんが売りなのだが、この店の焼きうどんが飲んだ〆として地元で人気だという。
訪れたのは5月上旬の平日。夜しかやっていない店なので、軽く一人呑みも兼ねて行ってみた。新宮駅近くの安い宿からスマホの地図を頼りに徒歩で15分ほど。19時過ぎにお店に着いた。R42の通りから少し奥まった場所にポツンと明かりが灯っている。
店内は奥に長い造りで、客席は左手にカウンターが6席、右手に小上がりが3卓ほど。カウンターに腰掛けていた常連らしき女性の一人客と話し込んでたおばちゃんが、「いらっしゃいませー」と明るく迎えてくれた。
メニューはカウンターの上部に掲げられている。うどんやそばに丼物、それと酒の肴によさげな鉄板焼きが2種類ほどある。
とりあえず生ビール(600円)と、もつ鉄板焼(800円)を注文。ビールは生はサッポロ、瓶はアサヒらしい。すぐ出されたジョッキを片手にテレビのバラエティ番組を眺める。おばちゃんは厨房で何やら炒めているようだ。最初の一杯を呑み終わる頃に「お待たせしました」と鉄板焼が出てきた。ついでにビールのお代わりも注文。
モツ肉は豚のハツだろうか。玉ねぎと一緒に炒められ、添えられたタレで食べる。コリコリした歯応えがあり、ビールが進む。鉄板が熱々なので焦げの具合も自分で付けられる。付け合せの生キャベツも徐々に火が通って味わいが変わるのが面白い。
そのうち女性客もお勘定を済ませ、一人になってしまった。もっと遅い時間になれば混むのだろうが、来るのが早すぎたか。
「早い時間にすみませんでしたねー」
「いえいえ、6時開店ですから」
「終わりはだいぶ遅くまでやってるんですか?」
「基本は2時ですが、お客さんが居れば3時4時まで」
「えー、そりゃ夜遅くじゃなくて朝早くですね!」
もつを食べ終えたところで清酒の冷や(450円)とうどん鉄板焼(800円)を注文。日本酒の銘柄は分からないが看板には太平山と書かれていたような気がする。そして目当てのうどん鉄板焼=焼きうどんが登場。
熱々の鉄板にどかっと焼きうどんが盛られ、青海苔がたっぷりと塗されている。麺が極太でコシがあるが、一本一本がかなり短い。味付けはソースの風味が感じられるが、それだけでは無さそうだ。具はキャベツと牛肉と、これは玉子だろうか。見た目は玉子っぽいのだが、食べてみると肉っぽくもあり、カニっぽくもあり、なんだか良く判らない。もしかしたら玉子ではないのかも知れない。自分の舌のいい加減さが嫌になる。
かくの通りこの店独特の焼きうどんなのだが、これが確かに何ともいえず美味い。熱々の麺をハフハフと頬張ると顔がニンマリしてしまう。他所で食べたことがない癖になる味わいだ。日本酒ではなくサワーの方が合いそうだが、あるかどうか訊いてみればよかった。
余談だが食後にこの鉄板を下げてもらおうと持ってみたら想像以上に重かった。大人数で注文すると、どでかい鉄板で一度に運ばれてくるらしい。機会があれば見てみたいものだ。お酒3杯ともつ焼き、焼きうどんでこの日のお会計は3,250円也。朗らかなおばちゃんの良い店だった。
店舗情報 | TEL:0735-22-3438 住所:和歌山県新宮市薬師町8-7 営業時間:18:00~深夜 定休日:月曜 |
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主なメニュー | うどん鉄板焼 800円 もつ鉄板焼 800円 生ビール、瓶ビール 600円 |
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