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さつき

これで2回目となります、焼きうどん特集。前回の特集では津山ホルモンうどんの橋本食堂から始めて、京都・祇園の喫茶カトレアまで個性的なお店をご紹介しましたね。普段の記事に入る前にちょいと薀蓄を語らせてくださいな。

焼きうどんといえば一般的には小倉のだるま堂が元祖とされ、「終戦直後に乾麺を使って云々」というエピソードがあちこちで引用されております。ただし「戦後に生まれた」という説には個人的に疑問を持っておりまして……。

以前、祇園の喫茶カトレアにある「明治時代から伝わる焼きうどん」を紹介しましたが、実は他に戦前から焼きうどんが存在していた証拠を最近見つけました。大正から戦後に掛けて活躍した古川ロッパ(筆名:緑波)という喜劇役者がこんな文章を残しております。

戦時、代用食として、焼うどんなどというものを、食わされた。然し、焼うどんてものを、僕が、生れて初めて食ったのは、関西で、それは戦争はるか以前のことだった。うどんと言っても、たしかヒモカワだった。挽肉を掛けて、炒麺のように、軽く炒めたものである。これはこれで、お値段から言って、決して悪い食いものではなかった。今でも、焼うどんを食わせる店は、東京にもあるが、僕は、汁の中へ浸っているのより、此の方を愛す。

古川緑波 ― うどんのお化け (「ロッパの悲食記」ちくま文庫所収) 青空文庫より引用

読んでの通り、焼きうどんは戦争はるか以前から関西にあったようです。「焼きうどん発祥の地」を売りにしている小倉方面にはちと気の毒ですけれども……。ひもかわの挽肉炒め、どんな味だったのか食べてみたいですね。

っと、長くなってしまいました。今週は首都圏のカレー焼きうどんを3軒ご紹介します。


西新宿の蒙古タンメン中本やラーメン二郎小滝橋店の近くに、お食事の店・さつきという食事処がある。創業は昭和46年。

西新宿 お食事の店 さつき

小滝橋通りに「元祖カレー焼きうどん」の幟を掲げているのだが、長年それに気付かなかった。灯台下暗し。元祖を謳うとは、一体どんな品なのだろう。

元祖カレー焼きうどん!?

8月中旬、平日のお昼前に訪問。客席はテーブル10卓、カウンター10席ほど。「お一人様ですか?」とカウンターに促されて着席。先客はまばらだったが正午が近づくとどんどん混雑してきた。

お食事の店 さつき お献立

定食やカレー、麺類、酒肴など豊富なメニューだが、カレー焼きうどんは店内の品書きには見つからず。ただし店頭の食品サンプルにはちゃんとあった。

店頭サンプルにちゃんとあります

「ご注文、お決まりですか?」
「カレー焼きうどん(850円)ください」
「お時間が掛かりますけど、よろしいですか?」
「はい、いいですよ」
「サラダか小ライスが付きますが」
「小ライスで」

さつき 店内の様子

他の席では焼魚や揚げ物の日替わり定食が良く出ている。小鉢付き、盛り沢山で美味しそうだ。カレー焼きうどんはなかなか出てこない。後から来た客が食事を終えて帰って行く。20分ほど掛かってようやく配膳。

カレー焼きうどん 850円

うどん玉と豚肉・キャベツ・玉葱・人参・ピーマンを炒め、更にカレールーも加えて混ぜ炒めた感じの品だ。仕上げに目玉焼きトッピング。それとサービスの小ライス。

玉葱の甘味やクリスピーな豚肉も旨い

よく煮込まれたであろうカレールーは深みのある味わい。玉葱の甘味やクリスピーな豚肉も旨い。麺をあらかた片付けたらご飯を投入して混ぜ混ぜ。行儀悪いけどバッチグー。ボリューム十分で満足満足。配膳までの時間は思った以上だったが待った甲斐があった。また寄らせてもらおうっと。

さつき

店舗情報TEL:03-3361-0118
住所:東京都新宿区西新宿7-6-2 宇津宮ビル 1F
営業時間:11:30~15:00 18:00~21:00(土曜は14:00まで)
定休日:日曜・祝日
主なメニューカレー焼きうどん 850円