やきそば 小川商店
富士市の田子の浦の近くに小川商店という店がある。暖簾にも看板にも「やきそば」を掲げているから焼きそば専門店と捉えても問題ないだろう。女将さんの話によれば、創業は明治で今は4代目という老舗で、焼きそばは60年ちょっと前に3代目が始めたそうだ。
小川商店を訪れたのは今年2月、平日の昼下がり。寒いが良く晴れた日で、実家へ帰省する途中に寄った。
JR東海道線の吉原駅に近いこの辺りは元吉原と呼ばれるエリアで、もともと東海道の吉原宿があった場所だ。吉原宿は江戸時代に2回津波で被災して移転し、もっと内陸の吉原本町と現在呼ばれている位置まで移動した。富士市の吉原という地名はちょっとややこしいのである。
店内では駄菓子や食料品も扱っていて、焼きそばはその奥の飲食スペースでいただける。静岡は駄菓子屋文化が昔から定着しているが、こちらのお店もそのひとつのようだ。
店舗はピカピカで歴史を感じさせない。建て替えて10年以上とのことだが、日頃から丁寧に掃除しているのだろう。
さてメニュー。焼きそば・焼きうどんとも小で400円から。トッピングは肉・いか・玉子が選べ、それぞれ50円増しという価格設定だ。そのトッピングが全て入ったミックスの大(650円)を注文した。しばらくして配膳。
麺は中細の蒸し麺。具はキャベツ、豚肉、イカ。玉子は目玉焼きで乗ってきた。青海苔は最初から掛かっている。さらに、卓上に置かれていただし粉を適量自分で掛ける。うむ、完璧なビジュアルだ。
麺にはほどよいコシがある。女将さんによると、地元の伊藤商店という製麺所から仕入れていているとのこと。同じ富士市でも、さくらい焼きそば店のように富士宮の麺を使う店もあるが、全ての店がそうとは限らないのだ。
そういえば富士市にはほかにも荒川製麺という製麺所がある。そこの麺を使っている練馬区桜台の「がらくた居酒屋・いっぽん」という店を以前紹介したが、地元の富士市にも愛用する店はきっとあるのだろう。
味付けはもちろんソースで、昔からカゴメのウスターを使っているとのこと。まろやかな酸味が口の中に広がる。コクがあるので油はラードかと思ったが大豆油だそうだ。目玉焼きを潰して絡めるとさらにコクが増す。静岡ではごく一般的なスタイルともいうべき、昔ながらのソース焼きそばだが、めっちゃうまい。ボリュームも満足できた。
東京や大阪で生麺を使う焼きそば専門店が増えてきて、自分もそういう店をメディアで紹介する機会が増えた。しかし、個人的にはこういう店がツボなんだよなあ。需要はあまりないかもしれないが、今後もこういうお店をガシガシ推していきたい。
店舗情報 | TEL: 0545-33-0242 住所: 静岡県富士市鈴川東町3-2 営業時間: 11:00~15:00 16:30~19:00 定休日: 月曜、木曜 → ホームページ |
---|---|
主なメニュー | 焼きそば・焼きうどん 小 400円 中 450円 大 500円 特大 600円 肉・いか・玉子 それぞれ50円増し |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません