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シンガポール食堂

2016年12月12日

お次は新潟・新発田の焼きうどん。普段から愛読しております神田鯉風先生のブログこちらの記事で知ったお店です。


下越地方の中核都市・新発田市(しばたし)は、新発田城(別名・あやめ城)や堀部安兵衛の生誕地として知られる歴史の街だ。その中心街にシンガポール食堂という店があり、「オッチャホイ」なるものが名物として人気らしい。シンガポール食堂? オッチャホイ?? 何それ!?

実食するべえと訪れたのは7月下旬の日曜日。バイク仲間の寝袋Mさんと連れ立って雁木作りの商店街を探し歩き、11:30頃に到着した。丁度女将さんがシャッターを開けるところに出くわしたが「ごめんなさい、今日は12時からなの」とのこと。仕方あるまい、と新発田城址公園などで時間を潰して12時過ぎに再訪した。

新発田市 シンガポール食堂

このシンガポール食堂、外観も内装もシンガポール的な要素は一切無い。外観は鄙びた雰囲気の喫茶店っぽく、店内は普通の食堂だ。東南アジアの民芸品を少し期待していたが当てが外れた。客席は4人掛けのテーブルが8卓あり、3組ほどの先客がテレビを眺めながら食事をしていた。スタッフはおばちゃん二人。

シンガポール食堂 メニュー

手元のメニューには「元祖オッチャホイ」という括りで目的の品が載っていた。「皿オッチャホイと汁オッチャホイの2タイプがある」「皿オッチャホイは持ち帰りも可能」などの知識は得られるが、「そもそもオッチャホイとは?」という肝心要の説明は一切無い。まあ良い、食べれば分かるだろう。私は皿オッチャホイ(650円)を、寝袋Mさんは汁オッチャホイ(650円)を注文した。

汁オッチャホイ 650円

先にやってきたのは汁オッチャホイ。見た目はタンメンかチャンポンだが、きしめんのように幅広く腰の強い特徴的な麺が使われている。味見させて貰ったが、さっぱりした味わいで美味しい。ただ7月下旬の暑い日に熱い汁麺は辛いものがある。

続いて皿オッチャホイも登場。汁と同様の幅広麺を炒めた品がスープと一緒に配膳された。

皿オッチャホイ 650円

実はオッチャホイとは「シンガポール式焼きうどん」のこと。店内に掲示されていた新聞記事によると、戦前のシンガポールで幼少を過ごした創業者が昭和21年にこの店を始め、その後、シンガポールに未練のある父の発案でオッチャホイを出すようになったそうだ。「メニューに加えて約四十年」とそこには書かれていて、昭和40年代半ばにはテレビCMも流し、それ以降、地元のファンが定着したらしい。

モチモチした腰の強い平打ち麺

モチモチした強腰の麺にはところどころに焼き目が付いて、カリっと仕上がっている。米麺に似た食感だが件の新聞記事では「きしめん」と書かれていたので小麦粉麺なのだろう。具はキャベツにモヤシ、玉子にホウレン草。味付けはオイスターソースを絡めたエスニック風のピリ辛味。微塵切りのニンニクや乾燥させた小エビの風味も味わい深い。一年がかりで研究して現地の味を再現させたというだけあって、美味しい品だった。

ところで当時の在星日本人の間で「オッチャホイ」と呼ばれたこの料理。一体、現地での正式名称は何なのだろう? WEB上では「炒粿条(チャー・クイ・ティアオ)」という華僑料理が挙げられているが語感的に違う気がする。いくら外国語の空耳でもオッチャホイにはなるまい。

納得行かずにしつこく調べた結果、「これだ!」と当たりをつけたのが「干炒河(乾炒河・ゴンチャウホウ)」という広東料理。幅広の米麺=河粉(ホウフェン)の水分を飛ばして具と炒めた品で、物自体は炒粿条とほとんど同じ。検索してみるとシンガポールでも普及しているようだ。見た目もオッチャホイに似ているし発音も近い。ゴンチャウホウ……gオンチャゥホゥ……オッチャホイ! ほら似てる!!(←強引)

というわけで、「オッチャホイ」≒「干炒河(乾炒河・ゴンチャウホウ)」説を個人的に提唱したい。下越で受け継がれるシンガポールの味、新発田に寄る際は是非お試しを。

シンガポール食堂

店舗情報TEL:0254-22-3725
住所:新潟県新発田市中央町3-2-1
営業時間:11:30~20:30
定休日:水曜
主なメニュー皿オッチャホイ 650円
汁オッチャホイ 650円