三河屋
前回紹介した四海楼は、1990年に早岐へ移転するまで、佐世保駅前で長年営業していた。そのためか、長崎県では一般的に「皿うどん=パリパリ細麺」だが、佐世保に限っては「皿うどんは太麺」「パリパリ細麺は焼きそば」という呼び分けが定着している。ラーメンとチャンポンの店、三河屋もそのひとつだ。
昭和42年創業の三河屋は、佐世保随一の歓楽街、夜店公園通りのすぐ脇に看板を掲げている。営業時間は夕方から明け方まで。飲んだ締めにちゃんぽんを、そんなコンセプトがはっきりわかる店だ。
訪れたのは九州旅の3日目、最後の夜。「雀の巣」という店で焼きとりやら豚鼻(とんび)を肴に飲んだあと、9時過ぎに訪問した。
今回の旅、最後の夜は、佐世保で一番古い焼き鳥の老舗という「雀の巣」へ。創業は昭和24年。焼き鳥盛り合わせや、豚鼻(とんび)の串焼き、牛カシラの鉄板焼きをつまみに、白水の水割りをいただきました。雀の巣なのに、「とんび」とはこれ如何に。なんちゃって。 pic.twitter.com/yuZrrDTdhY
— SaltyDog/塩崎省吾 Kindle本『焼きそばの歴史《上》:ソース焼きそば編』発売中! (@SaltyDog_wow) December 28, 2019
店は奥に細長い造りで、背中合わせのカウンター席がずらーっと二列並んでいる。20人くらいは入れそうだ。お店は初老のご夫妻が切り盛りされている。先客はおらず、厨房に面した席に着席。
メニューにはちゃんぽん、ラーメン、餃子、おでんなどが並んでいる。前述の通り、皿うどんは太くて軟らかいちゃんぽん麺。焼きそばはパリパリに揚げた細麺だ。ここ三河屋はさらにソース焼きそばもある。ややこしい。
注文したのは皿うどん(900円)と麦焼酎の水割り(400円)だ。さらに「おでん、もらいますねー」と断って、おでん鍋から2本ばかりいただいた。こちらは1本130円なり。
手前のは「イカ天」あるいは「げんこつ」。刻んだイカゲソを混ぜ込んだ長崎独特の練り物で、理由は不明だがドーナツ状になっている。奥の黒いのは「いわし天」。静岡の黒はんぺんをそのまま揚げたようなおでん種だ。出汁がよーく浸みてて、どちらも美味しい。
10分ちょっとで皿うどんも出来上がり。混ぜ炒めではなく、焼いたチャンポン麺に、とろみのついた餡を掛ける餡掛けスタイルだ。餡の具は豚肉、イカゲソ、キャベツとモヤシ。そして赤いハンペンときくらげのトッピング。
餡の水分は少なめだが、味付けの輪郭がはっきりしていて、ちゃんぽん麺との相性が良い。押しつけがましい自己主張はしないが存在感はしっかりある、この店そのものを体現するような皿うどんだ。
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ずずっと平らげてお会計。師走の飲み屋街は旧交を温める若人たちで溢れていた。21時代では空いていたけど、天辺過ぎたら客席が埋まるんだろうなー。
ところでこの店もそうだが、太麺は皿うどん、細麺は焼きそば。そんな店がソース焼きそばも提供していると、メニューがちょっとわかりにくくなる。次回はその解決例をご紹介しよう。
店舗情報 | 住所: 長崎県佐世保市島地町1-1 営業時間: 17:00~ 定休日: 木曜日 |
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主なメニュー | 皿うどん(ちゃんぽん麺) 900円 焼きそば(パリパリ麺) 900円 ソース焼きそば 800円 ちゃんぽん 850円~ ラーメン 750円~ おでん(1本)130円 |
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