マカン
前回・前々回と、中国のシンガポール風焼きビーフン、インドのシンガポール・ヌードルを紹介した。どちらもカレー風味のスパイシーな品だったが、本場のシンガポールではどうなのか? なんとなく予想が付くかも知れないが、シンガポール料理店で確かめてみた。
訪れたのは神保町にあるシンガポール料理店、マカン。岩波ホールの裏手、タイ料理店・メナムのほとりの2階に店舗はある。ちなみに両店とも経営母体は同じ西インド会社。世界史の教科書に出てきそうな社名である。
階段を登って店内へ。入って左側が厨房、右側の手前に会計カウンター、その奥が客席フロアになっている。平日の20時で、7~8卓のテーブルは7割くらいが埋まっていた。「一人です」と告げ、入り口に近い2人掛けテーブルへと促されて着席。
さてメニュー。麺類はラクサにホッケンミー、クィッティオ(チャークイティアオ)やミーゴレンなど、シンガポール料理店でおなじみのものがズラリと並んでる。その中にあったあった、ありました。シンガポール・フライド・ミー・ホン(シンガポール風焼きビーフン/800円)。それだけでは寂しいので、炒め物から一品。ドリンクはワイン飲み放題に惹かれつつ、タイガービールを注文。
すぐにタイガービールの瓶と、お馴染みのロゴ入りロングタンブラーが運ばれてきた。「瓶を少し傾けて注いでください」と言われた通りに注いでみるが、微妙に入り切らず。うーん、なかなか難しいものだな。相変わらずスッキリした飲み口だ。落ち着く。
炒め物は小イカのチリ炒め(560円)。小型のモンゴウイカとワタ(内臓)、大きな唐辛子を炒めてある。唐辛子はプリック・チー・ファー・デーン(Prik Chee Fah Daeng)という種類らしい。メニューに激辛と書いてあったが、唐辛子は種が抜いてあって、ほどよい辛さだ。イカは柔らかく、ワタのおかげでとても深みのある味わいだ。注文して正解だった。
そしてシンガポール・フライド・ミー・ホンが、バナナリーフを模した皿に載せて運ばれてきた。ミー・ホンは米粉(ビーフン)のこと。その名の通り、麺はもちろん極細ビーフンが使われている。ただ、全体の色があまりに黒いので、一瞬、チャプチェのような春雨ではと思ってしまった。
具はエビ、玉子、チャーシュー、白菜、青菜、モヤシなど。かなりしっとりした仕上がりで、ビーフンも柔らかい。味付けは溜まり醤油(Dark soya sauce)と砂糖がベースのようで、甘塩っぱい。というか甘さがかなり強い。シンガポールに在住していたという店長さんにも確認してみたが、シンガポールの焼きビーフンはこういう味付けで、全く辛くないそうだ。香港や台湾、インドなどで食べられているあのスパイシーなシンガポール風焼きビーフンは、いったいどこから生まれたのだろう?
往々にして地名の付いた料理は現地にないことが多い。ナポリタンに天津飯。そうそう、上海風焼きそばもそうだった。それらを偽物呼ばわりするよりは、面白がって探究するのが、どうも自分の性分らしい。食文化のクロスオーバーに多々出くわすことができるのも、自分が焼きそばに嵌っている理由のひとつなんだろうか。
焼きビーフンの甘さと小イカ炒めの辛さに翻弄されつつ、ビールをもう一杯お代わりしてお会計。穴場的なシンガポール料理店で楽しめた。ドライワンタンミーが気になるので、またそのうち来たいなあ。
店舗情報 | TEL: 03-3238-7946 住所: 東京都千代田区神田神保町2-1 岩波神保町ビル別館 2F 営業時間: 11:30~15:00 17:30~23:30(土 ~22:00) 定休日: 日曜・祝日 → ホームページ |
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主なメニュー | シンガポール フライド ミー ホン 800円 ホッケンミー 940円 ミーゴレン 860円 クイッティオ 860円 ラクサ 850円 ワンタンミー 850円 ドライワンタンミー 850円 小イカのチリ炒め(激辛) 560円 |
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