クンメー 本店
タイの焼きそば特集、4週目! 今週は変わり種の焼きそばを3つご紹介して、特集の〆といたします。
タイの焼きそばとして有名なパッタイには、オムそば風のバリエーションもある。それを食べに訪れたのは新大久保にあるタイ料理店、クンメー。屋号の「クンメー(คุณแม่)」はタイ語で「お母さん」という意味らしい。こちらの記事によると1997年の創業というから、かれこれちょうど20年。タイ料理店では老舗の部類だ。
訪れたのは2月下旬の平日、夜20時近く。友達を誘って二人で訪問した。新大久保駅の改札を出て、すぐ左手の路地を100mほど歩くと本店に着く。その途中には系列店の「クンメー1」があり、さらに大久保駅南口寄りには「クンメー2」もある。もともと「クンメー1」が本店だったらしい。
ファサードはなかなか派手だが、店内はタイの民芸品が飾られていて、意外と落ち着いた雰囲気だ。フロアにはテーブルが多数並べられているが、他の客は2組だけ。ま、平日で雨の降る夜だから飛び込みの客は少ないのだろう。とりあえずリオビール(Beer Leo/650円)で乾杯。
まずはヤム・タクライ(レモングラスサラダ/950円)。豚かエビを選べて、エビを選択。小岩のサイフォンの記事でも紹介したが、微塵切りにしたレモングラスがどっさり使われている。その香りが特徴的なサラダで、食べるほどに口の中が爽やかな芳香で満たされた。
続いてパッ・バッカナー・ムー・クローブ(950円)。カイラン菜とカリカリポークのオイスターソース炒め。カイラン菜は中華料理で使われるアブラナ科の野菜で、キャベツに似た甘みがある。カリカリに揚げた豚肉の噛み応えと、滲み出る旨味との相性バッチリ。オイスターソースとニンニクの風味も良い。
ヌァ・パッ・プリック・ゲーン(990円)。牛肉とインゲンとかぼちゃのレッドカレー炒め。かぼちゃをカレーに使うのが、意外性があって面白い。瓜の一種という認識なのかな。牛肉の味わいとマッチしている。
せっかくのカレーなので、カオニャオ(もちごめ/400円)も付けてみた。カオニャオは素手で取り分け、お団子状に捏ねて食べるのだと、以前タイ料理店で教わったことがある。スパイシーなレッドカレーをモチモチした食感と甘みが柔らかく受け止めてくれる。素直に美味しい。
そして本日の目的の品、パッタイ・ホーカイ(ผัดไทยห่อไข่/Phad Thai Hor Kai/990円)。日本語表記は「タイの焼きそば入りオムレツ」となっている。「ホー(ห่อ )」は「包む」、「カイ(ไข่)」は「玉子」。「パッタイ」の「玉子包み」という、文字通りのメニュー名だ。バンコクの「ティップサマイ(ทิพย์สมัย/Thip Samai)」という店では、これが名物料理になっているらしい。
クンメーで出てきた品は、茶巾寿司を二回りほどサイズアップしたような外観だった。薄焼き玉子の上にはモヤシとニラ、パクチーがトッピングされている。もちろん中に入っているのは、米粉麺=クイッティオ・センレックを使ったタイ風焼きそば、パッタイだ。伸びやかなコシでモチモチした食感の麺と一緒に、干しエビや砕いたナッツ、ニラなどが炒めてある。
パッタイの味付けは甘味がベースで、僅かに酸味もあり、周りの玉子がその味わいを文字通り包み込むようにまとめていた。エスニック風の焼きそばでは玉子を混ぜ炒めにする場合が多いが、こういうオムそばスタイルも楽しい。それと面白いことに、パッタイには細切りのたくわんも使われていた。
店の人に聞いたらタイにもたくわんに似た「チャイポー(ไชโป๊ว)」という食材があるそうだ。味は日本のたくわんよりも甘く、たくわんの方が好みなので敢えて使っているとのこと。こういう風に料理が国境を超えた場合、その土地の食材を使って工夫することはまま見受けられる。それを目の当たりにできて興味深い。
ワインも飲んだりして、すっかり満腹。この日のお会計は二人で一万円ちょい。長年営業している老舗にふさわしい、安心できる料理とサービスだった。駅から近いしキャパも大き目なので、じっくりタイ料理を味わいたいグループにはぴったりだろう。やっぱり新大久保はディープな店が多いなあ。
店舗情報 | TEL: 03-3368-1166 住所: 東京都新宿区百人町1-10-7 大森ビル1F 営業時間: 11:30~24:00 定休日: 無休 → ホームページ |
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主なメニュー | パッ・タイ・ホー・カイ(タイの焼きそば入りオムレツ) 990円 ヤム・タクライ 950円 パッ・バッカナー・ムー・クローブ 950円 ヌァ・パッ・プリック・ゲーン 990円 カオニャオ 400円 |
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