サルーズ キッチン マーケット
今回紹介するのは、チャイナ食堂 サルーズ キッチン マーケット(Saluts Kitchen Market)。公式サイトによると「パリのマレ地区に華僑がオープンしたという空想から生まれた中華レストラン」とのこと。空想を巡らしてアレンジした中華料理で、ソムリエであるオーナーが選んだワインを楽しむ。そんなコンセプトの店だ。
訪問したのは6月下旬、土曜日の18時過ぎ。人気店なので直前に電話で確認。予約でほぼ満杯だったが、なんとか席を確保できた。住所は千駄ヶ谷、最寄り駅は副都心線の北参道駅だが、今回はJR代々木駅からアプローチした。
外観も内装も中華料理店というよりは、洒脱なビストロという趣きだ。客のほとんどは女性同士のグループだった。電話でも告げられたが、1人につきドリンク2杯以上を、とのことなので、ドリンクメニューとにらめっこする。
私はグラスワインのスパークリング(900円)、連れは自家製檸檬ジンジャーソーダ(950円)からスタート。スパークリングの銘柄は忘れたが、甘さ控えめで酸味がち。喉越しが良い一杯だった。
お通しに出されたのは、オリーブの花椒オイル漬けだ。麻辣な味わいを覚悟したが、そんなに痺れない。ほどよい爽やかな風味だ。
さて、肝心の料理メニュー。こちらのシグネチャー・ディッシュは、いろんな食材を手巻きでいただく春餅(チュンピン)なのだが、現在は単品注文を受け付けておらず、3500円のコースしかないらしい。目当ては別にあるので、今回はアラカルトでいろいろ頼むことにした。
まずは酸っぱ白菜(小・700円)。油で和えているためか、思っていたよりは酸っぱくなかった。代わりにアブラナ科特有の、ワサビに似たツンとした辛さがある。ちなみにメニューの多くは小と大が選べる。少人数には嬉しい。
続いて揚げもろこし(小・1200円)。一緒に揚げられているのは、青山椒の実だったかな。ホクホクでサクサク。甘くて香ばしく、後を引く。グラスが空になったので、スパークリングをお代わり。
メインは、やわらか牛ほほ肉の黒酢ソース(小・1800円)。柔らかく味わい深い牛ほほ肉の煮込みだ。ソースのコクが素晴らしい。黒酢の酸味を飛ばして、ワインビネガーのように使っている。
牛ほほ肉の唸る美味しさに、赤ワインをお願いしてしまった。渋味や酸味が抑制気味で、さっぱりした口当たりだ。グラスワインなのでお手軽な銘柄だろうが、暑い日のため軽めのが欲しかったのでちょうど良かった。
さらに海老とミントの中華くらげ(小・1400円)を追加。海老とミントという思いもよらない組み合わせだが、試しに注文してみた。くらげ・もやしとミントを食べただけでは違和感があるが、海老とミントを一緒に頬張ると味わいが一変した。海老の生臭さをミントが掻き消して、旨味がグッと前面に押し出される。これは凄い。斬新な食体験で面白い。
そして締めは、からすみ焼きそば(小・1600円)。もちろん、これが私のお目当てだ。弾力に富む中太麺をネギと炒めてある。麺に焦げ目はなく、柔らかい。オイルは植物性かな。そこに、すりおろしたからすみがたっぷりトッピングされている。
一口食べてみたが、「うーん、潮の香り」という、なんとも微妙な感想を抱いた。二口目も「なんか不思議な味だな」と感じた程度。しかし三口目、「あれ、これ美味いぞ」と何かのスイッチが入った。食べるに連れて、濃厚な風味に慣れてゆき、美味しさの感度が上がってゆく。こりゃーウマい!
からすみという贅沢食材なので美味しいのは当然かも知れないが、その芳醇な風味をいかにストレートに提供しうるか。そんな発想の焼きそばという印象を受けた。ネギの甘さやシャキシャキした歯応えも、からすみの味わいを下支えしている。いやー、おみごとおみごと。脱帽である。
最後はなめらか杏仁(700円)をひとつ注文し、2人でシェアしてデザートに。この日のお会計は13,150円。なかなか高価なディナーになったが、個性的な料理ばかりで新鮮な食体験の連続だった。いつか春餅のコースもお願いしてみたいなあ。
店舗情報 | 住所: 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-22-6 営業時間: ランチ 12:00~15:00(売り切れ次第終了) ディナー18:00~23:00 定休日: 無休 → ホームページ |
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主なメニュー | からすみ焼きそば 小 1600円 大 2400円 |
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