El Verano Taquería Citi Field (アメリカ - ニューヨーク)

せっかくニューヨークまで来たのだから、メジャーリーグも生で見てみたい! ニューヨークのチームの試合日程を確認したところ、滞在中にヤンキースのホームゲームはないが、メッツはあった。しかも5/4は平日なのにデーゲームだ。対戦相手はアトランタ・ブレーブス。よっしゃいったるかとネットでチケットを購入し、ニューヨーク・メッツのホームグラウンド、気温33度のシティ・フィールドへやってきた。ヒャッホー!!

Citi Field, NYC

しかし入場チェックでいきなりトラブル。なんとチケットが弾かれて入れない。ネットで購入したのはリセールチケットで、「他の人が既に使っている」と言われてしまった。販売会社にクレームの電話を入れろと言われたが、たぶんどうにもならないだろう。ただ、ここまで来て帰るのも悔しい。仕方なくダフ屋からチケットを購入。45ドルを30ドルに値切ったので、まあ良しとしよう。

El Verano Taquería Citi Field

というわけで気を取り直して球場へ入った。まずはビールとツマミを確保せにゃ。グランドで国歌斉唱が既に行われているなか、向かったのはバックスクリーンの裏手にあるエル・ヴェラーノ・タケリーア(El Verano Taquería)。ヴェラーノ(Verano)は「夏」。タケリーア(Taquería)というのはタコス(Tacos)などを提供するメキシコ料理店のこと。このブランドはここシティフィールドのほか、ナショナルズ・パークとサラトガ競馬場に出店しているらしい。

El Verano Taquería メニュー

行列に並んで10分弱。ようやく順番が回ってきた。注文したのはナチョス(Nachos $12.75)と生ビール(Draft Beer $10.50)。ちなみにアメリカではアルコールの購入時にID確認を求められるので、呑兵衛はパスポートを持ち歩く必要がある。注文した品を受け取り、カードで支払いを済ませ、近くのテーブルで一旦撮影してから、自分のシートへと移動した。

ナチョスと生ビールを確保

着席したらまずはビールだ。カーンと晴れた野球場ってのは、昼ビールの理想的シチュエーションのひとつだと思う。ただしこのサイズで$10以上ってのはツラい。「値段高いなー、でもMLBはどこもこんなものなんだろうなー」なんて思ったけど、あとで調べたらMLBで断トツで一番高いビールだった。対戦相手のアトランタ・ブレーブスの倍以上って、酷いな。

Draft Beer $10.50

ビールのつまみはアメリカで人気のメキシコ料理、ナチョス(Nachos)。ベースはトルティーヤをカリカリに揚げた三角形のチップス。それに溶かしたチェダーチーズを掛けただけの簡易版ナチョスも多いが、ここのはなかなか豪華だ。アボカドのソース(ワカモレ/Guacamole)とサワークリームが掛けられ、粉チーズが振りかけられている。トッピングだが、この店はチキン・ビーフ・ベジタブルを選べ、ビーフを指定。ほかに黒いんげん豆(フリホレス/Black Beans)、トウモロコシ(Corn)、ラディッシュのスライスやハラペーニョのスライスなどが乗っている。

Nachos $12.75

先日、クラッカーのような揚げ麺に中華餡を掛けたChow Meinを紹介した。あのChow Meinを知った時、「穀物の粉を原料とするクリスピーなスナックに汁っ気のある具を掛けた料理」と捉えれば、このナチョスも同じ枠に収まるのではないかと思ったのだ。原料を小麦からトウモロコシにして形状を変え、掛ける具も中華からメキシコ風に……と、構成要素を少し入れ替えれば、ほら同じ! ま、納得できない人もいるだろうけど、それが今回ナチョスを取り上げた理由だ。

じっくり煮込んで細かく解した牛肉が美味い

牛肉はじっくり煮込んで細かく解してある。英語だとMexican Shredded Beef。メキシコではスペイン語で Carne De Res Deshebrada と呼ばれる。タコスやエンチラーダの定番の具だが、これが特に美味い。メニューに1620~1710calといういらん情報が書いてあったが、気にせず完食。素手で食べたせいでベタベタになった。「紙ナプキンをつけ忘れたな……」と箱の中をよく確認したら、フォークを見つけた。食べ始める前に気付くように入れてくれよ……。

メッツ無得点のまま試合は進む

ビールをお代わりしたくて、観客席をウロウロしている売り子に声を掛けようと思ったが、他の客に伝えている価格を聞いて驚いた。16oz(473ml)のペットボトルの水が$5.75。1L入ったスマートウォーターは$11.50。ビールは25oz(740ml)のロング缶で$20.45。なんと一本2200円以上! サイズは違えど、さっきの生ビールが随分と安く感じてしまう。さすがに缶ビールに2000円出すのはツラいので、財布と相談してお代わりは控えることにした。

「私を野球に連れてって」をみんなで合唱

試合はメッツが無得点でアトランタブレーブスが差を広げていく一方的な展開だ。地元客も途中で帰り始めるほどで、少しでも良いからメッツに見せ場が欲しいところ。ただ鳴り物の無い応援や敵の主力プレイヤーへのブーイング、”Kiss Cam“など、MLBならではの文化に触れられたのは貴重な経験で楽しい。中でも7回表終了時に観客がみんな起立して、『私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ball Game)』を歌う様は印象的だった。

At the old Citi Field

結局、この日の試合は11対0という大差で、ニューヨーク・メッツがアトランタ・ブレーブスに完封負け。『Take Me Out to the Ball Game』の歌詞を口ずさみつつ帰路についた。ビールの値段はダブルスコアなのになー。

Let me root, root, root for the home team,
地元チームを応援しよう

If they don’t win it’s a shame.
勝てなかったら悔しいけど

For it’s one, two, three strikes, you’re out,
ワン、ツー、スリーストライクでアウト

At the old “Citi Field”
昔ながらのシティ・フィールド

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Kaieteur Liberty Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

はい、どーも。みなさんおなじみの長文記事です。前置きもめっちゃ長いです。いつものように我慢してお付き合いください。


「西インド中華(West Indian Chinese)」という料理のジャンルを私が知ったのは、ニューヨークの下調べ中のことだった。「インド中華(Indian Chinese)」はこのブログでも取り上げ、メシコレでも紹介したし、最近はメディアでも特集が組まれるほどには知られてきた。だが「西インド中華」を知る人は、エスニック料理好きにも少ないだろう。

インド半島西部ではない西インド

「西インド中華」の「西インド」は、インド半島西部のことではない。この場合の「西インド」は、カリブ海の西インド諸島や南アメリカの沿岸部を指す。「西インド中華」はそのエリアの料理ジャンルで、別名「カリブ式中華料理(Caribbean Chinese Cuisine)」とも呼ばれる。「初っ端から、ややこし過ぎだろ」と自分でも思う。

カリブ海の植民地時代

大航海時代、イギリスはカリブ海の島々の多くを植民地として獲得した。タバコ・砂糖・コーヒーなどのプランテーションが主力産業で、当初は黒人奴隷が主な労働力だった。しかし19世紀になるとイギリス国内で奴隷制度への批判が高まり、1807年の奴隷貿易法や1833年の奴隷制度廃止法が制定される。結果として農場経営者はアフリカ大陸から奴隷を連れてくることができなくなる。

イギリス国内で奴隷制度への批判が

代わりの労働者や召使いとして西インド諸島に連れて来られたのが、インド人と中国人だ。カリブ海諸国がイギリスから独立した後も、彼らとその子孫はカリブ海に留まった。カリブで調達可能な食材と調味料で作られたインド料理や中国料理に、ジャークチキンなどで知られるジャマイカ料理の影響も受け、現地独特のスタイルが生まれた。それが「西インド中華」「カリブ式中華料理」だ。

ガイアナ(Guyana)共和国(旧英領ギアナ)

南アメリカ沿岸部、ベネズエラの東隣に位置するガイアナ共和国(Guyana/旧英領ギアナ)は、その「西インド中華」が普及している代表的な国だ。Wikipediaによるとガイアナの人口は約76万人。インド系の割合が最も多く43.5%を占めている。黒人が30%、混血が16%、先住民族が9%。中華系は0.2%と少ない。ちなみに日本人はというと、外務省の資料によれば在留邦人はたった10人。年間の来日人数も10人と、日本にほとんど縁がない。

ニューヨークの西インド中華料理店MAP

元イギリス領やイギリス連邦という繋がりだろうか、アメリカのニューヨークやカナダのトロントにはガイアナ移民が多い。この記事によると、ニューヨークの西インド系住民は市内東エリア、クイーンズ区のリッチモンド・ヒルに集中していて、リトル・ガイアナ(Little Guyana)の異名もある。西インド中華料理店も多く、今回紹介するカイエトゥール・リバティ・レストラン(Kaieteur Liberty Restaurant)もその一つだ。

というわけで、ようやく本題に入る。はあ、長い前置きだった。

ニューヨークにあるカイエトゥール・リバティ・レストラン(Kaieteur Liberty Restaurant)へは地下鉄A系統で訪問した。平日夕方の車内は有色人種が多く、白人がちらほら。アジア人は一人もいない。最寄り駅で降りて徒歩数分。19時ちょっと前に店についた。

Kaieteur Liberty Restaurant

屋号の「カイエトゥール(Kaieteur)」は、ギアナ高地にあるカイエトゥール滝(Kaieteur Falls)のこと。226mもの落差があり、滝単体では世界一なんですと。窓にはネオンサインで「Guyanese West Indian Chinese Cuisine」の文字が光っている。ガイアナ式西インド中華料理。理解しているつもりだがどうにも混乱せざるを得ないジャンルだよなあ。

いろいろ気後れしそうになるけど、えいやっと入店。店内は奥行きがあり、フロアにはテーブル多数。常連は奥のバーカウンターに集まって、ビールを飲みながらクリケットの試合を見ていた。若くて可愛い女の子が二人で接客。あ、こりゃ人気店になるわ。

Kaieteur Liberty Restaurant 前菜メニュー

さてメニュー。日本で取り上げられることの少ない料理ジャンルなので、じっくり紹介しよう。まずは前菜のページ。筆頭は中華の揚げ海老ワンタン(Shrimp Wonton)。その右隣りはジャマイカ料理のジャークチキン(Jerk Chicken)だ。2行下にはインドのタンドーリチキン(Tandoori Chicken)。その左のバッファローウィング(Buffalo Wings)はニューヨーク生まれのアメリカ料理。下の方の”Cha Chi Kai Chicken“や”Chicken in Ruff“は、西インド中華独特の料理らしい。眩暈するほど自由な品揃えで、まさにLiberty。

Kaieteur Liberty Restaurant Chow Mein メニュー

そして焼きそばだが、Lo MeinとChow Meinがある。ニューヨークでChow Meinというとクラッカーだったりほぼご飯だったりするが、基本はカタ焼きそばだ。しかしこちらは混ぜ炒めスタイル。Lo Meinもアメリカだと通常は混ぜ炒め焼きそばを指すが、この店はもしかしたら炒めずに和えただけの本来の意味の「撈麵(捞面/ローメン)」かも知れない。今回はChow Meinにジャークチキンを乗せたジャークチキン・チョウメン(Jerk Chicken Chow Mein $10.99)を注文した。

それにしても、インド中華の影響は全く見受けられないのが興味深い。「マンチュリアン(Manchurian)」や「チリチキン(Chilli Chicken)」などは見当たらず、「Hakka Noodles」や「Schezwan Noodles」「American Chop Suey」などインドならではの焼きそば類もない。このことから西インドへのインド料理・中華料理の伝来の方が、インドでインド中華が成立するより早かったのではないか。という仮説が成り立つ。似た料理ジャンルなのに、こうも異なるとは本当に面白い。

Kaieteur Liberty Restaurant West Indian メニュー

あとはWest Indian Menuのカテゴリにあった豆スープ、ダール(Daal $3.00)もお願いした。ヒンドゥ教徒が多いのにCurry Beefはあるんだな。ちなみに各種カレーはライスや薄焼きパン・ロティ(Roti)、あるいはダールプーリ(Dhal Puri・エンドウ豆入りの薄い揚げパン)と一緒に提供されるらしい。インド本国と大きな違いがあるかは不明。

GUYANA & WEST INDIAN CREAM SODA

飲み物はクリームソーダ(Cream Soda $2.00)。冷蔵庫から取り出した瓶のラベルには「TOMBOY」というブランド名と「GUYANA & WEST INDIAN CREAM SODA」の文字。ラベルの裏にはカイエテールの滝が写真が印刷され、「カイエトゥール滝と同じくらい有名(As famous as Kaieteur Falls)」という謳い文句が添えてある。うーん、同じくらい有名というか、無名というか……。味は確かにクリーミーな甘さだが、色は透明で日本のクリームソーダとも、先日飲んだDr.Brownのクリームソーダとも全く違った。面白いなあ。

そして注文した品々が運ばれてきた。食べるぞー。

Jerk Chicken Chow Mein & Daal

ジャークチキン・チョウメン(Jerk Chicken Chow Mein)は、名前の通り炒麺(Chow Mein)に、ジャマイカ料理のジャークチキン(Jerk Chicken)が乗っている。まさに西インドならではの中華料理。ガイアナ本国にあるのかは未確認だが、ニューヨークの西インド中華料理店では置いている店が複数見つかった。

Jerk Chicken Chow Mein $10.99

麺はモチモチした中太の玉子麺。Lo Meinは公式写真だと平打ち麺だが、麺を使い分けているんだな。麺と一緒に炒めてある具は人参・玉ねぎ・白菜・いんげん豆などの野菜で、具は少なく麺が主体。トッピングにジャークチキン、キャベツの千切り、キュウリのスライス、青ネギ。量がめちゃくちゃ多い。焼きそばの味付けは甘じょっぱい。中華でお馴染みのたまり醤油=ダーク・ソイソースと砂糖が主体かな。

麺はモチモチした中太の玉子麺

焼きそば自体はごくオーソドックスな中華焼きそばだ。ただ、アメリカの一般的な中華料理店だと、これはLo Meinという名前で提供されるタイプだ。それがChow Meinの名で提供されている点が実に興味深い。ジャークチキンを除けばベジタリアン向けの品で、ケチャップも一緒に出してくるあたりは、ネパール式のチョウミン(Chow Mein)を彷彿とさせる。ただ麺の太さは明らかにこちらの方が太いし、焼きそば自体の味付けも辛くはない。

ジャークチキンめちゃうま

一方、トッピングのジャークチキンは濃厚な美味さだ。西インド諸島を原産とするオールスパイスのほか、様々な香辛料・調味料・食材を使ったタレに、肉をじっくり漬け込んでから焼き上げる。それがジャマイカのジャーキングと呼ばれる調理法で、豚や羊など鶏以外の肉も使う。

こちらのジャークチキンは鶏肉にタレがしっかり滲みていて、西京漬けや粕漬けのような複雑な味わいにスパイスの刺激がプラスされ、絶妙な塩梅だ。もっと肉に厚みがあって、パリッと焼いた皮もあるのが好みだけど、その辺りは店の個性だろう。これで十分に満足。これだけ肉が多いといつもは後半ツラくなるのだが、今回は期待以上に美味しくて嬉しくなった。

Daal $3.00

そして付け合せに注文したダール(Daal)。ネパール料理のダルバート(定食)で提供されるようなサラッとしたスープを想像していたが、ドロッとしたとろみがあってダルカレーと呼びたくなる。味付けもかなりスパイシーだ。Chow Meinにも試しに少し掛けてみたが、まあ悪くはない。

ボリュームに苦戦しつつ、なんとか完食

焼きそばのボリュームに苦戦しつつも完食。超満腹でお会計は17.40ドル。20ドル札を渡し、「お釣りは取っといて」と告げて店を出た。これまで中米のグァテマラや南米のペルーボリビアで土着化した中華料理を紹介したことがあるが、西インド地域も実に個性的な進化を遂げていた。ジャークチキンと炒麺とダール。こんな組み合わせを楽しめるのは、現地かニューヨークかトロントくらいだろう。日本で食べられないのが残念だ。他の店、他のメニューも食べてみたいなー。

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S’MAC (アメリカ - ニューヨーク)

アメリカ人が大好きな料理のひとつ、マカロニ・アンド・チーズ(Macaroni & Cheese)。「マッケンチーズ(Mac’n cheese)」という略称で親しまれ、特に子供には大人気だ。茹でたマカロニに溶かしたチーズを絡めただけのレシピもあるが、現地で高評価なのはそれをオーブンでしっかり焼き上げた伝統的なスタイルだ。つまりこれも一応は「焼いた麺」と言える。

S'MAC, NYC

せっかくなので本場のマカロニ・アンド・チーズを一度食べておきたい。そう考えて訪れたのは、1番街(1st Ave.) の東12丁目(E 12th St.)にある、「S’MAC」というマカロニ・アンド・チーズの専門店。そう、なんと専門店まであるのだ。”Sarita’s Macaroni & Cheese”というのが正式な屋号らしい。マッケンチーもだけど、アメリカ人て略すの好きなのね。

Sarita's Macaroni & Cheese

この夜はブロードウェイでライオン・キングを観劇した。動物のパペットを操りながら、華麗な歌とダンスを披露する演者にも、ち密に計算されつつも大胆で大がかりな舞台装置や演出にも感動した。チケット代は高かったけど、それに十分見合うだけのとても素晴らしい舞台だった。

S'MAC 店内の様子

その余韻も冷めぬまま、地下鉄で移動。22時過ぎにS’MACに到着。オレンジ色を基調とした内装はチーズをイメージしたものだろう。デザインに統一感があってとてもセンスが良い。平日のこの時間なのにテーブルは3割くらい埋まっていた。事前に評判は知っていたが、ほんとに人気店なんだな。

S'MAC メニューの一部

メニューにはマッケンチーがずらりと並ぶ。店がオススメする組み合わせ以外にも、チーズや具のカスタマイズも自由に行えるらしい。今回注文したのはベーシックな「All-Amercan」。サイズは一番小さな”Nosh”($6.50)から順に、”Major Munch”($9.75)、”Mongo”($16.75)、”PARTAY!”($43.00)と増えていく。もちろん最小の”Nosh”($6.50)をお願いした。

ビールの代わりにDr.Pepper

マカロニ・アンド・チーズにはビールが絶対合うはずなのだが、残念ながら置いていないと言われる。仕方なく無難にDr.Pepperを。フォークを渡され、空いてるテーブルに着席した。テイクアウトの注文がたくさん入ってるようで、自分の注文した品が出てくるまで20分ほど掛かった。「マッケンチー」イコール「ファストフード」という先入観があったが、伝統的なスタイルはスローフードなんだな。

All-Amercan(Nosh) $6.50

S’MACのMac’n cheeseは深いスキレットで供される。持ち手に鍋つかみが被せられているが、実際、スキレットは熱々で絶対火傷するやつだ。表面はうっすらとキツネ色に焦げている。くつくつと音を立てて湯気を上げている様が食欲をそそる。

表面にはキツネ色の焦げが

マカロニは日本のマカロニサラダでよく使われるまっすぐなタイプではなく、エルボー・マカロニ(Elbow Macaroni)やエルボー・パスタ(Elbow Pasta)と呼ばれるタイプを使用している。長さは短く、文字通りエルボー(肘)のように曲がっているのが特徴だ。

エルボー・マカロニとブレンドチーズ

またメニューの説明文によると、「All-Amercan」はアメリカン・チーズ(≒プロセス・チーズ)とチェダーチーズをブレンドしてあるらしい。そのチーズがまるでラクレットのように、たっぷりとエルボー・マカロニに絡んでくる。分かりやすい美味しさだが、焼くという一手間でマカロニとチーズの一体感が増していて、絡めただけのマッケンチーより味わい深い。ただ濃厚すぎて食べ進めるうちに段々と味に飽きてくる。

卓上の調味料類

卓上にはチリペッパーやハインツケチャップ、胡椒などが置かれている。それらを使った味変もいろいろ試してみたが、結局タバスコが一番しっくり来た。サイズが最少だったこともあって、難なく完食。とてもアメリカらしい一皿だった。

最少サイズを難なく完食

カスタマイズでブルーチーズやブリーチーズ(白カビチーズ)を選べば、より多層的な味わいが楽しめると思う。店の雰囲気ではなく単に味わいを楽しみたいなら、デリバリーかテイクアウトがオススメかも。そしてビールと一緒に味わってもらいたい。あー、ビールが欲しかった……

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2nd Ave Deli (アメリカ - ニューヨーク)

前回のRuss & Daughters Cafeを訪れた日曜日。朝に続いてちょっと遅めのランチもユダヤ料理店を訪れた。2番街(2nd Ave.) の東33丁目(E 33rd St.)にある2nd Ave Deliという店で、こちらもユダヤ料理=コーシャフードの人気店だ。

2nd Ave Deli, NYC

2nd Ave Deliへは、友達に紹介してもらったニューヨーク在住の日本人・Maoちゃんと2人で訪問した。SNSで連絡を取り合い、店の前で待ち合わせ。便利な世の中だ。初めましての挨拶を済ませて、早速店内へ。デリと名乗るだけあって、店頭は持ち帰りの総菜が並んでいる。奥の客席は日曜の昼下がりで混んでいた。その中を2人掛けのテーブルへと案内された。

2nd Ave Deli メニュー

こちらの売れ筋はサンドイッチ。特にパストラミサンド(Hot Pastrami Sandwich $21.50)が評判だ。今回初めて知ったのだが、パストラミは東欧系のユダヤ人が製法をアメリカに持ち込んで普及したそうで、やはりユダヤ料理に数えられている。注文はそのパストラミとタン(Tip Tongue $24.95)のサンドイッチ。ドリンクにクリームソーダとレモネード。さらにデザートも注文した。一人より二人の方があれこれ食べられてありがたい。

Dr. Brown's Cream Soda $2.95

クリームソーダ(Cream Soda $2.95)は「Dr. Brown’s」というブランドの缶入り製品。このソーダはコーシャに即した飲料(Kosher Soda)で、1869年の発売以来、ニューヨークのユダヤ系アメリカ人の間で飲まれている品らしい。日本で一般的なクリームソーダとは全く違って、色が茶色く、コクのある甘さだ。他のテーブルでも飲んでいる人がちらほらいた。

サービスのピクルス&サラダ

サンドイッチの前にキュウリのピクルスとコールスローサラダが運ばれてきた。鮮やかな緑のキュウリは日本の浅漬けそのもので、とても食べやすい。色がくすんでいる方は酢にしっかりとつけてあり、頬張るとキュっと口を窄めてしまう酸っぱさだ。今回の旅は野菜が不足しがちなので、こういうサービスはとても助かる。

パストラミ&タンサンド

そしてお待ちかねのサンドイッチだ。ライ麦パンを使うのが定番で、分厚い方がパストラミ。他のテーブルでもほとんどのグループがこのサンドイッチを食べていた。一方のタンもなかなかの厚さだ。どちらもさすがに20ドルを超えるだけのことはある。

パストラミ めっちゃ美味い!

半分に切られたサンドイッチを、Maoちゃんとそれぞれの皿に取り分け、早速頬張る。うーん、めっちゃ美味い! 分厚いスライスを一枚挟むのではなく、薄切りを重ねることで食べやすくなり風味も増す。ボリュームが心配だったが、ペロリといける量だ。タンの方もあっさりした味わいで美味しいが、やはりパストラミが好みだなー。

2nd Ave Deli メニュー その2

ここまで読んで「あれ? 焼きそばは?」と思われたかも知れない。実は今回はデザートなのだ。注文したのはヌードル・クーゲル(Noodle Kugel $8.50)。東欧系ユダヤ人の間ではロクシェン・クーゲル(Lokshen Kugel/קוגל אטריות)と呼ばれる料理で、麺の入ったプディングのこと。

2nd Ave Deli メニュー その2

作り方はこの動画が分かりやすい。茹でたパスタに卵とレーズン、サワークリーム・チーズ・バターなどを加え、オーブンでじっくり焼き上げてある。実際、中にはちゃんと玉子麺(Egg Noodle)が入っている。しっとり重ためのケーキという味わいで、割と好みの甘さ加減。なぜ麺を使うのかは謎だが、材料を知らなければ麺に気付かないのではと思えるほどなじんでいる。

中に麺が入っているんです

焼きそばのイメージから物凄く遠いが、これも一応は「焼いた麺」だ。焼きそばにも和歌山県御坊市のせち焼のように、麺を玉子で綴じて焼き上げるスタイルもある。味付けは全く違うけれど、技法としては似てなくもないと言えまいか?

最後にチョコレートソーダをショットグラスで

こちらの2nd Ave Deliでは、最後にチョコレートソーダをショットグラスで出してくれるのが習わしだ。それをぐっと飲み干してお会計。チップ込で70ドルを超えるという、かなり良い値段のランチになってしまった。でも同席したMaoちゃんも「これまで食べたパストラミサンドで一番美味しい」と喜んでくれたので良しとしよう。

日本人にはあまりなじみのないユダヤ料理だけど、その食文化の奥深さを体験できて満足だ。もしニューヨークを訪れることがあれば、ぜひ試してほしい。

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Russ & Daughters Cafe (アメリカ - ニューヨーク)

アメリカは移民の国。先週は中華系の料理店を紹介したが、今週は別の民族の料理店を紹介しよう。まずはユダヤ系アメリカ人だ。

Russ & Daughters Cafe, NYC

ユダヤ系アメリカ人は全米各地に分布しているが、中でもニューヨークは特に多いらしい。Wikipediaによれば、「ニューヨーク市はイスラエルのグッシュ・ダン都市圏に次ぐ世界第2位のユダヤ人密集地帯」だそうだ。彼らの料理は「コーシャ(Kosher/כָּשֵׁר)」と呼ばれる。概要をコーシャジャパン株式会社のサイトから引用しよう。

「コーシャ(コーシャー、コシェル、カシェル、カシュルート等と日本語表記することもある)フードとは、イスラム教徒のハラールフードのように、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと。ユダヤ教の聖典には食べてもよい食品、食べてはいけない食品が記されており、敬虔なユダヤ教徒は、5000年前の昔からその規律を厳格に守って生活しています。

ちなみにニューヨークのユダヤ人は、意外にも中華料理と関係が深い。ユダヤ人はクリスマスを祝わない。しかし飲食店は全て閉まってしまう。そんな中で営業しているのが中華料理店。結果的にニューヨークのユダヤ人はクリスマスに中華料理を食べるようになったという。現在ではコーシャに則った中華料理店もあるほど、ユダヤ系アメリカ人の間には中華料理が根付いているそうだ。

Russ & Daughters Cafe 店内の様子

今回紹介するのはユダヤ料理=コーシャフードの人気店、ラス&ドーターズ・カフェ(Russ & Daughters Cafe)だ。こちらの記事によると週末は2時間半も待つこともあるとか。日曜の朝9時に訪れたのだが、既に大勢が順番待ちをしていた。「こりゃ長引きそうだなー」と覚悟したが、1人だと告げるとちょうど1つだけ空いていたカウンター席へと促された。ラッキー♪

Russ & Daughters Cafe メニューの一部

さて、メニュー。ユダヤ料理=コーシャならではの見慣れない料理名が並んでいる。スモークサーモンがこの店の一押しだが、他にも興味深い品々ばかりだ。Noshes(軽食)の冒頭にあるKnish(クニッシュ)は、東ヨーロッパ系ユダヤ人の伝統的な具入りパン。後日、有名な老舗ベーカリーでいただいたが、どっしり重い食べ応えのある品だった。

Kasha Varnishkas & Cherry Shrub

この日、朝食に注文したのはカーシャ・バーニッシュカス(Kasha Varnishkas $7)のポーチドエッグ付き($9)。それとチェリー・シュラブ(Cherry Shrub $6)という飲み物もお願いした。

Cherry Shrub $6

「シュラブ(Shrub)」というのは飲用に甘くした酢のこと。こちらのチェリー・シュラブはさくらんぼ、白バルサミコ、花椒、そしてライムが使われている。花椒は四川料理に使われる山椒、舌が痺れるあの「麻」味の元だ。こんな組み合わせがあるのか、という味わいだが、飲み進めると美味しく感じてきた。インド料理店で飲んだジャルジーラを思い出す。酢とフルーツとスパイスのカクテル、意外にありだな。

そしてカーシャ・バーニッシュカス(Kasha Varnishkas)。「カーシャ(Kasha)」はスラヴ諸語で「粥」を意味する。これも東ヨーロッパ系ユダヤ人がアメリカに持ち込んだ料理で、カーシャ・バーニッシュス(Kasha Varnishkes)という表記もある。もともとヘブライ語は母音がないから、他の言語へ音写する際に表記揺れが多くなるのかな。

Kasha Varnishkas w/ Poached Egg $9

玉ねぎを茶色になるまで炒め、茹でた蕎麦の実とファルファッレ(蝶型のパスタ)を加えてさらに混ぜ炒めた料理だ。作り方に興味ある方はこちらの動画が参考になるだろう。皿から漂う油脂の香りが食欲をそそる。炒める際には鶏油を使うのが伝統らしい。

蕎麦の実とファルファッレという異色の組み合わせ

味付けは塩と胡椒でごくあっさり。余計なものを加えていない分、玉ねぎと鶏スープの旨味が際立って、とても芳醇な味わいだ。蕎麦の実とファルファッレという異色の組み合わせも、風味と食感を補い合って期待していた以上に美味しい。ポーチドエッグを絡めても合うなー。ボリュームも結構あって、牛丼を食べた程度の満腹感を得られた。

ポーチドエッグを絡めても合う

レバノンのレバニーズライス(Lebanese Rice)やエジプトのコシャリ(Kushari/كشرى)など、地中海沿岸には米とパスタを一緒に炒めて煮込んで炊き上げる技法がある。調理の手順や材料はだいぶ異なるが、このカーシャ・バーニッシュカスも発想が何となく似ているな、と感じた。蕎麦やパスタを一応は混ぜ炒めているので、当ブログで紹介してみたが、いかがだったろう? 日本でユダヤ料理というと中東イスラエルの料理が多いが、アメリカや東欧系の料理を食べられる店もあるようなので、機会があったらお試しあれ。

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Delight 28 Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

ニューヨークの中華街から、もう一軒紹介しておこう。店名はDelight 28 Restaurant。漢字表記では「喜運來大酒家」。こちらのブログで紹介されている「伊勢海老焼きそば」に興味が沸いたのだが、正確にはロブスターだった。英語の口コミでは “Lobster with Crispy Noodles” という呼び方が一般的なようだ。ロブスター焼きそばはロンドンのMandarin KitchenPearl Liangで食べた経験があるが、揚げ麺は初めてだ。

Delight 28 Restaurant, Chinatown, NYC

この日は昼に食べ過ぎたせいでお腹がなかなか減らず、訪れたのは閉店一時間前の午後8時半くらいになってしまった。フロアは広く、丸テーブルがゆとりをもって多数並べられている。ただし閉店時間が近いためか客は少なく、左側の半分は照明が落とされている。

客の中でも常連というか顔役というか、そんな雰囲気の中国人の一団が際立っていた。中央のテーブルに陣取り、店員が笑顔で周りに立ち、大声で笑ったり怒鳴ったりを繰り返している。周りを一切気にせず騒げるメンタリティが、ある意味でうらやましい。

一人だと告げると、厨房からも件の一団からも近いテーブルに案内された。自分としては騒がしいのは勘弁してほしいのだが、店側としては離れた席だと配膳とか接客が面倒くさいのだろう。そんな都合が空けて見える接客だ。まあいい、閉店間際に来る方が悪いのだ。

Delight 28 Restaurant Lobster Menu

さてメニュー。目的の品は「蝦(Shrimp)」のページにあった。ロブスター(Lobster/龍蝦)は3種あり、ロンドンで食べたときと同じく値段は時価(Seasonal Price)だ。選んだのは鼓汁炒龍蝦(Soute Lobster with Black Bean Sauce)。ロブスターの豆鼓ソテー。本来は「双龍蝦」と言って2尾のロブスターを使うらしいが、一人なので1尾にしてもらった。

青島ビールの代わりにハイネケン

「Crispy Noodles(揚げ麺)も一緒にください」
「Crispy Noodles? ビーフでいいか?」
「いや、ロブスターと一緒に」
「ああ、Togetherな、分かった」
「あと青島ビールも」
「青島あったかな、見てみるわ」
「よろしく」
「なかった、ハイネケンでいいか」
「OK」

Lobster w/ Crispy Noodles

そんなやり取りをし、しばらくするとロブスターが運ばれてきた。食べた殻はこの皿に置け、と白い皿を指し示す。あー、中国本土の人はテーブルに乗せるからな。閉演間際にテーブルクロスとか床がが必要以上に汚れるの、嫌だもんね。さて、食べよう。

ロブスターは文句なく美味い

ロブスターは文句なく美味い。Black Beans Sauce というだけあって粒の豆もちらほら混じっているけど、味は葱と生姜、ニンニクが効かせてあり、ロンドンで食べたのとそこまで変わらない気がする。あちらは盛り付けに緑の野菜も添えていたが、ニューヨークではほぼロブスターだけだ。

揚げ麺も好み

そして麺。ロンドンの蒸し麺も良かったが、ニューヨークの揚げ麺も好みだ。ロブスターの旨味が滲みている。でも麺の量が多すぎ。2尾に使う分の揚げ麺を盛っているんじゃないかな。途中でロブスターとのバランスが崩れ、麺だけ1/5くらい残してしまった。デザートにオレンジとお汁粉、温かいお茶を出してくれた。この辺りは好印象。

デザートにオレンジとお汁粉

ただ料理そのものとは直接関係ないのだが、食べている最中にすぐ隣のテーブル数卓で、スタッフたちで賄いを食べ始めたのにも興ざめしてしまった。離れたテーブルがいくらでもあるのに、客がいるのを気にしなさすぎじゃないのかね。まあ、それが大陸らしいといえば大陸らしいけど、急かされている気がして落ち着かない。

レシート

会計は42ドル。ロンドンより3割くらい安い。しかし伝票を示しながら「チップの金額はここに書け」としつこく言ってくるのもあまり気分が良くない。一応は15%払ったけど、サービスという点ではロンドンで体験したような満足感は得られなかった。せっかくちょっと高めの食事をするなら、ここで無くて良かったかも。ニューヨークの中華街でシーフードを得意とする店は、他にいくらでもあるからね。

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Great Wall Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

いきなりだが、YoutubeにアップされているこちらのChow Meinのレシピ動画を見て欲しい。途中から再生されるようにしてあるので短時間で済む。

もう一つ、次の動画も同じく、Chow Meinのレシピ動画だ。ただし、それぞれEast Coast StyleあるいはEastern Styleとタイトルに入っている点に注意してほしい。

お分かりいただけただろうか?

ご覧いただいたようにアメリカ東海岸の一部では、たっぷりの白飯セロリなどを使った中華餡を掛け、わずかな揚げ麺をトッピングしたものを、「Chow Mein(炒麺)」と呼んでいる。New York Timesのこちらの記事では、親切なアメリカ人が中国から来たばかりの厨師に「Chow Meinとはこういうものだ」と教えるエピソードが紹介されている。そこにもちゃんとrice(ご飯)が含まれている。

NY TimesのChow Meinの記事

この事実を初めて知った時は、私も「なんだそりゃ」と驚いた。ここまでくるともはや麺料理ですらない。あんかけご飯=Chop Sueyに、前回紹介したMein gon(短くて太い揚げ麺)が組み合わさったのだろうとは思うが、歴史的な経緯は不明だ。実は今回、ニューヨークまで足を延ばした最大の目的は、このEast Coast StyleのChow Meinだったりする。2日目の夜に早速食べに行ってみた。

Great Wall Restaurant, Chinatown, NYC

向かったのはチャイナタウンの外れにある、Great Wall Restaurantという中華デリ。夜10時近く。マンハッタン島の夜風が冷たい。先客が2人いたが、2人ともここの店員らしい。食べているのはまかないだ。途中で見かけた店はポツポツ客がいるところもあったけど、ここは割と暇らしい。

Great Wall Restaurant 注文カウンター

ニューヨーカーでもご飯のChow Meinを知らない人は多いようだ。他の店だが、口コミサイトのYelpで「注文と全く違う品が出てきた」と怒りのレビュー投稿も見かけた。恐らくこの店でも同様のクレームがあったのだろう。メニューのChow Meinの欄にはわざわざ “Not Noodle”、”w. White Rice”と書いてある。丁寧なことだ。漢字表記でどう書かれるのかを知りたい。

Great Wall Restaurant Chow Mein menu

カウンターでHouse Special Chow MeinのSmall($6.75)とペプシコーラを注文し、会計を済ませてテーブルで待つ。しばらくして呼ばれた。トレイには注文した品に加えて、フォーチュンクッキーとポテトフライらしきものが入った小さな紙袋が付いてきた。

House Special Chow Mein(Small/$6.75)

サイズはSmallを指定したのに、渡された容器はずっしり重い。開けると米が2合くらい盛ってあった。この街はみんなどこか狂っている。いや、問題はそれではない。なんと、揚げ麺の姿が全く見当たらない。これではただのあんかけご飯、中華丼ではないか。もしかしたらこの店はこういうスタイルなのだろうか。頭に疑問を抱きつつ、もぐもぐ食べ始める。

揚げ麺がないだと……?

具はチャーシュー、鶏肉、エビ、玉ねぎ、モヤシ、白菜。味付けは醤油ベースで八角と旨味調味料を利かせてある。トロミはあまりない。セロリも入ってない。ご飯はインディカ米で粘り気がなく独特な香りがする。日本の米に比べるとライトな口当たりで、思ったよりサクサク食べられる。これなら2合もいけるかも知れない。

揚げ麺がないのにChow Meinと呼べるのだろうか。そんなことを考えながら1/3ほど食べたところで、あの小さな紙袋に入ったポテトフライを思い出した。

この小さな紙袋を忘れていた

「アメリカは何にでも芋をつけるなー。正直そんなにいらないのになあ」なんて思いつつ、包みを開けてみる。中にはポテトフライではなく、なんかクラッカーみたいな揚げ菓子が入っている。

……あ、そういうことか!!!!!

なるほど、これが揚げ麺か。この店はこうやって別添えで付いてくるんだな。って、絶対に分からんわ、そんなん! ふざけんな! Are you kidding me? ご飯にバラバラっと広げて、これでようやくEast Coast Style Chow Meinが完成した。万歳!!

この小さな紙袋を忘れていた

中華丼に似たあんかけご飯だが、この揚げ麺が加わることで味わいが一変……しない。するわけがない。混然一体になるかと思ったが、あまり餡にとろみがないので期待したほどでもなし。たぶんアメリカ人はこのクリスピーな歯応えが好きなんだろうけど、そこはあまり共感できない。もともと味は悪くないのだが、量が多いため半分くらいで食べ飽きてきた。食べ比べるつもりで他に2軒くらいリストアップしてあったけど、どこもこんな感じだろうし、もういいかな……。

うむ、揚げ麺を乗せても味はそんなに変わらない

屋号の通りGreat Wallばりの2合というご飯をどうにか完食。ホテルへ戻って成田空港で購入した太田胃散を服用した。もしニューヨークで人と違う体験をしたいなーと思ったら、このChow Meinを試してほしい。沖縄でチャンポンを注文したのと似たような経験ができることだろう。ちなみにフォーチュンクッキーのお告げは、「There is a prospect of a thrilling time ahead for you.」だった。

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Wo Hop (アメリカ - ニューヨーク)

ゴールデンウイーク+αでアメリカ東海岸のニューヨークとボストン、それとカンザスシティへ行ってきました! というか、まだいます! ネタが溜まっているから週三回ペースで更新したいけど、清書する時間がないという……とりあえず現地から一本目の更新でーす。


昨年ロサンゼルスへ行くきっかけになったBABYMETALのUSツアーが今年も始まる。今回のツアーはアメリカの中央から南部が中心で大都市での開催はない。ちょっと迷ったが、ゴールデンウィーク明けすぐのUSツアー初日には行ってみたい。そんなわけで3/1にチケットを確保したあと、アメリカ東海岸の焼きそば食べ歩きと組み合わせた旅を、具体的に計画しはじめたわけであーる。

ニューヨークいってきましたの図

ゴールデンウィークが始まった4/28(土)に早速、旅に出発。成田から13時間のフライトを経てニューヨークに到着した。初日の夕食に訪れたのは、マンハッタンの中華街にあるWo Hopという中華料理店だ。

ニューヨークの中華街

Wo Hopは24時間営業で地元の人気店。午後8時くらいに訪れたら、順番待ちの列が外にまで伸びていた。空腹なうえに時差で眠いので別の店で済まそうかとも考えたが、ホテルから割と近いので少し時間を置いて再訪することに。2時間ほど経った夜10時過ぎ、店内は満席だが、順番待ちの列は消えていた。

Wo Hop, Chinatown, NY

店員に言われてドアの外で待っていると、あとから地元のご夫妻がやってきて、いろいろ話し掛けられる。今日ニューヨークに着いたばかりだと話すと、「この店を選んで正解よ」とのこと。しばらくして店内へ。先ほどのご夫妻と隣り合って座ることになり、いろいろ気遣っていただいた。

Wo Hop メニューの一部

さて、メニュー。一般的な中華料理が並んでいるが、Chow Meinは無印と”Canton Style”の2ブロックに分かれている。アメリカでChow Meinというと、両面をしっかり焼く”Pan Fried”や、カリカリに揚げた”Deep Fried”あるいは”Crispy”がある。西海岸では後者を「HK(Hong Kong) Style」と呼んでいたが、東海岸では違うのだ。”Canton Style”は「Pan Fried」。そして……

中国人のいるところ、青島ビールあり

「Roast Pork Chowmein($9.75)、それと青島ビールをください。
「Chow Mein は Old Styleですか? それともCanton Styleですか?」
「”Old Style”でお願いします」

Roast Pork Chowmein(Old Style) $9.75

そんなやり取りをして数分後。こんもり盛られた楕円の皿と、カラシの入った皿が運ばれてきた。パッと見はただのあんかけ焼きそばだ。餡の具はチャーシューの短冊切り、モヤシ、セロリ、ニラ、玉ねぎ。パプリカもちらっと入っている。味付けはは醤油ベースでやや甘め。粘度は低め。

スナック菓子に似たMein gon(面干)を使用

そして何より特徴的なのが麺だ。4~5センチほどしかない、短くて太い揚げ麺で、麺というよりはプリッツなどカリカリのスナック菓子に近い。現地ではMein gon (面干 miàn-gān)、あるいはCrunchy Noodles、Crunchy Chow Meinと呼ばれているらしい。

滲みたとこが美味しい

食器は箸でもフォークでもなく、スプーンを渡された。何もかもがユニークだ。カリカリした麺も、ほんのり餡が滲みてしんなりした部分もそれぞれ美味い。付け合わせのカラシも使ってみた。大したことなかろうと思ったが、しっかり辛く、つけすぎてむせた。

カラシが咽る辛さ

この何とも変わったChow Meinだが、思い出すのはLa Choyという食品メーカーの製品だ。同様の品を缶詰にしてChow Meinという名で販売していて、アメリカでは割と普及しているらしい。Facebookで知り合ったアメリカ在住の知人が、以前その商品=麺と具の缶のセットを送ってくれた。

味の方はまあ、なんというかスナック菓子にレトルトの中華丼の元を掛けたような感じで、正直そこまで美味しいものではない。ただ1960年代に「La Choy Dragon」というキャラクターを使ったテレビCMを盛大に打ったおかげで、アメリカでの知名度は高い。

恐らくそのLa Choyの商品が、ニューヨークのこのスタイルが普及したきっかけなのだと思うのだが、残念ながらただの推測で確証はない。それにしても、こんなに変化した品がまさか「Old Style」と呼ばれるまでになるとは、Chow Meinをアメリカにもたらしした中華系移民も予想しなかったろうなー。

山盛りのChow Meinを食べ終えて満腹。ご夫妻に挨拶して席を立つ。ビールも併せてお会計は14.15ドル。チップ加えて16ドル。安い。全くもって炒麺らしからぬChow Meinだが、実はこれでも炒麺の名残を留めている方なのだ。次回は留めていない品を紹介しよう。

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お好み焼 みかさ (神奈川県横浜市)

先日、戦前の名残を留める人形町のお好み焼き店、松浪を紹介したが、さらにもう一軒、貴重なお好み焼きが提供されている店を見つけた。横浜は野毛にある、老舗お好み焼き店、みかさだ。

野毛 お好み焼 みかさ

松浪でご一緒していただいた『お好み焼きの戦前史』の著者、近代食文化研究会さんを今回もお誘いし、その野毛のお好み焼き店・みかさを訪問してみた。

お好み焼 みかさの来歴

訪れたのは土曜日の昼下がり。浅草の染太郎を彷彿とさせる店構え。店頭の来歴で「風流お好み焼」と添え書きされている辺りも染太郎を思い出させる。創業は昭和28年(1953年)。『関西風でも広島風でもない『みかさ風お好み焼き』を』という謳い文句にワクワクしつつ入店。

お好み焼 みかさ 店内の様子

店内は落ち着いた雰囲気だ。畳敷きの座敷が左右にあり、天板が鉄板になっている座卓が2卓ずつ置かれている。掘りごたつではないが、座卓なので腰掛けるのが楽だ。先客が1組いて、生くじら焼きしゃぶなどでワイワイやっていた。

お好み焼 みかさ メニュー

こちらがお好み焼きのメニューだ。見慣れた品もあれば、「え? なにそれ?」という品もあり。その幾つかは既に絶滅したと思われていた、まさに生きた化石のようなお好み焼きなのだ。近代食文化研究会さんは、たぶん日本で最もこの凄さが分かる人なのではないかと思う。

しょうがてん 660円

まずは生ビールで乾杯して、小手調べに「しょうがてん(660円)」を注文。小麦粉を溶いた生地と紅生姜が入った、小さめのホーローカップが運ばれてきた。量は少なめでシンプルな構成だ。よーく混ぜて、熱した鉄板に広げる。この小麦粉の生地には揚げ玉とキャベツが既に入っているらしい。両面が焼けたらソースを塗り、青海苔を塗して出来上がり。

爽やかな生姜の風味

爽やかな生姜の風味と軽やかな口当たりが特徴的な、乙な味のお好み焼きだ。ソースは濃厚ソースもウスターソースがあり、どちらもサフランソースの製造元に特注しているオリジナルソースだとか。その辺にも老舗ならではのこだわりがありそうだ。

もちしゅうまい焼き 620円

続いて「もちしゅうまい焼き(620円)」。「しゅうまい」は戦前のお好み焼き店でおなじみのメニューだったらしいが、今は浅草の染太郎くらいにしか残っていない。時を経て染太郎では「しゅうまい天」というメニュー名になったが、『お好み焼きの戦前史』によると本来はあくまでもただの「しゅうまい」らしい。「しゅうまい」に「天」がつくはずがない、という理由については『お好み焼きの戦前史』をお読みあれ。

もちしゅうまい焼きの作り方

「もちしゅうまい焼き」を注文したら細長く切った餅が4本と具、小麦粉の生地の入ったホーローカップが運ばれてきた。具はエビ、ミンチ、キャベツ、玉ねぎのみじん切りだ。「え、これどうするの?」と思われるかも知れないが、作り方が書かれた紙も渡されるので安心して焼こう。

もちしゅうまい焼きの制作過程

まずは具を炒める。餅で囲んだ枠に少量生地を垂らし、炒めた具を入れ、残りの生地を注ぐ。染太郎で食べたことがあるが、あちらに比べると具も生地も多い。そのためちょっと餅の枠からあふれてしまった。さらに火が強すぎて焦げてしまったのもご愛敬。お好み焼きはこういうものなのだ。

見事に焦げた、もちしゅうまい焼き

焼きあがった「しゅうまい」を4つに切り分け、醤油とカラシて食べる。肉とエビ、玉ねぎの風味で本当に中華料理のシュウマイっぽい味わいだ。ほんとお好み焼きって、不思議な食べ物だよなあ。ちなみに「もちぎょうざ焼き」はしゅうまいと材料が違うそうで、食べ方も酢・醤油・ラー油を使うそうだ。

のげ焼きの材料

次は「塩崎さんも焼きそばを」と促されて注文した「のげ焼き(820円)」。他の焼きそばを差し置いて、敢えてこの「のげ焼き」を選んだ。運ばれてきたのは通常の焼きそばの材料。そして生玉子が二つ割られた丼だ。

麺を細かく刻みながら炒める

焼きそばの麺はやや黄色味を帯びた蒸し麵。その上にミンチとラード。下にはキャベツとモヤシが隠れている。熱したラードを引いて、ざざっと広げ焼きそばを作り始める。この時、そばめしの要領で麺を細かく刻みながら炒めるのが、みかさの「のげ焼き」の肝なのだ。

焼きそばを生卵とかき混ぜます

あらかた火が通ったところで、塩と胡椒、ソースと味の素で味付けして、麺を刻んだ焼きそばの出来上がり。その焼きそばを生卵の器に入れ、よーくかき混ぜる。混ぜたったらそれ鉄板に広げて焼く。要は焼きそばの玉子綴じだ。同様の品は、新梅田食堂街の「きじ」が提供しているモダン焼きや、和歌山県御坊のご当地グルメ「せち焼き」が知られている。しかし、まさか関東でも昔から食べられているとは思わなかった。

のげ焼き=焼きそばの玉子とじ

食べてみるとソースの味わいに玉子のまろやかさが加わって、すこぶる美味しい。フワフワの玉子と、モチっとした麺の食感も面白い。近代食文化研究会さんにも好評だった。ソース焼きそば入りの玉子焼き、もっと流行っても良いな。

焼きそば入りの玉子焼き、のげ焼き

女将さんの話によると、こちらのみかさは東銀座の歌舞伎座の近所にあったお好み焼き店を参考にして創業したそうだ。その店では「銀座焼き」という名で同様の品を出しており、それに倣って「野毛」の地名をつけて「のげ焼き」としたらしい。つまり昭和28年よりだいぶ前から、焼きそばを玉子で綴じて焼く食べ方が東京には存在していたことになる。これは個人的にちょっと衝撃だ。東銀座の店の来歴が知りたい。

【追記】近代食文化研究会さんから公開後に教えていただいたが、染太郎では昭和12年の創業当時から「おかやき」という名前で同様の品を提供していたそうだ。まさかそんなに古くからとは思わなかった。情報ありがとうございます。

さらに1つお好み焼きを追加注文。選んだのは「干しいかてん(700円)」。小麦の生地と紅生姜の間に、切りいかとも呼ばれる糸状に加工されたスルメが挟んである。

干しいかてん 700円

じゃりン子チエで堅気屋のおっちゃんがお好み焼きのレシピを滔々と語る回があるが、あのレシピにも使われていたのがこの細ーいイカだ。よーく混ぜて焼いたが、形質状、干しいかが玉になってしまった。それでもイカの風味を感じてなかなか美味しい。焼き上がりの画像はしょうがてんや野毛焼きと大差ないので省略。

おしるこ焼き 500円

最後にデザートとしておしるこ焼き(500円)をお願いした。ホーローカップ生地の下にはあんこが隠されていて、角切りの餅が入っている。これをよーくかき混ぜて焼き、両面が焼きあがったら、シロップを掛けていただくのがこちらのお汁粉だ。焦げやすいので焼くときは気をつけよう。

餅入りクロンボにシロップ掛けて

お好み焼きの戦前史』に紹介されている「おしるこ」は、薄く焼いた小麦の生地を切ったり曲げたりして器を模写し、その中に餡子を入れたものだ。みかさのおしるこ焼きとはだいぶ異なるが、お好み焼きは自由なのが本質なので、いろんなタイプの「おしるこ」があったのだろう。なお餅が入っていないのは人形町・松浪と同じく「くろんぼ」と呼ばれていたそうだ。やはり政治的な配慮でメニューから消えたらしい。

サービスの柚子シャーベット

お会計をお願いすると、サービスで柚子シャーベットまで出していただいた。お酒もたくさん飲んで、一人3000円ちょっと。女将さんから他にもいろいろと貴重な話を伺えて、とても参考になった。ネットにはこちらの口コミも多々あるが、『お好み焼きの戦前史』を読んだ後に訪れてみると、こういう稀有な側面に気付くのではないだろうか。そういう食の楽しみ方も癖になりますよ。

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【テレビ出演】4/27 TBS系列『あさチャン!』

テレビ出演のお知らせです! 4/27(金)、TBS系列で放送されている朝の情報番組『あさチャン!』に出演します! 私が出る時間帯は7:40〜50くらいの予定だそうです。たぶん出番は僅かだと思いますけど、良かったらご笑覧くださいませ〜。

【出演番組】あさチャン[email protected]系列
【放映日時】 2018/4/27(金) 朝5:25〜
【公式サイト】http://www.tbs.co.jp/asachan/

あさチャン

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