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ウミガメ食堂

大正七年に創業した横浜の老舗中華料理店、奇珍楼。拙著『あんかけ焼きそばの謎』でも触れた通り、揚げ麺の焼きそばが名物だったが、残念ながら2023年に閉店してしまった。

横浜市営地下鉄 センター南駅

ただ、奇珍楼三代目の御子息にあたる方が別の店を営まれている。屋号はウミガメ食堂。メディアで何度も紹介され、評判もよい人気店だ。場所は横浜市都筑区の茅ケ崎中央。公共交通機関だと、市営地下鉄のセンター南駅が最寄りになる。

ウミガメ食堂 看板

ウミガメ食堂を訪問したのは8月中旬の日曜日。猛暑の中、なるべく日陰を選びながら駅から歩くこと数分。区役所通りに面したビルの看板を見つけた。

ウミガメ食堂 入口

14時近くに到着したが、10人くらいの待機列ができていた。店は半地下で行列も日陰になってはいるが、空調がないのでとにかく暑い。汗を拭き拭き、入店までに30分弱掛かった。

ウミガメ食堂 製麺室

一人と告げると、広いカウンターの一番奥へと案内された。店内は思っていた以上に広く、テーブルも多数置かれている。奥の方には製麺室も見えた。

ウミガメ食堂 メニューの一部

さてメニュー。奇珍楼とも共通する横浜中華の伝統的な料理が多い。他の客は自家製麺を使ったワンタン麺やサンマー麺の注文が目立った。

ビール生中 500円

私が注文したのは五目ヤキソバ(1250円)、特製シュウマイ(5ケ 450円)、ビール生中(500円)。ビールはすぐに来た。冷たくてウマーい。ジョッキでもよかったなー。

特製シュウマイ 5ケ 450円

続いて特製シュウマイ。カラシを乗せた小皿と一緒に、小ぶりのが5個、セイロで提供された。薄皮が跳ねているのが愛らしい。豚肉と玉ねぎがギュッとまとまっていて、ほんのり甘い。ビールが進む。

薄皮が跳ねているのが愛らしい

先日開催されたシュウマイ潤さんとのトークイベントでも語ったが、カタ焼きそばとシュウマイは、明治時代や大正時代にルーツを遡れる中華料理店の定番メニューだ。この店もその代表例である。

主役の五目ヤキソバ登場

そして主役の五目ヤキソバ登場。メニューで「カタヤキソバ」と明記されている通り、奇珍楼と同じく揚げ麺を使ったあんかけカタ焼きそばだ。

五目ヤキソバ 1250円

麺はサクサクした食感の極細揚げ麺。餡は横浜らしい甘めの味付けで、豚肉・エビ・イカ、キャベツ・キクラゲ・ニンジン・玉ねぎなどが使われていた。

エアリーな揚げ麺

エアリーな揚げ麺に甘い餡を絡めて食べると、めっちゃウメーン! 餡の水分が少なめなので、麺のサクサク食感が終盤まで保たれている。

ウミガメ型に切り抜かれた人参

餡の具も工夫が凝らされている。油通しされた豚肉の軟らかさは感動的だ。ウミガメ型に切り抜かれた人参も愛嬌がある。セロリが使われている点も、日本の中華ではちょっと珍しい。

セロリが使われているのも珍しい

焼売用のカラシを酢で溶いて掛けても美味しい。餡の甘さがやわらいで好みの塩梅になった。長野の酢がらしや長崎の金蝶ソースとの類似性を感じて面白い。長崎の人に食べてもらって、感想を聞きたいなあ。

お会計は2250円。3時近いのにまだ行列ができていた。奇珍楼の料理そのままではないにせよ、DNAが着実に受け継がれていることを感じることができた。

店舗情報住所: 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央24-12 ライオンズプラザ1F
営業時間: 11:15~15:00, 17:00~20:00
定休日: 水
主なメニュー五目ヤキソバ 1250円
特製シュウマイ 5ケ 450円