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一福黄金饅頭

2022年6月27日

あんこを小麦の生地で円筒形に包んで焼いたものを、あなたは何と呼ぶだろう? 今川焼、大判焼、太鼓焼、二重焼、回転焼。千葉の一部では甘太郎。静岡では黄金饅頭と呼ぶ人もいる。今回紹介する店もそのものズバリ、一福黄金饅頭という屋号の店だ。

伊豆箱根鉄道 三島広小路駅

一福黄金饅頭は伊豆箱根鉄道の三島広小路駅前にある。いや、正確には「あった」か。店名にもなっている黄金饅頭、そして独特の焼きそばが名物だったのだが、残念ながら2013年12月末に閉店してしまった。清水の「えんどう」や蒲原の「磯屋」と同様、この記事を記録として残して置きたい。

一福黄金饅頭(既に閉店)

一福黄金饅頭はタクシーの待合所に面する形で店を構えている。入店して右手が客席スペース。カウンター状の席が6つにテーブルが2卓。メニューは壁に貼られている。黄金饅頭と焼きそば、あとはソフトドリンクのみという品揃え。通常の焼きそばが280円という安さだ。

一福黄金饅頭 メニュー

私が初めて訪れたのは2011年の8月のこと。この時はデジカメのバッテリーが切れて、まともな写真が撮れなかった。スマホの写真を精一杯いじってみて、こんな感じ。確か肉入り焼きそばの並(330円)だったかな。

焼きそばの並 280円

麺はゴワゴワした角細蒸し麺。地元ではゴム焼きそば、略して「ゴム焼き」と呼ばれていて、見た目も食感もまさにゴム。丸勝食品と書かれた麺箱があったので、そこで製麺されたのだろう。歯応えはあるが富士宮とも異なる食感だ。その麺がとても印象的だった。

そして改めて訪れたのは2013年の4月中旬、土曜日の昼下がりのことだ。丁度ひと段落した頃合と見え、店主の老夫妻も厨房で焼きそばを食べていた。

黄金饅頭 80円

テーブルは家族連れで占められていたのでカウンターに腰掛ける。お冷やをいただいて、肉・玉子入り焼そば(370円)と黄金饅頭(80円)を注文。黄金饅頭はすぐに運ばれてきた。

皮は薄めで餡たっぷり

皮は薄めで餡たっぷり。すっきりした甘さで左党の自分でも問題なくいける。美味い。これで80円という値段はお得だな。そのうち厨房から炒める音が聞こえ、しばらくして奥さんが焼きそばを持ってきた。

肉・玉子入り焼そば 370円

麺は前述のゴムそば。肉は麺やキャベツとは別に焼かれていた。目玉焼きは黄身半熟で端カリカリ。自分好みである。その上に青海苔、脇に紅生姜。肉と玉子が無い状態なら、実にシンプルな焼きそばなのだろう。

ゴワゴワした角細蒸し麺、通称「ゴムそば」

件のゴムそばだが、深蒸し麺なのか色は茶色い。しかし味付けはごく薄めだ。卓上のウスターソースを適量掛けると丁度良い。麺の固さのせいか、食べてる最中喉に詰まりそうになった。落ち着いて完食。しみじみと美味しかった。

焼きそばを食べている間も店頭では次々と黄金饅頭の持ち帰り客が。三島は三島大社と鰻で有名だが、こういう個性的な焼きそばもあって面白い。廃業してしまったのがつくづく惜しまれる。どこかで密かに味を受け継いだ店があったりしないかなぁ。

一福黄金饅頭

店舗情報住所: 静岡県三島市広小路町5-2
※2013年12月末に閉店
主なメニュー焼そば 280円
玉子入り焼そば 320円
肉入り焼そば 330円
肉・玉子入り焼そば 370円
大盛 100円増し

黄金饅頭(あずき) 80円