クンビラ
今回紹介するのは1978年創業の老舗ネパール料理店、クンビラ。公式サイトによると1号店は長野県上田で、2号店は広尾でオープンし、1995年に現在の渋谷区恵比寿に移転したそうだ。ネパール料理だけでなく、チベット料理も提供している。そのチベット料理の中に興味深い品があるのだ。
GWの某日、ランチタイムに訪問。特徴的な外観の一軒家らしいのだが、この日はたまたま改装中で建物自体が足場で隠されてしまっていた。うーん、残念。
店内は6フロアに分かれているらしい。案内されたのは短い階段を登った中2階。テーブルが5卓並んでいて、先客なし。壁には宗教画が飾られていた。チベット仏教とヒンドゥは共通する神様が多いが、こちらはヒンドゥではなく仏教画や仏像ぽかった。ちなみに屋号の「クンビラ(Khumbila)」はオーナーの故郷の山の名前だそうだが、日本の金毘羅山の語源にもなっている。
さて、メニュー。こちらでは平日のランチメニューで「ネパール手打ちうどん」という品があるようだ。英語表記だと「Homemade Tibetan noodles with chicken soup」なので、恐らくチベットのスープ麺「トゥクパ(Thukpa)」を提供しているのだろう。さらにその手打ち麺を炒めた「チャウチャウ(Chau chau/1080円)」というメニューもある。私の目的はその「チャウチャウ」だ。
メニューでは「クンビラ手打ち麺のチベット焼きそば」「Homemade fried Tibetan noodle」と紹介されていて、チベット料理に分類されている。前回、大塚ダルバートの記事で紹介したように、ネパールで「チャウチャウ」というとインスタントのスープ麺を一般的には指すらしいが、チベットでは「チャウチャウ」=炒めた麺を意味するのだろうか。ネパールのチョウミンとの違いもメニューでは良く分からん。ややこしいがとにかく食べてみよう。
麺は平打ちで、ツルツルでもシコシコでもなく、モソモソした食感。ウイグルの手述べ麺(ラグメン)に通じる味かと予想していたが、あのコシからは程遠い。ブータンの「プタ」とも似ていない。具は鶏肉、キャベツ、人参。トッピングに青ネギ。味付けはほんのりスパイシー。全体的に割りと脂っこく、ニンニクと大豆ベースのソヤソースも使っていそうだ。メニューに唐辛子マークが付いていたが、肩透かしを食らった気分になるほど、辛味はごく僅かだった。一般的なネパール料理店のチョウミンとは麺も違うし、味付けもマイルドだ。しかし、その主張しすぎない麺が味付けと妙にマッチして面白い。
念のため帰宅してから調べたところ、チベットには実際に「チャウチャウ」という焼きそばが存在するようだ。こちらの書籍の記述によると、チャウチャウ(Chow-chow)は特別な行事のときにのみ作られる料理で、主に国外の近代的なチベット料理店――ここ、クンビラのような店――で供されているらしい。この本のレシピはあんかけタイプなので、チャウチャウにもいろんなスタイルがあるのだろう。ヒマラヤ山脈の南と北では焼きそばの呼び方も変わり、同じ料理名でも別の料理になるんだなあ、なんて実感した。
チャウチャウだけだとボリューム的に少し物足りないのでネパールの餃子・モモを食べることにした。こちらではモモコ(800円)という名前で、さっきのチャウチャウと同じくチベット料理に分類されている。標準より少な目の4個入り(560円)を注文。一粒がとても小さく、小籠包風に包まれている。
餡は豚肉がメイン。中央のソース=モモコアチャールは酸味が強く、辛さも時間差で効いてくる。このモモコアチャール、さっきのチャウチャウにつけて食べても美味しそうだな。小粒なので4つをペロリと平らげた。
食後はホットチャイ(490円)で一息。お会計は2181円。休日のランチとしてはちょっと高くついてしまったが、個人的な好奇心を満たすことができた。ネパールでモモやチョウミンは一般的に食べられているが、やはりチベットを経由した中華料理という位置づけなのかな。うーん、面白いなー。
店舗情報 | TEL: 03-3719-6115 住所: 東京都渋谷区恵比寿南1-9-11 営業時間: 11:30~14:30 17:00~22:30 (土日祝: 11:30~14:30 15:00~22:30) 定休日: 無休 → ホームページ |
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主なメニュー | チャウチャウ(Chau chau) 1080円 モモコ 800円(ハーフ 560円) |
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