ひさご亭 市川大野店
千葉県市川市に、ひさご亭という大衆中華屋さんがある。本店は市川駅前で1953年に創業したが2008年に閉店。いまは市川大野店を残すのみとなった。餃子の人気店なのだが、チャーメンもかなり独特らしい。
ひさご亭・市川大野店を訪問したのは、1月下旬の日曜日。最寄り駅は武蔵野線の市川大野駅だが、今回は本八幡駅からバスを使った。店舗はこざと北公園に面している。葦が茂る調整池では、水鳥たちが羽を休めていた。
開店時間の12時より、10分ほど前に到着。年季の入った看板だ。店頭にはすでに何人か並んでいた。時間通りに入店が始まる。
店内は右手が厨房で、それに面するカウンターが4席。左側にテーブルが3卓並び、壁には訪問した有名人たちの色紙が並んでいた。私は中華鍋の様子が見やすいカウンター席に着席。続く客ですぐに満席になり、テイクアウトの注文もチラホラ入っていた。
麺類や炒めもの・餃子など、メニューには見慣れた品々が並んでいる。焼きそば系はチャーメン、ソース焼きそば、揚げやきそばの三種類がある。どれも気になるが、初志貫徹でチャーメン(900円)を選択。それと半餃子(3ヶ・500円)、半ライス(150円)を注文した。
先に並んでいたお客さんの注文から順番に作られていくので、自分の分が出てくるまで時間が掛かった。餃子が最初に出された。次に半ライス。漬物とスープも出してくれるので定食っぽくなる。スープは玉ねぎ、ワカメ、白ゴマ入だ。最後のチャーメンが届いたのは12:44。餃子以外のメニューは遅くなると思った方が良い。
冒頭で述べたとおり、餃子がこの店の名物で、他のお客さんも全員が頼んでいた。丸っこい形状の揚げ焼きで、とにかくでかい。小柄な女性の拳ほどの大きさがあり、本来は900円で6個入。食べ切る自信がないので半餃子にしたわけだ。
カウンターの特権で調理の様子を眺めてみたところ、餃子はその場で包んで揚げ焼きにしていた。皮はクリスピーで、完全には閉じられておらず、中の具がチラリと見えている。この餡が、形状やサイズにも増して独特なのだ。
餡は野菜主体のペースト状で、ニンニクがガッツリ効いている。肉は使われていないか、ごくわずか。味付けはなんと甘い。ネットを検索すると、甘味はバナナ由来という情報も見つかった。好き嫌いがはっきり分かれそうな味である。ライスに合うというよりは、ライスがないと飽きそうに思う。
チャーメンもこの店ならではの、特徴的な品だ。使われている食材は黄色い平打ち麺とモヤシのみ。麺は柔らかめ。つゆだくな仕上がりで、味付けはかなり酸っぱい。中華鍋でモヤシを炒め、茹で上げた麺を投入して混ぜ炒めつつ、酢を相当量加えていた。これも好き嫌いが分かれそうな品だ。
メニューでの記載位置やつゆだく具合から、このチャーメンをタンメンの派生系と捉える人も見受けられる。しかし麺を炒めているので、これはれっきとした炒麺・焼きそばだ。そもそも、つゆだくな焼きそば自体は、そんなに珍しくない。千葉県だと船橋ソースラーメンのルーツとなった焼きそばや、香取市の小見川つゆだくカレー焼きそばの例がある。
「でも、ここまで酸っぱいつゆだく焼きそばなんてあるの?」と疑問に思う方は、日光市今市にある朝日屋本店の焼きそばと食べ比べてみてほしい。麺質はかなり異なるが、つゆだく具合や具材・味付けの構成は酷似していると思う。
三角食べでチャーメン・半餃子・半ライスを平らげて、お会計は1550円。先週の想夫恋・横浜青葉店も焼きそばと半餃子で1550円だったなー、などと思いつつ店を出た。満腹で苦しい。餃子もライスも半分にして正解だった。量が多いため回転は遅めなので、もし訪問される際は時間に余裕を持ってね。
ところで、ひさご亭の餃子がなぜこんなサイズになったのか? ロケットニュースのインタビューで、その意外な理由を店主さんが応えている。興味ある方はそちらもチェックを。
店舗情報 | 住所: 千葉県市川市南大野3-22-2 営業時間: 12:00-19:00頃 定休日: 水曜 |
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主なメニュー | チャーメン 900円 半餃子(6ケ) 900円 半餃子(3ケ) 500円 |
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