El Incomparable Peruvian Cuisine
以前、五反田のアルコイリスというペルー料理店の記事で、「チーファ(Chifa)」という料理ジャンルを紹介したことがある。ペルーなど南米諸国の現地の料理と、中国移民がもたらした調味料や技法が融合し、独特な中華料理として結実したのがチーファだ。焼きそばは「タヤリン・サルタード(Tallarin Saltado)」、チャーハンは「チャウファ(Chaufa)」という料理名で、チーファの定番として親しまれている。そして今回紹介するのは、それらをアレンジした料理なのだ。
その品を目的に訪れたのは、ロサンゼルス近郊のリシーダ(Reseda)にある El Incomparable Peruvian Cuisine というペルー料理店。市街地中心部からだと自動車がないと不便な立地だ。国際免許もレンタカーもない身なので、仕方なく地下鉄とバスを乗り継いで行ってみた。訪れたのは6/18の日曜日。週末は電車やバスの本数が極端に減ることもあって、ホテルから片道2時間近く掛かった。
最寄りの停留所でバスを降り、強烈な日差しの中をとぼとぼ歩く。目的地にたどり着いたのは13時過ぎのこと。Albertsonsというスーパーマーケットの入ったショッピングセンターの一角に「PERUVIAN FOOD(ペルーの食べ物)」の文字を見つけてほっとした。焼きそば食べ歩きもなかなか大変なのだ。
店内にはテーブルが9卓ほど配置され、地元の人たちがランチを楽しんでいた。厨房に男性2人、ホールに女性1人。ちなみに屋号の「El Incomparable」はスペイン語で「たぐいまれな」という意味らしい。空いているテーブルに促されて着席。
メニューをざっと眺めて牛肉料理(Beef/Carne)のページに目的の品、アエロプエルト・デ・カルネ(Aeropuerto de Carne/$12.50)を見つけた。他のページに鶏肉バージョンのアエロプエルト・デ・ポヨ(Aeropuerto de Pollo/$11.99)もあったが、牛肉の方を注文。それとチチャ・モラーダ(Chicha Morada/$1.99)というドリンクもお願いした。
注文するとすぐにパンが出された。Universal Bakeryもそうだったが、パンの無料サービスはラテンアメリカで一般的なのかな。パンと一緒に緑色のドロドロした液体が入った容器も出された。アルコイリスや鶴見のエル・ボスケでは黄色唐辛子=アヒ・アマリージョ(Aji Amarillo)のペーストだったが、今回は青唐辛子=アヒ・ヴェルデ(Aji Verde)のペーストのようだ。海外の食べ歩きは日本と何かしら違っていて、いちいち楽しいな。
チチャ・モラーダ(Chicha Morada)もすぐ出てきた。紫トウモロコシを原料としたジュースで、ペルーではごく日常的に飲まれている品だ。色のせいか、ブドウジュースを思わせる味わいで、すっきりした飲み口。トウモロコシが原料と聞くとギョッとするが、日本人でも全く違和感なく飲めるジュースだ。日本でもAmazonや、五反田駅前にあるペルー領事館の入っているビル内の輸入食料品店で購入できる。興味ある方はお試しあれ。
注文から15分ほど掛かってアエロプエルト・デ・カルネ(Aeropuerto de Carne)も運ばれてきた。そう。見ての通り、アエロプエルト(Aeropuerto)とは、麺とご飯を炒めたペルー版の「そばめし」のことなのだ。メニューには次のように紹介されている。日本語に訳せば「中華風ペルー式ライス・スパゲティ炒め」かな。
CHINESE PRERUVIAN STYLE FRIED RICE WITH SPAGHETTI MIXED WITH BEEF, GREEN ONIONS, RED PEPPER, EGG AND SOY SAUSE.
紹介文の通り、麺は中細のスパゲティを使用。茹でおいてあるのか柔らかめで、アルデンテとは無縁の麺だ。前回・前々回の中米・グアテマラのチャオミン(Chow Mein)で使われていた中華麺とも異なる。長さは短めだが、神戸の「そばめし」ほどは短くない。ご飯は粘り気の少ないインディカ米で、パラパラな仕上がり。具の牛肉は噛み応えのある赤身を良く焼きにしてある。その他、玉子、人参、赤ピーマン、長ネギが使われていた。
味付けは醤油ベースで割りと濃いめ。日本で食べたロモ・サルタードやタヤリン・サルタードと同じく、ニンニクもかなり効かせてある。日本の大衆中華で出されたら、「うんうん、よくわかっているなこの店」と頷くことだろう。食べているうちにインドのコンビライスヌードルや、松山の「美ゆき」・大洲の「さおや」で食べたチャンポンを思い出した。ペルーとインド、ペルーと愛媛がロサンゼルスで繋がるなんて面白いなあ。
そしてアエロプエルト(Aeropuerto)が目の前に置かれた瞬間から判明していたが、予想通りボリュームがかなり多い。日本の一般的な食堂だと、チャーハン二人前くらいの分量か。青唐辛子ペースト=アヒ・ヴェルデ(Aji Verde)で味変しつつ、どうにか全て食べ切った。腹が苦しいが、念願の品を食べられて大いに満足。苦労してやってきた甲斐があった。
ちょうど食べ終わると同時に団体客が入って来た。食べた料理に税金とチップを加えてお会計。帰りは流行りのアプリ、Uberを使って最寄りの駅までスムーズに移動した。それにしてもラテンアメリカの焼きそば文化はバリエーション豊かで奥が深いなあ。この料理がなぜ「空港(アエロプエルト/Aeropuerto)」なんて名前を付けられたのかは全くわからないままだが、ま、そこは今後の課題にしておこうっと。
店舗情報 | 住所: 19315 Saticoy St, Reseda, Los Angeles, CA 91335 TEL: +1 (818) 585-7506 営業時間: 9:00~20:00(木金土: 21時まで、日: 8:30~19:00) 定休日: 無休 |
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主なメニュー | Aeropuerto de Carne $12.50 Aeropuerto de Pollo $11.99 Tallarin Saltado de Carne $12.99 Tallarin Saltado de Pollo $11.50 Tallarin Saltado Mixto $14.99 Chicha Morada(glass) $1.99 |
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