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山形屋食堂

料理芸人のクック井上。さん、餃子マニアの塚田亮一さん、焼売マニアのシュウマイ潤さん、ラーメンマニアの井手隊長、そして焼きそばマニアの私、塩崎省吾。普段から都内に集まって町中華を食べ歩いている仲間たちで、日本各地を巡ってみようか。そんな企画が持ち上がった。町中華でもガチ中華でもない、その土地ならではの「土地中華」。その魅力の掘り起こしだ。

その遠征先第一弾は、鹿児島県の県庁所在地・鹿児島市。現在、『愛にいこう。鹿児島』というキャンペーンが行われており、今回の企画はその一貫だったりする。いろいろな方面からのご協力をいただいて、ブワァーッとたくさん食べ歩いたので、しばらく鹿児島でしか食べられない”土地中華”のお店を紹介しよう。

「とち中華」を追い求めるマニアたち

まず当ブログで紹介するのは、鹿児島の山形屋百貨店にある山形屋食堂。訪問したのは4月下旬の週末だ。目指すは鹿児島随一の繁華街、天文館に鎮座する老舗百貨店・山形屋である。さすが建物にも風格が漂っている。

鹿児島市 山形屋百貨店

開店時間に集まったのだが、この日はたまたま北海道展の開催期間中だった。それ目当てのお客さんが多いのか、どの入口も凄い行列でびっくり。ちなみに山形屋の北海道展は、日本で一番売り上げが大きいらしい。

山形屋食堂 待機ベンチ

山形屋食堂は、この百貨店の7階にあるレストランだ。私は2011年に訪問し、当ブログでも紹介したことがある。当時は「山形屋ファミリーレストラン」という店名だった。

山形屋食堂 メインホール

その後、お店の方は2015年に半年かけてリニューアルし、「山形屋食堂」として再出発した。それ以来、いつか再訪しようと念願していたので、今回の企画は私にとって渡りに船である。

サッポロ黒ラベル(中瓶) 630円

開店直後でガラガラなので席は選び放題。窓際の大きめなテーブルに着席した。さてさて、まずは喉を潤してから。各社のビールを取り揃えている中から、サッポロ黒ラベル(中瓶・630円)をチョイスして乾杯! 朝10時から飲むビールはウマい。

午前中から飲むビールはウマい

「朝だから自分はコーヒーで」とか「2杯目は焼酎にしようかな」とか、みんな自由でみんな良い。ちなみにかつてはこの窓から桜島が一望できたそうだが、残念ながら今は鹿児島銀行のビルに遮られて絶景はお預けだ。

山形屋食堂 ポスター

この山形屋食堂を訪問した目的は「焼きそば」だ。年間で25万食も売れている同店の看板メニューである。1日平均700食。鹿児島市の人口が約59万人らしいので、2人に1人が年に一度は食べている計算になる。

焼きそば 950円

こちらがその焼きそば(950円)だ。見ての通り、パリパリの揚げ麺を使っている。それが最大の特長である。拙著『あんかけ焼きそばの謎』では次のように紹介した。

揚げ麺を焼きそばと呼ぶ代表格が、鹿児島の「山形屋食堂」だ。昭和三三年から同デパートで営業していた「珍々亭」というラーメン屋の名物を、同店廃業に伴いデパートの運営元で引き継いだそうだ。

やや太めの揚げ麺に具だくさんのあんがたっぷり

長崎皿うどんの極細麺に比べるとかなり太い。この太めの揚げ麺に、マイルドで具だくさん、旨味がたっぷりの餡が滲みて、独特な食味を生み出す。

普通サイズでこの大きさ!

二つ目の特長はボリュームである。普通サイズでこの大きさ! 近くのテーブルで食事していた年配のご夫妻は、これ一つをお二人でシェアしておられた。ミニサイズや大盛りもあるので、いろいろなシチュエーションに対応可能できそう。

テーブルの三杯酢はマストアイテム

三つ目の特長がテーブルに置かれた三杯酢。これが山形屋の焼きそばに欠かせない、マストアイテムなのだ。配膳の際にも「たっぷり掛けて」とアドバイスされる。

三杯酢で味変すると、めっちゃウメーン

言われた通り、三杯酢をダバダバっと焼きそばに回しかけて(実際は取り分けてからだけど)、ズズッ、パリパリ、モグモグと。甘めの餡が爽やかな味わいになって、めっちゃウメ~ン! 15年ぶりに食べたけど、やっぱり美味しい! 他のメンバーにも大好評だった。

ところで今回の遠征では、行く先々でそれぞれの専門分野に準じた品々をなるべく食べよう、という方針だ。しかし山形屋食堂にはラーメンも餃子も焼売もない(エアポート店にはラーメンと餃子がある)。本来なら除外対象だが、現地からのリクエストもあって、みんなで訪問するに至った。

とんかつ川久 黒豚ロースかつ150g 2000円

各ジャンルの代わりという訳ではないが、とんかつ川久の黒豚ロースかつ(150g/2000円)も注文した。この後の食べ歩きもあるので、あえてライス抜きにして、おつまみとしていただいた。鹿児島の黒豚。文句なしの美味しさだ。

やまかたやのしろくま 950円

デザートに鹿児島名物のしろくまもオーダー。これもでかい。2011年の初訪問では、一人で焼きそばとしろくまを注文して、そのサイズに悪戦苦闘したっけ。

創業当時の山形屋食堂

今回の旅をコーディネートしていただいた方の計らいで、山形屋食堂を運営する株式会社ベルクの川脇健吾氏(営業部・営業第一課長)にご挨拶させていただいた。実は運営元にずっと確認したかった事がある。

「15年前に来たときは、ちゃんぽんや皿うどんもありましたよね?」
「はい、ございました」
「やはり!」
「皿うどんは今でも裏メニューで、ありますよ」
「え! 食べられるんですか!?」

裏メニュー! 柔らか麺の「皿うどん」!

一人では無理だが、大人数の強みを活かして追加注文。パリパリ揚げ麺の「焼きそば」に対して、柔らかな麺を使うのが山形屋の「皿うどん」だ。

これを

使われているのは中太のちゃんぽん麺。「焼きそば」と同じ麺らしい。もっと太い麺だと勝手に思っていたが、これが山形屋の「皿うどん」なのだ。実食できて感無量である。

「え? パリパリ揚げ麺の方が皿うどんじゃないの?」

15年前の私はそんな疑問を抱いた。その疑問が、『あんかけ焼きそばの謎』という一冊を生んだ。私なりの回答はすべてそこに書かれているので、興味のある方は読んでほしい。

柔らか皿うどんにも、もちろん三杯酢!

そして柔らか皿うどんにも、もちろん三杯酢! 長崎の皿うどんに金蝶ソースが合うように、山形屋では三杯酢なのだ。

ご年配にファンが多いとか

なお、川脇さんによると、柔らか麺の皿うどんはご年配のお客様にファンが多いらしい。硬い麺を食べづらく感じ始めた層も、柔らか麺なら堪能できる。裏メニューではあるけれども、高いポテンシャルを秘めていそうだ。

お店を退出するころには長蛇の列ができていた。老若男女、家族連れが大勢待っているけど、席数が多いので回転は思った以上に早いようだ。鹿児島に来なければ食べられない、この土地ならではの「土地中華」。山形屋の焼きそばと皿うどん。もし鹿児島を訪れることがあれば、ぜひ一度は食べてほしいなー。

店舗情報住所: 鹿児島県鹿児島市金生町3-1鹿児島山形屋1号館7F
営業時間: 10:00 - 19:30
定休日: なし
ホームページ
主なメニュー焼きそば 950円
皿うどん 950円(柔らか麺)

とんかつ川久 黒豚ロースかつ150g 2000円
やまかたやのしろくま 950円