福ちゃん
最近、浅草近辺を歩くと東の空を見上げている人をよく見かける。来年5月に開業予定の東京スカイツリーがどうしても気になってしまうのだろう。明治に建てられ関東大震災で倒壊した地上12階の浅草凌雲閣は52m。戦後に再建された浅草寺五重塔は48m。浅草のランドマークは時代時代で移ろってきたが、さすがにスカイツリーの634mは桁違いだ。
さて、浅草の地に立ってスカイツリーから下の方へと目を転じてみると、時代に取り残されたかのような地下街が存在する。昭和28~30年頃(※)に作られたというその浅草地下商店街の一角にあるのが浅草焼きそば・福ちゃんだ。創業が昭和40年くらいで、焼きそばを売り始めて30年以上という店である。
福ちゃんを訪れたのは平日の14:30頃。丸椅子のカウンターと島テーブルで25席くらいあるだろうか。メニューは焼きそばの他にも軽食・つまみ類が充実している。噂通り、焼きそばがメインの一杯飲み屋の風情である。
先客は3人ほど。外はまだまだ明るい時間帯だが、二人は左隅の一角でテレビを見ながら一杯呑んでいた。もう一人はスーツ姿の若者で既に食事は終えたらしいが、お店の若い女の子と親しげに話をしていた。それともう少し年上の女性が奥にもう一人。
中央付近の席に腰掛けて生ビール400円と鉄板焼きそば(並)350円を注文。「あ、ギネスもあったのか」と気付いたが、すぐ生ビールが出されたので仕方ない。焼きそばは下味をつけて作り置いたものを炒め直して持ってきた。
ステンレス製の銀皿が郷愁をそそる。麺はやや平たい蒸し麺で色は少し黒っぽい。具はキャベツと……この黒いのは揚げ玉か。僅かだが小さな干しエビも入ってる。青海苔と紅生姜はデフォルトでトッピングされ、卓上にはマヨネーズや七味やコショウが置かれている。
ビールをグビリとやりながら焼きそばをつまむ。麺は腰があって噛み応えがあるが、酒肴として考えると味は少しあっさり目か。この店はカレーをトッピングした焼きそばが名物なのだが、そっちの方が酒に合う気がする。さらに贅沢を言えば、もう少し紅生姜の量があると嬉しい。次回、ダメ元でリクエストしてみたいと思う。
※浅草地下商店街の成立年代についても調べたが諸説あって定かではない。
- 昭和30年という記述……<1955年(昭和30年)、日本で3番目に出来た地下街・浅草地下商店街>
- 昭和29年という記述……<昭和29年(1954)にできた、当時最先端の地下商店街。>
- 昭和28年という記述……<浅草地下商店街は昭和28年(1953)に完成した営団地下鉄銀座線駅の地下街です。>
店舗情報 | TEL:03-3844-5224 住所:東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下街 営業時間:10:00~20:00 定休日:月曜日 |
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主なメニュー | 鉄板焼そば 350円 大盛400円 カレーソース焼そば 450円 玉子入り焼そば 450円 ラーメン 450円 カレーライス 450円 大盛500円 生ビール 400円 おでん5点盛 350円 |
ディスカッション
コメント一覧
青葉台の想夫恋の後、こちらのお店へはしごしました。焼きそばは作り置きしていたようで、ソースをかけて店舗前の鉄板にて焼き直しておりました。このキャベツと天かすのみの具というチープさがなかなかいいですね。まさに懐かしの屋台の焼きそばという感じで、気に入りました。ただ、作り置きしていた時間が長かったのか、それとも本来の状態なのかはわかりませんが、麺がいささか固かったように思えます。調理前の麺がカウンター裏にありましたが、もともと黒いようですね。ソースが練りこんであるのでしょうか。浅草でちょっと小腹が・・・というときにはもってこいの焼きそばですね。青のりもかけ放題なのも個人的にプラス評価でした。
貴重な店舗のご紹介ありがとうございました。
ゴワゴワした食感の独特な蒸し麺ですよねー。
作り置きができる、というのが蒸し麺を使った焼きそばの利点なので、
どうしてもああいうスタイルになるのかなと思ってます。