スーリヤ 東麻布新店
東麻布にあるインド料理店・スーリヤ東麻布新店。この店もインドの田舎料理やインド中華を得意にしているそうな。そのスーリヤの平日ランチで、とある珍しい品が提供されていると知り訪問してみた。
3月上旬、平日の午前11時過ぎ。地下鉄の麻布十番駅から5分ほど歩いた閑静な住宅街の一角に目的の店があった。以前は隣に本店があったそうだが閉店して新店に統合されたそうだ。この辺、家賃が高そうだけどその分客単価も高いんだろうなあ、とか無粋なことを思いつつ入店。
内装はインドを全面押し。フロアにはテーブルが何卓か並べられていた。空いているであろう早い時間帯を狙ったため先客は一人だけ。しかし時間が経つに連れて続々入ってきた。正午を過ぎたらドバッと来るんだろうな。
さてメニュー。目当てはCランチの客家ヌードルセット(900円)だ。客家ヌードルには「野菜たっぷりの焼きそば」という簡単な説明書きがある。ランチセットではそれに中華風の炒め煮であるマンチョリアンソース、サラダ、デザート、ドリンクが付いてくる。辛さは12段階で指定できるとのこと。何がどう辛くなるのかよく分からないまま、少し悩んで2辛を指定した。飲み物はホットチャイで。
すぐ運ばれて来た前菜のサラダはドレッシングがかなり甘め。ま、サービスなので文句はない。薬だと思って義務的に口へ運ぶ。サラダを平らげてしばらくするとメインディッシュの載ったトレイが運ばれて来た。左に客家ヌードル、右手前にマンチョリアンソース。奥にデザートという構成である。
客家ヌードルはお察しの通りインド中華の一種で、英語では「Hakka Noodles」と綴る。説明文の通り野菜たっぷりの焼きそばで、Youtubeでもベジタリアン向けのレシピが多数見つかる。露店で調理しているこの動画の調味料の入れ方なんて惚れ惚れしてしまった。いくつかレシピをチェックしてみたが、前回紹介したシェズワンヌードルの味付けが唐辛子=チリペーストなのに対して、客家ヌードルは醤油の一種、ソヤソースを味のベースにしているようだ。
「ん? インドでは普通のチョウミンもソヤソース味のはずだけど、客家ヌードルとどう違うの?」
疑問に思ってさらに調べたところ、『チョウミンと客家ヌードルの違い』と題した、まさにドンピシャの英語記事を見つけた。記事の下の方に表でまとめられているが、まずルーツが違うらしい。チョウミンは広東省台山市あたりの影響を受けていて、客家ヌードルは名前の通り客家料理に由来するそうだ。また客家ヌードルは鍋を煽るように炒める調理法(toss-fried)と、インド中華独特の味付けが特長。一方でチョウミンは混ぜ炒める調理法(stir-fried)と中華本来の味付けが感じられるのが特長とのこと。ただしこれという制限は無いので、実際は区別も曖昧らしい。
さてさて、当店の客家ヌードルはどうだろう?
麺は中太の中華麺。柔らかくしなやかな食感で、飯田で食べた麺(かん水ではなく重曹を使ってる)を思い出した。具は混ぜ炒めた玉子、キャベツ、人参。青ネギがトッピングとして散らしてある。
味のベースはソヤソースというよりもトマトケチャップやトマトピューレなどトマト系がメインで、チリソースも使っているようだ。イメージとは違っていたけど、たぶん現地でも店ごとに味は違うのだろう。色は赤いが見た目ほどは辛くない。ふんわりした炒め具合で誰もが好むであろう味わいだ。卓上にあったオニオンピクルスもアクセントに良い。
ちなみにマレーシアにも客家麺(Hakka Mee)というのがあるが、こちらは炸醤麺のように茹で上げた麺に味付きの挽肉を乗せたものらしい。共通点が全く見出せないくらい違ってて興味深い。
続いてマンチュリアンソース(Manchurian Sauce)。揚げた鶏肉と玉葱がトロミの付いた餡で炒め煮されている。中華的な甘酸っぱさもあるが、味付けはトマトとチリがベースで結構辛い。2辛の指定はこれだったか。このトロミの付いた中華風のソース(餡? スープ?)もインドではグレイビーと呼び、他のカレールーと同じような扱いになるらしい。
ところでこのセットの食べ方について。自分は客家ヌードルを頬張りつつ、マンチュリアンソースをスープ的に啜ったのだが、帰宅してからこんな記事を見つけた。これによるとマンチュリアンソースは焼きそばに掛けて食べるのが本来のスタイルなのだそうだ。カレー細胞さんのブログでも同じ内容が書かれていた。なるほどなるほど、そりゃ美味そうだ。次回はそうしてみよう。
デザートはフルーツの入ったヨーグルト。一瞬、杏仁豆腐と思ったが、中華料理店では無かった。食べてみると予想以上に甘い。インド料理店のデザートはたいがい加減知らずの甘さなのが多い。甘いのと辛いのと極端なのだな。
食後にホットチャイで一服。こっちは砂糖が別でほっとした。入れずに飲むと、口の中に残っていた甘さが中和されてちょうど良くなった。
本場のインド中華、って呼び方も変だけど、日本ではなかなか味わえない料理を楽しめる貴重な店だった。客家ヌードル以外にも、「四川ソースヌードル」「アメリカンチョプスイ」「コンビネーションライス」など、焼きそば好きにとって気になる品が色々と揃っている。まわりの客はカレーの注文ばかりだったけど、インド料理屋で「四川」とか「客家」とか、たまには変化球もオススメですよ。
店舗情報 | TEL:03-3589-2245 住所:東京都港区東麻布2-12-4 AMITAビル 1F 営業時間:11:00~15:00 17:00~22:30(日祝は通し営業) 定休日:年中無休 |
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主なメニュー | 客家ヌードル ランチセット 900円 鶏の客家ヌードル 単品 680円 ミックス四川ソースヌードル 850円 エッグマッシュルームヌードル 1080円 アメリカンチョプスイ 1350円 鶏のインド風 チョプスイ 1350円 香港チョプスイミックス 1350円 プーロンコンビネーションライス 650円 |
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