獅天鶏飯ハナレ
渋谷に獅天鶏飯というシンガポール料理店がある。シンガポール料理は広東料理や福建料理にマレー半島やインド洋の食文化が融合して発展を遂げた。この店では、そのシンガポール料理に独自の工夫を種々凝らしているらしい。
獅天鶏飯の本店は渋谷駅南口の渋谷ストリームにあるが、それとは別に、宮下パークの手前にも「ハナレ」と名付けられた支店が営業している。本店とメニューは同じだが、ハナレの方が少し広い。7月上旬、週末の夜。妻と二人で、その獅天鶏飯のハナレを訪問した。
店舗は雑居ビルの2階にある。入ってみると、いわゆるネオ居酒屋的な雰囲気の内装だ。厨房を囲むL字カウンターに加え、テーブルがいくつか並んでいる。案内された奥のカウンター席から窓の外を眺めると、提灯が並ぶ渋谷横丁の雑踏が眼下に広がっていた。
ドリンクメニューには定番の品だけでなく、クラフトビールや中国酒、スパイスをきかせたハイボールなど、バラエティに富んだお酒が並んでいる。
まずは生ビールとジャスミン茶で乾杯。お通しは茹でた落花生。こうして写真で見ると、色合いの組み合わせがよい。箸とグラスと小皿だけで絵になるカウンターだ。
最初の料理は、黒板の日替わりメニューからチョイス。「空芯菜のサンバル炒め」(980円)と「とうもろこしの夏巻」(980円)をお願いした。
空芯菜のサンバル炒めは、シンガポールで「サンバルカンコン」と呼ばれている。まず芯を炒め、終盤に葉の部分を投入し、サンバルソースで味付けした品だ。葉にフレッシュさが残っていて、絶妙な火の通り具合だった。
とうもろこしの夏巻は「マツコの知らない世界」でも紹介された、季節限定の春巻きだ。とうもろこしだけでなく様々な食材が使われている。齧ってみると外側のクリスピーな歯応えのあと、渾然一体の味わいと食感が口の中に押し寄せる。一口分にいろいろな料理が集約された、未体験の春巻きだった。
ドリンクが空いたので、お代わりにタイガービールと辛口ジンジャエールを注文。続く料理はレギュラーメニューから選んだ。こちらも多種多様で、どれも美味しそうだ。
とりあえず箸休めに「美味しいザーサイ」(450円)をいただいた。シャキシャキした食感が心地いい。
続いて生マッシュルームのサラダ(620円)。どんなサラダかと思ったら、スライスされた生マッシュルームが河豚刺しのように盛り付けられ、ドレッシングがかけられている。サラダを食べている感じは皆無だけど、これはこれで美味しいし面白い。
そして私の本命、ホッケンミー。漢字で書くと「福建麺」。並が2200円、大が3300円で並を注文した。
ホッケンミーは地域によってスタイルが異なるが、シンガポールのホッケンミーは汁だくなウェットタイプの焼きそばだ。この店では日本語で「海老汁焼きそば」と添え書きしている。
麺は中太の中華麺と細い春雨の2種が使われている。具は剥いたエビと玉子と青菜か。エビは有頭の殻付エビで、その頭もあえて砕いて使っていた。
味付けもエビ出汁がベースで、旨味が全体に行き渡っている。そこに混ぜ焼きされた玉子のコクも相まって、めっちゃウメーン!
なかなかの値段だが、ボリューム十分。二人で分けてちょうど良い量だ。うーん、ハイレベルなホッケンミーだなー。
ホッケンミーでグラスが空いたので、もう一杯ずつドリンクをおかわり。ドラゴンハイボール(紹興酒+ソーダ)とジャスミン茶。
そして最後に注文したのはコーヒーポーク。並が1200円、大が1800円で並を注文。大きな豚肉の角煮が二切れ。肉肉しくて食べ応えあり。コーヒーの風味はわずかに感じる程度で、言われなければ分からない。しかしめちゃめちゃウマい。
お会計は合計で12000円あまり。どの料理も完成度が高く、驚きを提供してくれた。王道のシンガポール料理も良いけど、こういう進化系も面白いなー。お腹も満たされて、いい勉強になりました。
| 店舗情報 | 住所: 東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビル 2F 営業時間: 17:00〜23:30(日〜22:00、祝後日〜23:00) 定休日:日曜不定休あり → ホームページ |
|---|---|
| 主なメニュー | ホッケンミー 並2200円 大3300円 |







ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません