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第一亭

2014年3月22日

日の出町駅のすぐ近所にある老舗の中華料理屋、第一亭。居酒屋礼賛の浜田信郎氏を始め、横浜近辺を飲み歩く左党から絶大な支持を集める大衆的な中華食堂である。台湾の家庭料理をルーツとする定番の人気メニューが幾つもあるのだが、今回は敢えて焼きそばを食べに行った。

横浜 日の出町 第一亭

頃は4月下旬、日曜の夕方。桜木町駅から野毛の歓楽街をのんびりと歩いて第一亭に到着。訪れたのはこれで二度目だ。並びにはソープランドもあって、日の出町ブルースの歌詞そのままな、かなりディープな界隈である。

客席はテーブルに小上がり、カウンターが数席ずつ。裏手は大岡川沿いの歩道に面している。雨模様のせいか、たまたま空いていて先客は一組だけだった。カウンターに腰掛けてまずは瓶ビール(550円)としじみ醤油漬(600円)を注文。

しじみ醤油漬600円と瓶ビール550円

しじみ醤油漬はこの店の人気メニューのひとつで、大粒のしじみがニンニクの効いた醤油ダレに漬け込まれたもの。この店は90歳になる創業店主とそのご家族、手伝いの女性で切り盛りしているのだが、しじみ醤油漬の作り方は店主しか知らないそうだ。殻の中の身肉はトロンとして、生でもなく加熱されてるわけでもない不思議な料理だ。ビールに合う上、すぐに出てくるので最初の一品にはもってこいの珍味である。

しじみの身を穿りながらビールをグビグビと飲んでると、先客がチート(豚胃)生姜炒め(600円)を注文したので自分もそれに便乗。豚モツを中華風に炒めた料理はこの店の看板メニューで、チート生姜炒め、ホルモン炒め、レバニラ炒めの3品が特に人気だ。後者二つは前回食べたので今回はチートにしてみた。豚の胃を、生姜と酸味を効かせて柔らかく仕上げた逸品だ。酒が進み、ビールからウーロンハイへと移行。

チート(豚胃)生姜炒め 600円

注文がしばらく途切れた頃合に、店主のご子息に当たる若旦那が小上がりでギターの練習を始めた。地元界隈の地名を織り込んで作詞・作曲されたフォークソングで、地元のお祭りで披露することもあるらしい。「居酒屋礼賛の浜田さんとは面識があるんですよー」と告げたのをきっかけに話が弾み、カウンターの横で弾き語りを一曲披露して下さった。曲も演奏も素晴らしく、声も美声だ! ブラボー!

若旦那の弾き語り

聴き終えてからウーロンハイをもう一杯お代わりして、〆にヤキソバ(550円)を注文。この店の〆と言えば、裏メニューなのに誰でも知ってる『パターン』という冷製のニンニク和え麺が定番だ。私も前回そいつを食べ、ニンニクがガツンと効いたシコシコ麺に感動した。その日は単に呑むのが目的でヤキソバは意識的に外していたのだが、他の客が3組もヤキソバを頼んでいたのを偶々見た。その様子を横目に眺め「これはヤキソバも絶対旨いに違いない」と直感し、再訪を誓ったのだった。

ヤキソバ 550円

さてそのヤキソバ。麺はパターンと同じ茹で置いた平打ち麺で、しっかり焼かれて焼き目が付いている。具は豚肉、モヤシ、ニラ、チンゲン菜、人参。それらを一緒に中華なべで炒めて、塩コショウ、ニンニク、スープ等で味付けしたものだ。麺はモチモチ、野菜はシャキシャキで予想通り美味い。パターンのようなガツンと来る強烈さはないが、酒の肴としても〆としても申し分ない味わいだ。調理してくれたおばちゃん(=娘さんの一人)によると、やはりヤキソバもよく出る人気の品だそうだ。

1時間ほど滞在してお会計は3300円也。やはり楽しく美味しい店だった。ところでこの第一亭にはでっぷり太った猫が一匹飼われている。今回も小上がりに寝ていたのだが、凄まじく無愛想でなかなか撫でさせてくれない。次回訪問時は、そいつを撫でることを目標にしようと考えている。

第一亭

店舗情報TEL:045-231-6137
住所:神奈川県横浜市中区日ノ出町1-20
営業時間:11:00~24:00
定休日:火曜日
主なメニューしじみ醤油漬 600円
ホルモン炒め 600円
チート(豚胃)生姜炒め 600円
レバニラ炒め 600円
パターン 600円
ヤキソバ 550円