お知らせ


きくち

先日、当ブログでも紹介したように、クラウドファウンディングがご縁で、月星ソース(月星食品)さんの長沼社長に足利を案内していただく機会を得た。一番の目当ては足利ならではのソース文化、ポテト入り焼きそばとイモフライだ。どちらも栃木県の県南部で広く食べられているローカルフードである。

その日、お連れしていただいたのが、焼きそばとイモフライの専門店「きくち」さんだ。この地域の焼きそば店は前々からチェック済みで、きくちさんは以前から来てみたいと思っていた店の一つだったので嬉しい。月星食品の事務所から複数台の車に分乗して移動する、黄色い看板が特徴的な建物が現れた。外観からして自分の好みにドンピシャの雰囲気である。

足利市 焼きそば・イモフライ きくち

同行者一同、興奮気味に外観を撮影してから店内へ。お店は年配のご夫婦二人で切り盛りされている。あとでお話をうかがったところ、開業は20年ほど前とのこと。電気工事をしていたご主人が会社を息子さんに譲り、奥様とこの店を開業されたそうだ。

焼きそば・イモフライ きくち メニュー

店内には大きなテーブルが一つ置かれ、それを囲む形で、椅子をご用意してくださっていた。壁には焼きそばとイモフライの価格表が掲げられている。焼きそばは300円から。イモフライは一本70円。長沼社長が、肉入り焼きそばとイモフライ2本ずつを9人前注文してくださった。

麺は茶色い二度蒸し麺

麺は二度蒸し麺を使用。食後にお願いして調理前の麺を見せていただいた。茶色く、ゴワゴワした麺だ。注文が入るとそれを湯がいてから炒める。

鉄板で調理する様子

調理は鉄板だ。ご主人が調理を始めると、参加者全員が興味津々で厨房を覗き込む。ソースの焦げた香りが店内に充満する。

続々とできあがる焼きそば

焼きそば9人前は、一度に作るにはさすがに量が多いので、2回に分けて提供された。第一陣が到着すると皆で一斉に撮影タイム。熱いうちにということで、到着した方から順にいただくことにした。

肉ポテト入り焼きそば 400円

麺はやや細めの二度蒸し麺。並でもなかなかのボリュームだ。具はキャベツ、ジャガイモが標準だが、今回は肉入りを指定したので豚肉が入っている。青海苔が振りかけられ、脇に紅生姜が添えられている。

ホクホクのジャガイモと月星ソースが合う

前述した通り、麺は一度湯がいてから炒めており、ほどよいコシを残しつつしなやかな仕上がりだ。炒める際、和だしを加えて下味を付けてある。味付けは月星ソースを使った自家製ブレンドソース。フルーティな甘さのあとに、スパイシーな香辛料が主張してくる。ホクホクのじゃがいもにそれが滲み、あとを引く美味さだ。

マニア三人も堪能

今回お誘いしたクック井上。さんシュウマイ潤さん刈部山本さんも頷きながらポテト入り焼きそばを頬張っている。足利まで来なければ味わえない、貴重な体験だ。

イモフライ 一本70円

足利名物のイモフライも山盛りの皿で運ばれてきた。一皿に9本が積み重なる様は迫力がある。蒸したジャガイモに小麦粉・卵液・パン粉をまぶして油で揚げ、ソースを掛けたものだ。

ずっしりした食べごたえ

きくちさんのポテトフライは、もちろん月星ソースを使った自家製ブレンドソース。衣の油とソースが、ポテトの味わいにコクを加えてくれる。1本70円だが、ずっしり重く食べごたえがある。それが一人2本あり、焼きそばも食べたのでかなりお腹が満たされた。

ちなみにパン粉をまぶして揚げたポテトフライは、栃木県だけでなく、私の故郷・静岡県や遠く離れた兵庫県などにも同様の品がある。串に刺さないタイプのものは東京横浜にもある。

私が調べた限りだが、大正14年『手軽で美味い四季の惣菜料理』の「馬鈴薯(じゃがいも)のフライ」というレシピまで遡ることができた。かなり古くから食べられ、広範囲で伝播したように思う。

大正14年『手軽で美味い四季の惣菜料理』抜粋

一同大満足で食べ終え、ご主人と奥さんにご挨拶して店を出た。あらかじめご連絡していたとはいえ、小さなお店に大人数で押しかけてお騒がせしてしまい恐縮である。いろいろ貴重なお話もしてくださり、ありがとうございました。

ポテト入り焼きそばとイモフライという組み合わせは、先日紹介した砂町銀座のGOFUKUさんでも提供しているので、東京在住でお手軽に試して見たい方は、そちらを訪れるのもありだろう。ただ、願わくば本場足利まで足を伸ばしてみてほしい。こういう地元に密着したお店の雰囲気は、現地でないと味わえないものなので。

店舗情報住所: 栃木県足利市山川町938-2
営業時間: 11:00~14:00, 16:00~19:00
定休日: 年末年始のみ
主なメニューポテト入りやきそば 300円 大盛400円
肉入りやきそば 400円 大盛500円