丸長 新井薬師店
東池袋大勝軒の山岸一雄氏を輩出したことで知られる丸長のれん会。もちろんつけ麺(つけそば・もりそば)が同会の名物なのだが、基本的につけ麺専門店ではなく大衆中華だ。しかものれん分けなので各店の裁量が大きく、つけ麺も他のメニューも店ごとに個性がでる。(丸長のれん会の歴史については、刈部山本さんが現会長にインタビューしたこちらの記事が分かりやすい)
そして中には焼きそばを置いている店も存在する。実は以前、丸長のれん会で焼きそばを提供している店を総ざらいしたことがある。これがその一覧だ。
調査時点で既に閉店してある店は調査対象から外した。焼きそばを提供している店自体があまり多くない。提供していてもソースやあんかけ、カタ焼きそばなどタイプは店ごとに全くバラバラだった。ただ大勝軒を名乗る店はソース味が多いという、そんな傾向はある。そしてこの調査の結果、焼きそばを置いている現存店で創業年数が最も古いのが丸長新井薬師店だと分かった。
丸長新井薬師店(薬師丸長)は西武新宿線・新井薬師前駅の南口を出たすぐ目の前にある。昭和29年創業。カウンター7席だけのこじんまりした店だ。2つ離れた駅に住む私は、学生の頃からちょくちょくつけ麺(この店では「つけそば」)を食べに寄らせてもらっている。
もともとこのエリアは中野大勝軒・中野栄楽・野方大勝軒・沼袋丸長など、丸長のれん会の店が多かった。つけ麺が食文化としてしっかり根付いていて、私もそれらの店でちょくちょくいただいた。残念ながら次々と閉店して、今では中野大勝軒と丸長新井薬師店くらいしか残っていないが、今でも客は十中八九、つけ麺を注文する。
そんな丸長新井薬師店で敢えてヤキソバ(700円)を注文してみた。これまで私もここではつけそば(600円)しか食べたことがないし、他の客が焼きそばを注文しているのも見たことがない。
注文を受けて店主は食材を皿に準備した。熱した中華鍋に油を引き、キャベツ、人参、茹でた麺を順次投入。味つけしつつ混ぜ炒め、最後にチャーシューを入れ、少し炒めてできあがり。
麺は太麺。この店で何度も食べているつけそば用の麺だ。焼きそばも茹でたあとに水で締めているらしい。しなやかなコシがあり、モチモチ・シコシコした食感。ボリュームもたっぷり。つけ麺は麺が美味しくなくちゃ始まらないもんなあ。
麺が主体で、具はシンプルかつ少な目という印象。使われているのはチャーシュー、キャベツ、人参だけで、青のりも紅生姜もない。味付けは醤油系かと思ったが、まさかのソース味。それもかなり濃厚なガッツリ系だ。甘味も酸味も強く、スパイスもほどよく利いている。
量が多く味も濃いため苦手な人もいるかも知れないが、麺自体が美味しくて私はスルスルと平らげることができた。ネギ入りのあっさりスープも美味しかった。注文時に餃子も頼もうかと思ったが、焼きそばだけで満腹だ。
意外にもソース味の焼きそばでちょっと驚いたが、モチモチ麺が印象的な一皿だった。メニューの中ではつけ麺が断トツ人気で、次がラーメン系だろうけど、機会があればぜひ焼きそばもお試しあれ。たぶんビールにも合うはずだ。
店舗情報 | TEL: 03-3386-1809 住所: 東京都中野区上高田3-41-6 薬師駅前協同ビル 1F 営業時間: 11:00~14:00 17:00~19:30 定休日: 日曜 |
---|---|
主なメニュー | ヤキソバ 700円 つけそば 600円 らーめん 600円 ぎょうざ 400円 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません